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ふむふむ
[部屋の位置について、ユーディットの説明を聞き、しっかりと脳の記録に残すと]
ありがと。助かった。
[と礼を言う…内心冷や汗をかきながら
なぜなら、あのもふもふに心を奪われたままだったらきっとまた聞き逃していただろうというのがわかったから。
現実に引き戻してくれたブリジットに内心ほんの少しだけ感謝した。が]
あー…それと……様付けはどうにかならんもんだろうか。
[どうにも具合が悪そうに言った。そんな呼ばれ方がなんとも自分には合わなかったから。召使なので無理な気もするけどそれでも言わずにはいれなかったようだ]
――二階・客室――
[いつものように早朝に目覚めると、日課であるかのように庭園を散策して。
それを終えれば軽く食事を貰い、その後で再び部屋へ]
やれやれ、まったくの。
折角ここに居ると言うのに仕事は待ってはくれぬか。
[大事な店の帳簿を人任せには出来ず、暫し仕入先と商品などの確認を。
ふと気付けば日は高く、仕事にひと区切り付いたと見てペンを置き肩を鳴らす]
やれ、我ながら仕事となると時間を忘れるの。
余り根を詰めるなとは言われておるが、こればかりは譲れぬて。
[そう呟きながら、ぱたりと帳簿を閉じ人目につかぬよう鞄へとしまって。
一息つく為に茶でも貰おうかと階下へと]
――客室→ホール――
[19歳。まあ、嘘だろうとなんとなく確信しつつもそれを表に出すことなく]
それは失礼いたしました、ブリジット様
屋敷内はとても広いですので、くれぐれも迷子になどなられませんように
目的地がわからない際は、気兼ねなくお声をかけていただければご案内いたしますので
[ユリアンの言葉に顔を赤くしていたが、エーリッヒの自己紹介を聞くと、は、と気付いたようにそちらの方を向き]
エーリッヒさん…と、ローゼ…?
こ、こちらこそ、よろしく、お願いします…
[どんどん声は小さくなっていき…白いふわもこに目が行く]
…か、可愛い…
[じーっと見つめていたが、目を輝かせてエーリッヒに尋ねた]
この子…鼬…?
えと、その…何の動物なんですか?
[飼いたい。そう思ったのだろうか]
……そんな変わった本もあるのか。ま、あんだけありゃーな。
[と自分より明らかに書庫について知っていそうなエーリッヒの言葉を聞いてから、複雑そうに言う。
多分自分はその突込みをいれたくなるようなものに一発で当たってしまったのだろう。
やっぱり複雑だ。
そして呑気にしているもふもふをまたちらりと見るが、結局なでるのは諦めることを決意し、慌てて喋るブリジットへと振り返ると]
んー…そっか。千里の道も一歩からっていうから変わるかなーと思ったんだがなー
[変わるといっても一日で激変したらそれはそれでおかしいのだけど、その辺りはあまり考えず、頭をぽむぽむとすると。]
もっと若かったら希望も多いのだが、ま、諦めず、これからもたくさん寝て、たくさん牛乳飲んで、好き嫌いもしないようにしてがんばれ
[と、...なりに励ました。やっぱり年齢詐称は気づいていない]
[陽も徐々に落ち始め、風の冷たく感じられるようになった頃。
さく、と土を踏んで庭園に集う人々の前に姿を現す黒い影]
フロイライン。
御髪が乱れていらっしゃいますよ。
[運動の汗か冷や汗か不明なものをかいている少女に、
何処からか取り出した真っ白なタオルを差し出す]
レーヴェ様、ハイゼル様、エイム様。
ご機嫌うるわしゅう。
[客人ひとりひとりの名を呼び、形式的な一礼]
こちらこそ。
[にこり、と微笑んだまま頷いて。
それから、投げられた問いに、悪戯っぽい笑みを浮べる]
さあて……ローゼは、一体なんでしょうね?
[『幸運の妖精』。
言ってしまえばそれで済むのだけれど。
それを周囲に知らせる事で発生する余計なトラブルには正直、うんざりとしていたから、大抵はこうやって誤魔化していた。
当のふわもこはみゅーんと鳴いて、*尻尾をゆらゆらさせている*]
[召使いの言葉に胸をなでおろす。
気付かれては居ないようだ、と感じたらしい。
…十二分に気付かれているのだが、少女は気付かない]
ぁ、あはは…
ま、迷子になんか、なりません、よ?
でも…万が一、迷った時は…お尋ね、しますね。
[迷子。
その単語に、ぐっさりと自尊心に棘が刺さるが、乾いた笑いでやり過ごす。
…やり過ごせていないのは見ての通りなのだが]
[ホールへと顔を出し、その場にいた召使いに茶を所望して]
ストレートで、な。
あぁ、種類など何でも構わんよ、サクヤさん。
[ここに来るたびに顔を合わせれば、多少の気兼ねなどすることもなく。数分の後に運ばれてきたそれを口に含み]
……ダージリンですな。今の時期には丁度良い。
[そう言って軽く笑顔を向けて]
そういえば、他のお客人達は如何されていますかな?
