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[ぼんやりと視線は通りを行ったり来たり。]
ん?
[知らない子供がウェーバーさんの家を覗き込んでいるのが見えて、思わず身を乗り出す。
ウェーバーさんの家にあんな子供はいただろうか。]
のぞき魔……?
[子供はそのまま裏口へと回ると、何やらがさごそした後、戸を開けて室内へと滑り込んだ。]
……どろぼう!?
……何してるにゃ?
[どうやら、水をかけられる事は無さそうだと判ると、今度は好奇心がむくむく]
それ、何の印にゃ?にゃにゃにゃ?!?
[ペン先の動きを目で追っていると、ふいに冷んやりとした空気が触れる]
お前、妖精なのにゃ?
[目を丸くして、アーベルを見た。じいいいいいい]
[猫はなんと返答をしたのやら。
熱は案外と思考を鈍らせるものらしい。向こうも悩み中らしく、こちらには気付いていなかった様子だが]
ミリィ、何してんの?
今、結んであげてるのが、緑ですからぁ……。
今度は、青系かしら?
んん、一度帰って、ちゃんと確かめた方がいいですかねぇ……。
[そも、なんに結ぶつもりのリボンなのかと。
口ぶりからして、自分でないのは確かだろうが]
……て、あら?
[ひとまず、戻るべきか、と結論づけたところに声をかけられ]
エーリ。寝てたんじゃないのですか?
[先に森で聞いた話を思い出しつつ、きょと、と瞬き]
寝て起きて買い物。
[傍で脚を留めた猫は彼女を見れば鳥の姿を捜したに違いない。
右手で袋を抱えていた事に気付いて、なんとなく、左に移す。腕にはまだ包帯を巻いているし、シャツの下ではあるけれど]
そっちは……リボン?
[視線の向いていた先を追いかけ、疑問混じりに言った]
ほんとに違うにゃ?
[消えるペンを見ながら、耳がぴくぴく]
も、もともと痛くなんかないにゃ!
[恩人に向かって、ふん、とふんぞり返ってこの態度]
あっと……武器武器!
[食べきった林檎の芯を放り投げると、代わりに戸口に立てかけてあった帚を手に取る。
通りにいる人には目もくれず、ウェーバーさんちの裏口へと。
足音を顰め、中の様子を伺った。]
―店内―
[こきり、と首を鳴らした。
掛けていた眼鏡を外し、手元から視線を離して。
壁に掛かった時計を見れば、あれから5回転程したところ。
椅子を鳴らして立ち上がり、丹念に磨かれた石は作業台の上に。
どうやら休憩に入るらしい]
― →通り―
……ちゃんと、休まないと、ダメですよぉ?
[気だるげにも見える様子に、軽く、首を傾げつつ注意を一つ。
白い鳥は、猫の視線にやや警戒気味の様子]
ええ、リボンですよぉ。
そろそろ、ブルーメのリボンを新しくしてあげようかと思いまして。
ちがうちがう。
違うから。
あのペンはお礼でなくなっちゃったの。
[暫くは使えないかなーなんて思いながら、ポケットにメモをしまいこんだ。]
……痛くなかったの?
そっか。
じゃあもう一度触ってみる? ほら、中にはおいしいのがあるよ?
[耳を仕舞う様子を、微笑ましそうに見る。]
うん、可愛い猫耳だったね。
用事済んだら帰るさ。
[要る?と問うと同時、答えを聞く前に飴玉を一つ、放り投げる]
ああ、なるほど。頑張ってるもんなー。
自分の分はいいのか?
[遠すぎず近すぎずの位置で、薄茶の猫は目つきをますます悪くしつつ、機を窺っているようだった]
むうむうむう…つまり妖精じゃないんだにゃ?
[ほんとに分かったのかどうかは若干怪しい。可愛い耳と言われると、赤くなりながら、顔を顰めた]
可愛くないにゃ!かっこいい耳なんだにゃ!
[こだわってるみたいです]
泥棒め、正義の勇者リディ様が成敗してやる……
[呟きながらそっと裏口の戸をあける。
泥のついた不思議な足跡が、廊下に続いていた。
ふわり、栗の匂いが廊下の先から濃厚に漂う。]
む。今日のおやつは栗の甘露煮かな。
[思わず唾を飲み込んだ時、キッチンの方で物音がするのに気づいた。
びくりとして帚を持つ手に力を込めると、廊下を慎重に進んでいく。]
うん、そうだよ。
かっこいい、というか、やっぱりかわいいだと思うけどな。
君はかっこいい方がいいの?
[不思議そうに見て]
まあ、いいけど。
ほら、食べたいなら、まずはヨハナおばあちゃんにご挨拶。
そうしたらきっと、優しいから、おばあちゃんがちゃんととってくれるよ。
もっと美味しくしてくれるよ?
