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元気でいてさえ下されば、医者でいる必要はありませんからね。
仲良くして下さるなら、是非とも体調にはお気をつけて…おやおや?
[隠れるシャーロットに揶揄するように呟き、エレノアへ笑って]
どうやらさっそく嫌われてしまったようです。
初対面で長話しすぎたのが失礼だったかもしれませんね。
そうですね、まだ小さいのに、しっかりした子…。
からかえるのも、きっと今のうちですよ?
あっという間に大きくなって、もっともっと賢くなって、
簡単に言い負かされるようになってしまいますわ?
[くすくすと笑うが、少しずつそれは小さくなって]
そうですね…。
少しだけ、デリケートなだけ……。
[最後の言葉は、さびしそうで]
いいえ。
恥ずかしがってるだけですわ、きっと。
[そうヴィンセントの言葉に返すと、
後ろの娘を振り返って]
帰りたいの?
……もう。あなたが外に出たいって言ったのに…。
わかったわ、ご挨拶なさい。
[そういって女が横にどけば、
遮蔽物のなくなった少女は、またさっと頬を染め。
ぺこりとお辞儀をすると、足早に歩き出す]
あらあら、ごめんなさい。
本当に…。
[少女の行動に、困ったように、首を傾げて]
失礼致しますね。
通りの一番奥の家に住んでおりますの。
よろしければそのうちにも、お茶に招かれてくださいな。
少年の未来に幸あれ、でしょうかね。
[言い負かされるという言葉に大いに頷きつつ、鞄を大事に抱え直す。
そして失礼しますと言いかけるも、エレノアの笑いが小さくなるのに目を細めて]
…私でよろしければ、相談に乗りましょう。気が向かれたらどうぞ。
[ほんの少し寂しそうな様子に、医者らしい思いやりの表情で告げて。
先に帰ることにしたらしいシャーロットの御辞儀に笑みを返す]
さようなら、シャーロットさん。また、お会いしましょう。
…次なら少しは慣れて下さって、恥ずかしくなくなっているかもしれませんし。
[そう残されたエレノアに言って、そろそろ私も失礼しますと笑んだ]
お気になさらずに。では、いずれまた。
[正体に礼をいい、笑みのままに見送って]
…ふむ、美しいものだ。きっと…エレノアさんもだろうな。
[どこか逆の言葉を呟いて、その場から立ち去る]
[メインストリートの端のレストラン、連れもいない男はカウンター席で簡単な食事を取る。
食後のコーヒーの話題は、貼られたばかりの真新しいポスター]
…ほう、それでポスターが貼ってあったんですか。
縁は奇なるものですね。
[隣の町唯一の宿で幾度か擦れ違ったことのある銀髪の男との経緯を聞き、笑みを見せて面白そうに頷く。
噂をすれば、影ならぬドアベルの音。振り向けば笑みを向けて]
ああ、噂をすれば。ご就職おめでとうございます。
いえいえ、そちらのポスターの話のことですよ。
そう言えば、ご挨拶は未だでしたね。
私はヴィンセント=ウィスラーです。よろしく。
[初めまして、と愛想良く*自己紹介をした*]
ふあぁ…。
[大あくびをしながら、体を伸ばす。
サーカスでリックと別れてから、ベンチに座って鏡の館やその前で風船を配る足の長いピエロ、そして間を駆け回る子供達とそれを追いかける親を眺めていた。
ずっと見ていても飽きる気が全くしなかったが----]
あら。
[ぐぅ、とお腹がなったので、そっと両手で抑えた。]
/中/
おはようございます、mu_muです。
このたびは サーカス村に入らせてもらってありがとうございました。
がんばりますよー!
何かが道をやってくる は
かなり昔に一度読んだけど今回もっかい読み直した!
翻訳違うの買っちゃったので、また印象が変わったとか。
[宿を出て、食後の散歩にメインストリートを歩く。
足は当然のようにサーカスの方へと向いた]
ずいぶんと賑やかになってきたな。
もうそろそろ…か。楽しみなことだ。
[子供の手を離れ空を登る風船に、茶色のグラスの下で目を細め]
[あたりを見回せば、ホットドッグやアイスクリーム、それに冷たいレモンケーキの店が並ぶがどれもまだ空いていないようで。
仕方ないな、とゆっくり立ち上がってスカートをぽんぽんと手で払った。]
何か食べにいこうかしら。
[独り言を呟いて、メインストリートへ歩き出した]
[歩いて行くと、空を見上げて立ち尽くす医者の姿が見えた。]
あら…ヴィンセント先生?
何か素敵なものでも飛んでいますか?
[直ぐに名前が出てきた自分の脳みそにちょっぴり感謝しつつ、ヴィンセントの目線の先を追って空を見あげてみた]
[空をふわりふわりと行く風船は、魂の花と似ている]
ああ…やはりサーカスはいい。
色とりどりの風船、パレードの火の花、そして何よりも――
[男は空に染まらぬその色が消えるまで、ずっと眺めていた]
[眺めていた男は、掛けられた声に笑みを向けた]
やあ、レベッカさん。
風船が飛んでいたんですよ…誰かが飛ばしてしまったようですね。
[辺りを見回せば、少し先に風船の塊が見えて指差し]
いたいた、やっぱりね。
あれだけ集まると壮観だ…ほら、ゼリービーンズのようですよ。
[言われて指を指された方向を首を巡らせて見上げ]
あら、本当だわ!
