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[――ユメを見た。昔のユメを、朧に。
額が暖かかった。ああこれは姉だと思った。
指先に触れる小さな手があった。ああこれは弟だと思った。
昔の記憶は曖昧で。
暗くどろどろした深淵が、貪るようにまとわりついている。泣くまいと堪える姉の顔と、無邪気にわらう弟の声が、ぽつりと燭のように残っていた。
二人とも、もうおそらく生きてはいないだろう。]
[記憶に景色がつくのは10の時。何かから逃げ、雪降り積もった森の中をさ迷っていたのが始まり。
恐怖に突き動かされ、黒から逃げ出し、白い世界を闇雲に逃げ回っていた。
―――気づいたら、自分を追いかけていた何かは、美しい銀色の何かに喰われていた。
初め、それが何なのか分からなかったのは、それが獣でも人でもない、化け物だったからだ。
だのにそれを前に、動く事ができなかった。
満月の月明かりに、銀が煌めき、赤が唯一鮮やかに周辺に花咲くように散る。銀色した化け物は、無慈悲に無遠慮に、自分にとって恐怖の一欠片だった何かをほふってゆく。
目を、心を、魂まで奪われて、幻かとも思った。
彼らが立ち去った後、開いた赤いそれに近づくと、銀色の毛が数本、雪に紛れるように落ちていた。
それを握り締め、夢で無いと知りうると―――。
自分も、銀色が食べていた何かを食べていた。
少しも美味いと思えなかった。
人を喰らう己が様を、ワラいながら見ていたのは黒衣の男だった。]
―自宅→林―
[エーファであり、フォルカーになった次の日。
自分は青とピンクのリボンを左右につけていた。
両親は、その青のリボンを見て、驚いた様子を見せる。
いつものような言葉を受け、はっきりとその姿に、告げた]
死んだのは、エーファの方だよ。
でも、エーファは俺の中にいまでもある。それを感じる。
だから俺は、エーファと一緒に生きていく。
あんたらの力は、もういらないっ!
[はっきりと告げた後、荷物をまとめる。
着替えと、いくらかのお金、子供のもつものはたいした額ではない。
家を出て、足が向かったのは事件前以来から、久しぶりに足を向ける林に]
[それから6年、あらゆる土地をその手に引かれ彷徨った。
時には黄玉を売りさばく商人として。
時には虹色の石の取れる山で鉱夫として。
時には真珠の取れる島で漁師として。
時には青い石の取れる土地で細工師として。
男の語りを耳に学びながら、男が選んだ土地で暮らし、狼が現れるのを待った。
だが6年のうち一度でも、自分が人狼を再会する事はなかった。
そして、男は自分諦めた。
そして男に見捨てられた。]
― 9年前 ―
[髭の立派な男と、自分の手を引いていた男が何やら話しこんでいた。
時折髭の男の視線を感じる。値踏み―後で聞けば、仕事が出来るかしっかり観察していたとの弁―するよな視線を見れば、愛想良くにこりと笑ってみせた。笑むことで人の壁を少し崩せる事は、旅の最中で学んでいた。
ふむ、とひとつ、髭が頷く。
髭が黒衣の男に何事か返した後、男は一瞥もせずにそこから離れていく。
呆気ないそれが別れだった。
そして自分はその大きな家の、下働きとして暮らすことになる。
仕事を始める前に、この館の主と引き会わされた。
どんな主人かと思っていたら、思った以上に幼い子供で驚いたのが強い思い出。]
こんにちは、お嬢様。
[最初に会った時は、そんな丁寧な口を聞いていた。
笑みは作り物だったから少し硬かったかもしれないが、お嬢様は構わずよく呼びつけた。
幼さが弟に似ていて。暖かさが姉に似ていて。
初めて、あの銀の狼以外に、大切だと思えるものが出来た。
そうして鶏が卵を作るように、こころはゆっくりと膜に覆われ殻を作り、内なる狂気を包み込んで*今に至る*]