[と問いかける。
それに対し「中庭に居られるのでは?」との答を得れば頷いて]
この時期のあの庭は見事ですからな。
ワシも今朝拝見したが、手入れが行き届いて素晴らしかった。
[そう言うともう一口茶を啜って]
[千里の道も一歩から…
若かったら希望もあるのにな。
その言葉に、まだ若いもん!
と、言いそうになるが、口を噤む。
今、自分の本当の年齢を知られるわけにはいかない。
しかし、まだまだ若いんだから、背が伸びるに決まっている…ソレを言ってやりたくて…苦肉の策。]
ま、まだ伸びるもんっ!
…きっと。
[伸びてくれなきゃ困る。そう心の中で叫んで]
…でも、好き嫌いを無くすのは無理。
[きっぱりと言いのけるのだった]
ぇ?
[そんな中、目の前に居る三人…の声ではない、男性の声が聞こえると目を丸くし振り返った。
タオルを差し出され…フロイライン。コレが自分のことを言っているのだと気付くと、軽く頬を染め]
ぁ、ありがとう、ございます…
[タオルを受けとって口元を隠すと、軽く頭を下げた]
[いつの間に着たのか。驚きこそしなかったが内心首をかしげながら執事風の…というか執事だとやっぱり決め付け、形式的な一礼にぎこちない一礼を返す。
そしてまた様付けなのに内心ゲンナリとしつつ]
えっと…こちらこそよろしく。
ところで名前はなんていうのだろうか?
[と、しばらくの間一緒にいるのだろうからと、まず名前を聞くことにする]
…ぇー…?
[悪戯っぽい笑みに、尻尾をゆらゆらさせるふわもこ…]
…分からない、ですか…?
[じーっと、ふわもこを見るが、少女の知識の中にはこんな動物は入っていなくて…
うーん、と、小さく唸るも、考えるのを止めていた。
…帰ったらお婆ちゃんに聞こう。
自分で調べる気はないらしい]
[「ザムエル様も中庭に行かれては?」との召使いの言葉に苦笑して]
いや、ワシはもう拝見したしの。
余り年寄りの話など好まぬであろうし、な。
ここで暫くのんびりさせて貰うよ。
[そういいながら茶のおかわりを、と頼んで。
新しい茶と共に運ばれた菓子を摘みながら、召使いと*他愛のない話を*]
あ、オトフリートさん。こんにちは
申し訳ございません。お手を煩わせてしまって
[そう言って深々と頭を下げつつ、しかし相変わらずフェミニストだな、とか内心思ってたり]
[ブリジットの葛藤何て全く知らない...は]
ああ、その意気だ。
[ともう一度頭をぽむぽむ。どうやらこの感触が気に入ったらしい。そしてきっぱりと好き嫌いに対しては無理と言うのに対しては]
…まあ、バランスよく栄養をとれればなんとかなる気もするからがんばれ
[と、既に年齢(詐称しているほう)からは無理かもなーと思っている...は投げやりにいった]
御歓談の時をお邪魔してしまい、申し訳御座いません。
[感謝の言葉を述べる少女には、いいえ、と微笑を返して]
失礼しました、ハイゼル様。
私はオストワルト家の執事をさせて頂いております、
オトフリート=クリューガーと申します。
御用の際には、なんなりとお申しつけ下さい。
[名を問う声にそう答え、深々と頭を下げるのに合わせ、
夕焼けに赤を帯びた茶の髪が流れた]
[オトフリート…と心中で一度言って覚えると]
ええ、お世話になります
[と軽く一礼。そしてやっぱり]
あーっと、そこでいきなり頼むみたいで悪いんだが、様付けはなんとかならないものか…せめてユリアンのほうで
[と、もてなす立場の執事にいうことではないと自覚しているため若干具合が悪そうに、でも頼んだ]
ローエングリン。
あまり仕事熱心なのも、感心しませんよ。
[それは無論、皮肉めいた言葉なのだが。
僅かに笑みの色を滲ませた声は、冗談とわかるだろう。
己も用事を承ったとは言え客人と会話を交えていたのだから]
[ぽむぽむ。
確かに、されるは嫌ではない…寧ろ、好きな方なのだ。
…ただ、子供扱いされてると思うと…なんだかやるせなくなるらしい]
ほ、本当っ!?
[…しかし、ソレよりも大切なのは身長が伸びるかどうかだった]
な、なんとかなる?なるよねっ?
…良かったぁ…
[…半ば投げ槍に言っている事なんて気にしない。
何故なら、背が伸びる可能性があるからだ!
しかも、ユリアンに教えている年齢よりも若いのだ…
ぽむぽむされているのも気にせず、安堵の息をつき、その表情はニコニコと明るかった]
[呼びかける声にそちらを見て、礼を返す。
カーバンクルも一緒にぴょこん、とお辞儀を]
まあ、なんだっていいじゃないですか。
ローゼはローゼなんだから。
[それから、ブリジットには、笑いながらこんな言葉を投げかけて]
[オトフリートさんに…ローエングリンさん?