可哀相に、風船を飛ばしちゃった子は泣いていないかしら?
でもゼリービーンズの様でキレイ、も本当ね!
…あら、私がゼリービーンズを売ってるのをよく覚えてくださってたのね?
流石にお医者様だけあって、………んー…記憶力抜群ね。
[何か駄洒落を言おうとしたらしく相当間が空いたが思いつかなかったようで、顎に手を当てたまま眉間に皺を寄せた]
[足の長いピエロがそつなく新しい風船でも渡したのか、泣き声は特に聞こえない]
さて…今は聞こえないようですが。
怪我をしてないといいのですがね。
[よく覚えていたと言われれば、少々照れくさそうに笑い]
いやその…ゼリービーンズは好きでして。
色とりどりで美しいでしょう。…売っている人もね。
[実は今度買いに行こうと思っていたんです、と髪を掻いた]
[帰る方向は違うのに、
誘われるように別の道。
まだ開かないサーカスの周り、
たくさんの人がいるのが見える。
ざわざわ、
親と子の会話と団員の声が、
音の波になって辺りに広がってく。]
[思わず受け取りはしたけれど、
右の手にはアンブレラ、
左の手にはテディベア、
風船の代わりにそのふたつ、
ぱたぱた地面に落ちてしまう。]
――あ、
[声をあげてしゃがみこんで、
慌てて転がる傘と熊とを拾おうと。
ふわふわ、
小さな手から離れた風船が、
自由になって太陽へと向かってく。]
この町は、美しそうな…魂の人が多いな。
流石は団長が目をつけただけのことは在る。
[目の前の女性を見つめるグラスの下の孔雀色は、ゼリービーンズを見る子供のよう]
[赤い風船、
青い空に昇って、
白い雲に並んで。
大きな円が
小さな点になって、
大人の視線も
子供の眼差しも、
たくさんの目が見ていたけれど、
ひとつの色は吸い込まれるように消えてしまった。]
あぁ、そうね、子供が追いかけて怪我でもしていたら大変だわ。
ヴィンセント先生のお仕事が増えちゃう。
あら、お仕事が増えちゃうのはいいことなのかしら?でも怪我や病気が増えるのはイヤね。
お仕事が少ないコトを願うなんて…ドクターだけに、孤 独だー、なんて。
ぷっ…くすくすくす。
[口元に手を当てて、笑い出した]
あら…っふふ…ゼリービーンズがお好きでしたの?
ふふ…見かけによりませんのね?
やだ、美しいだなんて…ふふふお上手な……あぁ、私なんかより…ふふ…っ。
昨日いた、リック君のお母さんの方が…よっぽど美人さんで…すわ…ふふふ…。
[相変わらず笑いが止まらなくなっているようで、腰を折りつつ肩を震わせている]
[風船の塊から、またひとつ色が離れて子供の手に渡る。
それに気付くことなく目の前の女性の姿を見ていたが、小さな声と共に空へと舞った赤に惹かれるように再び空へと目を向ける]
――ああ、またひとつ。
[太陽の光は茶色のグラスが和らげてくれるが、目を細めて呟く。
それから、おそらくは風船の主であった声の主を探して]
大丈夫ですか、お嬢さん?
[歩み寄って、怪我はないかと訊ね]
ふふ…でも、ありがとうございます…ぷふふ…っ。
[社交辞令と思っていても褒められて嬉しくないワケはなく、頬が薄く薄く赤みを帯びたのは笑いが止まらないせいか、それとも。]
< せっかく貰った風船は失われてしまったけれど、もしかすると、それがいいのかもしれないと思った。
だって、本来ならば空まで飛んでゆけるのに、紐で括りつけてわたしの元に留めておくなんて、薄いゴム膜の体内に詰められた空気が抜けるのを待つだけだなんて、傲慢なことじゃないだろうか。
もっとも、風船自身がどうしたいかなんて、わたしにはわからないのだけれど。
青と白の海に消えていく赤を見送りながら、そんなことを考えていた。>
[ヘンリエッタの傍に跪いて手を差し伸べつつ、笑いの止まらないレベッカへと振り返る]
レベッカさんが先生と呼ぶから、ほら、さっそくお仕事です。
医者なんて必要ないのが一番なんですがね。
[駄洒落には笑みのままノーコメント]
おや、リックくんの…?
それはますますお店にお邪魔するのが楽しみですね。
[にこやかに返して、改めて少女の様子を見た]
[赤を見送っていた赤は、
誰かの声にそちらを向く。
しゃがみこんだまま、
広がったアンブレラを畳んで、
それからテディベアを抱え直す。
答えの代わりに頷いて、
手を見はしたけれど取らず、
立ち上がって目の前の男を見た。
茶色の熊の毛並みや
赤い服の裾は土に汚れていたけれど、
白い少女の肌には傷ひとつない。]
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