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[ふらり。
方角も分からぬまま足を向けたのは南の方向。
あと少し移動すれば廃墟から砂の広がる熱所へ辿り着く。
その境目、砂地へ足を踏み入れる直前。
ひらりと舞い落ちる白]
…紅とも、黒とも対比されしもの。
時には全てを覆い尽くすもの。
そして──何にでも染められ易きもの。
無垢なる者もいずれは何かに染められる。
まっさらであるからこそ、影響されやすい。
[脳裏に浮かぶのは昨日言い合った少女。
彼女の純真さは、背に生える白き翼が象徴しているようにも見えた]
ふ……ならば対立するのも当然。
紅でもあり、黒でもある私ならば、尚更。
彼女は一体どんな色に染まるのかね。
絶望の色に染まって欲しいところではあるが。
[宙を舞う白をひとひら、その手に収めて握り締める。
柔らかなそれはすぐに手の中で水と化し、色が無くなる。
黒き燕尾服に白き雪が舞い降り、覆っていく。
それを厭うかのように砂地へと足を踏み入れた。
気温の高い南部・砂漠。
黒を覆った白はすぐに消え失せた]
[声の響きの違い。
そこに込められたものは何か。
そこまで考えはしない、けれど]
……手遅れだかなんだか知らんが、このまま止まったまんまじゃどうにもならんのは、同意だしな……。
[口元に浮かぶのは、孤狼の笑み]
Ein Faden geworden die Klinge…….
[糸に加えられるのは、刃]
……始めると……するかっ!
[言葉と共に、糸が舞う。
まず左へ、そこから右へ、大きく腕が振られ。
糸は一度たわんだ後、左から右に抜ける鋭い斬撃を放つ]
[アーベルが鍵盤の蓋を閉め、外へと向かう。
その後を追うでなしに、そっとピアノに近付くと
見よう見まねで鍵盤の上に指を滑らせてみた。
彼女の知る歌は少ない。
その少ない歌の一つが、彼の奏でる歌。
外の様子も露知らず、右手の人差し指だけが鍵盤を辿る]
/中/
対戦中の庇いは考えてなかったorz
チーム間だと、一方が待機することでどうにかなるけど、フリーで庇える連中は、そこら考慮しないとならんかったのだった……とほりorz
(取りあえず考えよう。超高速で)
進まねば手に入らない。
[右より襲い来る糸に向けて刃を跳ね上げる。
絡まる前に、強度のあるうちに弾くように上空へと振り抜いて]
そうだろう?
[静かな問いを口にしながら、半歩左へ。
しなやかに右手が半円を描き、二条の電撃が時間差を持って糸の使い手へと襲い掛かる]
<薄っすらと雪が、地面を白く染めていく。
けれども積もることはなく、ただ、色を変えるだけ。
靴の爪先が、細かな結晶を蹴る>
[本物と、まるで変わりはない。
旋律からつたない音へと変わった音を探すように、足は廃墟の奥に向いた。
その発生源のある場所は、一度赴いた事があった。
ゆえに、辿り着くのは容易。
途中の争いの音は聞こえたが、立ち止まりはしなかった。]
…………。
[白い球体が少女の瞬きにあわせ明滅する。
目の前にはユリアンとユリアンのおともだち。
目線を合わせるユリアンにおずおずと。
…靴のことを言われても、
それが何かを知っていても、少女自身用は持っておらず。
困ったように眉を八の字。]
[背中を向けられれば、瞬間泣きそうになる。
……発された言葉に、言われたとおりしがみついて
泣きそうになったのとは違う理由で泣きはじめ]
[冷えた指先を、一度握って、緩める。
モニタを操作するボードへと、歩み寄って。
撫ぜるように触れると、何処か慣れた手つきで操り始めた。
幾つも並ぶモニタに映し出されるのは、各エリアの中継。
散らばる人影を追う様に、視点を切り替えながら
必要な映像だけ、拾い上げてゆく。
接続を切り替えて、録画。転送。]
……こんなもんですかね。
[点滅するDL完了の文字。悴む指先でキーを叩いて、画面を終了させる。
――と、僅かに強まった白の舞に、小さく舌打ちを零した。]
[跳ね上げられた糸を、引き戻し]
ああ……立ち止まってたら、何にも掴めやしない。
[だからこそ]
俺は、先に進む……それを阻むなら、ぶち破るのみ!
[言葉と共に、迫る雷撃に、舌打ち一つ。
一条は避けられたものの、時間差で来るもう一条は、態勢的に完全には避けきれず]
ちっ……。
Tanzen Sie einen Faden!
[念を強めた糸を叩きつけるように舞わせ、力の拡散を試みつつ、後退して、直撃だけは回避した。
それでも、伝わる衝撃はかなり、大きい]
[ぽつぽつと紡がれる歌声は発音も危うげで。
到底彼のものと似ても似付きやしないけど。
そういえば、アーベルは何処へ行っただろう。
遠くなければ、空から探せば見つけられる。
そう思い、窓にまた足をかけようとして寒さにふると震える]
――さむ、い。
[近付く者の気配には、まだ気付かずに]
……、だから。
[――室内で凍死する心算は、無いんですがね。
直ぐに弱まった六花の舞を見上げて、眉を寄せる。
この降り頻る白の原因も、仕掛けも判っては居るのだが――
判っていたところで、少なくとも現状対処する術は
…残念ながら、持ち合わせて居ないのだし。]
――、…。
[溜息を零して。再び、キーを叩く。
再度モニタに映し出されるのは、――白を降らした少女。
右下に表示された、場所を示す数値を記憶に入れると
素早い手付きで――僅か苛立ち交じりに、画面を閉じた。]
[背中で泣き出した李雪についてきたらしい藍苺が若干気まずそうに姿をあらわしたのを見れば、僅かに苦笑する。
猫はするすると定位置の肩に乗り、ちらりと金の少女のほうを振り向いたが尻尾をくるりとくねらせれば、どっちもどっち、とばかりににゃーと鳴いた]
…じゃ、お先。お前も風邪引く前に戻れよー。
[李雪を背負って立ち上がると、手を触れない主の変わりに黒い仔猫は尻尾を間歩く振ってにゃあと鳴き。
しばらくして、二人の姿はメディカルルームへと移り、ベッドの上に李雪を降ろせば、無言のまま手当てを始める]
−そしてメディカルルームへ−
[もぞ、と起き上がる。
たっぷり寝たので、ねむたくはなかった。
むぃむぃ文句を言いながら、見上げると点滴は終わっていたので腕から針を勝手に引き抜き、部屋を出た。]
…あーあ、一張羅…。
[歩くと、スカートとエプロンがぱっくり割れている間から足が出、しょんぼり。]
破れるものならね。
[雷撃の軌道を追うようにして距離を縮める。
刃に纏わせた雷光の音が高くなり、白色の光となる]
こちらも掴みたいものがある。
[後退し糸で迎撃するのを見て、更に一歩踏み込む。
浮揚に回していた力が一時下がり、片足が地面についた。
そのまま左手の刃を突き込むようにアーベルへと伸ばす]
簡単に破れるとは思うな。
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