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画家の卵 ミリィ に 10人が投票した。
工房徒弟 ユリアン に 1人が投票した。
画家の卵 ミリィ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、新妻 ノーラ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、音楽家 エーリッヒ、少年 ティル、娼婦 イレーネ、召使い ユーディット、詩人 ハインリヒ、工房徒弟 ユリアン、医師 オトフリート、小説家 ブリジット、青年 アーベル の 9 名。
[絵に近づくと気づく、その絵の中に込められた村人全員の、顔。
そしてその右下の小さなメッセージ。
おそらく見る人全てに向けたものだろうそれを、ぼんやりと眺めて。
くるりと一周すると、後ろにも何か書いてあった。
オトフリートと、ブリジットと、そして自分に向けられたそれ。
自分の部分をじっと眺めて、文字の上から手を触れた。]
…ありがとう、ミリィ。
[呟いた言葉は、先ほどオトフリートと交わしたそれとは違い温かい。]
絶対的な善悪の問題だと思います。
……人それぞれなんて、そんな余地ない。
[肩を竦めるエーリッヒには、ちょっとだけ反論するものの、もはやそのことについて触れるつもりはなさそうで。
片手を挙げて立ち去ったアーベルに、]
誤解されたって良い相手にしか言わないのに?
[呟いて、首を傾げた。]
[エーリッヒをちらと見上げる。]
エーリッヒ様は、……アーベルを疑いますか?
[ユーディットの反論に僅か、思案の素振りを見せるものの、こちらもそれ以上は言わずに。
投げかけられた問いに軽く目を伏せつつ、ピアノの前に戻る。
鍵盤の上を滑る指が、音を一つ、紡いで]
さて、今のやり取りからは、どう見えたかな?
[問いに返すのは、どこか冗談めかした口調での、問い]
[入り口付近を探しただけでは収穫はゼロ。
諦めて鉱山から村の方へと降りていく]
……なんか無駄に時間使った気分。
[眉根を寄せながら呟いて。
暗くなった道を歩いて行った]
『私の最高の親友。イレーネと出会えて良かった!
例え、私が見えなくなっても、いつも一緒にいるよ。』
…。
[書かれていた言葉は、まるで親友が口にしたように頭に届いた。
暫く、絵と親友を交互に見ていたが、小さく息をついてベットの縁に背を預ける。そこから間近に見る親友の寝顔。
親友の死に顔は安らかで、それには胸が温かくなった。
こつりと、頭を乗せ、目を閉じた。
何かを思い出すように、あるいは―――感じ取るように。]
[外に出ると未だ日は高かった。、一度宿に戻り、昼食を口にする。
此処数日というもの、面倒をかけたくないからという理由で、上の姉の申し出を断り食事は自分で作っていた]
そう言えば、バウムさんは?
大分飲んでたけど。
[交わす会話は何時も通りのようで、何処か、距離がある。
食事を終えた後には、客が来ない中でも何時も通りの雑事。空が朱く染まりゆく頃には一通り終わり、ノーラがやって来た。
弟の姿に、昨日の言を思い出したか、心配そうな眼差しを向ける姉に笑みを返して、行き先は告げず、入れ違いの形で出かけて来ると言い残して外に出た。
――いってらっしゃい。
投げられる言葉を、背で聞いた、それが、最期]
……エーリッヒ様って、最近アーベルに似てきましたよね。
[問いには、拗ねたような顔で返し]
正直言って、判りかねます。
お二人とも、言葉の投げ合いを楽しんでるような感じで……。
……そう、悪友同士、みたいな。
[あれ、っていうことはエーリッヒ様はアーベルを疑ってない? と考え込む。]
[結果から言えば、目的は果たせず終い。
診療所まで赴くも、タイミング悪くオトフリートは不在だった。
その上、自衛団員に捕まったのは不運としか言いようがない。聞き飽きた言葉をぶつけて来る男を、普段通りの、観察するような眼差しで眺めていたのが余計に悪かった。とは言え、それも相手の不安を発散させる手段なのだろうと、好きにさせておいたが。
結局、医師の姿は見当たらず、時間だけを無益に潰して帰途に着く事となった]
全く。
使えれば、未だ楽だったんだろうけれど。
[両耳に通した丸石を弄りながら、呟く。
また小言を食らうのだろうか、そんな暢気な事を考えつつ、裏口から中に入る]
ただいま――
ノーラ姉、エルザ姉?
