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[遠くでハインリヒが何かをしている、あがる煙、やがてそれはこちらに近づいてくる。
遠すぎてさすがに口の動きをつかむこともできず]
まぁ、死ぬことはないと思うわ〜♪
[とりあえず口元を布で覆いつつ、飛翔はいち早く夢の世界に旅立っていた。
ミリィやクロウはどうしていたか、自分も意識が落ち始めてよく覚えてない]
[そも、夢見を拒絶している、という事の可否はさておいて。
不自然に呼び込まれた眠りは、逆に意思を無視してそこへと至らせる。
見えるものは、様々で。
例えば、身に宿した魔獣と最初に出会った時の事とか。
その力の暴走で、故郷である『魔獣使いの郷』を半壊させ、両親と幼馴染たちを文字通り『喰らい尽くした』事とか。
……そんな自分を、これまた文字通りの命がけで止め、引き取ってくれた養父との事とか。
そうかと思うと、学院に来てからの事。
ケンカ屋として暴れまわった日々の事とか。
(この辺りは、ひっそり記録に残っているかも知れない)
ナターリエと出会う切欠となった、迷宮試練での事とか、卒業前にやらかした、魔獣との存在をかけた盟約戦とか。
宮廷占星術師となってからも、騒動がなかった試しはなく。
長となってからは、多分、より一層顕著なわけで。
……どうにも平穏ではない人生の記録の早送りは、無意味に長かった]
[それでも、総じて。
今は、全て、受け入れようとしている事で。
完全に、割り切れている訳ではないけれど。
目を逸らさないと決めた──右の腕に刻まれている、とある印にかけて、誓ったから。
寝顔は特に苦しそうとか、そういう事もなく。
むしろ、普通に寝てる様子は、外見年齢と比しても幼いというかなんというか。
それだけで十分ネタになるくらい、かわいいものだったとかなんとか]
―夢の中―
『あきらめちゃえば……』
そうは言っても愛しい故郷だ。そう簡単にはなあ……。
『でも、帰れた人……いるの』
……。
[シチとの会話か。学院に入った当初はまだ元の世界に帰る方法があるはずと望みがあった。
調べれば調べるほど絶望することになった。]
―夢の中―
「こんなところで寝転がって……。」
こ、ここはどこだ……。
「どこの言葉を使っていらっしゃるのかしら?
……まあいいわ。今日は機嫌が悪いの。拾って差し上げます。」
[ガブリエラと出会った記憶か。よく分からない理由で拾われ、保護されることになった。
あの時拾われて生き延びることがなければ、ここまで苦しまずに済んでいたかもしれないとは思う、正直。]
「私に拾われたのだから、そんな顔をせずに笑いなさい。
私は笑い話が好きですの。何かお話になって?」
―平原エリア―
[ぱちり、と目を覚ます。
隣を見ればまだライヒアルトは眠っていた。
その寝顔は幼く見える。]
……。
『……やっちゃう?』
ああ。
[同じく起きたシチ―あとから聞いた話によると、どうやら人間になってゲルダとかくれんぼして遊んだ夢を見たらしい―と、目を合わせて頷き一つ。]
―平原エリア―
[ハインリヒはゆっくりとライヒアルトの顔の真横に左手をつき、彼の顔を真上から見下ろして、ゆっくりと――
――右手の赤いカラーペンで頬にぐるぐるを描いた]
─平原エリア─
[ちなみに、白もふと漆黒も、一緒に同じ状態になっていたわけですが。
しばらく前から体内に戻っていたため、忘れられていた黒もふだけは、きっちり起きており]
『何を、している、か』
[不意に響く、高めの声。
するり、と身体の中から抜け出すように黒もふが現れる。
現状を見て取った黒もふ、ゆらり、と不機嫌そうに尻尾を揺らし]
『ついでに、瞼にも、目、描いちゃうの……』
そうだな。
[今度は黒のカラーペンできゅっきゅっと、彼を起こさないようにらくがきをする。
両頬に赤いぐるぐる、そして瞼に第二の瞳。まつげもばしばし。]
これでいいだろ。
[布袋から小さめの琥珀を取り出すと、ライヒアルトの顔の真上にかざして]
……覚えろ琥珀、これがお前がとどめるべきもの、伝えるべきもの……
[ハインリヒ本人は真剣そのものだ。でも傍目から見るとまぬけ。シチは笑いをこらえている。
熱写よる映像の記録化は難しい。何度も挑戦してもピンボケになる。ハインリヒのレベルではコントロールが効かなかった。]
『だめ。ボケてる。やり直し……』
あーくそ、起きちまう……。
[ハインリヒがあれこれやるのを待っていたのは、己が主の体たらくに嘆いていたから、とかなんとか。
ともあれ、一段落した、と覚ると、黒もふ、ぶわ、と尻尾を逆立てて]
『……ホタルビーーーーーーーーっ!!!!!
