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ほら、そこにもここにも。
始まりを示す小さな欠片が散っています。
見えていないのか、見えない振りをしているのか、どちらでしょう?
どうやらこの中には、村人が4人、占い師が1人、狩人が1人、妖魔が1人、囁き狂人が1人、智狼が1人いるみたいですよ?
―広場へ―
たっだいまー。
アルカ、無事に戻ってきましたよー。
[広場に向かいながら、カラン、カランと到着を知らせるいつものベルを鳴らす]
ああ、雑貨屋のおばちゃん!頼まれてたの受け取ってきたよ。
後で届けるから待っててー!
[明るく声をかけて、広場を横切ってまずは荷を下ろすために自宅へ向かおうと]
― 本屋 ―
そりゃ、エリィゼは可愛いし、良い子だし。
誰だって優しくなるよ。
僕だけが特別ってこともないと思うけど……ま、ありがとな。
[と言いつつ、悪い気はしないが照れくさそうに頬を掻いた。
嬉しそうに笑うエリィゼをもう一度撫でて]
今度また、エリィゼの好きそうな本がないか探しておくよ。
[とも付け加えた**]
ただい......ま
ごめんごめんテレーズ姉さん。大丈夫だよ、具合悪くなんてなってないから。
[家に帰ってから、遅くなった事を心配するテレーズに言い訳しまくる羽目になったのは、自業自得と言える**]
― 本屋 ―
そう、かな?ありがとう
みんな優しいけど、特別なんだもん。
[何で、かは上手くいえないけれど、もう一度撫でられたらやはり嬉しそうに笑って]
うん、その時はちゃんとお金持ってくる、ね。
[そう言って頷いた**]
─ 回想 ─
あぁ、やはりお前んとこの爺様もか。
うちの親父もよく同じことを言っていた。
[>>0:66ソーヤが自覚していないと知らず、知っていてもわざわざ口に出すことも無く。
慣れた付き合いの青年と共に食事に出た先。
宿屋見知った顔が見えるなら、声をかけて怪我をしたら治療に来いとか、両親がたまには顔を見たいと言っていた事を伝えたりもしたり。
薬師見習いが思い出したハーブティーの届け先がどこか聞けたならば、こちらもその家の青年に出した薬の残りはまだあっただろうかと思い至ただろう。
もしかしたら回診のついでに、青年と盲目の女性の様子を見に行ったかもしれない。
そうして日が落ちれば、薬の在庫を確認してカルテの整理をして眠りにつく。
いつもと変わり映えの無い、一日を過ごしただろう**]
[子供の頃、『外から来た』という所に好奇心を抱き、遠慮の『え』の字もないまま、療養に来たという少年の所に押しかけて。
周りの大人たちには色々言われたものの、それ以降、なんやかやと付き合っている青年から、何やら頼みごとをされそう>>0:62なのは当然のごとく今は知らず]
あれは楽しむものであって溺れるものじゃない、ってのは、じっちゃんの口癖だよ。
……俺にはよくわかんないけど。
[なんて返す当人は、そこには大きなこだわりもなく。
何気なく口にした、新しい配合のハーブティの事と、それをクレムの所に届けに行く、という話が何を齎すかの想像もできないまま、食事を終えて]
んじゃ、あんまりのんびりすると、じっちゃんに怒られるから。
またねー。
[いつもと変わらぬ調子で挨拶ひとつ。
合わせるように、肩の相棒がキョキョ、と鳴いた。**]
[宿屋の主人の声が中から聞こえる。
アルビーネ、と呼ぶ声に眉尻を下げた]
ん、今いくー。
[うたたねする間もないらしい。
大鍋の番を頼まれて宿屋に留まっていれば
医師の顔が見えて、ふっと表情を綻ばせた]
……ん、怪我をしたらちゃんと診て貰う。
でもほら、頑丈だから、ちょっとくらいなら平気だし。
[そんな事をいうものの用心棒として駆け出しであった頃は
擦り傷や打ち身、切り傷なども茶飯事にあったから
彼が案じてしまうのも無理もないことなのかもしれない]
近いうちに挨拶にいくよ。
私も、会いたいから。
[こくんと頷き、食事にきた者に料理を運んだ**]
―広場―
あー わぁ、ああ…待って、待てってば!
いうこと聞かない子にはあげないんだからな!
[流行りの味のキャンディを取られないように高く掲げながら
集まった数人の子供に向かってしかめっ面をするも束の間。
そのすぐ後には両手にキャンディをつかんだ子供がわーっと散っていく。
それが、村に帰ってきて最初の仕事。
家に戻って荷を降ろし、届け先別に仕分けるのが二つ目の仕事**]
その日の夜明けは、少しだけ空気が重くて。
幾人か、異変を感じるものもいたかも知れない。
その答えは、陽が天に達した時に示される。
陽と月が重なる刻──『蝕』の訪れ。
『祈り子』が泉に身を投げ。
『魔』が眠りについたその日と、同じ空。
『封』の力が安定を欠く日──と、知る者はいたかどうか。
いずれにしても、陰りし空は、人の心に不安を呼び起こす。
──もっとも、呼び起こされるのは、不安だけではなく。
──永く眠りしものの力もまた、封よりとかれ、呼び起こされる。
──それに最初に気づくのは、果たして誰か。
──村の外へと向かう道を閉ざす、不思議な力に。*
はあ...ソーヤにもらったお茶、飲もうかな?
