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[振り向いた時には、対象らしき少女は既に駆けて行ったところだった]
今日は随分と慌ただしい日だ。
[そう呟いた当人はのんびりとしているが]
[あせった様子のレナーテに、アーベルの言葉が届くと]
見栄えなんかよりも、メシだ!
勿論、そこに行く!
他のやつに取られる前に、早く場所とっとかねえとな!
[言って、たったと足踏みをしながら、アーベルに笑いかけ]
サンキュー!
アタイの名前はレナーテだ。
何でも屋をやってっから、なんかあったら連絡してくれ。
この町にいる限りは対応してやるよ。
じゃ、またな!
[手を振り、次の瞬間には韋駄天の如く素早さで、広場から*姿を消した*]
[猛ダッシュで駆けて行った少女と、その言葉に弾かれるように駆け出して行った剣士──レナーテと。
なんとも慌しい様子に、がじ、と蒼の髪を掻く]
……なんていうか、今年の祭りも。
賑やかなのが揃ってんなぁ……。
[ぽつり、と零れ落ちたのは、そんな一言]
[レナーテとアーベルのやり取りを首を傾げつつ見ていたが、嵐のように去っていくレナーテをぼかーんと見送り]
んん〜?
[やっぱりいまいち理解できていないご様子]
―広場・噴水側―
慌しい人が多いな。
……今のは見覚えがある気もするんだが。
[すれ違った二人の女性を軽く視線で追いかけ]
[小さく呟きながら人の一番多い方へと改めて]
誰か……と、アーベル?
なるほど君か。
[サボリ魔とは口にしないが]
[軽く肩を竦めて見せた]
[波打つ青い髪は、今は一つに括られていた。
しかし尚も乱れた様子は先の演奏の激しさを窺わせる。
歩きながら額に張りつく髪を払い、紐を解いて背へと流す。
春めいてきた大気も今の彼女には涼しく感じられ大きく息を吐く]
[直後、視界の端から端へ、一気に駆け抜けていく影を目にし瞬いた]
…………お祭りの時期だものね。
[ひとり納得の呟きを漏らして、影の来た方向へと眼差しを転じる。
何かを探すように、暫し揺らめいた]
─広場・噴水側─
[騒ぎは起こした当人が去った事で一応収拾がついたようで、人の群れも動き始める。
が、未だにこちらの問題は解決していないわけで]
さぁて、さすがに自衛団頼らねぇと、無理かなぁ。
[呟き、見やるのは隼のくわえる帽子。
取りあえず、動くか、と思うのと、名を呼ぶ声が耳に入るのはほぼ同時で]
……っと。誰かと思ったら、ハンスのにーさんか。
[振り返った先、目に入った姿。
やほー、と言いつつ、気楽な様子で手を振った]
[認めるよりも、聞きとめるほうが早い。
音には聡かった。
群集の中から、ひとつの音を拾うことも。
噴水のある方向へ歩み、ある程度の距離を保って立ち止まる。
ちょうど振り返った蒼髪の青年からは、死角になった位置だ]
[腕を組み、様子を眺める。眼を細めて]
相変わらずだな。
あれだけの演奏が出来て、未だに見習いなのかい。
[気楽そうな相手に笑いながら手を上げた]
[近くを見れば隼が何やらくわえている]
なあ、もしかして。
その帽子は拾い物だったりするかい。
「あっ、レミの帽子!」
[下を向いていた少女が顔をあげ]
[言うと同時に隼へ向けて走り出す]
/*
あっ、しまった。
深く設定するつもりもないNPCに名前使うんじゃなかった!Σ
設定で使いたかった人いたらごめんなさい…(汗
あれ、聴こえてた?
っても、俺より上手いの、楽団にはいくらでもいるんだし、さ。
[未だに見習いなのか、との言葉は、けらりと笑って受け流し。
続いた問いに、蒼の瞳を一つ、瞬いて]
ん、もしかしなくても拾い物。
風が運んでたから、捕まえといたんだ。
あのままだと、下街まで飛んでっちまったし。
[問いに答えつつ、駆け出す少女の様子にきょとり、と瞬き]
お、持ち主さんかな?