さっさと、起きぬかあああああああっ!!!!!!!!』
[思いっきり、叫びました。
ぶっちゃけ、至近距離で聞いたらかなりきつい高周波が、平原全域に広がってゆく]
―平原エリア―
うわやっべ出てきた!
『……逃げよ!』
[ライヒアルトの身体から出てきた黒い存在がしっぽを揺らしていることに気付くと、慌てて立ち上がってその場を去ろうとする。はずみでいくらか石がおちるか]
─平原エリア─
[黒もふ、二次災害は気にしてません。
いや、気にしていたら魔獣なんてできません、とかなんとか。
普段は音にしない所まで発声している辺り、わりと本気でキレているようです]
……るせぇぞ、 。
[ホタルビ──真名によって縛されているが故に、主の名を呼べぬ魔獣が用いる仮名に返すのは、魔獣の真名。
とはいえ、寝ぼけていてもこちらは音にはせず。
のんびり起きて、獣っぽい仕種で顔こしこし、とかしていたり]
─平原エリア─
[本人の目覚めに続くよに、白もふと漆黒も目を覚ます。
白もふは、同じ仕種で顔をこしこし。
漆黒はふるり、と首を振り──しばし、沈黙]
『……アル?』
……んぁ? なんだよ?
[状況把握は出来ていないので、首、こてし。
傍目、かなり間抜けなのはまあ、この状況では仕方ない]
―平原エリア―
[魔獣の高周波なんてくらったことない。耐性なんかもちろん無いし、つけようもないだろう。
意識はあるものの、ぱたりと倒れた。]
し、しびれる……
『し、しびれる……』
[しびしびしていた]
─平原エリア─
……っていうか、ホムラも大声出して、なんなんだよ。
なんか、あったのか?
『……何かと言うか……取りあえず、眠り勝負は、お前の負けだな』
あー……そっか。まあ、仕方ねぇ。
[漆黒の説明に、さらりと言いつつ周囲を見回す。
目に入ったのは、しびしびしているハインリヒの姿。
状況がわからず、首を傾げていると]
『……アル。
悪い事は言わんから、『再生』のカードをまず使って、状態を戻せ』
[漆黒が真顔で突っ込んできた]
……なんで?
『その方が、平和だ』
[どんな物言いですか。
いや、今の状態を認識したらどうなるかわからないから、という漆黒なりの気遣いらしい]
─平原エリア─
……均衡の象徴の制しの元。全ての再起を。
[ともあれ、自分も理由はわからないが、妙な感じがするのも事実なわけで。
『天秤』と『再生』のカードを組み合わせた治癒の符術を、自分とハインリヒを範囲に入れて発動する。
落書きも状態異常の一環と言えたのか、一応は消えたらしく、漆黒は一先ず、安堵]
……おーい。
生きてるかー?
[そんな盟約龍の苦労も知らず、当人は呑気に声をかけていた]
―平原エリア―
『……。』
い、生きてる……。あんがとよ……。
[ハハハ、と渇いた笑みを浮かべ、横になったまま手を挙げて振った。]
『もう二度とやりたくない』
全くだ。
[シチのかたい声に同意の言葉を返す。
ゆっくりと上半身を起こして講師の顔を見ると、さきほどの落書きはすっかり消えていた。]
あー、疲れた……。
―夢の中―
[一方その頃こちらはというと、立ったまま器用に寝ていた。
見ている夢は里を飛び出してくる前の夢]
いやです、自分の結婚相手くらい自分で見つけますから。
私はお父様の道具でもなんでもありませんっ!
[父親と喧嘩したときのこと、場面は移り幼少時からの世話役の者と会話をするところに]
確かに、自分の立場くらいはわかってますけど…
私ラスファ魔法学院行くことに決めました。そこでのんびり羽伸ばして、お婿さん候補も見つけるんです。もう決めましたから
[あきらめた様子の世話役の人はため息ひとつ、ちゃんと戻ってくることだけは約束してくださいねと私はそれに頷く。
さらに場面は移り、入学式の頃、見かけた緑髪のその人、女の人のようなその人]
ねぇ、いい人見つけたかもしれない。
[時折様子を見に来る世話役の人にそう楽しそうに告げる。
それから、私は奇行学科に入って……]
―平原エリア―
んーー、なんだか懐かしいものみさせられたわ〜♪
[現実に戻り軽く伸びをするとハインリヒがライヒアルトに落書きをしていたりする姿が見えた]
決着かしら。
[それからあったどたばたも自分は遠巻きに見てるだけに]
─平原エリア─
[ハインリヒの苦労の程は知る由もないから、こてり、と首を傾げる。
……後日、何があったかを知る機会があったら、どうなるかはまあ、今は置いといて]
まあ、ずっと動いてたもんな。
……あー、そうそう、夢の話だが。
予想していた通り、人が聞いても面白くないモンだったんだが、それでも聞きたいのかー?
