小説家 榛名は、細工物屋 玲にとてとてと近づく。ふわり。あまいかおり。

細工物屋 玲は、ふわり漂う甘い香りに、桜に向けていた視線をはるへ向けた。

青年 聡は、メモを貼った。

歌姫 琉璃は、メモを貼った。

小説家 榛名は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、ようやく辿り着いた甘い香りの記憶に、ふわっと笑んで。

小説家 榛名は、香りはまるで絡め取るように

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、ぎ、と眉を顰めて。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

青年 聡は、メモを貼った。

小説家 榛名は、ひびく声に、怒られたようにきゅっと目を瞑った

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、甘い香りに絡め取られたよに、こくん、頷いて――目を閉じる。

職人見習い 裕樹は、緋に映った姿に、その名を呟く。届いたかは分からない。

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

少年 翔は、メモを貼った。

研究生 孝博は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

青年 聡は、メモを貼った。

歌姫 琉璃は、メモを貼った。

青年 聡は、風の渦は、二人の少女の合間を流れ、阻む壁のよに。

小説家 榛名は、びっくりした顔。

細工物屋 玲は、青年 聡の声に重たげに瞼を持ち上げ、視界に写るは花嵐。

小説家 榛名は、気配に桜を見た。きょとん。

青年 聡は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、愛しげに目を細めて、ぽつり。

小説家 榛名は、少年 翔にたたかれてしょんぼりした。毛先の花が散り、消える。

職人見習い 裕樹は、桜を見上げはしたが、視線はすぐに外れ。

職人見習い 裕樹は、頭を掻きつつ、榛名と翔のほうへ近づく。

研究生 孝博は、メモを貼った。

小説家 榛名は、にこーっと、どこかを見て笑った。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹に気付いてそちらを向いた。きょとん。

細工物屋 玲は、風に散った香りに意識は桜へと向かい、狩衣の残像にきょとん。

少年 翔は、銀一郎の身体を*にらみつけた*

職人見習い 裕樹は、桜を見て困ったように言いつ、榛名に視線を戻し。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹に、こっくり頷く。

細工物屋 玲は、小説家 榛名と翔の様子に首を傾げて。そっと桜の…あきの元へ。

職人見習い 裕樹は、屈み、異眸で覗き込むようにして榛名を見た。

執事 呉羽は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、頷きに、小さく首を傾げて問いを続け。

細工物屋 玲は、青年 聡に問うでもなく呟き、銀のお爺様を見て眉を落とした。

青年 聡は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹とあきの遣り取りに物悲しい目で桜を見上げ、ぽつり。

職人見習い 裕樹は、小説家 榛名の頭に手を置きつつ、視線を翔に。

細工物屋 玲は、黒のショールで覆われた銀一郎の側に膝を付き、白髪を撫で溜息。

少年 翔は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹と榛名の会話へ声を投げて。薄墨の桜を*じっと見つめた*

少年 翔は、おれわるくない。

職人見習い 裕樹は、なんて言いながら、榛名の頭をわしゃわしゃ撫でようと。

青年 聡は、メモを貼った。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹に撫でられる。

細工物屋 玲は、青年 聡の声に視線を下へ移し、そっと銀一郎から離れその側へ。

職人見習い 裕樹は、少年 翔に首を傾げつつ、榛名を宥めるように撫で撫で。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹に撫でられて、感極まってぎゅうと抱きついた。

細工物屋 玲は、道行を肩から落とし、あきへとかけて。はるの答えに困り顔。

職人見習い 裕樹は、小説家 榛名に抱きつかれ、困ったようにへらりと笑い。背中をぽむぽむ。

小説家 榛名は、でも文句を言って、落ち着いた様子。

小説家 榛名は、メモをはがした。

小説家 榛名は、桜にお願いをするために*見えない姿で探す*

細工物屋 玲は、桜にお願い、というか懐柔的な言葉を呟いた。*薄墨ひらり*

少年 翔は、あっかんべ。消える榛名を見送る。

職人見習い 裕樹は、離れる榛名に、軽く手を振ってお見送り。

少年 翔は、むっすー。

職人見習い 裕樹は、少年 翔に、そんな無責任なことを言ってみたり。

職人見習い 裕樹は、少年 翔のじと目にもあっさり頷きつ、異眸のままで桜を*見上げ。*

少年 翔は、追って桜を見るも、やっぱり、*すっきりしないまま*

細工物屋 玲は、小説家 榛名の消える姿を掠め見て、小さく応援。

細工物屋 玲は、桜をじっと見上げて。空色の着物に薄墨の花びら*ひらりはらり*

小説家 榛名は、桜の木のてっぺんに、見えない身体で腰掛けた

小説家 榛名は、桜の木の幹に触れる

青年 聡は、メモを貼った。

少年 翔は、メモを貼った。

執事 呉羽は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、見上げていた視線を気配の方へ移ろわせ、瞬き。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、首を傾けぬまま呟いて、ひそり二人の会話に耳を傾ける。

小説家 榛名は、メモを貼った。

研究生 孝博は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、研究生 孝博のほろ酔い話に微かに笑み、狩衣姿に目を向ける。

細工物屋 玲は、研究生 孝博に同意して、酒の誘いに頷く。年齢は笑みで答えぬまま。

青年 聡は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、不安げに母とはるが消えた場所を見比べ、眉を下げる。

研究生 孝博は、メモを貼った。

執事 呉羽は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

歌姫 琉璃は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、桜に呼びかけようとして、名に惑い…視界舞う花びら。

細工物屋 玲は、まいすみ、と口の中で繰り返し、ひろの言葉に笑む。

職人見習い 裕樹は、お茶飲む傍ら、話を聞き。仔猫は円い眼で桜人を見る。

青年 聡は、話す声に気づいてか、うー、と唸りつつ、身じろいで。

職人見習い 裕樹は、緋蒼の眼を細めて呟き、仔猫の頭を撫でる。

青年 聡は、伝わる波動に、目を覚ました。視線はぼんやり、梢へと。

細工物屋 玲は、舞墨の動きを目で追いかけて、唸り声にそちらを見る。

職人見習い 裕樹は、青年 聡が起きたのに気付くか気付かずか。どちらが苦労するのかも不明。

執事 呉羽は、陽炎の動きを追うように視線を動かす。

細工物屋 玲は、囁くよにあきに告げて、視線を梢へと。じっと見守る。

職人見習い 裕樹は、見守る緋色は、じわりと色を冷まして行く。