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[強調に返されるコエは無かった。
けれど、込めた意はきっと伝わっているだろうと、言葉重ねはせず。
床に倒れた女から広がると同じ紅を口唇に乗せた後。
青年へと紡いだ言葉に返されたそれ>>*21を聞いて、苦笑を笑みに変えた]
背負わせるという言い方がお気に召さないなら。
自分の役割を人に任せきりにするは性に合わない、でも良いですよ。
[口内に広がる味は、正直少しも美味くなどない。
それでも生理的な吐き気を感じる事無い程度には、自分の身体は『ゲーム』に馴染んでいるよう。
向き不向きはともかく、これが自分に課せられた役割という認識を心に刻んで]
私も、死ぬ訳にはいかないんですよ。
私の命は、私だけのものではありませんから。
[『ゲーム』の駒としてではなく。
「アレクセイ」としての、意思をコエに乗せた]
― 客室→地下一階 ―
[何時からか、毛布の中で眠りに落ちていた。
その眠りを覚ますノックの音に、ゆっくりと両目を開き、扉の方へ。
そこで出迎えたメイド>>#1から告げられたことをぼんやりと聞き――ぱちりと瞬いた。]
……そう、ですか。解りました。
[メイドがその場から立ち去ってから、思わず顔に浮かぶのは乾いた笑み。
『ゲーム』の開始を宣告する言葉を、妙にすんなりと受け入れてしまっている、と自覚する。
『他者を殺さねば』という、そのことももう既に――。]
武器庫なんて、あるんだね。
ほんとうに、なんでも、揃ってるん、だ……。
[逃げ続けていた自分は今、手持ちの武器など何も持っていない。
幾らか思案した後、メーフィエは廊下を出た。
階上の方から幾らか人の気配はするような気はしていたが、それでも先ず向かった先は、メイドが告げてきた場所。]
― 幾許か前 ―
[いつしか閉じていた女の目は、そのコエ>>*11が掛かった時にぱちりと開いた。
うん、と小さなコエで返して、そっと廊下へと出て行き、再びふたりの「仲間」と落ち合う。
上へ行くと言っていたベルナルトが、階下に向かい薔薇を取ってきたことには不思議さを抱きつつ。
それを問うたアレクセイへの答えを聞き、解るような解らないような、そんな曖昧な顔をした。
その紅い薔薇を彼がどう使うかなんて、この時はまだ想像できなかったから。]
……うん。任せる。よ。
[「任せてくれて」構わないと告げたベルナルト>>*12に、「今は」、と返したアレクセイ>>*17。
その「今は」をも告げられない己に対し、自覚したのは甘さと弱さ。]
[それから踏み込んだ先の書斎。
主人たる女の顔には、初めに出会った時と変わらぬ笑み。
ベルナルトが掛ける言葉に対しても、何も返すことなく、ただわらうばかり。
変わらない――それでも、そんなアナスタシアの面立ちを見て抱くのは、怖さだったり、苛立ちだったり――。]
酷い人だよ。
[ベルナルトのあとから、けれども、メーフィエがアナスタシアに発せたのはこれだけ。
愉悦などなく、けれども嫌悪や怯えを示すこともなく――。]
[宙に舞う紅い薔薇を。掻き切られた首許からの紅い迸りを。
そして、抉り取られた紅い心臓を、その目に映した。
けれどもメーフィエがその紅に惹きつけられることはなく。
おそらく未だ止まり切っていない心臓を見た時には、ぞっとした感覚さえ抱いた。
だから、短い問い>>*16に対しても、首を緩く横に振るのみだった。
アレクセイ>>*19の答えとその行動をも目の当たりにすればやはり、ふたりと自分との間との隔たりを意識した。
そして、「背負わせている」という思いも――。
そんな時に、ふたりの視線を受けた。無理はしていないと告げる言葉も、また。]
― 客室→二階廊下 ―
[展望室を出て、リディヤちゃんと別れて、客室に戻り。
あまり深く眠れないまま、ノックの音で起こされた。
メイドの無表情には負けるけど、告げられた始まりにも、ボクは薄いリアクションを返した。半分くらいは眠気のせいだ]
うぅん。
……なんか、煩いなぁ。
[彼女が去った後で、簡単に顔を洗ってから、廊下に出て。
少し考えて、階段の方へ足を向ける。
物音が気になったのもあったけど、アナスタシアさんの部屋を見ようと思ったのだ]
― 展望室→廊下 ―
[ゲームの参加者達は、そろそろ武器を手にした頃だろうか?手足を濡らした紅は、まだ鮮やかだが、段々と乾いていく]
殺さないとね、早く。
[人の気配が多いのは階下だろうか?と、覗き込む黒い瞳は、満たされない飢えを湛えて]
……鬼、な……。
[メイドが立ち去った後、ベッドサイドの煙草に手を伸ばし。
火をつけながら、袋に入れたままの猟銃を見やる。]
しくったな。
獲物がいるのに、弾を切らしてるたぁ。
今日に限って鉈も置いてきちまったし。
……んじゃぁま、お言葉に甘えて、武器を借りるかね。
獲物を横取りされる訳にゃぁな。
[ぐ、と短くなった煙草を灰皿に押し付け、ベッドから降り。
手早く衣服を身に纏い、部屋を出た。]
→ 地下・武器庫 ―
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