[いらないものだと思ったのだ。
薬師としても、私情に傾倒するわけにはいかない。
死者だとしてもそれこそ未練が残るようなこともしたくない。
痛みを伴う黒い泥は様々な自己嫌悪などがあったけれど、それで覆い隠すような壁として機能していたけれど、その泥が徐々に剥がれていき、ブリジットへ焼付くような痛みは消えていくだろう]
ぁあ…困る…っての
[抱きしめたままブリジット>>1627に呟く。
だって、このまま連れて行きたくなったらどうするのだ。
やっと日の下を歩けるかもしれない…そんなところまで来ているのに]
ずっと…耐えてたんだから、最後まで意地を晴らせてくれよな…
― 一年ほど後 ―
[季節は春の頃。一台の荷馬車が、村へとやってきた。
それに乗るのは中年の男性で、商人をやっているのだと言った]
「なに、村に来たのはちょいと知人からの頼まれものでもあったんでね。
ブリジット=ドルージュさんの自宅にいったりするひとはいないかい」
[ベンジャミンと名乗った男はそう尋ねて、缶をひとつ取り出した。
興味を持つ周りには、ただの茶葉だよなんて答えて]
「まぁ酷いもんだよなぁ。これを渡せと言うのは同業なんだが、こっちにゃ何の取り分もない。
奴の元相棒のお願いっていうもんだからなぁ。そうそう、ここに来るなって言われてるらしいから、アルはここには来れないな。
で、だ。これをもっていってくれるのは居るかい。それじゃあこうだ。もっていってくれたら、さて今から店開きだし、小瓶の蜂蜜でも駄賃にやろうじゃあないか――」
[やがてブリジットの家に届けられるだろう缶には、ゲルダが最初に出したあのハーブティーが入っている。貼られた紙には、大きく「一度目はお代は結構です」と書かれている。その他には、アルビンという名前と、連絡の取れるだろう村と宿の名前。それからただ一言、ありがとうの*文字*]
全てが乗り越えられるまで。
ナータの苦しみが消えるまで……
[腕の中に抱きしめたひと。
自らの抱く想いがどういうものなのか。やっと分かった。
何があろうとも。離れることなんかできるはずが、なかった]
全てが消えるまで。一緒に。
大好きだよ、ナータ。
[消え入りそうな声に囁き返して。
あいしてる。そう唇を動かして。
頬へと伝ってきた桜色に、そうっと重ね合わせ]
[触れ合った部分はすぐに離してしまったけれど。
確かな温もりをそこに感じた気がした]
……ん。
[腕が緩んだのに気がつき、菫色が背後を見ているのを知って。
ゆっくりと振り返れば、そこにはまた別の、大切な人の姿。
穏やかな色に落ち着いた深緑で、近づいてくる兄を見つめて。
静かに微笑み手を*あげた*]
/*
よ、し。やっぱりヘタレ度残ったけど。
やった、よ!(ぱたり)
で。ちらと見えたあべぽんwwwwww
ちょっとどんな滞在村履歴!wwwwwwwwww
― 林 ―
[夢を叶えたあの日。あの場から持ち出したのは、自分の荷物とヴィリーの荷物の一部。
遠慮なく物色して、使えそうなものは丸薬以外も拝借した。
元々ヴィリーの持ち物なんざ把握している者も少なかっただろうから、簡単に手に入れる事が出来ていた。
そして今、それらの荷物を殆ど持って、林に居た。]
よ。
[現れた弟子に、いつもの調子で軽く笑みを向ける。
これから村を出ていく、という深刻な様子は欠片もなかった。]
/*
>>1644
わわわ、お返しありがとう、ラーイ。
へたれじゃないよ><
ほっぺが限界だったのに、さらに上をいかれてしまった(ノノ)
ナターリエはしばらく挙動不審かもしれませn
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