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─ 前日 ─
[広間にいたキリルとリディヤに展望室で見た光景を伝えた後。
常であれば、キリル>>71やリディヤの様子を気にしたり、展望室へ向かうなら付き添いを申し出る所。
けれど収まり切らぬ動揺と震えにそんな気は回らず、とにかく身体を休めようと早足で客室に戻っていった。
扉に鍵をかけ、しっかりと閉じていた首元を緩めるだけで寝台に倒れ込む。
シャツの下、きつく巻きつけた包帯が息苦しくはあったけれど、それを解ける程気を休められない。
『ゲーム』の始まり告げられる前から不可解な点は幾つもあって、不審を募らせてはいたけれど。]
……なんで、こんなことに。
[小さく言葉零した後、瞑目し毛布に潜りこんだ]
─ 客室 ─
…何で。
[零す疑問は、主人が『鬼』に喰われたという事、ではなく。
まるで何も感じていないような、メイドの様子に対して。
他のメイド達も、変わらないままなのだろうか。
無表情さは、人間らしさを全く感じさせないもので。
気味悪さだけではない、震えが走った後]
……あぁ。
遅かった、か。
[眠り落ちる前、展望室であの紅い月見た時に始まりは認識していた。
冷静さがあれば、こうなることは解ったはずなのに、という呟きを零し]
─ 客室 ─
[一時、瞑目した後、顔を上げる。
過ぎたことを考えるよりも、今のことを考えなければいけない。
自分の命は、自分だけのものではないのだから]
…武器庫を開放したって、言ってたな。
[メイドの言葉を反芻し、ベルトに括ったままのナイフに手を添える。
掌に隠し切れぬ程度の大きさのナイフは、常の護身としては充分。
けれど、この『ゲーム』においてはあまりにも心許なく感じられて。
シャツの襟元をきっちりと閉じ、簡単に身嗜みを整えてから部屋を出た。]
─ →廊下 ─
─ 地下/武器庫 ─
[伸ばした手に触れたのは、刀身が波打った短剣。
重さはそれなりにあるけれど、恐らくは扱い難い部類ではないだろう。
手にしたことで鞘から抜けたそれを再び鞘に収めて、僕は両手でそれを抱えた]
……っ、 ジラント、さん。
[扉の開く音と共に掛けられた声>>101。
それにもビクリと反応して、声の主の名を紡ぐ。
じり、と2人から距離を測るように足を僅かに滑らせ、片目で彼らを交互に見た。
胸の拍動が煩いくらいに早くなり、呼吸は緊張のために浅く細かく繰り返される]
[どちらかをころせば、生き残れる]
[刻まれたナニカが僕に囁いた]
― 地下/武器庫 ―
[気配の主からの返事は直ぐには来なかった。足音も無かった。
固唾を呑んで、振り向いたその扉の方を目で確かめれば、そこにある人影はサーシャ>>94だと判った。
彼の面持ちの色は自分と同じように強張っているように見えて、けれどもその前髪の所為で幾らか読みにくくもあって。
緊張を解かぬまま、彼>>95の言葉に、静かに頷いてみせた。]
ええ。多分、貴方が思っている通りです。
[この場を訪れたばかりのサーシャに、それでもすぐに刃を向けなかったのは、未だ剣の感触に慣れぬ所為。
むやみやたらに刃を振るうリスクなら――ひとりきりの時なら、猶更――解っている心算だったから。
少し離れた場所から、彼が別の武器に手を伸ばすのを横目に見つつ、この場で手を出せなかった自分の無力を――そんな思考をしている自分を、思う。]
─ 二階・廊下 ─
[武器庫へと向かうつもりで部屋を出た。
が、ふと迷うように足を止めて]
…『鬼』に喰われたと、言っていたよな。
[メイドの告げた、主人の最期を繰り返す。
紅い月を見ただけで、震えが止まらなかった。
そんな自分が武器を持った所で命奪う事が出来るのかという不安が、心の中から拭えない。
『鬼』に喰われたその姿を目に焼き付ければ、或いは、と。
武器庫へ赴くつもりだった足は、転じて三階へと向かった]
― 二階/客室 ―
[テーブルには水の入ったコップとハンカチが
置かれたままの状態で在る。
コップに手を伸ばして口に運ぶ。
コクンと嚥下した水はぬるみ室温と変わらないけれど
