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……。
[血を口から流したまま、無表情に男は横たわったまま、ブラウンを見つめた]
……おかしなことを。
貴様までもが、人の心配か。
[それはいつの頃からなのか。
男にとって、言葉を長く喋るのは、戦闘を終えてからのほうが多くなっていた。
それが何故なのか、何の為なのかは、誰にも分からない]
……終わった、か?
[『運命の輪』と『吊るされた男』
輪に絡められて吊られた男の紐が切れる]
……かくて『運命の輪』は回り続ける、か。
色々なお仕事の内容があるんですのね…。
きっと有能だと評価されてのことなのだとは、思いますけれど…。
[大変そうだとは言外に滲む]
…そう、ですね。
確かに戦う上では苦手になりそうだとは思いますけれど…。
自分の怪我に関しては、やはり、得手不得手があるものなのかと思いまして。
[あくまでも身体は、普通の人間に程近いがゆえに。
狐の感覚は理解から遠いようだ]
気にするなと言われると、気になってしまいますわね。
[かと言って、望まれなければ手を出しはしないだろうが]
…そんだけ減らず口叩けりゃ充分か。
『魂の檻』で、誰かに治してもらいな。
[横たわる男に、小さく息をつきつつ]
何。
『猟犬』が『仕事人』を屠った、なんて噂が流れてくれちゃあ。
俺は『闇金の猟犬』として生きてけねぇだろうが。
厄介事はごめんだねぇ。
[これでも、一線からは退いた身だ、と。
中指で眼鏡を直しつつ言った]
……ふん。
減らず口はどっちだ。
[言いつつ、無理やりに片膝の状態になると、ビルへと背中を預け、懐の4枚のカードを適当に放り投げると、煙草を1本だけ火をつけ、その残りもブラウンに投げ捨てた]
……仕掛けは空振りか。
[結局、最後に仕込んでおいた最大の仕掛けは使わず仕舞いに終わる結果となった。
いや……ブラウンならば、気づくだろうか。
先程の爆発がその仕込みの軽いジャブであることを。
最後の仕掛け。
それは、この廃墟のビル郡、全てを吹き飛ばすという恐ろしく大掛かりな仕掛けであるということを。
そして、それを成すための手段までもが、ブラウンならばすぐに思いつくことだろう。
最も、使用するかどうかは男にさえ分からないが]
[氷の虎は名残の風を蹴り宙を駆けてゆく。
態の一つをそのまま写した虎と意識は一体化して、本人は元の位置に立っていた]
ガッ!!
[獣は銀の輪を避けもせずに受けながら天使へと踊りかかる。脚を一本失いながらも、天から叩き落そうと身体全体で圧し掛かった]
っ!
[怪我そのものは共有しないが、衝撃は同じく氷華にも届く。
左肩から再び血を溢れさせながら片膝をついた]
空振りで結構。
お前さんの仕掛けと言われると、物騒な物しか思い浮かばん。
それこそ、俺諸共吹っ飛ぶ、みたいな、ねぇ。
[まさかとは思うが、と付け加えて釘を刺す]
ま。
俺が言っちゃあ難かも知れないが。
――引退には未だ早いぜ。『地獄への案内人』?
[そう言葉を投げかけると、カードを拾い上げる]
[決着がついたらしいそれから目を逸らし、もう一つの戦場へと]
こっちも、決まった、かな?
[発動されたカードの気配、ああ]
……天使が、堕ちてくる、か。
って、直進!?
[銀を避けずに突き進む、虎。
予想外が動きを鈍らせたか、圧し掛かる体躯を避ける事はできず]
……っく!
[残された足が肩を捕らえ、爪がそこを引き裂くのが感じられた。
光の羽根が、ひら、はら、と散る]
……堕ちる……もんかっ!
[衝撃に地へと叩き落されつつ、それでも。
直前の回転で体勢を整え、着地を決めたのは翼あるものの矜持か。
着地したその傍らに、手を離れていた輪ががつ、と音を立てて突き刺さる]
ったぁ……きっつい、なぁ、もぉ……。
…仕事に楽しみ、ですか?
