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―西の大樹―
[いつの間にか眠っていたようで、気づけば射し込む気配は陽光のそれ]
んー……。
[ゆっくりと目を開ける。調子は大分落ち着いて]
落ち着く方向違うだろ……。
[いるけど、いなかった]
ま、このままで終わらないなら、それなりに動かないとならないし。
……ちょっと、遊びに付き合ってもらおうかな?
[言葉はそうでもないのに、浮かべる笑みはどこか、危険。
付き合いの長かった友であれば、それが文字通り『何かやらかす』直前のそれと気づくだろうが。
生憎、笑みの意味を知る者はいなかった]
さて……じゃ、戻るとしようかな。
[のんびりとした口調でいうと、館へ向けて歩き出す]
―館・裏手―
[館に帰りつくと、人の気配を探すように裏手へと向かい]
……おやおや、何だか物々しいけど。
何か、あった?
[緩く首を傾げながら問いかける。
その背に、いつの間にか浮かび上がっていた深紅の光の翼と、胸元から微かに漂う『秘宝』の力の残滓に対する自覚は今のところは、なかったりする**]
……本当、は、こっちが、わ、たし。
色々、あって、あっちの、格好で、いたん、だけど、時々、元に、戻る。
[あたいはこないだゼルギウスたちにしたのと似たような説明したのさ。
人の事いえねぇとかいってるおっさんには、ふきんしんだけどちょっと笑っといた。まったくだ!でもおっさんは蜥蜴なのは知ってっから驚く事もねぇけどさ。
ーリッヒがやられた、って聞いたら少し眉が寄った。
貴重なもふ分の毛刈るとかふてぇやろーがいたもんだな。羊じゃねーんだぞっ。
エーリッヒにハゲできてたらどーすんだよ、とかあたいは大事なことを考えながら、もいっちょ別に大事な事、犯人が他にもいるって話を聞いたのさ。なんだと。]
まだ、いる?
いるから、エーリッヒが、つれて、かれて…
[ゼルギウスだけじゃねーのかよっ!
そっか、もう一人いるからエーリッヒが連れてかれたのか……ぅ、まさか。]
エーリッヒは、昨日、わたしが、襲われたの、から、守ってくれ、た。
だから、かも。
[ほんとの理由なんて。犯人にしかわかんねぇけど、ふつーそれ知ったら邪魔だって思うよな…。
…やべー、まさかた思うけどあたいが言ったからか?だとしたら激しくあたいのせいじゃん!それとも元々知ってたからか?だといいな…いやあんまよくねぇなどっちも。
えと、あの時誰がいたっけ…とあたいはだいぶ申し訳なさそうに眉寄せて、おっさん見ながら思い出そうとしたのだけど、別からかけられた声に、考え事は消えてったのさ。**]
葉ノ介お兄さん、ケンカ、め、だよ。
[薬のついた手を洗って戻ってくれば、怒っている様子の黒江の頭に手を伸ばして撫でながらそう言って。
苦笑を浮かべながらも淡々と答えるゼルギウスの顔をじ、と見て。]
ヒホウもってる人、まだ、いるんだね。
[問うのではなく、確かめるような口ぶりでそう聞いた。]
だって、ゼルギウスお兄さん、そんなにほしかったヒホウ、とりかえされたのに、くやしくなさそう、だもん。
まだ、だれかがもってるの、しってるから。
その人が、にげるの、まってるのかな、って。
[ゼルギウスが肯定しても否定しても、そう続けて。
悲しいでもなく、怒るでもなく、無表情にゼルギウスを見つめて。]
ゼルギウスお兄さんが、どんなリユウでヒホウ、ほしかったとしても。
かってにとるのは、いけないこと、なの。
ひとのもの、ほしがるのは、わがまま、なの。
わがままいったら、おこられるのは、当たり前、なんだよ?
[そう言いながら悲しげに眉をひそめ、首を傾げてゼルギウスを見。
言葉が返ってきてもこなくても、それに対しては何も言わずにリディの側に座ってうとうととし始めた。]
ふにゃ…?
[どれだけ眠っていたろうか、目が覚めたのはぽふり、という音が聞こえたから。
寝ぼけて霞む目をこすりながら、音の聞こえた方を見るも最初はそれが何かわからなかった。
けれど。]
エーリッヒ、ちゃん…?
[小さく聞こえた声は、聞き覚えのあるもので。
弱く途切れ途切れのそれを耳にした途端、一気に意識が覚醒に向かい慌てて側へ駆け寄った。]
エーリッヒちゃん、エーリッヒちゃん?
どうしよ、エーリッヒちゃん、どーして…!
おじいちゃん、お姉さん達、おきて、エーリッヒちゃんが…!
[イヴァンすら運べるほど大きかった姿とは比べ物にならないほど小さなその身体を抱き上げ、苦しくないように抱きしめる。
みれば意識もないようで、ギュンターたちを起こして助けを求めた。**]
―回想―
[あれから三人連れ立って下で食事をした。
といっても今は水以外欲しくなくなっている。
宴の料理を楽しんでたあの時間に戻りたい]
まだダメだって?
