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― 夜半 ―
動きが鈍るのは逃げるのにも良くないわね。
[ウェンの主張に、それはもっともだと囁いた。
一口で十分と言われると、コクリと頷き作業に入った。
頷き飛び込んでゆくウェンの身体。
カルメンも中に入るだろうか。また見張りをしようとしてくれていたなら、お願いねと囁き自分も部屋の中へ滑り込む。
鍵は壊してしまったが、扉を閉めれば外への音は多少なり減じられ]
えエ。
[少女の身体に上から飛び乗る。
女といえど大人の体重。口を押さえられたままの少女には耐え切れなかったのか、鈍い音が首の方で響き抵抗が一段と減る]
― 夜半 ―
[心臓を取り出そうと爪を立て、手についた血を舐める]
んン?
[痺れるような感触。自衛団長の時に感じたのと似ているような。
けれど味が悪いは思わず。まあいいかと、弱々しく鼓動している緋い塊を抉り出した]
最初の一口をどうぞ。
[ウェンにまず差し出して、臓物から食べていたら肉までは欲しくなくなってしまった]
おなかいっぱいになってしまったわ。
[酩酊しているような顔で囁き、ご馳走様、と唇を舐めた**]
/*
うーん、赤描写に冴えがないなあ。
ウェンの出してくれるのが素敵なだけに、ちょっと悔し。
ヨハナさんのは、ご不満な方もいるかしら。
とりあえず今思いつけて出来る限りをやってみたつもりなんですが。エピでもっとこういうのがあったのに、とかあれば教えてください。
ベアトリーチェはまたリアル忙しくなってるのかしら?
(村建て視点で中身が見えてしまっている)
それこそ無理されてないといいなぁ。
─ 前日/宿屋 ─
……ほんとに、な。
[厄介、という部分と、何も起きなかった、という部分。
ウェンデルの言葉>>27はどちらも同意できて、幾度目かの息を吐く。
同じ事を口にして苦笑する様子>>33には、みんな同じか、とこちらも苦笑い]
そんな簡単につくものじゃない……って言っても。
今は詮無いんですけどね。
[ノーラの口にした決心という言葉>>34、それは今の自分に欠けているもの。
わかっていても──未だ、迷いは大きかった]
それはわかる、けれど。
……護る、っていうのは、時に特別な意味も持つ。
気軽には、言えないんだよ、俺の場合。
[>>45 澄まし顔で言われたなら、少しだけ真面目に返して。
迷うような間を置いて返された言葉に、僅かに眉を寄せる]
……そう、ならん事を。
祈っとく。
[そこは誰にも確約はできないから、それだけ言って]
……生憎と、そういう宛ては今の所、ないな。
もしこれからできたら、その時は相談させてもらうわ。
[悪戯な笑みに返すのは、冗談めかした口調。
それから、少しだけ真面目な面持ちに戻って]
……ま、なんだ。
あんまり、抱え込みすぎるなよ?
気を鎮めるまじないなら幾つか知ってるし、きついようなら、相談乗るから。
[口調は軽いまま、それだけを告げる。
何事か内に秘めているように見える様子は気がかりだが、不用意に促す事は避けるべき、と思っていたから]
[その後は、早々に部屋に引っ込む気にもなれず。
食堂でぼんやりとしながら、時を過ごしていたのだが]
……あ……それなら、俺も……。
[ヨハナの様子を見に行く、というノーラの言葉>>58に腰を浮かせるものの、やんやりと断られて結局腰を下ろした。
様子は気にはなるが、かける言葉が見つからない、というのも事実。
それに、大勢で行けばまた気を使わせるかもしれない、と。
そんな風に考えて]
……それじゃ、お任せします。
[そう、言うに止めてノーラを見送り。
お茶のお代わりをもらうと、ぼんやりとその水色を見詰めて──]
……え。
[やがて、もたらされた報せ>>61に、惚けた声を上げて瞬く]
自殺…………って。
[最初に浮かんだのは、何故、という言葉。
けれど、それを音に変える事はできなかった。
恐らく、それは誰にも答えられないから]
…………。
[ぐ、と、組紐飾りの玉を握り締めて、漣立つ心中を押さえ、それから]
…………部屋、戻る。
[誰にともなくそう告げて、部屋へと戻った]
─ 前日/宿屋・自室 ─
……なんで、だよ。
[一人になると、口をつくのは押さえていた言葉]
失ったから? 奪われたから?
それが、苦しかった?
[止め処なく、零れ落ちるのは荒れた感情の一端]
……その結果に自死を選ぶほどに、辛いもの?
