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[部屋を後にした彼女は、学校──その北側にあるプールへやってくる。
フェンスを乗り越え降り立ったのは、シンと静まり返ったプールサイド。
月光を反射し、キラキラと光を反射する水面はとても幻想的な光景。
だが、彼女はそんなことには気を払わず、水面に右手を翳す。
その中指には蛇と亀をあしらった指環。]
……汝は漆黒。汝は北。汝は冬。汝は哀。汝は耳。汝は髄骨。汝は智。
この場に溢れる水気よ。形となりて我が力と成れ。
[言霊とともに、右手に集まっていく水気。
そうして、実にプールにあった水全部を用いて形作られたのは、長さ50cmほどの黒い剣。その形状は、古代日本で作られていた平形銅剣、そして彼女の首に掛けられた十字架に似ていた。]
あ。
[ ユキタカ。という名が思い浮かんだのはさておいて。
ついでに先輩と呼ぶべきなのか、呼び捨てでいいのか悩んで、
結局何も呼ばないことに決めました ]
何って、散歩?
そっちこそ、何してんすか。
[しばし草原内部を散策。]
いくらいっても果てがねぇ…そのわりに森行こうとしたらすぐつくし、戻ろうと思ったらすぐ戻れるし
[結論。ひたすら不思議空間でした。]
…腹減った
[考えたら起きてから何も食ってない。あれからどうなったかとかそもそもここどこだよとか気になるには気になるが、結局思考をしめる大きな部分はひどく現実的で切実なことだった]
[思いっきり予測が出来るという事は。
対処するのも簡単なんですが。
取りあえずは掴まれといた。
避けるとうるさそうだしとか、理由はその程度]
……巻き込まれたも何も、あいつも最初から関係者だっつーの。
『天』の『護界操手』。『四瑞』が一、『応龍』だ。
[相も変わらず外は暑かった。
黒のジーンズがじりじりと日差しを吸収して、すぐに熱気に包まれる。だが、そんな事よりも父親とのやり取りが心を支配していた]
……くそ! くそ!
[思い出すだけで腹が立つ。
五つ年上の兄は、消防士を目指していた。小さい頃に友人宅が火事に巻き込まれたのを見て、それを解決した消防士が英雄に見えたと笑って話してくれたのを覚えている。しかし、父親は其れを許さず、厳しい手品の修行に明け暮れ、現実と夢のギャップに疲れていた兄は、母親も同乗していた車で交通事故を起こし亡くなった。
それから父親とはいつもケンカしかしていない。父親が兄を認めていれば問題にならなかったと思っている。少なくとも押し付けるのではなく、話し合いを持ち、納得できればまだマシだったと。
それが、たとえ世界が壊れようとも、一方的な天界に嫌悪感を抱く原因だった。
天界のやり口が父親と重なり、感情面でも理性面でも反発してしまう。
...は隣についてきているソレの頭を撫でた]
……少なくても、俺は親父のような判断は絶対にしない。
[だからこそ、サキとの話し合いはせめて意見違いをしようとも、相容れないと納得できるまで話そうと思っていた。
と――]
……そういえば、マリーにお前を紹介してないな。
[キョウヤの言葉から、紹介しておこうと思っていたので、サキとの話し合いの前にマリーに会おうと思った。
携帯を取り出すと、メールで神社近くの喫茶店に来るように連絡した]
……ペット?
[ 四端の一、という話は聞いていたので、
無論、使い魔という可能性も思い浮かびはしたが。
口から出たのは、そんな言葉。
ぢーと見詰め合うこと、暫し。
しゃがんで、指先で、甲羅、つん。]
だから。
そーゆー重要なことは早くに教えてクレと。
[昨日も言われたように、その前にキレたのは自分だったりもするのですが。二人から距離を取るように、ジリジリと後ろに下がる]
『天』は全員事前覚醒済み、かあ。
そりゃ落ち着いてもいたわけだよ。
うん、まぁ。
[若干歯切れが悪いが似たようなもんだし]
陸亀だから散歩させても大丈夫かなー、と思ってね。
踏まれないようにしなきゃならないけど。
[何せサイズが掌に乗るくらい。亀は悠悟を見詰め合っていたが、甲羅を突付かれて少し後退る。警戒気味]
[がし、と音がしそうな勢いで掴み、シェイクスタート☆
逃げてたら階段から蹴落としたかもしれません。後ろ知らんと]
したら、さっさと話とかんかいっ!
うちかて少しは色々考える余地出来たってのに!
つーか今更、さらーとした顔でゆうて許されるかっ!
未必の故意っつー言葉もあんねんぞ!
――って、んなコトよりタマキちゃんに会わせんかい!!!
[叫びながらリズミカルにがっくんがっくん(えんどれす)]
[啓子に答えようとしたら、がっくんすーたとしました。
三回くらいはお付き合い。
とはいえ]
……落ち着かんかいっ!
こんな状態で喋れるかあああああっ!
[怒鳴り声、同時、発するのは、『音』。
大気がぴきぃーーーーーーーーーーーーーん、とか、震えました、はい]
へー。
こんなときに。
[ こんなときに散歩していたのは、お互い様だが。
下がった亀を見て、にやーり。
どっから見ても性質の悪いガキです、ありがとうございました ]
そーいや、昨日は大変だったそうで。
んー、こんな時だからこそ?
少しはのんびりしたいじゃん。
[本音らしくけらりと笑う]
まぁ、ね。
誰かから聞いた?
あんた、神社には居なかったよね。
[しゃがんでいる悠悟を見下ろす形で問い掛け。亀は悠悟の笑みを見ると突付いた指に、かぷっ、と甘噛み]
あ。
まー、そりゃ同意だけどー。
[ サキの笑みを見上げる。
その所為で、亀から意識は外れたわけで ]
ああ、見てはない。
俺は、もう一つの方の現場にいたんで、
[ 誰から、というのを明示する前に、甘噛みされました。
……。一時停止。
ぶんぶかぶんぶん。噛まれたまま、手を振った ]
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