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それで、みんなはオレを殺しに来たワケ?
[オレは近づいて来るフォルカーの気配を感じながら、三人を見ぬままに問う。
その声に恐れるような感情は全く含まれて*いなかった*]
― 少し前 ―
[フォルカーの返事に、少し振り返ると頭をぽんと撫でた。
さて本当に正しく思い出せるだろうかは分らない。
エルザ次第では、その必要もないのだろうが。
どう転んでも、自分はさして問題ないかと胸中で思いながら、そして岬にたどり着いて。]
─ 灯台傍 ─
おーお、アイだねぇ。悲しくはないんだ?
[ゲルダを美味いと言い、貪る様>>33に軽く肩を竦める。異様な光景を笑いながら見つめていた。]
どうしようかなーって思ってるんだけどネ。
フォルカーは殺したそうね。
お嬢は?姉さんはどうしたい?
[少しずつエルザへと近づこうとするフォルカーを止めずに、今はこちら側に立ちながら主の傍で言う。
さっきと同じく、違和感感じるエルザを、兄さん、とは呼ばなかった。]
俺たちみんな食って、村に下りて村人も皆食っちまう?
それとも、ここから逃げる?
見る者二人が死んで、人狼が一人死んで、双花も喰われた。
守る者は誰だったか分んないケド…。
これだけ死んだんだ。今なら、ひょっとしたら場が崩れてて逃げられるかもしれないよ。
[満月から、どれくらい経っただろう。月の影響もひょっとしたら薄くなってきたかもしれない。実際はどうだか知る由も無いが。]
殺し合いがしたい、ってんなら俺が相手してもいいよ。
姉さんのお相手が勤まる様に、頑張らせてもらうケド。
[物騒な事も軽く言いながら、腰にいつも下げているナイフの留め金を外し、取り出しやすいようにした。
ヴィリーに言いそびれた事があった。人狼を殺せるかという問いの返事。
因子を与えられながら花開かなかった自分は、何の制約も受けられず。
だからYesと、苦もなく言えるのだが。]
……俺のお願い聞いてくれるなら、俺が誰かを殺してもいいよ。
ああ、お願いは先払いで、内容は秘密ネ。
[狂い損ねてより暗がりに堕ちてい男は、常の笑みを浮かべながら、そんな事も口にした**]
ああ、エーファはたぶん違うからね。
[エルゼリートの答えに、素直に思ったことを口にした。
それはおそらく二人が生まれたときに現れた決定的な違い。別に確信があったわけではないけども]
俺は殺しにきたよ。
[問いかけに答え、その心は、エーファが死んでから初めて満たされた気がする。憎悪と怒りと、敵意を隠す気の無い目を向けていた]
[アーベルの返答には驚くようなことはしない。
どこまでが本心かはわからないけど、そのように話すことは不思議なことではなかったし、何より教えたことをと、強調されたそれは彼が自分達を殺す可能性があることをいっているのだと思ったから、だから理解はしていた。*理解だけは*]
─灯台傍─
[赤を吸う度に唇が同じ色に染まり、まるで化粧をしているかの様相へ。
ゲルダの身体をしっかり抱き締めて、左手でゲルダの右肩を撫でた]
悲しい?
………悲しいって、なんだっけね。
[アーベルの問い>>36に、きょとりとする女性のような顔。
オレは答えながら小首を傾げた。
姉さんと呼ばれても、もはや厭う反応もなく。
重ねられる問いに少しばかりオレは考える素振りを見せた]
……オレは、どっちでもいーよ。
誰がしんでもいーし、オレがしんでもいーし。
『場』を作る条件の「人」のうち、残ってるのはオレ一人。
護る者はね、エーファだったんだよ。
だから味が違った。
[フォルカーの言葉>>38にも答えるように、オレはエーファのことを語る。
知らない振りをしていた『場』についての知識。
外の同胞から教えてもらった事柄。
オレは言葉を紡ぎながら、視線を天に向けて軽く本紫を細めた]
オレさぁ、『場』が出来た時点で生き残るのは諦めてるんだよね。
オレ達人狼が生き残れる確率がものすごく低いのを知ってたから。
それでも色んな奴喰いたかったから、隠れて来たけど。
[衝動に抗うなんて出来なかったから。
死を免れないと思ったから。
だったら最期は美味いものを喰ってやろうって。
そう考えて]
『場』がもう崩れてるのかは分からない。
でもオレを殺せば確実に『場』は崩れる。
そうだよね?
