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―大通り―
[翌朝。
朝の祈りや朝食を終え、彼は教会を後にする。
少女の自宅へと向かう細い路地の手前で一度立ち止まり、少し悩んでから、そちらには曲がらずに自衛団詰め所のほうへと足を向けた。
街のあちらこちらで囁かれるようになった噂話を、彼は未だ耳にしていない]
あら、カヤちゃん。
[欠伸を抑えるために持ち上げかけた手が止まる。
覇気の欠ける少女に緩やかに首を傾げた]
……何かあった?
[零れる疑問は、自衛団長の失踪を知らぬことを示す]
/*
アーベル帰っていたら聞いていそうなものだけど、
知っていたらカヤのところに行っていそうだったので、
知らないことにしてしまいました。
爺っちゃんが、いないんだ。
[エルザに、縋るように手を伸ばす。
ふるふると頭を振る顔は必死に見えるだろうか?]
昨日、帰って来なくて。
詰め所で聞いたら、昨日パトロールから戻ってねぇって。
(場所について情報よく見たらあったー!!
どっかで読んだのにどこだっけどこだっけと
思った気がしたけど、情報で読んでたのか…。
凄く見当違いな所さがしてた…。)
─自衛団詰め所/前日─
[宣言に、返された言葉は如何様か。
何れにせよ、蒼に宿るは揺らがぬ決意。
若さ故の先走りも感じさせるそれは、見る者に何事か思わせるやも知れぬけれど]
……とりあえず、俺、一度戻るよ。
何かあったら、風に乗せて『呼んで』。
なるべく聞き取れるように、今の内はおっさんに波長合わせとく。
[軽い口調で告げた言葉は、当人以外には今ひとつ不可解なもの。
理由を問われたなら、後で教える、と受け流して練習所へ]
[練習所に戻るなり、向けられたのは先の事への謝罪。
一瞬、きょとりとするものの]
……ああ。
俺も、悪かった。
[こちらも短い謝罪を返して。
その後は特に騒ぎもなく、練習を終え。
宿に情報集めに行きたくもあったが、あちこちから色々といわれているためか、その日は大人しく帰途についた。
それでも、やはりと言うか。
詰め所で聞いた事、知った事を周囲に話すのは躊躇われ。
食事が済むと、早々と自室に引っ込んでしまったのだけれど]
楽師見習い アーベルは、ジャーナリスト ヴィリー を能力(守る)の対象に選びました。
[部屋に引っ込んだ後、色々と考えすぎていたせいか中々寝付かれず。
朝、目覚めた時には、家に人の気配はなかった]
あー……もう、出たのか、な?
俺も、行かないと……。
[行く先は、練習所……とは、言い切れないのだが。
ともあれ、食事を済ませると、いつものよに飛来した隼とともに、大通りへ]
─ →大通り─
[翠眼が、ゆっくりと見開かれる]
――自衛団長さんが?
[伸ばされた手をしっかと取る。
眉間に皺を刻み、優しく引き寄せた]
昨日から、……そうなの。
お仕事で忙しい、というわけじゃないのね?
[柔らかな声音。
空いた片手が少女の背に回る]
[話し声を耳にし、顔を上げた。
そこに蒼い髪の楽師と、探していた少女の姿を見留める]
ああ、丁度よかっ…
[楽師のほうにも人形師とのことを伝えておくべきだろう。
それぞれに用件のある2人に対して上げかけた声は、だが耳に届いた必死な声に止まった]
…団長?
/*
えーと。
守護先示唆……に、なってる……か、な? かな?(汗
まあ、初回からそこをぶん抜きにゃーこないだろうけど!
むしろ、こないだろうからセットするんだけど!
……まあ、うん。
以降は流れだ、流れ。
[楽師の視線がこちらを見たのを彼も見て、頭を下げた。
足を進め、2人との距離を縮める]
何かあったのですか。
[いつになく険しい顔をして、彼は問う]
うん、だって忙しい時は忙しいって、黒板に書いてくれるから。
詰め所も、誘拐だとか、騒いでて、だからオレ、目撃者捜そうと思って、
[背に回された片手が、やけに暖かく感じて、
少女はう、と喉を詰まらせた。
柔らかな声音が優しくて、肩を少し震わせた。]
…何か、知らない?
[エルザの腕を掴んだ侭、顔を上げた。]
─翌日・自室─
[昨日は部屋に戻った後、人形と素材の在庫を確認しているうちに朝になってしまっていた
ベッドの上は、彼女の代わりに少し大きめのキャリーケースが占拠している]
…………あふぅ、眠い
あーでも、交渉も進めないと
…………………よし、行く
[そう言うと、眠そうな目をしつつ部屋をあとにした]
─大通り─
……それにしても。
[人気のそう多くない通りを歩きつつ、小さく呟く]
誰も見てない、っていうのが、やっぱり気にかかるんだよなぁ……。
確かに、裏通りの奥って、かーなり入り組んでるけど。
[さすがに最深部までは行った事はないが。
それなりに奥までは、入り込んだ事もあるので、ぽつり、とこんな呟きを漏らしつつ]
はぁ……考えると、余計にわかんねー。
[ため息の後、がじ、と蒼の髪を掻いた]
[こちらに来る修道士に一度は顔を向けたもののは、眉根を寄せたまま頭を傾けた。視線はカヤを示す]
うん、……そう。
[けれど彼女の声を聞く頃には暗い表情を消し、旋律を紡ぐにも似た穏やかさで相槌を打つ]
ごめんなさい、私は何も、知らないの。
でも、
[だいじょうぶ。その単語は出てこなかった。
背に回した手を上下させ、ゆっくりと撫でる。
カヤの目に映る表情はやわらかい]
一緒に聞いて回ることなら、出来るわ?
[楽団の事を思えばそんな余裕はないのに、そう口にしていた]
誘拐?
…まさか。
[聞こえた言葉に眉を寄せて、そう呟く。
けれど時期が時期だけに、否定しきることはできなかった]
昨日は一度も見なかったよ、団長は。
…すまないね。
[少女に視線を向けられて、彼は眉を下げて首を左右に振った]
[彼は嘘は吐いていない。
団長を呼び出し眠らせたのは目の前の少女で、収容所まで運んだのは人形師と彼女の操る人形。
故に彼は昨日、団長の姿を『見ていない』]
─大通り─
[大通りを進んでいくと、目に入るのは見知った者たちの姿]
……あれ。
何してんだ、あんなとこに集まって。
[訝るように呟きながらも、自然、歩みはそちらへと向いた]
1人で探す気かい?
それこそ危険じゃないか。
[楽師と少女が話すのを眉を寄せながら聞き、横から口を挟む。
途中近付いて来る青年に気付いて、険しい表情のまま頭を下げた]
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