王様、のろい。
[マテウスから伝聞すると呆れたように言った。
知らぬが仏。いや違う。どちらかといえば無知の罪。
問いただしてくるというベッティが止められたのは、何でだろうと思っても深く疑問に残るほどではなかった。
何かお考えがあるんだ。納得のいく答えだった]
仕方ないな。
じゃ、ボクは蔓環を作っちゃうことにする。
[向かったのは西ではなく東の森。
西は無意識に避けていた。
知らず何かのプレッシャーを感じていたのかもしれない]
―回想―
[幸運なことに東の森にも格好の素材があった。
人間界には無い銀葉の葛。丁寧に編みこんで左手に結ぶ]
これで良しっと。
また王様の力に触れちゃっても、今度は多分大丈夫。
鏡葛は中の力も外の力も弾いてくれるからね。
[とはいっても直接力を向けられれば簡単に壊れてしまう程度だけど。何事もなければ十分な品が出来た。
それから館に戻って。
なかなか解除されないことを気にしながらも部屋で休んで]
なんで、結界そのまんま。
[窓から空を眺めて、きゅっと眉を寄せた。
意識戻れば蔓輪に抑えられてもまだ流れ込んでくる不安定な空気。均衡が多重の意味で破られた影響は小さくなかった]
ボクも誰か探しにいこう。
王様のとこにもいかなきゃ。
[一人でどうこうできるようなことではないから。
移動速度が落ちないよう人間サイズになると部屋を*出た*]
[大きな蜥蜴人間の男は、ベッティ(らしい女)の言葉に、目を見開く]
まもって…――?
あいつ…
――って、お前、そういうってことは。
犯人じゃねぇんだな…?
[犯人なら、そんな情報は隠しておくだろう、と思っての言葉。
それからナターリエが現れればそちらへと視線を、向ける]
/*
とりあえず。
王が南無いわ……。
で、全く余談ですが。
属性妖精王は「やってられっけー!」となったので決めず、オベロンとティターニアに絞ったわけですが。
私的には、
オベロン:精神or月闇
ティターニア:生命or影輝
と、いうイメージでいたりする。
うん、あくまで個人の趣味であって、オフィにする気はない。
陽光 ナターリエが時計を進めました。
─館・裏手─
[そこにいるのが誰か、は視覚よりも属性で判断していた。
ベッティの方は、以前の衝突の時の事や、いつか友が彼女に呼びかけていた言葉もあり、すぐにそれと気づけた。
イヴァンの方は、何より『場の状況』に憤っている事からすぐにそれと察して]
……何やら、気が大きく乱れたようだけど。
もしかして、エーリに何かあったのかな?
[何があったかは、既に察していたけれど。
ゆるく首を傾げながら、こう問いかけた。
ふわ、と舞い散る白金の粒子の中には、深紅のものもちらちらと混ざっていた]
/*
と、いうか。
ぼくの占騙り情報を持っているのは、ベッティ、キミだけだよな。
そこを突っついてくれると、とてつもなく嬉しい。
さくっと黒化できるから。
[くぅ、くぅ。
意識はあらねど寝息は穏やか。
身体はベアトリーチェに容易に抱きかかえられ。
いつもは長い尻尾は普通の子犬くらいの長さで、ぷらんと垂れていた]
[力を蓄えようにもここでは上手く集めることが出来なくて。
意識の覚醒には今しばらくの刻を必要とするか]
うん、連れてかれた…
[ちろりと熱気は未だ漏れる。
手の中 白引を握りしめて]
――ってあんた、それ、どうした…?
[白金のキラキラと深紅のそれ。
思わず指差して、問いを投げる]
─館・裏手─
そう、か。
[連れてかれた、という返答への反応は淡白で。
対の一角が欠落したわりに、落ち着いているように見えた]
ん? それ、って……。
[指差された先を、目で追って。
ちらちらと瞬く深紅にようやく気づく。
よもや、と思って振り返ったなら、背に開く深紅の光の翼も目に入り]
ああ……大した事ないよ、うん。
[イヴァンを振り返って返すのは、説得力の全くない一言]
『秘宝』の傍に居すぎて、力のバランスがおかしくなっているだけだから。
[そして、続いた言葉は受け取り方次第でどうとでも取れるものだった]
―→館・裏手―
[半分ほどは起きているためか、いつもよりはしっかりとした足取りで、
廊下を歩いていると話し声が聞こえて、窓を見ると館の裏手の方にベッティやナタル、それから探していたイヴァンの姿が見えたのでそちらへと向かった]
イヴ〜、探してたんだよ〜
[声をかけながらそこへと、何かナタルとイヴァンは話している様子で首をこてんと]
おとりこみ中〜…?
ふぅん、そうか。
オレも、ちょっとバランスとれねぇしな…
ゼルギウスがいなくなったせいもあるけど。
[肩を竦めると ぶわりと 熱気が立ち上る]
あ、お前、犯人じゃねぇんだな。
調べさせてもらったんだ。
[昨日 倒れる前に飛ばした炎。
あれが、ナターリエは犯人ではないと、示して居た]
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