[問いはアーベルに向けて。
コイツは色々知ってるみたいだったからな。
願いを聞くなら>>37と聞いて、天を向いていた本紫がアーベルへと向かう]
ふぅん?
でもどんなお願いか聞かないとどうするかなんて判断しにくいよ。
まぁ、聞いてあげても良いけどね。
[また首を傾げる様子は、アーベルには少女のように見えたことだろう。
オレはもう自分でも生きたいのか死にたいのか分からなくなっていたから、どちらでも良いというような雰囲気を出す。
望まれればきっとその通りにするだろう。
ゲルダを離すこと以外だったら]
―灯台―
[予兆はいっぱあった気がする。
だから、それが人狼であっても、その言葉に嘘は感じなかった]
やっぱり、そっか。
エーファは祝福されてたか。
エーファ、だけ……
[なぜだか笑みをこぼしていた。
二人を最初に分けた、自分になくて、エーファにだけあるもの。
真に知識を知るなら、自分にもその片鱗があることを知ることもあったのかも知れないが、表にでないそれを知ることはない]
[それは、自分の傍にいるアーベルの問い>>36にも答える形となったろうか。
フォルカーが近付いていくのを止めようとしたけれど、エーファを喰ったと告げる声>>33を聞けば手を伸ばせなかった。
身体が震えるのは、寒さか恐怖か。
けれど、続いて聞こえたアーベルの言葉>>37にそれが消えた。
誰かを殺してもいいという彼の言の葉を、静かな心で聴いた。]
…願いを叶えて、それでアーベルが満たされるというのなら。
誰かじゃなく、私を殺せば良いわ。
[エルゼのことを止めたい。
けれど、アーベルが願うなら、それを叶えたい。
許されなくても、救いがなくても。
それは既に、覚悟していたことだから。]
[それでも傍に駆け寄る、なんてことはしない。ただ狼の言葉を聞いていた。
どっちでもいいという狼>>41に、ふぅんと少し笑ってみせた。]
へー、意外だネ。
狼ってさ、もっと生きたいって足掻くもんだと思ってた。
[ほんの少し、残念そうな響きを見せて言う。
場の事を尋ねるように>>42言われれば、にこりと笑った。]
そだネ。姉さんで最後。
普通の人間が、どんだけ集まってもそんなモン作れないシ。
[自らを導いた男から、伝え聞いた事をそのまま口にした。
願いを聞いてくれると言われても、笑みは大して変わらなかった。
常の笑み、張り付いたわけではないのに、どこか仮面のようになってしまっていて。]
そんなに大したコトじゃないヨ。
目玉が欲しい、なんてコトでもないし。
[アーベルの問いかけに首を傾げるエルゼの姿は、本当に解らないというようで。
それ自体が哀しいと思った。
エーファが護る者だったというエルゼと、それを知っていたようなフォルカーの声も聞いているだけで。
ただ、フォルカーが零した言葉に、それは違うと首を振った。
声は小さかったろうか。]
ちが、う…フォルカーちゃん、それは、違うわ…
[ゲルダは、呪いだと言っていた。
けれど、それを言うことも躊躇われたのは、死した彼女達、力ある者が報われなくて。]
アーベル…?
[エルゼから場のことを訊かれ、答えた後。
彼がこちらに向ける笑みはいつものそれで、けれど何も言ってくれなくて。
肩から離れた手が髪を梳いて、彼自身も離れるのを。
まるで、金縛りにかかったように動けないままで見送った。]
[ブリジットの返答>>44に浮かべるのは、男性的ながらも綺麗な笑み]
それしかないんじゃないか?