[身体を温めるにはいいかも、と起き上がって厨房に向かった]
[ハーヴティーを届けに来てくれたソーヤに、ついでに薬を頼もうとしたら、直後にヒューゴ先生が様子見にやってきて、いろいろばれたりしたのは、ともかくとして...ハーヴティーは、とてもいい香りがした]
[その日は起きても何だかすっきりしなかった。
前日根を詰めすぎたのもあるかもしれないけれど、何となく、それだけじゃない気がする]
今日は休暇にしちゃおうかなぁ…。
[スランプは未だ続いていて、筆記帳に色が乗ることも無くなっていた。
こういう時は一旦仕事から離れるに限る、と今日は何も持たずに外へと出る]
うわぁ……もうお昼…。
[随分と寝てしまっていたらしい。
これではクレイグのことを言えないなぁ、と思いながら目を空へと向けた]
― 自宅 ―
[ポラリスと本屋を訪れてから数日
その日は家の大人たちの様子がおかしくて、朝から外には出してもらえなかった]
……つまんなーい。
[退屈そうに窓の外を眺めて、それに気付いた]
……お日様?
[辺りが少しずつ暗くなる、月が太陽を隠していく]
あ……
[陽がすっかり隠れた時、小さな声が零れて落ちた
何故かわからない不安に駆られて窓辺から離れる]
[結局眠れぬまま、夜を越えて]
あ...
[散歩に出かけた泉のほとり、手折られた蓮の花を手に、呆然と立ち尽くしたのは、夜明け直後**]
[「蝕」なんて初めて見たから動揺してるだけ、と自分に言い聞かせる]
…………
[幽かに、震えるような唇は言葉を紡ぐことはなく
だけど、何かとても大事なことを思い出したような気がして
だけど、それは思い出してはいけない事のような気もして、きゅっと目を閉じる]
だいじょう、ぶ
[自分を励ますように、おまじないのようにそう言って
あとで、外に出ても良いと言われたなら、誰かに元気付けてもらおう、と、そう思った**]
─ 森の中 ─
[薬草摘みの朝は早い。
と、いうか、早起きな祖父と共に生活していると、自然とそうなる、とも言うのだが]
んじゃ、俺、森に出るねー。
[祖父母と三人での朝食の後、いつものように籠を肩にかけて森へと向かう。
外に出るとすぐ、相棒が肩の定位置へと舞い降りた。
そのまま真っ直ぐ森へと向かい、必要な薬草を選り分けて摘んで。
先日は採取を見送った薬草を摘んだ時、近くの枝に止まっていた相棒が、いつになく甲高い声を上げて、鳴いた]
どした、クレー?
[問いかけながら、相棒の丸い目が見上げる先を見て]
……え?
[いつもとまるで違う空に、少し惚けた声を上げた。**]
うーん……おじいちゃんが確か何か言ってたはず…。
[しばらくうんうん唸っていたけれど、直ぐには思い出すことが出来なかった。
普段なら思い出せないことは直ぐに諦めるのだけれど、今日のこの空は放っておいてはいけないような気がして、頭から全く離れてくれない]
…おじいちゃん、何か書き残してないかしら。
[祖父の遺品は少なからず残っている。
探してみようと考え、ポラリスは出てきたばかりの自宅へとんぼ返り。
それからずっと引っ掛かるものの答えを探し続けていたけれど、解答を見つけたのは探し疲れて寝落ちた後の、翌日の朝のこと*だった*]
─ 午前/診療所 ─
[診療所は今日もたまに患者が来る以外は静かなものだ。
薬の在庫チェックやカルテの整理などがあるから暇ではないが、忙しくも無い時間を過ごす。
そんな中思い返すのは、先日の一日のこと。
頑丈だからちょっとくらいなら平気だという彼女>>8に、「少しでも怪我は怪我だ」と言った後運ばれてきた食事を平らげてすぐにあの場を離れたが彼女はあれから両親の所に顔を出しただろうか。
父の跡を継いでからは診療所に寝泊りする様になった男も自宅には随分顔を出していないが]
どちらが子供か解らんしな。
[息子よりも、彼女が顔を見せる方が余程喜ぶ両親の顔を思い浮かべる。
単純に思ったままを口にしながら、その後寄った屋敷の住人に意識を移し]
─ 午前/診療所 ─
あの家にも、行った方が良いか。
[盲目の女性と、病弱な青年。
二人とも三年前男が父から代替りした際に受け持ちも引き継いだ患者だ。
理由はわからないが体調不良を隠そうとする青年に、その都度「我慢した所で楽にはならん、診せに来るなり俺を呼ぶなりしろ」と言ってきて。
ハーブティーを届けにいくというソーヤの言葉に回診がてら訪れた時も、同じように告げてきた。
すぐさま診察して出来る対処をしてきたが、回復に至っているかどうか気がかりで。
今日は先に回診に出ようと外に出たところで、異変に気付いた]
…?何だ、やけに暗いな。
[今日が『蝕』の起きる日だと気付いていなくて。
空を見上げ、光の源が隠される様>>#0に、何故だか目を離せないまま。
陽が翳っていくと同時、無意識に胸の中、不安が落ちていった**]
─ 『蝕』翌日/自宅 ─
─── あ、ったぁ…!
[夜が明け目が覚めて、下敷きにしていた手帳を読み直して知りたかった部分を見つけた。
口の中で繰り返し読んで、頭の中で整理する]
………って、こと、は。
──大変、見てこなきゃ!
[思い当たった事柄に慌てて椅子から立ち上がり、ぼさぼさになった髪も直さないままに泉へと駆け出した]
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