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― 前日/自宅 ―
[閉ざした扉を背に、一人深く息を吐き出した。
黒珊瑚亭から此処に至る迄の視線は遠く、痛く。
既に話が伝わっている故に理解できない事では無かったが、
其れでも歳を感じつつある肩には酷く重かった]
[籠は机に置き、家の更に奥に進む。
広くは無い居住スペースの片隅にある寝台へ身を投げ出した。
昨夜休めなかった身体は疲れを訴えて居たが、
自衛団長の話に冴えた意識は眠りを拒む]
……無理か。
[眠るのは諦めて瞼を下ろす。
眠れなくても、唯、休息が欲しかった]
[瞼の裏にひらり舞うのは島に来てからの日々。
様々な景色の中に、今日集められた彼らが映り込む]
[考えたくは無かった。彼らの誰かが、など]
[何時から、など]
[人狼][遠くの村で][沢山の犠牲が][結社の]
[嗚呼]
……思い、出せない
[混乱する。混濁する。
他の力とは、何だっただろうか]
― 前日/自宅 ―
[目を閉ざし、けれど思考は揺蕩う合間。
時折戸を叩く音に瞼を押し上げる]
……如何した?
[荒れた翌日は怪我人が多い。
自宅に戻ったのは、其れ故に訪う人も多かろうと思ったのだが。
……常の嵐の後より、薬の減りが遅い]
[予想は出来て居た。
お伽噺では無かった現実の恐怖に近付きたくは無いだろう。
其れが例え、疑惑の中の一人と云うだけであっても]
……水は、急がなくても良さそうだ。
[浜に出た一時で水は目減りして居たが、
帰宅した後の訪問の回数からそう判断する。
嵐の後の森は常よりも危険が伴う。行かぬなら其れが良い]
― 前日/自宅 ―
[其れが良い、けれど]
……
[吐き出す呼気は何度目か。
彷徨った紅玉は、瓶の下の紙に留まって]
……書き直すか。
[乱雑な走り書きに眉根を寄せた後に、
新たな紙とインクを引き出した**]
─ 未明 ─
……はい、行ってらっしゃいませ。
[聖堂の中、聞こえた仲間の聲>>*12に静かに返す。
仕損じることはないだろうという信頼から外に出ることは無かった。
ただ静かに、祈りを捧げながら彼の齎す結果を待つ]
[生を望むは皆同じ。
どうして人狼ばかりが虐げられねばならぬのか。
人とて、生き物を殺し、食していると言うのに。
人狼は、その対象がただ、人だっただけのこと]
ご苦労様です。
お気をつけてお戻りくださいましね。
[事の終わり>>*18を伝えられたなら、いつもの声色でそう返して。
ロミが同伴を求めるのであれば外にも出るが、そうでないならば聖堂に籠もったまま。
ナターリエは祈りを捧げ夜を過ごす]
─ 翌朝/教会・聖堂 ─
[祈りは祭壇の前で一晩中捧げられ、天井近くにはめられたステンドグラスから光が差し込み始める]
──── あぁ、主よ。
[紡がれる声はやや疲れを含んでいたが、どこか晴れ晴れとしたような色も乗り。
ナターリエは伏していた顔をようやく上げた]
─ 翌朝/→自衛団詰所傍 ─
[折っていた膝を伸ばし、服を軽く払って。
新鮮な空気を吸うために教会の外へと向かう。
空は光を降り注ぎながらも、時折雲が流れ光を遮り。
遠くには暗雲が流れ行くのも見えた。
天候は、しばらく安定しないのかもしれない]
……?
[外に出ると広場の方が騒がしい。
気になり恐る恐る広場へと近付いて行くと、集まって居た人達から警戒するような視線を向けられた。
その視線に気付いたが、騒ぎの方が気になり声をかける]
あの。
一体、何が…?
