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─ 自宅 ─
[二人の事はユーリに任せて、壁を伝って家へ戻る。
竈の赤さに、数度目をしばたいた]
……まだ、だめよ。
[小さい手を握って]
せっかく選ばれたのに。
せっかく降りて来て下さったのに。
[天井を、いや、その向こうの遠いどこかを仰いで]
……どうか、
間に合って。
当代は、俺。
俺以外には、できない、こと。
[僅かに目を伏せ、言われた言葉>>+31を繰り返す]
……そりゃ、仕事は、仕事だし。
務めとしても、大事だし。
そも、本扱うのは好きだから、いい加減になんてできなかったし。
[だからこそ、『筆記者』よりも『本屋』と呼ばれる事が多くなるに至ったのは、周知の事]
ん……そう、だよ、な。
俺たちが、とーさんたちから、受け継いだもの。
とーさんたちが、その前の代から受け継いだもの。
ずっと続いてたみたいに、俺の想いも、繋がってく……んだ。
[右の手で、自分の胸元に軽く触れて。
それから、その手を額に当てて前髪をぐしゃ、とかき上げた]
……あー、もう。
やっぱ、なんか、悔しい。
今んなって答え、見えるとか。
もう、話せねぇ、のに。
[意識に言葉浮かべても、鈍い紅に褪せた待宵草はそれを届けてはくれぬ。
話せるようにならない、とは言い切れないけれど。
けれど、そうなって欲しくないのは、偽らざる心情で。
複雑な思いを込めた嘆息が、ひとつ、零れた]
サリィさんの……。
そうですね。
[いずれ、彼女の家族にも知らせなければならないのだろう。
メリルと話した時の事を思うと胸が痛む。
しかし、今は自分の仕事をしなくてはと、暗い表情を無理にでも消して]
では、行って来ますね。
[片手を挙げ、その場を去った]
人生は……
何かをするには短すぎて、
何もしないには長すぎる。
[誰の言葉だっただろうか]
わたくしは長く、長く待ったわ……。
この時を、どんなにか。
暇を潰して、潰し続けて、
ずっと、
ずっと、
[顔を覆い]
これだけ待ったんだもの。
お願い、あと少し、
この時が終わるまで、持ちこたえて、
わたくしの体……。
ん。おつかい終わったら行こうかね。
…居れば、いいけど。
[何処までが『刻』に『刈られる』かが見えぬ現状。
彼女の家族も、其れ以外も、誰がどうなるか自身に判りはしない]
[重い表情を浮かべるユーリに、
けれども何か思うところがあるのだろうと思うだけで追及はせず]
おう、よろしく頼むな。
[台車から離した右手をひらと振って、見送る]
………………。
だからさ、姉。
撫でられて、喜ぶ時期はもう過ぎてんだってば。
[沈黙を挟んで向けたのは、どこか拗ねたような響きの抗議、ひとつ]
[怯える自分を慰めてくれた娘が消え、それが自分が憑かれた所以だと悟り。
年若い雪花は恐れた。
ぎこちなくも笑いかけてくれる少年や、頭を撫でてくれた青年が、同じようになってしまうことを恐れた。
だからすぐにそこから離れようと思った。
死神の力がそんな単純なものではないと、知識では理解していたが、それでも少しでも、何か変わるのではないかと期待して]
[そんな思いを、青を望む『死神』が疎ましく思った所為か。
単に儚き身体が耐えきれなかっただけか。
散った雪花は、ついぞ知ることは無かった]
よかった。
[誰にも見えなくなった残滓はぽつりと呟く]
『死神憑き』が消えれば、だれも消えなくて済む。
……だから、よかった。
[まるで、自分に言い聞かせるようでもあった]
さぁて、かーいいくーちゃん堪能したことだし、テレーズ探しにいこっか?
[話題を変えるように言葉を紡ぎ、右手の人差し指で道の先を指す]
― 自宅 ―
[自宅に戻り、保存庫の中へと入っていく]
甘草に、木の実……と。
[幸い、どちらもそう切らす事のない食材だったから、難なく見付かった]
……ふう。
[大きな袋を引っ張り出した所で、座り込んで一息つく。
後何度この場所に戻って来られるか。
やるべきことを見失った訳ではないが、周囲はそれ以上に目まぐるしい]
お茶を飲む時間なんて、ないくらい……か。
[呟きはしたけれど、やがて感傷に浸っている間も惜しいと思い直し立ち上がる。
ただ、ミケルに渡す荷物の他に、もう一つ紙箱を取り出し香草を詰め込んだ]
あ、でも。
ユーリのお仕事、出来なかった。
[一つ、思い出して]
ノクロに、糸染めてもらって。
エトのところで、鋏買おうと思ってたのに。
[二つ、三つ、零れて]
買い物、ミケルに押し付けてきちゃった。
コレット婆のクッキー、食べてみたかった……
[未練の言葉が溢れ始めたところで。
ふと気配を感じて、顔を向けて]
― テレーズ宅前 ―
[こう、している間にも。
誰かが『糧』と成って逝っているのだろうか]
[伝え聞く限りの伝承しか知らぬ男は、
台車に半ば凭れ掛かる態でぼんやりと洞窟の天井を仰いでいた。
ミケルから声を掛けられる事があれば、
何でもないような様相で、ん?と首を傾げて笑んだろうが]
……いつになったら、『咲く』んだろうなあ。
[『天上青』を咲かせる為なら、咲けば『刻』は終わるのだろう。
その色に興味はあったけれど、それよりも]
[早く、終わって欲しいと]
[抵抗されればすぐに振り解ける位の抱擁は、ミレイユには受け入れてもらえたか。
どちらであっても、ミレイユの髪を撫でる手は止めず]
ごめんなさいね、ミーちゃん。
…怖かったでしょう?
[何が、とは言わず。
ただ彼女へ案じた気持ちだけを言葉に込めて]
― テレーズ宅前 ―
[荷物を抱え戻ってくるのは、それからしばらくしてからのこと]
量はこのくらいで大丈夫ですか?
[とミケルに確認を取る。
問題なければコレットの家までは運んでいくつもりだった]
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よし、ミーちゃんの反応待ちの間にログ読んでこよう!
コア時間的に考えて墓ログはメーちゃんとクレくんの仲良し姉弟っぷりが大半だと思うからニヨニヨするんだ。(
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