オレにはそれ以外の手段なんて、思い浮かばないね。
[自分じゃ止まらないから。止められないから。
そんなもの、思い浮かぶはずも無かった]
何でだろね、足掻く気にはならないんだ。
仲間が死ぬ話をたくさん聞いたせいかな。
ああでもね、r……ライヒアルトはいっぱい足掻いてたよ。
他の人を喰わないように、大切な人を生かすために。
まぁ、オレが全部ぶち壊したけど。
[アーベルの言葉>>47に、オレはふわりと柔らかく笑って返す。
真名を呼びそうになったのは抑えて、名前は言い直していた。
どうせ言ったって伝わらなかっただろうから]
目玉でも良いけど……何?
[したい事があったと言いながら近付いて来るアーベル>>48を、オレは座ったままに見上げる。
ゲルダだけは離すまいと、少しだけ抱き締める腕に力を込めた]
[アーベルの望みが何かはわからなかったけど、それを邪魔することはせず。
ただ終わるのを待ったら、もう自分はその瞬間に動くつもりでいた。
違うとブリジットの言葉に気がいっていたのもあり、横をすり抜けるアーベルに反応をすることはなかった]
そうだね、力ある人は皆死んだ。
[ただそれを呪いとも自分は思わない。
力の真なるを自分は知らないから、それはやっぱり神秘的な力に思っていた]
[ぶち壊したとか言われたら>>52、思わず笑い声が零れた。]
あははは、そりゃあ……ライの兄さんの願いは、シスターかな?
本当は、二人で生きてたかったんだろうけど…まぁ、二人で死ぬのもきっと一興だよ。
今頃同じ場所で再開を喜んでるサ。
[死者の事なんて分らないからそんな事が言える。
実際どうしてるんだろう?そんな事を思ったけど泡のようにすぐ消えて。
エルザの前に膝を突くと、さらと、両手でエルザの長い髪を梳いた。
その両頬に冷たい手が触れた。
少しだけ、腕に力が篭るのが分った。]
大丈夫だよ、ゲルダの姉さん取ったりはしないからサ。
ずっと……ずっとね。
狼にキスがしたかった――。
[まるで祝福を求めるように。
逃げないように強く頬に触れ、血塗れた赤い唇に、自分のそれを重ね合わせ、――――視界を塞ぎ、何も見えないようにした。
フォルカーはちゃんと覚えてるだろうか。狩りの際の言葉を。
「相手の隙を、チャンスを逃すな」と教えた事を。
覚えてなくても、忘れていても、死ぬ相手が変わるだでさして問題はないけれど。
自分のユメは叶ったのだし。]
ん……。
[そうして舌を割り入って、その牙の一本一本に舌を這わせた。
舌が傷つくのも構わずに、うっとりと、こびり付いた血を肉を舐めて味わっていた。]
……そうね。
ゼルも、ゲルダさんも。
ナターリエさんも、クレメンスさんも。
エーファちゃんも、皆。死んでしまった。
…ゼルとゲルダさんは、苦しんでたわ。
力の、せいで。
[血のせいで、人の死が哀しいのに嬉しいと、そう言っていたゲルダ。
役目を全うする為に、自分の意に添わぬことを遂げたゼル。
自分に話してくれた彼女と、彼は。
それぞれの立場で苦しんでいたと、そう思う。
それをフォルカーに言うでもなく、話し。
アーベルの行動に、目を瞠った。]
多分ね。
オレはアイツの口から聞いたわけじゃないからはっきりとは言えないけど。
[でも考えうるのはそこしかないから、多分と言っていてもほぼ確信に近かった。
死者については分からなかったから特に何も言わずに居たけど。
触れてくるアーベル>>54に、ゆっくりと本紫を瞬かせる。
頬に伝わる冷たい手の感覚。
少しだけ冷たそうに瞳を細めたけど、それだけ。
ゲルダを取らないと言われて、オレは少しだけ力を抜いた]
ずっと────?