[さて仕事をしている時の自分に楽しみはあったかと振り返るけれど。
等置できるものは誇りしか見当たらない]
宿題…うふふ、懐かしい響きですわね。
いつか答え合わせはしていただけるのでしょうか?
[楽しそうな響きに問い掛けて、唇に人差し指を当てた]
確かにそのようですわね…。
……勝手に吹っ飛べ。
[元々、人をターゲットにしたかった訳ではない。
この廃墟となった町を吹っ飛ばしたかっただけだ。
そのついでに、策として利用できただけに過ぎない。
この廃墟の至る所に巧妙に仕組まれた爆薬は、誰かが取り除くことが無い限りいつまでも存在し、そして、いつか吹っ飛んで消えていくことだろう。
この町を題材にしたこと、そこがどうしても気に食わなかった。
仕事人として、最初であり、いまだにやらなければいけない依頼の為にも、此処───いや、この外にあるものを守りたかった。
ただ、ロボットのように一途に。
だからこそ───]
……引退など、するか。
[男は、生涯現役で、仕事人であり続ける]
そうは問屋が卸さんよ。
『猟犬』だからねぇ…俺が終わるときは、追いかけられなくなった身体に成っちまったときだけだ。
[此方もまた、まだまだ引退するつもりはない、との表明]
――なら良いがねぇ。
俺もお前さんのような男が居なくなるとつまらん。
[そう呟くとポケットにカードを仕舞い込んだ]
[羽根を散らせた氷虎は、そこが限界であるかのように霧散した。
着地する雷鳴天使の周りに漂い残り、その視界を遮る]
隠し玉、です、から。
これ、楽に避けられたら、立場、がありませ、ん。
[立ち上がり、肩で息をしながらも着地地点へと向かう。
白霧の中から左手を雷鳴天使の顔前へと突きつけた。
先には鋭い爪が光る]
もう一度言いますね。
インフィニティ・ピース、下さい。
[肩入れしていた天使の敗北に気落ちしつつ、地を掌で撫で、するすると植物を育てる。
治癒効果のあるそれは、濃く深い緑の色彩]
残るのはあと二人…
次で終わり、だな。
[カードの主が変わるのを見つめながらぽつりと呟いて。
そうしてまた携帯食を齧る。
見つめるその目はやはりどこか*楽しそうで*]
最終戦…私どちらの方ともお会いしていないんですよね。
[今の闘いからしかそれぞれを推し量れず、どこかもどかしげな表情]
……ふん。
逆に追われないといいがな。
[ビルへ完全に背を預け、天を見上げながら、煙を吐き出す]
精々、不慮の事故で死なないようにするんだな。
[珍しく軽口を叩きながらも、肩にぱらりと小さな石ころが落ちてきたのに気づき、そちらに視線を移し───]
───走れ!
[大声で、ブラウンに叫ぶ]
/*
エピ伸ばし、ということで、今日はそろそろ落ちます。
これからあと一仕事残ってるんだぜ。
では、おやすみなさい。(*ぱたり*)
ま、そうだよねえ。
でないと、隠し玉にならないしー?
[爪が突きつけられても、ペースは崩れる事はなく。
言葉を紡ぐ声は、平時と変わらぬもの。
治癒に関しては、かなりきついハンデを帯びる体質故に。
それに関わる弱みは、可能な限り見せまい、とする虚勢ではあるのだが]
氷華ちゃん、少し、力抜いた方がいいよぉ?
張り詰めすぎると、逆に崩され易いからねー。
[冗談めかした口調で言いつつ、六枚のカードをポケットから出して差し出す。
最後の一枚──『ジャッジメント』には、もう一度、名残を惜しむよに口付けてから、同じように渡した]
[狐の言葉に思わず、くすくす笑い]
えぇ、分かりましたわ、ケイジ先生?
[揶揄うように囁いた]
どちらにしても可能性は低いんですか?
