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旅人 ハンス に 8人が投票した
少女 ベアトリーチェ に 1人が投票した
旅人 ハンス は村人の手により処刑された……
次の日の朝、歌姫 エルザ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、少女 ベアトリーチェ、職人見習い ユリアン、貴族 ミハエル、シスター ナターリエ、教師 オトフリート、神父 クレメンス、ランプ屋 イレーネの7名。
――昨夜、広間――
[手を付いたところから窓硝子は震え、まるで泉に石が落ちたように波打つ。
その波は段々と海のように激しさを増し。隣りの窓へと連鎖し。
壁全体を覆う窓一面に、あるかたちを作り出す]
・・・・・・。
[屋敷の窓という窓。
窓硝子一枚いちまいのその表面に、硝子細工のようにナターリエのかたちが作られていく。
――聞こえる・・・。]
『 お お か み 』
[ナターリエの硝子細工はぐにゃりと形を歪め、獣のかたちがつくられていく。
獣たちは吼えるような動作をして。
少女にしか聞こえない、仲間を呼ぶ歓喜の遠吠え!]
…ごめんね、ミハエル。
[これは、報いなのだろうか]
…ごめん。
[届かない温もり]
…ごめんね。
[そばにいてやることも]
…ごめんなさい。
[信じ抜く強さもなかったあたし]
- 2F・部屋I -
[その場で否定はしたけれど。
神父からの宣言は彼に強い衝撃を与えていた。
自分もまた人狼の血を引くことは知らされていたから]
でも、僕は、違う…。
[共に部屋まで来てくれたエルザが小さく歌を歌ってくれる]
[彼女がこうして居てくれることだけが...を支えていた]
[やがて、いつしか眠ってしまったエルザの髪をそっと撫で]
護る、から。
[震える声でそう告げた]
[けれど]
……?
[どこかから甘いバニラのような香りがしてきたような気がして]
[首を傾げているうちに]
[不意に意識が戻って来た]
[部屋中に漂う、強い強い甘い香り]
…エルザ?
[傍らに居たはずの彼女が居ない]
[慌てて立ち上がると、甘い香りとは別の香りに気が付いた]
こ、れ……
[錆び付いたような香りは、風呂場の方から漂ってきていた]
あ…あ……
[目を見開く。呼吸が出来ない]
あ……あぁ………
[呆然としながらその身体を抱き起こす]
える、ざ
[その左胸には深く深く刻みこまれた傷]
[動かせば、その傷から体内に残っていたらしい紅が流れる]
[自分がその紅に染まることにも気が付かず]
う…ぁ……
[ひゅう、と息を吸う]
―昨晩/裏庭→台所―
[「――囁きを――」
そんな声が聞こえた気がして、台所の勝手口から広間を覗く。
窓の前に誰か、立っている。
黒色、闇夜のワンピースをまとう、銀髪の女性。
冷たく青白い月光に浮かび上がる、そのあまりの美しさに、彼ははっと息を呑む。
彼女の瞳が金色な事に、彼は気付いたのだろうか。
窓が波打った事も、気付いたのだろうか。
全てが彼にはまるで演劇の、俳優の為の舞台演出に見えた。
暫し、魅入られる。]
信じたい。
…違うと言って。
信じたかった。
…あなたじゃないと。
でも怖かった。
…疑った。
確かめようかと。
…あたし自身の能力で。
あたしは、揺らいでしまった。
今なら言えるのに。
あなたにならば、命をあげると。
あたしを殺めたのが、あなただとしてもかまわなかった。
[ミハエルの驚く顔][絶叫][涙]
あなたでは、なかったの?
…あなたじゃないのね。あなたは、人間なのね?
[安堵してはじめて気がついた]
[その疑いが己をどれほど深く侵食していたのかを]
…あ、ああ…。
[あたしを抱くミハエル]
[抱きしめたいのに]
[腕は空しくすり抜ける]
あたし、なんて、ことを。
[赤の滲みた、白い包帯。
赤の滲みた、白いシュミーズ。
花の詰まった籠を手に、ぺたりぺたぺた裸足で歩く。
白く変わったプレートの、下へと手向ける色とりどり。
手にした籠から、花びらはらり。]
―昨晩/台所―
[だが突然、空気がびりと震えたような気がして。
彼の目は確かな光を取りもどす。
波打った硝子は静かに微笑む女性を、そしてそれから歪んだ獣を映し出した。]
―in my room(A)―
[眠りの中から身を起こし、...は窓の外を見る。
裏庭の惨劇を思い出す。
――その瞳が輝くような黄金に、きらめいたのは誰が知ろう。]
[同時に起こっていることを知ることが出来るのは、もはや肉体を持たぬが故か]
[イレーネの声]
[硝子が歪む。形を成す]
[ああ、キレイ]
シスター。
…ナターリエ。彼女が。
[瞬きのうちに青く変わりて、
その瞳は消えうせる。
...自身に自覚はなく、ただ立ち上がり着替えに手をのばす。]
[――悲鳴]
そっか。
[ふわり微笑む。春風のように。]
…やさしいおおかみさん、ありがとう。
えるえるをおこしてくれたんだ。
いちばんいやなもの、みなくてすんだね。
…人狼。
[今までは、哀れんできた]
[神の手駒と。同じ生け贄に過ぎないと]
神の僕にして、神の、手駒。
[今更、いまさら、湧き上がる感情の名前]
[少女の声に、ゆっくりと振り向く]
[抱きしめていたエルザをそっと寝かせるように下ろして]
……お前か。
[暗く暗く光る瞳]
[そこから流れる一筋の紅]
[ゆっくりと腰から剣を引き抜く]
見つけた・・・やっと、・・・やっと会えるのね・・・
[掠れるような、ほんとうに小さな声。
やがて狼のかたちをしたものは溶けて。
屋敷の窓は全て元の硝子窓になる。
窓から腕を放して、くるりと振り向いた。
エントランスホールへ、ゆっくりと歩む。
一瞬視界にオフリートが入る位置だったが、気に留めることなく歩を進める。
視線は遙か遠くへ――。
金色の瞳は、オトフリートに見えただろうか]
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