ハルフェ。
[やって来た少女を見つめる隼の名を呼んで、差し伸べられる手に、帽子を落とさせる]
いるからって、
練習をさぼっていい理由にはならないでしょうに?
[話す相手が誰であるかとは、彼女の位置からはまだ気づけず。
アーベルの背後より、声を投げかけた]
ああ、丁度良く風に乗っていたんだろうね。
近くで聞ければ良かったけれど、こちらも客がいたし。
[けらりと笑われこちらも笑みを浮かべたまま流す]
[少しだけ口元が歪んだけれどそれも一瞬のこと]
それは危なかったな。
向こうにいったらそうそう出てこないだろう。
[隼から帽子を受け取り抱える少女を見る]
見つかってよかったね。
「うん、ありがとう!
鳥さんと笛のおにいさんもー!」
[ぺこりぺこりと頭を下げる少女]
[晴れやかな笑顔を浮かべ手を振りながら広場から出て行った]
……て。
[背後から聞こえた、声。
それを聞き違える事などは、なく。
ぴしり、と。
音が聞こえそうな感じで硬直する様は、付き合い長い者からすれば『いつもの事』と映るはず]
ん、あ、ああ。
祭りの時期は、風も、はしゃいでるから。
[なんとか平静を保とう、と頑張りながら、ハンスに頷く。
口元の歪みには、緊張もあってか気づくには至らず。
それでも、本当に嬉しそうな少女の様子に、ほんの少し、緊張は緩んで]
……今度は、飛ばすなよー!
[広場から離れる背に向けて、こんな言葉を投げかけておいた]
[公衆の面前であれこれをやらかすつもりは、今となってはない――
が、昔には色々とあったわけで。
過去を知る者からすれば、やはり『また何かやらかすのか』と見えることだろう]
[少女が駆けて行った後、ゆっくりと歩みを進める]
人助けは感心するけれど。
それとこれとは別、よね。
[アーベルの陰になっていたのもある]
[こちらも弟に話しかけるまで彼女に気づかなかった]
……エルザ。
[けれど忘れられる声ではない]
[一拍を置いてからそっと名前を呼んだ]
[アーベルが固まるのを見て逆にこちらは逆に動けるように]
お久しぶり。
元気そうで良かった。
え、えーと。
[それとこれとは別、との言葉。
答えようがなくなり、視線がまた泳いだ。
周囲に助けを求めようがないのは承知している、のだが。
反射行動だろうが、距離を開けるハンスには一瞬だけ、縋るような視線が向いた。
かも知れない]
[距離を近づけたことで、アーベルと話す者の姿が窺えた。
呼ばれる名。音の内に潜む、懐かしい記憶。
半ば、弟を睨みつけていた翠眼が瞬かれる。
まじまじと男を見詰めた後、表情がぱっと変わった]
……ハンス?
[久しぶり、と言を注ぐ前に、離れた男に再びジト目になる]
……昔みたいなことは、しないったら。
やっても直らないし。
[やや不穏な理由を告げ、視線はハンスに固定したまま、
アーベルに詰め寄るという器用な行動を取った]
[姉とハンスの様子を見つつ、何とか逃げる隙を伺っていたものの。
姉の視線がこちらに向いていない事で、油断が生じたか。
伸ばされる手に気づいたのは、到達直前。
身体能力がいくら高くても、それだけで避けられる距離では──なかった]
[縋るような目のアーベルには困ったように笑うのみ]
[この件に関しては役立たずもいいところだ]
いや、その。
反射っていうものがね。
[器用な詰め寄り方をするエルザに引き攣った顔を向ける]
[視線に絡め取られたように動けなくなった]
[耳へと伸びた手を見てアーベルに内心合掌する]
─広場隅・ベンチ─
痴話喧嘩……ではなさそうだな。
興味無さそうだったもんなぁ、あいつ。
なぁアンタ、あの美人は誰だ?