困りましたね…。
[言う程に困った様子は*見当たらない*]
『The Judgement』、確かに。
[6枚目までを受け取り懐に仕舞い。
崩れるよにその場に座り込んだ]
力抜いても勝てるなら、そうしてますー!
でもでも、異形殺しとか、までいた、しー。
おねーさんには、手の内、知られ、てるしー!
[氷の微笑が溶けた後には泣き出しそうな空色が。
相手にも虚勢があると気づけないほどに、戦闘状態の反動に飲み込まれていた]
でも、あきらめられない、もん。
他の手段、なんて。分からない、もん……。
[ぐいぐいと袖口で顔を擦る]
……。
[ブラウンがいなくなった後、がらがらと崩れだしてくるのは、先程のバトルの影響か、はたまた、計り知れない他の何者かの影響か。
ゆっくり、空を見上げると、その場に落ちてくるのは、仕掛けておいて、「落ちるはずが無い」手榴弾の束]
……は。
[動じる様子も無く、男は煙を吐き出しながら、小さく笑った]
───So as I pray "unlimited weapons works."
───(その体は、きっと破壊するもので出来ていた)
[自分のことを悲しむでもなく、卑下するでもなく、現状のままを言い表した、最後の第8節を呟き、その姿はやがて生まれる爆発により姿が見えなくなっていく。
さて、爆発の影響が先か。魂の牢獄に囚われたのが先か。
先程負けたばかりの賭けの*結果は如何に*]
[崩れだした様子に、思わず笑い出す。虚勢ではない、素の笑い方]
あっはは……。
氷華ちゃんは、ほんとっ……。
かわいいなぁ。
[笑いを帯びた声で、言って。
それから、もう一戦、という言葉に、あー、と短く声を上げる]
そーか、確か……『猟犬』のオジサンが勝ったんだっけ。
[手渡す直前に確かめた情報を思い返しつつ呟く]
ま、頑張るんだよー?
というか、負けたら、承知しないからねー。
[にっこり笑ってなんか気楽に言った後。
飴色が、ふ、と上を向く]
さて、それじゃ、ボクは……狐のおにーさん、殴りに行こうか、な?
[冗談めかした口調で言った直後、訪れるのは限界。
自分の存在が、どこかへ呼び込まれるのを感じつつ。
意識は途絶え、飴色は、閉じた。
後に残るは、真白の羽根、*一片*]
うー。
[楽しげに笑われて恥ずかしくなり、拗ねて顔を背けた]
そうなったみたいですね。
犬のオジサンかー。
[札に触れて確認すると溜息をついた]
て、そんな気楽にっ。
…まー、全力で頑張ります。
[それが勝った者の礼儀。
そっぽ向いていた顔を戻して、こくりと頷いた]
……そちらもファイトです?
[殴る理由は知らない。
引き込まれてゆくエリカを見送って深呼吸すると、最後の舞台に備えて身体を休めに*移動した*]
いい歳したオッサンを追いたいなんて物好き、そうそうおらんさ。
――不慮の事故、か。
[ようやく、落ちていた煙草を拾い上げ口へと運んだ。
煙と共に言霊を吐こうとした矢先。
空からの異変に男も気付いた]
ちっ…!
そんじゃあな。
次会うときも仕事以外だと良いンだが。
[踵を返し、その場を駆け抜ける。
男に余裕などはない。
だから、後ろを振り返る事は出来ない。
落ちる瓦礫に興味を移すことなく、男は開けた場所へと出た]
[大きく息をつけば、白い煙が口から漏れた。
先ほど、左腕から湯気を吐き出したように]
――やれやれ。
[小さく呟けば、カードを手に取った]
成る程。
お嬢ちゃんは…負けたのか。
氷華。ねぇ。
[頭を掻きつつ、小さく呟く。
ぽぅ。
カードは光を放ち、力を流転させる。
――『隠者』は眠り、『星』は輝く]
ま。やるだけやってみるかねぇ。
『ジ・タワー』のマスターとして、最後の障害となろう。
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