それでも喉を潤すには十分な量だった]
――…は。
[紅い月を思いながら吐き出される息。
胸元に流れる髪が微か揺れた。
落ち着けば心にも余裕出来て]
あ。
[大広間に父からの頼まれものを忘れてきたことに気付いた]
─ 地下/武器庫 ─
[向けられる声>>105を聞いて片目をメーフィエへと向ける。
彼女が持つのは僕が持つものよりも刃が長そうだ。
女性の身に扱えるものなのかとも思ったが、僕が手にしたものを考えるとリーチに劣るかも知れない。
いつの間にか、思考はルールに縛られ、そんなことを考えるようになっていた]
……皆考えることは一緒、か。
そうですよね、『ゲーム』が、始まったんだから。
自分でどうにかするしかない。
[考える。
どうすれば生き延びられるかを。
考える。
どうすれば彼女らをころすことが出来るかを。
僕は今、冷静で居るかどうかの自信は無い。
そんな人間がどれだけ居るのかも分からない。
ただ、為すべきことを、しなければ]
[まず目についたのは、メーフィエの握り締めた剣。
ついで、サーシャが手にした短剣。]
……ま、そういうこった。
[メーフィエの問いかけには肯定を返すも。]
ああ……言っとくが、俺はあんたらとは今は殺りあう気はないぞ。
そっちがかかってくるなら別だが、な。
ま、あんたたちが殺りあうなら勝手にすりゃいいさ。
[そう告げて、二人を警戒しながら物色を始める。]
― 客室→大広間 ―
[書斎に入らぬ娘の靴に赤は無い。
空になったコップを手にしたまま客室を出る。
廊下を歩み、階段を下りて大広間の扉を潜った。
暖炉の傍に置かれたソファー。
その足元、暖炉の火をソファーが遮る場所に置かれた籠。
それを見つけるとほっとした表情が、浮かんだ]
よかった。
[籠に掛かる布を指先で摘み捲る。
中にはたっぷりの山の幸が入っているが
それも熱と時間が負担となったかしなびていた]
ああ……。
[残念そうな声が漏れるのは頼まれたものをダメにしてしまったせい]
― 大広間 ―
[指先がしおれた山の幸を避ければ
籠の底にそれを取るために使った道具が在る。
怪我せぬ為にある丈夫な手袋と共に
それを摘み取る為に必要なナイフが鞘におさめられていて]
――…。
[鞘を撫でて止まる指先。
生きる為に殺す事を、考えている自分に気付く。
その考えを嫌悪するのにそうあるべきとも思う]
《ルール》なら――…
[仕方ない、と己に言い聞かせナイフの柄を握った]
[喉を狙った一撃は、掲げられた腕から紅を散らすのみ。>>114]
……痛いって言いながら嬉しがるのって、なんなの。
そーゆーシュミなわけっ!?
[どこか呆れたように言いながら、態勢を整えるべく刃を引き戻す。
同時、思うのは、この男をこのままにしておくのは危険だ、という意識]
……ある意味、いっちばんやべぇよな、こう言うのが。
[ぽつり、と呟く所に迫る、刃。>>118
避けるのはできなくはない、が、それは思考しなかった。
敢えて肩に刃を受けながら距離を維持し、左手に持ち替えた刃を男の胸へと向けて繰り出す。
確実に仕留めるならば、多少の傷は厭わない、のは、この手の荒事では常のことだった]
― 地下/武器庫 ―
[サーシャ>>112に対し、頷くでもなく、ただ是を示すように小さく声をあげた。
「自分でどうにかするしかない」と。その言葉を、自分でも内心で繰り返して。]
…………… ひとりで、やるしか、ないんですよね。
[そう呟いた時、ふっと思い出されたのは、彼が特に気に掛けているように見えたひとの存在。
もしかしたら――と、問いを紡ぎかけ、けれど今は再び唇を閉ざす。
ジラント>>115の返答に、引っ掛かりを覚えたから。
一先ず彼の得物がメーフィエ自身に、またサーシャに向かってくることはないと察しながらも。]
……………なんで、
[先に問うたのはサーシャ>>120の方。
彼へのジラントの答えに耳を傾けながら、少し長めの剣にもう片手を添えた。]
[短剣を引き抜く暇はない、そのままベルナルトを突き飛ばして避けるのが唯一の方法…の、筈だったが]
あ、は…!