[疲れた、という言葉に苦笑を滲ませた後、眠る前に言われた事を思い出して問いかけてみた]
─平原エリア─
あ、せんせ達いたー?どこどこー?
[火の鳥忍法のネーミングだの活用法だの話しながらカルメンと一緒に移動して。
先に二人を見つけたのはカルメンで、次いでクロウ。
最後にミリィもその姿を見止めて立ち止まった。
遠巻きに二人の様子を見守っていたら、何やら煙が湧き上がるのが見え。]
あれ?あの煙なんだろ、クロウ。
『熱量は然程無いな…あ、待て、あの煙を吸うんじゃない!』
ふぇ?…もー、おそぃょぅ…
[煙を見て?マークを浮かべる少女に、なんらかの作用のあるものだと気付いた鴉が忠告したのだが既に煙を吸ってしまった後で。
感覚共有を切るのも間に合わず、使い魔もろとも仲良く夢の世界に旅立った。]
―平原エリア―
あー、夢の話な……。
いーよいーよ、俺もあんまり良くない夢見ちまったし、面白くないもの聞いてもなあ。
[手をぱたぱたとふって遠慮した。
それに、面白くない話ということはあまり話したくないことでもあるのだろうと思う。
そこまでずかずか踏み入る気にはとてもなれなかった。]
『……。』
[シチは小さな琥珀のいくつかの映像を確かめて、小さなため息をついていた。]
[夢の内容は、懐かしいものだった。
初めて使い魔と出会った時。
何をするにも失敗ばかりで、それでもいつも笑っていて。
そして誰も見ていないところで泣いていた頃のこと。
いつも泣きに来ていた、大きな大きな木の根元にいた、小さな黒い塊。
誰の目にも留まらぬような、小さな鳴き声をあげていた、雛。
それが、クロウとの出会い。
皆からもっと丈夫そうな使い魔を選べと言われて、それでも他の何かを選びたくなくて。
そして今まで共にきた。きっと、これから先も共に在る、大切な─]
―→休憩所―
[隣のミリィは眠ったまま、つんつんと頬をつついてもおきる気配はなく]
起こしちゃうのも悪いかしらん?
[クロウはおきてたかどうか、とりあえずミリィの体を抱き起こすと休憩所に連れて行くことにした。
そこに横にさせると自分はカードを手に隔離空間に行くことに。
無性にゲルダに会いたくなったから]
─平原エリア─
[手を振る様子に、きょとり、と瞬く。
同じ夢を見ていた白もふと漆黒は、それぞれ物言いたげに尾を揺らして]
……まあ、そうかもな。
正直、俺の前半生って、面白い部分が少ないし。
そも、無駄に長いから、聞いてる内に眠くなるしな。
[冗談めかした口調で言いはするものの、問われぬ事には安堵していた。
過去話を他人にした事など、外見相応年齢の頃まで遡る。
無闇に踏み込まれたくない部分なのは、確かな事で]
って、と。
……そろそろ、あっちも一段落、か。
学院の、聖夜祭にゃ、間に合うかねぇ?
─平原エリア→休憩所─
[カルメンに抱き起こされても一向に起きる気配はなく。
休憩所で横にされてもぐっすり寝こけていた。
既に夢の内容はとりとめのないものになっている。]
ん〜…ふわふわいっぱぁい…
[とかなんとか寝言を言ってたり。]
―平原エリア―
眠くなる話ならなおさらいいや。
もう、睡眠はとったとった。
[ようやく立ち上がるとぽんぽんと服をはたいてほこりを落とした。]
ん?そろそろ戻れるのか?
『聖夜祭?』
[二人して首をかしげた。
何せずっと土いじりに夢中になっていたもので、すっかりいろいろ忘れているようだ]
ふぁ…ん〜〜〜〜〜…良く寝たぁ…
………あれ?
『…休憩所、か?』
みたいだねー。
『誰かが運んでくれたのか。礼を言わないとだな。』
……
『どうした?』
なんで寝ちゃったんだっけ。
『………恐らくハインリヒ殿の術だと思うが。』
あぁ、そーいやハーさんVSライせんせ観戦しにいったんだっけ。
『忘れるなよ。』
─平原エリア─
戻る前に、まだやる事はある。
単位取得者と、免除者のカルメン以外の全員には、ちょっと手伝ってもらわんとな。
[なんかさらりと言いつつ。
聖夜祭について問われると]
ああ、毎年この時期にやる祭りだよ。
中庭の『世界樹の仔』に飾りつけしたり、屋台出したりして、二日くらい騒ぎ倒すんだ。
……異界から来たヤツは、「クリスマスみたいな感じ」って言ってたっけな。
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