細工物屋 玲は、桜吹雪収まり、目を開ける。けれどそこに母の姿はなく。

細工物屋 玲は、代わりに在る春の姿に空色の袖で目をこする。その腕の中に母が。

小説家 榛名は、きょとんとした。

細工物屋 玲は、すいと裾を引いて立ち上がり、心配そうに母の元へ。

細工物屋 玲は、桜の下には空の杯一つ。

少年 翔は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、泣きそうな顔。

研究生 孝博は、む？とやっと変わった雰囲気に気づく

小説家 榛名は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

小説家 榛名は、細工物屋 玲の言葉に首を傾げた。こてん。

研究生 孝博は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、ぺたりその場に座り込んで、幼子に戻ったようにすすり泣く。

職人見習い 裕樹は、左目からゆると手を離す。視線の先には孝博。

小説家 榛名は、細工物屋 玲を不思議そうにみる。

青年 聡は、深く、ふかくため息をついた。

歌姫 琉璃は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、瞬く左の眼は緋の光を零す。

細工物屋 玲は、思い出すは八重子おばあさまのお話。門の向こうとこちら。

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

青年 聡は、ぺしり、と桜の幹を軽く叩いて。

職人見習い 裕樹は、左右異なる色の眼で、周囲を見渡し。

少年 翔は、職人見習い 裕樹の色違いの眼を認めて。

研究生 孝博は、聞きながらも携帯をぽちぽち

職人見習い 裕樹は、翔に気づき首傾げ。左眼は緋から元の蒼に。

細工物屋 玲は、髪に触れる手に涙に濡れた目を上げ、香る甘さを探すよに。

細工物屋 玲は、再び涙が零れるも、ひろの声に眼差しはすこうししっかりと。

細工物屋 玲は、門を探し見回すも、母の精神も門も見ること叶わず。

職人見習い 裕樹は、少年 翔に左眼を示しつつ。答えになってない。

青年 聡は、なんか一人で達観している。らしい。

細工物屋 玲は、歌姫 琉璃の心遣いに、数拍遅れて礼の言葉と頭を垂れる。膝に雫ぱたり。

職人見習い 裕樹は、少年 翔の達観した表情にも、相変わらずの笑みを向けつつ。

細工物屋 玲は、研究生 孝博の言いように、すこうし口元に笑みを浮かべて。瞬きぱたぱたり。

少年 翔は、――……ふ。

細工物屋 玲は、母の頭を膝に乗せ、雫散らした睫毛を伏せる。

細工物屋 玲は、母の髪撫で花びら払いつつ、自身は薄墨*降り積もる*

職人見習い 裕樹は、口許に手を当て、小さく呟き。

青年 聡は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、樹上を見上げながら、足許の仔猫を*抱き上げた。*

細工物屋 玲は、ふと掠めた仄かな光に、眼差しを移ろわせて。

細工物屋 玲は、小説家 榛名の頬に指先で触れ、雫の後を辿る。

細工物屋 玲は、幾度感じた甘い記憶辿り、目を閉じる。瞼裏には*白の花*

細工物屋 玲は、すこうし変わった空気舞う薄墨色の花びらに、首を傾げて。

細工物屋 玲は、髪に降り積もった花びら、はらりはらり*零れ*

細工物屋 玲は、帯を撫でて、重箱からおにぎりを一つ取り出す。ぱかん。

細工物屋 玲は、蓋の隅におかかと御飯を乗せ、暫定飼い主ごとを手招く。

細工物屋 玲は、好きなものしか入れてないので、のほほんとのたまう。

細工物屋 玲は、おかかおにぎりの半分に齧り付く。はむ。むぐむぐ。

細工物屋 玲は、研究生 孝博が人を呼びに行った方角を見つめ、ぽつり*呟いた*

執事 呉羽は、メモを貼った。

青年 聡は、枝の上でぼーっとしている。ちょっと疲れているようだ。

細工物屋 玲は、はむはむしながらひつじさんにぺこと頭を下げ、蝙蝠男にびく。

細工物屋 玲は、執事 呉羽の籠をじっと見て、あきの着地に思わず拍手。ぱちぱち。

細工物屋 玲は、青年 聡に色んな意味で微妙な小言を言い、ひつじさんに笑み返す。

細工物屋 玲は、青年 聡のジト目に人差し指立てて、め。薄墨さわわ、風もなく。

細工物屋 玲は、執事 呉羽の籠を覗き込み、銀のお爺様の声に振り向く。

細工物屋 玲は、自治会長 銀一郎の大声にも起きない母に、伏せた瞳に憂いの色。

細工物屋 玲は、けれどすぐに首を振り、少し離れてる場所へ声を投げる。

細工物屋 玲は、少年 翔に重箱を持ち上げて示し、あきの言葉に首傾げ。

細工物屋 玲は、執事 呉羽のおにぎり評価に目をちょっと見開いて、視線うろうろ。

細工物屋 玲は、ゼリーを貰い、少年の言葉に頷く。

執事 呉羽は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、少年 翔に重箱とほうじ茶を勧め、ひつじさんの問いに困り顔。