二人の使用人に視線を動かすと、汗を拭き終えたタオルを差し出し]
ぁ、あの…オトフリートさん…
ありがとうございました。
[ぺこり、と頭を下げて…
ユリアンの申し出に、少女も乗っかることにしたようだ]
あの…ユリアン、と、同じで…
出来れば、エイム、じゃなくて…ブリジット、で、呼んでくれませんか…?
…その、呼ばれ慣れてないので…
[エイムで呼ばれたことは数少ない。
元々、そういう所とは無縁だったからしょうがないと言えばしょうがないのだが…]
[ブリジットの頭をぽむぽむしていた手を引っ込めると]
ああ、なんとかなるだろ
[多分。と続けたかったが、ブリジットの表情があまりにもニコニコとしているので、その言葉は言わなかった。
でも罪悪感は抱かない。
それよりも年齢からしてどうしてそこまで喜べるかのほうが不思議だったのだが…
やっぱり年齢詐称とかは気づかない。というかそもそも考えない
...にとって詐称するなら若く見せるために少なめにいうだろう。という概念しかなかったからだ]
[エーリッヒの言葉には、ぅ、と言葉が詰まり…]
それは…そう、ですけど…
[ローゼはローゼである。
しかし、その子が可愛くてしょうがないのだ]
…ぅー…
[もふもふしたい。
そう思いながら、ローザに目を向け…
しかし、人が沢山居る所で頼んで良いモノか。
少女は凄く*悩んでいた*]
[やっぱり様はつくのね。と思ったが、見るからに執事職が染み付いていそうなオトフリートに逆に呼び捨てにしろというのは酷か。と思い返し。]
ああ、頼む。我侭いって悪いな、ただこっちのほうが慣れているもので
[と了解の意を正確に受け取って言うと]
じゃ、俺ちょっと自分の部屋に行ってくるわ。実はまだ行っていないんでな。どんな場所か見てくる。
ユーディット。教えてくれてありがとうな
[と言い残し、先程説明された二階の客間に向かった。考えても見たらあまりの早い展開に、思わず手ぶらでやってきてしまったから、自分の部屋にいってみて服など足りないと感じるものがあったらこっそりと自宅に戻ってなにか*もってくることだろう*]
[差し出されたタオルを受け取り、腕にかけ]
わかりました、フロイライン。
それでは、ブリジット様とお呼びさせて頂きます。
[先程と同様の受け答え。
まるで機械のようにも思えたか]
そろそろ、陽も暮れて参ります。
お身体を冷やさないよう、御注意下さい。
[暗に、室内へと客人を促す台詞を紡ぐ]
[少女の悩みに気づいているのかいないのか、翠の瞳に浮かぶ色彩からは読み取れず。
オトフリートの言葉を聞けば、そうだねー、と頷いて]
そろそろ、中に入った方がいいだろうね。
陽が落ちれば、風も冷えてくるから。
[オトフリートの冗談めかしたとはいえ咎める言葉に]
ああ、申し訳ありません。会話が楽しくてつい
もうこんな時間ですのね。今日の晩餐の用意をしてきませんと
では皆様。わたくしはこれにて暫しお暇させていただきます
また後ほど
[そう言って深々と一礼すると屋敷の中へと*消えていった*]
[立ち去る青年は深く頭を下げて見送り、
召使いの少女は軽く一瞥。
朱から藍へと色を変える空を仰いで、眼を細める]
夜の庭園も美しいので、名残惜しくはありますが。
[ふ、と下ろした視線は、金糸の彼――ではなく、
傍らの白い獣に向けられて]
体調を崩されては、大変ですから。
[にこやかに、微笑んだ]
[庭園を立ち去る二人にはまたね、と声をかけて]
確かに、夜の庭もいいもんだから、立ち去りがたくはある。
とはいえ、冷えてきたのも事実だし、な。
[ぐるり周囲を見回した後、視線が向けられている先に気づいて]
それはそれは、お気遣いどうも?
[にっこり笑ってこう答え。
それから、まだ悩んでいるらしいブリジットに向き直り]
立ち話もなんだし、ホールに行こうか?
[ごく、軽い口調で提案する。
了解を得られれば、少女も共にホールへと向かうだろう]
─…→ホールへ─
ここにきてまでやる必要はないと言われるかな。
……でもオルゴォル、見せて貰えるのだものね。
お前を描いておかないといけなかったし。
ギュンターさんがお好きだから
[紙のうえには白と黒の指輪。
否、ただの鉛筆画。
本物のそれは首にかかる鎖に通され、胸元に隠れていた。
絵とはちがう、淡い赤の色をもって。]
……ん、喉がかわいた
忘れるところだった。
ギュンターさんにわたさないとね
[端をつかむ紙の上。
黒い石より白の花が、今はまだ蕾でひらくのを待つ]
[青年の時と同じくその後ろ姿を見送ると、
執事は再び天を見上げた。
斜陽の光を受け、緑の瞳は色を変えて朱に染まる。
その美麗さにか、口許は笑みを*象っていた*]
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