[母が亡くなり、父も病を患って命を落として。
その時は、確かに言いようもなく苦しかった、けれど]
……わかんねぇ……よ。
[呟きながら、視線を向けるのは、荷物の袋。
扉に鍵がかかっているのを確かめると、それを開け、中から黒の布包みを取り出す]
……わかんねぇ、けど。
[しゅるり、と解いた包みの中から出てくるのは、黒の鞘に納まった剣と、横笛。
どちらも、この地方では見られぬ装飾の成されたもの]
……こんな形で、死が重ねられるなら。
例え、一つしか選べぬものだとしても。
使わない、選択肢は……なし、だよな。
[小さく呟いて、黒の鞘を撫でる]
……問題は、どこに向けるか、だけど。
は……それこそ、『想い人』でもいれば、迷わずに済んだんだろうけどな……。
[先のカルメンとのやり取りを思い出して小さく呟く。
とはいえ、細工一途に打ち込んできた青年にとっては、知り人は等しく尊いもので。
そこから、己が魂をかけて喪失を忌避する一人を選ぶには、要素は足りぬまま。
曖昧な力は、在るべき形を取ることはなかった。**]
細工師 ライヒアルトが「時間を進める」を選択しました。
[自宅に戻ってから間もなく、外が騒がしくなる。
彷彿するは朝の騒ぎ。
また何かあったのではと胸騒ぎがして様子を見に外へ。
行き交う自衛団員の一人を呼び止めれば
ヨハナの事が伝えられて、暫し声を失う]
そんな……
[宿に向かう道中でのヨハナの姿が浮かび
女は何か堪えるように柳眉寄せ目を伏せた。
案じていたライヒアルトやウェンデルの姿が過ぎり]
……あのとき、様子を
[見に行っていれば、とそんな事を考えるが
既に時遅く、過ぎ去った時間は戻せない]
[ふるり、首を振るい女は自宅に戻る。
手早く必要な荷物を纏めて鞄に詰め込んだ。
アーベルから預かった宿の部屋の鍵を握り締め
エーリッヒから貰ったキャンディをポケットに入れる。
急ぎ足でゆく先は
少し前に出たばかりの宿。
其処ではノーラがヨハナの事を伝えている所だった]
― 翌朝/宿の一室 ―
[宿の部屋で女は荷物を解く。
スケッチブックを捲り新しいページを開いた。
一度目を閉じると瞼の裏に浮かぶのは近しい隻眼の男。
ゆる、と目を開きペンをとるとその輪郭を描きかけて]
――…、
[ダメ、というかのように横に振られる首。
浮かんだ其れを打ち消してもう一枚捲る。
暫し考えて、フードを目深に被った旅人の
幼さを感じさせる金糸の女性の姿を描き出す。
澱みない白の中に佇む姿は写し鏡のようにも見える。
変わりなく描かれた姿を暫く見詰めてから
女は何処か物憂げに目を伏せた。
ゲルダの悲鳴を聞くのは、その少し後のこと**]
─ 昨日/宿屋 ─
[周囲を観察するように見回していると、カルメン>>50と目が合った。
首を傾げられたので笑みを向けておいたが、何か声をかけたりはしない。
ただ、カルメンも何か様子がおかしいように見えて、後で声をかけようかと考えた。
尤も、その日は色々とすれ違ってしまい、声を掛けられず終いとなってしまったのだが]
[ノーラがヨハナのことを伝えに来た>>61のは日暮れ近くだったか。
その話を聞いて隻暗緑を円くする]
ヨハナさん……どうして……。
[こんなことになるならあの時点で探しに行くべきだったと、酷く後悔の念を抱いた。
けれどそれがヨハナの望みでもあったなら、引きとめても無駄だったかもしれないと、そんな風にも思う。
結局は悼むことしか出来ず、様々な想いを飲み込むように紅茶を飲み下していた]
― 夜半 ―
[小さな口をこじ開けた狼の手には、
抵抗の歯形が、薄く血を流して残る。
拳に感じる息は乱れ、首のあたりで鈍く折れる音がした。
上に乗ったシンが、心の臓を取り出すのに、
甘い香りが広がった]
ン
[赤く脈打つ血塗れた贓物を
狼は人の手で受け取った。
弱く震え、血を流すのに、
口を大きく開けてかじり付く]
― 夜半 ―
――…ハ、
うま、いなぁ
[酩酊したような声。
一口かじり付いた場所から更に血が溢れ
それを舐めとる。
他の臓器を喰らうシンへと、そのまま差し出した]
旨い。
若いから、なのかねぇ
―前日/宿屋食堂―
……。え?
[紅茶を飲んで、落ち着いて、うとうとと眠りに落ちかけていた頃の事でした。
美術商のお姉さん>>61が、団長さんの奥さんがもう戻って来ない事を伝えました。
見に行かなかった事を後悔する声、嘆く声、色んな声が上がる中、僕はただただ呆然としていました]
……ほんと、に?
[疑っていたわけではありません。でも信じられなかったのです。
さっきまで確かに生きてここに居た人が、もう居ないだなんてことが。
その後のことはよく覚えていません。
多分促されるようにして>>74部屋に戻ったのだと思います]
―翌朝/宿屋個室前廊下―
[目覚めは、昨日と似たようなものでした。
違ったのは、上がった声>>53が昨日よりも近いところで聞こえたことです。
僕は支度もろくにせずに部屋を飛び出して]
……。
[並ぶ個室の扉が一つだけ、開け放たれているのを見ました。
僕はその部屋を借りた人を知っています。一昨日、僕は彼女がそこに入って行くのを見届けてから、自分の部屋に入りました]
……。嘘、うそだよ、そんな。
[何が覚悟できたというのでしょう。
僕はまだ、少しも覚悟なんかできていなかったのです。
少なくとも、“その“覚悟は]
[覗きこんだ部屋の中には、昨日の朝見たのと同じ光景がありました。
いいえ、完全に同じではありません。役者が違っていました。
動かない身体を抱きしめるのは、団長さんの奥さんではなく、刺繍師のお姉さんでした。
そして、団長さんの代わりに]
……、ロミ……
[僕の友達が、そこにいました]
― 朝 ―
[そして狼は、獣のような悲鳴に目を覚ます。
歯がつけた傷は舐め、
いつの間にか治っていたけれど、
それが僅か、遅かったのは
知覚できなかった**]
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