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[彼が殺したなら、彼らがやったのではありません。
そうしてまた、殺されたのも彼らではありません。
わたしはそのことに安堵していました。]
まあ……お気持ちはわかります。
[メモのクインジーの欄に何かを書き添える。]
誰も彼も、怪しく見えてしまうのは仕方がありません。
私もそうです。疑心暗鬼に陥っていますから。
少なくとも、私はそれを責めはしませんよ。
[努めて。努めて過剰に善人ぶろうと。]
こういう時だから。
[狼狽を指摘することなく]
[そもそも気にすら止めぬ風に、糸目から視線を外す]
だから、その様に笑われるのですか?
――うん、そうだね。
[クインジーの問いを含んだ肯定を、肯定する]
一人で歩いていたら殺されるのなら、
部屋に篭っていたのは正解だったみたい。
[行き来する視線に、何を驚くのかと言いたげな眼差しが向いた]
[そんな記憶が曖昧ながらに戻ってくる。
届いた声に顔を向けて]
避けようも無く与えられる死から。
そのままでは確実に齎される死から。
[足元を仮に覆っていた布らしきものが見えない。
踝の辺りに赤黒く残る枷の痕]
逃げたいと、思って。
逃げてきたはず、でしたのに。
[二度目の溜息。そして瞬き]
…ハーヴェイさ、ん?
辛気臭い表情をして、解決するのならやりますよ。
その方がいいなら、そうしましょうか?
[指摘を受けて、不器用に表情を変える。]
気持ち次第で状況が好転することはないので。
私がすべきは、情報を集めて冷静に分析すること。
そこに、感情を差し挟む余地はないのですよ。
[淡々と、メモに今聞いた情報をまとめている。]
まあ、手を貸してほしいといっても、外まで運んでいるんだから穴を掘るくらいだ
終焉を齎す使者なら――そのまま放置しておいても良いかもしれないが
[窓の外へと視線を投げる]
終焉の使者がもしかしたら誰かを殺しているかもしれないが、己は見なかったぞ
……よお。
[ようやく、こちらの存在を認識したかのような声に、ごく軽く挨拶を投げる]
死から逃げ出して。
それでも、ここで捕まった……か。
因果なもんだな。
[問いへの答えに、掠めるのは苦笑。
紅蛇が笑うよに、ちろりとあかい舌を覗かせる]
それなら、私は手伝いますよ。クインジーさん。
[申し出を承諾する。]
その代わり、一応死体を見せていただきたいものです。
それが無理なら、凶器と抵抗の有無など詳しく教えてほしい。
[クインジーの顔を、鋭く左眼が捉える。]
何食わぬ顔で、食害を被らせた死体を処分する
手伝いをさせようとしている線を消したいので。
歩いてたら──殺されるんですか。
しかも「違っていたようだ」で済まされてしまうとはたまったものではないですね……
いやはや。
[男は些か疲れたように首を振る。]
[目を覚ましたのは陽が昇ってから。窓から陽の光が零れ落ちて来る。覚悟が出来ているためだろうか。あの現場を見ても魘されたりすることは無かった]
[服を直し、己が牙をケープの中へと隠し。部屋の扉へと近付いた時だった]
………。
[廊下に人が集まっている。おそらくはあの現場に集まっているのだろう。扉越しではっきりとはしないが、声も耳に届く]
[何となく、彼らに合流せずにそのまま耳を欹てた]
[イザベラの指摘に頷き]
そうですね。私も確認しておきたい。
あなたが襲った死体を偽装していないか、見極めないと。
[クインジーの隻眼をじっと見つめる。]
…所詮は他人。
そういうことですか。
[少女の死を悼む声は聞こえませんでした。
そういうわたしの声こそ、淡々と聞こえたでしょう。
その至極小さな声が、耳に届く者があればの話ですが。]
見に行けばわかるさ
己の手でやったもんだとな
――調べるためには殺すしかないんだ、
仕方ないで済ませるに決まっているだろう
生きている時には調べられないんだからな
[ナサニエルに言い、男は血の痕の続くほうへと歩を向ける]
死体には何もおきてないはずだ
凶器は刃物
必要なら見せるがな
[そして、その死体の傍に辿り着くと*弔いを*]
今ここにいるのが、ナサニエルさん、キャロルさん、
ラッセルくんにニーナさん。クインジーさんと私。
[メモを見ながら、淡々と事実を描写する。]
いないのが、シャーロットさん、ギルバートさんに
あの乞食みたいな方、そしてハーヴェイさんですか。
[右眼は虚ろ。]
無事を確認したいところです。
生きる為に殺す――そういうことだね。
[床を濡らす色彩に、今一、目を落として呟く。
其処だけ、まるで、闇が広がっているかのように思えた]
ネリーが。
[少しだけ、口許を抑え押し黙る]
[チリン]
[心が動いたのは、鈴の音が僅かに語る]
手伝えは出来ないかもしれませんが。
お別れを言いに、行きます。
[誰か向かう人間がいるかと*見回した*]
そもそもどうして使者でないと分かったのか知りたいですよ。
何も酷い殺し方をするだけが、使者の殺しと決まった訳ではないでしょう。
刃物で殺す場合もあるかも知れませんよ。
それからあなたが使者で、適当な事を言って、無実の人間を殺したのかも知れないでしょう。
[クインジーの後を追いかけながら、その背に疑念を投げ付ける。*]
ごきげんよう。
[投げられた挨拶に確りと礼を返してから。
この状況下ではおかしかったかと困惑の色を浮かべる]
はい。逃げていたことだけは、思い出せました。
しかしこの状態は。
死して尚、如何しろと言うのでしょう…。
[問いを投げながら、翠は紅へと引き寄せられる]
力仕事は苦手ですけど、情報の対価に。
明日、また「おはよう」と皆に挨拶できる保証も
ないですし、思い出作りも兼ねてということで。
[メモを懐に*しまいこむ*。]
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