[投げ渡された飴を両手で受け止め、ありがとうです、とにこりと笑い]
うん、ちゃんと休んだ方がいいですよぉ。
ブルーメのお陰で、一人でも安心してお留守番できますからねぇ。
ボクは、別に……あまり、飾るのとか、好きじゃないですし。
[自分の分は、という問いには、困ったようにこう返す。
肩の鳥はといえば、機を伺う猫と睨みあい続行。
そこだけ妙に緊迫してるかも]
―通り―
[休憩の際の習慣、いつもと違わず、森の方角へと足を向け。
やがて雑貨屋の前に差し掛かる。
視線は話している2人より先に、その足許の薄茶猫を捉えたらしい。
今は鳥に夢中らしい猫がこちらに気付いたなら、唸り声の一つでも上げただろう]
/*
ちっ
天然さんなら受け取れないかと思ったが、期待する描写を入れておくべきだったk
……あれ、初独り言がこれって酷いな。
[キッチンのドアノブに手をかけると、勢い良く戸を開く。]
こらー!どろぼーうー!
動くな!
村の平和を守る正義の味方、リディ様が来たからには悪事は働かせないわよ!
[大声で叫んで、帚を構えた。]
かっこいい方がいいに決まってるにゃ!
[ぷう、と膨れて、しかし「美味しく」という言葉には心が動いたらしい]
あ、挨拶すればいいのかにゃ…て、みゃーっ!?
[アーベルの後を付いて行きかけた所で、飛び込んで来た正義の味方に驚いて、再び壁に貼り付いた]
その前に、こいつ届けたほうがいいのかな、っと?
[猫を掴みあげようとしてしゃがんだところで、気配に気付いた薄茶の猫が不意に睨み合いを中断して、些かやる気の足りない唸り声をあげた。
視線は青年とは別の方向。釣られて、見やる]
[勢い込んで扉を開けたものの、意外なほど近くに人がいて慌てて一歩飛び退く。
聞こえて来たのは冷静な突っ込み。]
正義のためだ!仕方ない!
[堂々と答えると、相手の顔を確認した。
先ほど家を覗き込んでいた少年ではない。]
むむ。泥棒に仲間が居たとは……!
あら、猫さん。
[気付いてなかったらしい]
お散歩してたんなら、好きにさせてあげてもいいかもですけど……。
[例によってのんびりと言いつつ、肩の白い鳥を撫で。
視線の流れにつられるように、猫の見ていた方を見る]
こんにちはですよ、ユーリ。
お散歩ですかぁ?
いやいやいや。
食べ物泥棒をしようとしたけど、今からお客になるのはあっちの子。
おれは最初からお客。明日の林檎を渡しにきたんだ。
君は今からお客になる?
おいしいよ。
ヨハナおばあちゃんのお手製だから当然だけど。
……不法侵入者にはくれなかったりして
[最後の言葉は、ちっちゃすぎる。]
[まさかね、なんて思ったから、二人には聞こえてないだろう**]
[猫の隣の青年が屈んで、漸く認識できたらしい。
同時に白い鳥と少女も。
双方への挨拶代わりに片手を上げる。
尋ねられたことには頷いて答えた。
その間猫にずっと睨まれていたとしても、何処吹く風で]
うむむ……泥棒はあの子だけか!
[青年の口からウェーバーさんの名前が出ると、見慣れない顔を疑うようにじっと見てその背後の少年に視線を移した。
泥棒(推定)からも、同じように共謀を否定する言葉が出ると、ふっと息を吐き帚を少年に構え直す。]
[仕種だけの返事はいつもの事なので気にした様子もなく。
ふと、ある事を思い出して、そうだ、と声を上げる]
ユーリ、今、お仕事忙しいです?
また、細工入りの瓶をお願いしたいのですけど。
[大丈夫かしら、と。
軽く、首を傾げて問いかける]
―自宅―
[物音はツィムトかと思い気にもしなかったが]
それじゃァお言葉に甘えるさね。
[見てくると言うアーベルに任せ、揺り椅子でのんびり構える。
そのうちに聞こえてくる騒動にも腰を上げずに聞き耳を立てた]
おやまァ、いつもの泥棒猫かい。
いっつも追い払ってるツィムトが留守だってのに運が無いねェ。
そうか。ああ、今年も良い石が出来てたよ。
……いつもの場所は、崖崩れあったから立ち入り禁止だろうけど。
[興味の対象があちこちに移って忙しい猫を、今のうちに掴もうと手を伸ばす。
しかし抱き上げる前に、はたと、ミリアムに眼差しを転じた]
そうだ、ミリィ。
お前、知ってただろ、爺が来るって。
[今更ながらあの香草茶の真意が掴めた。自然、眉が寄る]
せ、せ、せーぎのみかたなんかには、負けないにゃっ!
[しゅた、と両手を上げて、爪を出すとニャンコ拳のポーズ。しかし箒には嫌な思い出がありまくるので、どもりがち。ちなみに正義の味方の意味は分かってません。]
祭りも終わったってのに賑やかなこった。
さァて招かれぬ客にゃ、何をしてもらおうかねェ。
[なにやら底意地の悪い事を言いながら、よいしょと立ち上がってキッチンを覗き込む]
おやおや、どういった騒ぎだい?
あたしゃ聞かせてもらってもいいと思うんだがねェ?
[にんまりとちょっとだけ見覚えのある少年と御近所の少女を見下ろすように顎を上げた]
はぁい?
[エーリッヒの言葉に、そちらを見やり]
自衛団員さんが、置き去りの荷物があった、って教えてくれたんですよぉ。
それで、もしかしたらエーリかなぁ、と思ったら、予想通りでしたから。
ギュンター御爺様の事だから、行くだろうなぁ、とは思ってましたけど。
[くすくす笑いながら、さらっと説明]
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