[村が閉ざされてからというもの、以前の騒がしさは鳴りを潜めたと思っていたが、今日は一際、静かだった。客足がないからだろうか、姉二人の姿は、厨房にも店内にも見当たらない。
訝りながら、従業員用の部屋の在る方向へと歩を進める。
気付いていた筈だった。
昨日も感じた、見えない気配に。
そして、食事ともアルコールともまるで違う臭いに。
一室の、扉を開く]
似てるって。
それは、向こうが嫌がるような気がするけれど?
[口調はどこまでも軽く。
右手の爪弾きにはやがて、ゆっくりとだが左手も添えられ、旋律が織り成される。
思案の呟きと、考え込む様子。
それに、ふ、と笑みを掠めさせ]
……俺が、覚えている限り。
嘘をつかれた事は、ないはずだから。
……と、いうのは論拠としては大分甘いが。
今、俺の目に見える要素では、アーベルの方が信は置ける、という所かな。
――…あぁ、 そうか。
[一瞬ばかり、目を見開いた。
けれど、取り乱す様子はなかった。
それどころか、噎せ返るような臭いに眉を顰め、中に入り窓を開く。傍目には、異様過ぎる程、冷静な様子で。
未だ、床を濡らす色は乾き切っておらず、浅い水溜りに踏み込む感触があり、滴が微かに跳ねては、衣服を染めた。
吹き込む風に、カーテンが翻る。
月光に照らされる室内。先ほどまでは薄暗くて見え難かった光景が、よく見えた。
横たわる女の姿が、
大地を思わせる茶色の髪が、
緩やかに広がるウェーブの青が、
在るべきものを失くした身体が、
無残にも刻まれた傷跡が。
生は、其処に無い]
[こんな時でも腹は減るもので。
向かうのはやはり宿屋の方向。
途中自警団に捕まろうが常の雰囲気でどこ吹く風。
長い問答の後、諦めた自警団から解放され、ようやく宿屋へと辿り着く]
…たく、何回言えば分かるんだ、っつの。
[自警団へ悪態をつきながら、宿屋の扉を開けた。
嫌に静まり返ってる様子に首を傾げる]
[広場に差し掛かったところで、ふと空を見上げた]
能力者の血脈、か。
[その昔、追い求めたもの。
人狼に対抗できる力。すなわち人狼を下すことのできる力]
…今はもう、欲しくも無い…。
[ミリィの家へと向かう足が止まる。
口の中の苦さに、僅か眉を寄せた]
嫌がっても、事実は事実ですからね。
[首を振って、くすりと笑う。
流れるピアノの音に、耳を傾ける。目を閉じる。]
……綺麗な音。
[世界がこれぐらい綺麗だったら良いのに、と思った。]
……ああ、昔から知ってる者同士なら。
そうですね。
いえ、ひとつのヒントにはなるんじゃないでしょうか。
……じゃあ、イレーネさんの方が怪しい?
[問い返す。]
変容に。
変容が、
重ね…… 聞、えた。……る。
ああ、――嗚呼!
――赤いモザイク!
[身体を丸めるように座り込んだまま。押さえられるのはいつしか両耳になり。指先から始まった震えが徐々に全身へ伝わっていく。声も少しずつ高さを増し、最後には叫び声となって]
……そういう問題なのかと。
[はあ、と。零れるのはため息一つ。
鍵盤の上、織り成されるのは穏やかな旋律。
風と空を思わせるような]
ま、ある意味では腐れ縁だけどね。
……怪しい、というか。
信じるための要素が、足りん。
行動に整合性はあるが、何か……見え難いとでも、いえばいいか。
俺が、あの子の事をよく知らないのを差し引いても、ね。
馬鹿だな。
[嘲りを帯びた笑みは、何に対してか。
先ずは青い髪の女の傍に膝を突いた。
口煩くて御節介で勝気で、それでいて心配性な姉の首筋は掻き切られて、顔までもが真っ赤だった。左の掌で、袖で拭い取り、目蓋を閉じさせた。
そして、己の腹部に手を添える横たわる女の傍らに。それはまるで、喪くした子を求めるが如く。
優しい姉だった。人の醜い部分など、持ち合わせていないかのようで――だから。
待ち望んでいた子は世を見ることはなく、彼女の微笑を見ることもない。
頬を撫ぜる。
それから、彼女の左手を取った。薬指には、誓いの輪。
其処にそっと、口接けを落とす]
……ごめんね?