[声をかけた数名は関わりたくないと言うように逃げて行き、結局、答えてくれたのは自衛団員の1人だった。
ようやく得られた問いの答えに小さく息を飲む]
じん、ろう…。
団長さんが、です、 か。
[紡ぐ声が震えた。
それと同時、団長に対して「人狼に食われてしまえば良い」と言ったカヤのことを思い出す]
……違う…あの子では……。
…いえ、なんでも、ありません。
……黒珊瑚亭で待機、ですね。
分かり、ました。
[震えるために紡がれる声は小さく。
邪魔だと言わんばかりに黒珊瑚亭での待機を命じられた。
それには逆らわず、承諾してその場を離れる]
─ 前日/黒珊瑚亭・二階 ─
ま、それしかねーか。
[がんばれというユーディ>>62に、こちらが返すのは先よりも少し力の戻った笑み。
カヤだけでなく、心配させてしまっただろうユリアン、居合わせて気まずかっただろうエーリやゲルダ達にも謝るべきだな、とは内心で独りごち。
立ち上がるのに借りた手は離すべきかとも思ったけれど、伝わる温もりが今の自分には有り難くて。
ユーディからも離されることが無かったことに甘えて、部屋に着くまではそのままにさせてもらった]
…強いのは分かってんだよ。
[呟きに返された言葉に、苦笑で答える。
体も心も、責任感も。自衛団長が強いことは解っているからこそ、案じるのだとは口には出せず。
部屋の前に着き、かけられた声に手を解ったと頷き手を離そうとして、少し止まり]
えーと、その、何だ。
…ありがとな、ユー坊。
[空いていた手で彼女の頭を数度撫でてから手を離し。
階下に向かう彼女に手を振って見送ると、昨夜から借りている部屋へと入った]
カルメン……?
[カルメンが口にした言葉に首をかしげ。
泣きそうな様子にあわてて近寄った]
ちょ、大丈夫?
団長……ほんとに?
[座り込んだカルメンを支えようと手をのばしながら、自衛団員が説明してくれる言葉を聞く。
カルメンを支えて立ち上がらせて]
とりあえず、うちに、いこ?
[ほら、と歩き出した]
─ 前日/黒珊瑚亭・二階個室 ─
[部屋に入り、家から持ち出してきていた皮袋に手を伸ばす。
中から取り出したのは、鞘に収められた短剣と、掌よりも小さな羅針盤。
二つとも、祖父が自分にと遺していったもの]
爺様んとこ、いかねぇとなんだけど、な。
[個別に話したい事があれば詰所に>>1:164と言っていたのを思い返し、呟く。
本当に人狼がいるのなら、今すぐ自衛団長の元に話に行かなければと思うのだけれど、今行けばさっきカヤに向けたような態度しか取れそうになくて。
少し休んでからにしようと、寝台に上がりかけて]
…一応、持っとくか。
[袋から取り出した短剣を腰に、羅針盤を手に握ってから改めて寝台に上がる。
「もしもその時が来たら、絶対に手放すな」とは、いまわの際に祖父が言ったこと。
今がその時だとは、信じたくはない、けれど]
─ 前日/黒珊瑚亭・二階個室 ─
………本当に、人狼が、いるのなら…
[今から見るのは、夢ではないと。
祖父から聞かされた話に、さっき別れた少女を重ねながら意識は落ちて。
深い眠りの中で見えたものは、夢ではなかった。]
─ 黒珊瑚亭・個室 ─
………ん、だよ…これ、…
[目覚めは重く、気怠く。
外から差し込む光に、少しどころではなく休んでしまったことに気づくも、即座に起き上がれぬ程疲れていた。
それは祖父からの話で聞いていたことではあった、けれど]
…ここまでとか、聞いて、ねーぞ…
[祖父から受けた注意を身をもって知るもこれ程の疲労感があるなんて思ってもいなくて、つい悪態をついたのだが]
…っ、そうだ、爺様…!
[自分の力が動いたということは、自衛団長の身の危険が懸念ではなくなったということ。
どうか無事であってくれ、と重い身体を起こして部屋を出て]
悪ぃ、ちょっと爺様のとこいってくる!