[また笑みを浮かべたプラーミヤが、その刃を掴み、そのまま、手の平を引き裂きながら、左の胸に刃は届く]
いたい、いたい…あ、あ…
[手の平と胸から、紅をとめどなく流しながら、プラーミヤは、尚嗤う]
今、上がらない方がいいかもですよぉ。
[続けて人差し指を立て、唇にあてる。
すぐ近くで殺し合いがあっているのに、随分と呑気に映るかも知れないけれど。
だってあまり知らない2人同士の争いだし、今のボクには関係のない事だ。何かあって巻き込まれない限りは]
― 大広間 ―
[腰のベルトに慣れた手つきでナイフを装備する。
利き手である右のやや後ろ目にそなえるのは
山を歩く時に邪魔にならないよう自然と身についたもの]
勿体無いけど、これも処分しておかなきゃ。
――…これ以上置いておいても腐らせてしまうだけ。
[籠の中にある山の幸を見詰めて、また吐息を漏らす]
[白い貌から嗤いが消えて、冷たい黒が、青い瞳を間近から覗き込み]
困ったことに「こういう趣味」なんだ、プラーミヤは。
[少しも困ってはいない口調で囁いた]
─ 階段・二→三階 ─
[こちらは上からの物音は耳に届くか届かぬかと言った所で立ち止まっていたから、キリルと違い状況はまだ知らず。
振り向いた「彼女」があまりにも普通だったから、余計に状況把握は遅れた]
え、あ。
おはよう、ございます。
[向けられた挨拶>>128も、何もおきていないような声音。
立ち止まっていた理由を問うことも忘れ、こちらも挨拶を返して。
階段を上がりながら、キリルに此処に居る理由を問おうとした、ところで]
はい?
[人差し指を唇にあて、弱い制止>>129を向けられて瞬く。
何故、と問うより先に嗤い声>>127が耳に入ってきた]
― 地下/武器庫 ―
[「とびきりの獲物が」と、口の端上げながらジラント>>123が答えたことに、メーフィエは瞬いた。
その言葉の意味は、まだはっきりとは察せられないが――。
問い重ねたサーシャの方も一瞥してから、鉈を手にしたジラントを、小さく息を呑んで見詰めた。]
勘、ですか。
なんだか、良く判らない、けど……。
[そして聞くことのできた言葉>>131からもまた、その具体的なところは掴めなかった。
笑みだとはっきり判る表情で、けれど端的に伝えられた答え。
問い質したところで教えてくれるようなものではないだろうと想像はつく。
それ故に、無用にこちらから問うことはしなかった。]
…………。
しょーじき、それ。
そういわれて納得できねぇっつーか。
……そも、アンタ、一体なんなのよ……。
[問いかけながらも、刃には、力がかかる。
確実な止めを狙い、短剣を回して抉りこもうとする動きは、阻まれるか、否か]
[コップと籠を持ち直し厨房を覗く。
メイドの姿を見つけると声かけてコップを返した。
本来ならば洗ってしまうまでするのだけど
ゲームに関わらぬご用向きは、と言っていたからそれに甘える]
これ、捨てさせて下さいね。
――…此処でいいのかしら。
[ダストボックスを指さして
返事があるとしなびた野草のみをその中へ]
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