小説家 榛名は、目を覚ました。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

小説家 榛名は、少年 翔を見た。

自治会長 銀一郎は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、執事 呉羽から半ば逃げるよに視線を逸らし、はるにお弁当を勧めた。

小説家 榛名は、細工物屋 玲に感謝して、目をきらきらさせながら*手をのばす*

少年 翔は、小説家 榛名の視線も呼びかけも無視。おにぎりもぐもぐ。

細工物屋 玲は、桜の樹に同意を求めるように見上げ、薄墨の花びら*はらり*

少年 翔は、ぴたと動きを止め、視線だけを移ろわす。

青年 聡は、メモを貼った。

執事 呉羽は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、青年 聡の説明に肯定の頷き。俯いてゼリーのさくらんぼ、ぱくん。

細工物屋 玲は、少年 翔の怒りのオーラは気付いていないのか*いないのだ*

自治会長 銀一郎は、青年 聡の視線を追ってみた。──桜だ。

青年 聡は、少年 翔の「病院モノ」の言葉になんかまた共感したらしい。

職人見習い 裕樹は、仔猫共々もくもく食事中。会話そっちのけ。

細工物屋 玲は、青年 聡と翔をじっと見つめ、さくらんぼの茎を弄ぶ。結び目くるり。

職人見習い 裕樹は、重箱閉められて残念そうにそんな台詞を。自分は棚の上。

自治会長 銀一郎は、蓋を押さえたまま再び、じぃぃぃぃぃぃぃぃ。*

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹に大いに同意頷いて、また二人をじっと*見た*

職人見習い 裕樹は、青年 聡に首傾げて問う。おにぎりが食べたいだけかも知れない。

職人見習い 裕樹は、細工物屋 玲に頷きつつ、聡の言葉に思案気に桜を見。

職人見習い 裕樹は、青年 聡に視線を戻す。

少年 翔は、メモを貼った。

研究生 孝博は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、青年 聡の頭をぽむぽむ撫でようとしつつ、孝博の声に振り向き。

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博の言葉を真に受けた。

青年 聡は、メモを貼った。

少年 翔は、メモを貼った。

少年 翔は、青年 聡に、「……今も？」と、重ねて、問う。

青年 聡は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博と聡双方の言葉を受けるように、桜に視線を送る。

職人見習い 裕樹は、広げられた食料、自分の携帯、桜の順に視線を巡らせ。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹にこくこく同意返し。あきの視線追い、桜見上げて呟く。

細工物屋 玲は、研究生 孝博の花見の大荷物に、期待はずれしょんぼり。

青年 聡は、「……聞いた俺が馬鹿だったか」と、ぽつり。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博からお茶とおにぎりを受け取り、変なところで同意してみた。

職人見習い 裕樹は、青年 聡に携帯の時間表示を示しつつ、翔を見た。

細工物屋 玲は、がっかりした事を申し訳なく思いつつ、ぺこんと頭を下げた。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博の言葉を真に受けた。りたーんず。

職人見習い 裕樹は、もぐもぐごくごくしながら、翔をちら見。

小説家 榛名は、きょろっと辺りを見回した。

小説家 榛名は、首をかしげた

少年 翔は、沈黙は、肯定の意を含む。

職人見習い 裕樹は、少年 翔に問い。聡と見比べながら。

小説家 榛名は、まあいいやと、くいくい何かひっぱりよせてみる。

細工物屋 玲は、寝具敷きつつあきに答えて母を寝かし、ひろに感謝の眼差し。

小説家 榛名は、・・・・・・こてん。

職人見習い 裕樹は、などと、一方では暢気な会話を続けていたのだが。

小説家 榛名は、綾野が動かないのに、不思議そうな顔をしている。

細工物屋 玲は、研究生 孝博にお礼代わりに肴勧めつつ、はるの様子に首を傾げた。

職人見習い 裕樹は、少年 翔をちらりと見て、ふと顔を顰め。左眼を押さえる。

青年 聡は、メモを貼った。

小説家 榛名は、　　　　しばらくしてまた首が反対に、こてん。

小説家 榛名は、メモを貼った。

青年 聡は、メモを貼った。

小説家 榛名は、細工物屋 玲に応えず、桜の木をみる。じい。

細工物屋 玲は、小説家 榛名に釣られて首を反対側に、こてん。鏡写し。

職人見習い 裕樹は、寝ていた仔猫がぴくりと耳を立て。

職人見習い 裕樹は、左眼を押さえたまま、周囲を見渡して。

職人見習い 裕樹は、青年 聡にことりと首を傾げつつ、手を離す。左眼は緋色。

青年 聡は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、青年 聡の溜息に、困ったように瞳を細めつつ。視線をずらす。

職人見習い 裕樹は、周囲を見渡す緋の視線が、榛名を捉えた。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹の目に気付いていない。