[嘆く事もなく。ただ。口唇は微かに、弧を描いた]
……くッ、
[息が漏れる]
あ、はは、は、は、は、はははは――
[途切れ途切れに、それでも、笑いが込み上げた。
彼方此方は血に濡れて、酷い状態だと思った。他者が見れば如何思うだろうか。そんなことも考えはしたけれど、如何でも良かった。
嗚呼、可笑しい。
次第に呼吸が出来なくなり、噎せた。
それで漸く涙が滲むだなんて、笑い話でしかない]
[ピアノの傍にやってきて、それが奏でる旋律を楽しみながら]
良いじゃないですか。
羨ましいですよ。誰かとそういう関係があるって、素敵です。
信じる要素が足りない、ですか。
確かに、そういうところはあるのかもしれません。
私がアーベルを信じかけてるのは、んー……
巧く言えませんが、人狼がこんな風に、
私だけに能力のことを教えるだとか、
それを元に色々考える、だとか、
そんな面倒なことやって何のメリットがあるのかなぁ、って。
そう思ったからで。
あと、アーベルは判り難い人ですけど……その真意は判ることが多いんです。
ですから、信じられるかな、って。
[静寂の中、声は妙に響いた。
不意に、ぴたりと収める。
表情は失せて、其処には何も無い。
立ち上がり寝台から毛布を剥ぎ取ると、二人に被せて]
... In Paradisum deducant te Angeli,
お休み。姉さん。
[小さく、小さく、囁いた]
…あぁ……
[世界はあまりに暗くて、冷たく、そして遠い。
その身に抱いて、大事に育んでいた小さな灯火も、今はもう見つからない。
膝を抱き、丸まって…小さく、小さくなってしまいたかった。]
…ごめんね。
……ごめんね。
…本当に、ごめんね。
[ひとつは、巻き込んでしまった姉へ。
ひとつは、約束を果たせなかった夫へ。
ひとつは…、産んであげられなかった、いのちへ。]
う……う、……嗚呼。
暗き影は、……来たり。
崩れたる塔は、地に染み渡らん。
[呻くように言いながら、ゆっくりと立ち上がり。おぼつかない足取りで広場へと向かう。入り口に着き、噴水の辺りまで来たところで一旦足を止め、耳を押さえる手の力を強めた。視線を彷徨わせ]
行かねば、
[カウンターにも誰も居らず、注文も出来ずに立ち尽くす。
厨房に居るのかと奥に声をかけようとした時だった]
……?
[宿屋の奥から微かに聞こえる笑い声。
その声は途中で噎せるものへと変わり。
一体何事かと奥を窺った。
聞こえた笑い声は聞き覚えのあるもの]
…アーベル?
[奥のどこに居るか分からないために従業員用通路へと顔を覗かせるだけにして、声の主の名を呼んだ]
[口許を拭う。
既に手も染まっていたから、それは、赤を広げるだけに過ぎなかったが。
微かに、音――己の名を呼ぶ声が届く。
軋む扉を押し開け、閉めもしない侭に、薄暗い廊下へと出た。
声のした方へと、顔を向ける。幽鬼にも似た態で]
…ねぇミリィ。
一つだけ、謝らなきゃいけない事があるの。
[眠れる親友の傍らに顔を埋めながら、ぽつりぽつりと呟く。]
私…信用するのは二人だけ、ってユリアンに言ったんだけど。
その二人の中に、ミリィは居なかったの。
…ごめんね。
[抑揚のない声色は、傍に居ると書き残した親友に届いただろうか。]
[広場に踏み入り、一度奥へと視線を投げる。
昏い翠が虚ろに静寂に包まれた宿を見る]
[しかしすぐに首を振ってミリィの家へと歩き出す。
イレーネを待たせてしまっている。すぐにも騒ぎになるであろう状態で、一人のままにはしておけなかった]
そういうもの、かな。
まあ……そうなのかも知れないけど。
[繋がりに関する言葉には、曖昧な呟きを落とし]
あの子の場合は他者との接触が限られる分、表現下手なのかも知れんが、ね。
……ま、普通に考えたら、人狼がわざわざ家に来てあんな話をする必要はない。そういう視点からも、信は傾く。
[言いつつ、ふ、と手を止めてユーディットを見やり]
その評価は、同意しよう。
[最後の言葉に向けたのは、どこか冗談めいた言葉]
……さて、取りあえずは、今浮かんだ音をまとめちまうか……忘れない内に、書き留めておかないとね。
それが一段落したら、少し、外に出るから。何か、変化があったかも知れないし。
[言いつつ、再び譜面とペンとを手に取る。
後に知る『変化』の事は、未だ*知らぬままに*]
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