[ベンチに座り足を組んだまま]
[ここに来た時と同じように、傍で準備をしている街の者に訊ねる]
……へぇ、あいつの姉、ねぇ。
彼女も楽団に居るのか。
[返ってきた簡単な説明に隻眸は青年の姉へと向く]
[丁度お仕置きタイムに移行しそうな場面だった]
反射になるような悪いことでもしたの?
[違わず掴んだ弟の耳。
普段は鍵盤を叩く指は力強い。
そのまま、斜め上に引っ張る]
毎日のように飽きもせずサボる弟より、
ちっとも帰って来ない貴方のほうに怒りたいけれど。
[冗談めかした物言いではあるが、手の力は篭めたままだ]
[帽子を受け取って嬉しそうに駆けて行く少女を手を振って見送っていたが、突如現れアーベルに詰め寄るエルザと懐かしそうに喋っているハンスとたじろぎまくりのアーベルをぽかーんと見ていたが]
……………あれ? 私だけ蚊帳の外?
「ナニコノクーキ。スッゴイシュラバナノゼ」
[そう呟きつつ、事が済むまでそこで傍観しているので*あった*]
[いつの間にか中心となった人物には余裕があった。
片目だけの視線を感じたか、ハンスに向いていた眼差しが動く]
……。
この時期だと、見世物になるかしら。
[今更なことを呟いて、アーベルの耳から手を離す。
それでも、たっぷり数十秒は引いていた]
……いっ……。
いた、痛いって、ねーさんっ!
[傍観者たちの思惑に気づく余裕などは、どこにもなく。
避けそこなった、と思った直後の痛みにじたばたと。
完全傍観者モードの隼は、呆れたようにその様子を眺めていたり。
異様に長く感じる数十秒の後、解放されると、は、と息を吐いて]
っていうか、こんなに風が楽しそうにしてる時に、籠もってなんからんないってのに……。
[口走る言葉は、その意を知らぬ者からすれば、意味不明でしかないもの]
痛くしているんだから当たり前。
止めないハルフェも同罪扱いするよ?
[傍観者と化している隼に釘を刺し、]
やることをやってからなら、私も何も言わない。
風にも聴かせ、乗せて運んで貰うための練習でしょう。
[離した手を当てて、ため息交じりに言う。
首筋に落ちた髪を掬い上げ、払った]
それに。
働かざるもの食うべからず。
食事抜きが良い?
[痛そうな状況から顔を逸らした]
[同時にエルザの視線からも目を逸らした]
いや、帰っていないわけでもないけれど。
楽団にはもう足を向けにくいからね。
[何が何でも避けていたわけではない]
[けれどエルザと顔を合わせるのもバツが悪かったのもまた事実]
[演奏を聴くときもずっと離れた場所からばかりだった]
ああ、これは失礼をしました。
[ゲルダの声が聞こえれば軽く謝っったり]
[喋る人形には不思議そうにするも驚く素振りはあまりなく]
[反応があれば簡単に名乗りもするだろう]
……見世物?
[エルザの視線を追いかけて沈黙]
[嫌な相手に微妙な場面を見られていたものだ]
[釘を刺された隼、えー、と言わんばかりに羽ばたき一つ]
まあ、そうだけど、さ……。
[ため息を交えての言葉には、ぼそぼそと。
その間にもふわり、と周囲を巡る風は、さながらからかうように花弁を巻き上げて]
う、それ、は……。
[どうにも反論できない所に止めの一言。
この調子では、いつもの逃げ場に飛び込んでも、分が悪いのは目に見えているから]
……わかりました、戻りますー。
[結局、口をついたのは、どことなく*投げやりな一言*]
……そういうものかしら。
[ハンスの口から「楽団」の単語を聞けば、先までの勢いは落ちる。
元々血気盛んというわけでもなく、親しいものに対してのみではあるから、
普段の調子に戻ったとも言えるのだが]
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