[すれ違った相手に声はかけるも、返事は聞く事無く外に飛び出した]
― 二日目/黒珊瑚亭 ―
[鳥の囀りに起こされたのはまだ早朝と言える時間。
共寝するもののない日にシャツが肌蹴るような事はない。
けだるげに息を吐き出し寝心地の良い寝台で上体を起こした]
…………はぁ。
[今度は溜息に似た音色になった]
なんでこのタイミングで見るかな。
[ぼやくように独り言ちて天井を睨む。
夢に出てきたのは父親だった。
というより、過去の一場面が蘇った形の夢――]
[三年前に亡くなった父。
原因は病だった。
それが分かった時にはもう手の施しようがなかったらしい。
痛み止めを薬師に処方してもらい、命を繋ぐ日々が暫く続いた。
亡くなる数日前、病床で父は言う。
特別なまじないを教えてやろう、と。
大事な人を守るためのまじないだ、と。
特別大事な人がお前に出来るまでは
そのまじないで母さんを守ってくれと言い残した。
それが父の最期の頼み事。
律儀にもそのまじないは毎日欠かさず続けられていた]
暫くみなかったのに。
[忘れたことはないが夢にみる事は少なくなっていた。
三年前にも此処に泊まって考え事をしていたから
その時の記憶と重なったのかもしれないと結論づける。
軽く寝癖を整え、身支度し終えたはずの細工師の頭にバンダナはない。
朝食の時間になれば、おはようの声とともに食堂に現れた。
黒珊瑚亭の主人とユーディットが用意した食事は
とても美味しく感じられおかわりまでしてしまったのだが
丁度食べ終えた頃合いに、自衛団員が訪れて団長の訃報を告げる]
――…え。
[驚いたように漏れる声]
団長って、ギュンターの爺さんが……?
[確かめるような尋ねを向ければそうだと短く返る声があった]
─ 翌朝/→教会 ─
[黒珊瑚亭で待機と言われたが、広場を離れた後にナターリエが向かったのは教会。
神父を訪ね、孤児達の食事他についての一切から離れることを告げる。
疑われている以上そうした方が良いと判断してのことだと伝えると、神父は嘆息を零しながら承諾してくれた]
あの……神父、様。
聖堂で祈ることを、お許し頂けますか?
この騒ぎが、一刻も早く収まるよう、祈りを捧げたいのです。
[昨夜は許可も得ず聖堂に籠もってしまったが、許可は得ておくべきだと考え、神父にそう願う。
それに対しては快く是の答えが返って来た]
ありがとうございます、神父様。
[安堵の笑みを浮かべ神父に感謝し。
深く一礼した後に神父の傍を辞す]
ロミちゃんとカヤ君は…。
[そう言えば昨日はあのまま聖堂に籠もってしまったため、宿舎に戻って来たかも確認していない。
余裕が全くなくなっていたと、改めて自覚した。
宿舎の中を探して2人が居るようなら、酷かと思いながらも自衛団長のことを伝えるつもりで。
最終的にはその身一つで黒珊瑚亭へと向かうことになる。
一睡もせず、食も得ず、それでも尚しっかりとした足取りだった]
シスター ナターリエが「時間を進める」を選択しました。
/*
あらま。
占・守、そこ?
……そうだとしたら配置にちょっと笑っていいかしらぁwwww
そして今回、対抗戦はあるのかしら。
囁きさん次第だとは思うけど。
― 広場 ―
[立ち上がったカルメン>>111にほっとして]
えーっと……あたしの服で、よければかすけど。
[あえてなんでもないように口にしているのは死を考えたくはないから。
カルメンを宿に連れて行ったあと、団長のところへいけるかどうかもあやしい。
アーベル>>107の声に振り返り、無事な姿にほっとした]
アーベル……
[アーベルとカルメンのやりとりには口を挟まぬまま、震えるカルメン>>114の手をにぎりかえして]
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