[問い返す前に唇が重なり>>55、視界が遮られる。
ぴくりと眉根が反応したけど、手足が動くことは無い。
特に腕は相変わらずゲルダを抱き締めていた]
んンぅ……───。
[顔は固定されてしまっていたから、逸らすこともままならなくて。
結果、アーベルのされるがままになり、唇の隙間から熱い吐息を漏らしていた]
[アーベルが、エルゼの前に立ち、聞こえた声とその顔を近寄せるのに、タオルから包丁を引き抜く。
獣にできた、隙、向こうからはこちらの姿は見えておらず、何よりアーベルは自分の目的を果たしていたし]
ふぅ……
[短い吐息、それから呼吸を止めて、その背後に向かってゆっくり足音を立てないように近づいていく。
気配を完全に消せるほどに熟練しているわけではないけども、相手に悟られぬように動くのは狩りの基本だと、なんども教えられてきたこと。
ブリジットからはアーベルに切りかかりに言ってるように見えたかもしれないけど。
アーベルがひとしきり味わった頃くらいだろうか、その背後にまで来たところでぽんと小さくその背中を左の手で叩く。
右手に持った包丁は体の内側に向かって構えて、一気に振りぬくときは内から外へ、これも最初に刃物の扱いで教わったことだった]
[アーベルの行動は、予測がついていなかったから。
呆然とそれを見ていた。
目の前のそれは、現実味を帯びていなくて。
フォルカーが近付いていくのも、見ていた、のに。]
ふぉるかー、ちゃん…
[ただ、小さくその名を、呼べただけだった。]
[そのまま切りかかるかなと思っていた所で背に合図があった。
名残惜しげに唇を離すと、銀糸が二人を繋いでいた。
にこりと笑ったまま身を離すと、銀糸はぷつりと斬れた。]
……ご馳走様。
[笑みながら告げ、僅かに離れようとしたなら、フォルカーは動くだろうか。]
[アーベルが離れようとして、一度視線はエルゼリートとあったかもしれない。
エルゼリートの喉めがけて、躊躇なく包丁を横に薙ぎ、アーベルが離れきる前にしたので、肘がアーベルに思いっきり当たるだろうか。
そのままの反動で、上に振り上げ、包丁をすばやく逆手に持ち替える。
はじめの一閃はよけられたかどうか、いずれにせよ一撃でしとめられないことを想定して、何かも、教えられてきたこと]
っ、ふ、ぁ。
[ゲルダを喰らった時の熱が残っていたか、オレの頬は僅かに上気していて。
潤んだような本紫で、離れていくアーベル>>60を見ていた]
…対象が人狼だったら、男でも良いんだ。
[つられて笑ったけど、その表情はきっと女性にしか見えなかっただろうな。
ちろ、と拭うように動いた舌が僅かな抵抗にも見えたかもしれない。
軽く眉根も寄っていたし、不満げなのは明らかだった]
[アーベルから視線を外そうとして、刹那、その背後に居るフォルカー>>61と目が合った。
ああ殺しに来たんだな、と思ったから抵抗する気は無かったけど、オレの前にはゲルダが居たから、それに当てさせまいと腕を防御に使う。
毛足の長い鉄紺に覆われた腕で刃を受け、周囲に鉄紺の毛と鮮血が舞う]
ぅ、っく……!
[走る痛みに表情を歪ませながら、オレは反対の腕でゲルダを抱え直す。
誰にも傷つけられないように庇うようにして]
ゲルダに傷をつけるのは許さない……!
[傷つけて良いのは、喰って良いのはオレだけだ。
誰にも渡すものか。
オレはアーベルの願いを叶えたにも関わらず、その見返りを求めることなくフォルカーを睨んでいた。
ざわりと身体が獣へと、半獣の姿へと変化していく。
長い髪は鬣のように。
全身が毛足の長い鉄紺に覆われ、身体に不釣合いな大きな尾がゆらりと揺らめいた]
[オレは名残惜しみながらもゲルダを一度離し、灯台の傍に横たえる。
そうして、一足飛びにフォルカーへと飛び掛った。
大降りに爪を振り上げ、相手の肩口を狙う。
上体を開くその体勢は隙にもなっただろうけど、オレは構うことは無かった]
ぁ…────…っ、アーベル…!
フォルカーちゃん、駄目…!!!!
[フォルカーの振り上げた其れは、こちらからはアーベルに向かっているように見えて。
彼の命が奪われることと、彼女の手が穢れること。
そのどちらも、止めたくて。
でも、身体は動かなかった。
動けなかった。]
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