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― ゲルダの家へ ―
ところで、そのゲルダさんに拾われた男性は、
記憶喪失だったりしませんか?
いえ、私の拾った子がそうだったので、
その方もそうでしたら、
意外と繋がりがあったりするのかと思いまして。
[そして唐突に思いついたことを述べれば、
相手は「気を失っていたから、そりゃ分らん」と、
応えをくれる。]
……そうですか。
人間の拾いものというのもこの島では珍しいですし、
すこし、ゲルダさんのところに確かめに行ってみますね。
─港・船の上─
[それなりの大きさのある船へと乗り込み、甲板に立つと徐に指笛を鳴らした。甲高いその音は開け放たれた宿屋の窓まで届き、その窓から一つの影が飛び出す]
…よーし、来たなヴェルト、良い子だ。
[飛び出した大きな影はペットであるヴェルト。大きな羽ばたきと共に船へと近付き、何故かフーゴーの頭の上に降り立った]
……ヴェルト、そこじゃねぇだろ止まるのは。
[漏れる苦笑。時折ヴェルトはこのような悪戯をしてくるのだ。ヴェルトを促して腕へと移動させ、更に船の縁へと降ろす。そうしてから広い甲板の掃除を始めた。辺りに調子っ外れの鼻歌が響く]
んー、まあ見つけちゃったからねー。
ダーヴィッド、か。あたしはゲルダ。
よろしく。
[名乗り返しながら風呂に行くと言う相手に父の服を着替えとして渡しておいた。
それからまたリビングへと戻って珈琲を入れる。]
そういや、ライヒアルトもなんか拾ったとかって噂あったっけ……。
[狭い島のなか、珍しい出来事はすぐに噂になるものだった。
リビングで珈琲を飲みながら、珍しい事が続くなんてふしぎなこともあるもんだとのんびり呟いている。]
─ゲルダの家に向かう途中─
…空気が湿ってきたな。
今夜あたり…荒れる、か。
[自宅兼工房は海辺に有る為、急な時化が来ても大丈夫なようにいつでも出かける際はしっかりと戸締りはしているが。
いつになっても慣れるもんじゃないな、と内心で溜息をつきながらゲルダの家への道を急ぎ。]
─通り
あー、そいえば…クロエの店寄ってこ。
そろそろ革手がボロボロになってきちゃったしなあ。
うん、そうしよう!
[道具箱をかつぎあげると、幼馴染の居る店へと急ぐ。店先で箒を抱えて猫と居る姿が目に入った]
おーい、クーローエー!遊びに…じゃなかった。革手買いに、私が来たよー!
[理路整然としているような、そうでないような。
少しばかり不可思議な思考回路を漁師――船乗りかもしれない、相手に披露し、くるりと踵を返す。
白い砂の上を、土の上と変わらぬペースで歩んで行く。
視線を上げれば、自慢の船の上のフーゴの姿、ヴェルトの姿、
砂浜を歩くヘルムートの姿も捕らえることができるか。
近づいたなら、どちらにも「おはようございます」と挨拶を向け、
それでも相変わらずマイペースに自分から足を止めることなく、
ゲルダの家に向かって歩を進める。]
─雑貨屋・前─
[小さく呟き、ため息をつくのと、威勢のいい声が名を呼ぶのはほぼ同時だった]
やほー、カヤ、いらっしゃい。
革手は、いつものでいいん?
[元気のいい幼馴染に、にか、と笑ってこう返す。
ぶち猫も、挨拶するようににぃあ、と鳴いた]
―宿屋―
[昨日は結局クロエを送ったそのまま、お茶などご馳走になりながら少し会話に花が咲いたりもしたのだった]
んー。
[陸での朝は極度に弱い。
揺れない寝台では目覚めも遅くなりがちで。甲高い指笛が聞こえなければまだまだ寝ていたことだろう]
もう朝か。
ふぁぁ。
[欠伸混じりに酒場ともなる食堂を覗くと、そこには手伝いの青年の姿しかなく]
親父さんは?
ああ、こいつの所か。納得。
ぼやくなって。リッキーになら任せられるからだろ?
そうだな、俺も眠気覚ましに見せてもらってくるか。
[愚痴混じりのリッキーも嫌そうには見えない。
一生懸命に支度する青年を軽く応援して、港に向かい宿を出た]
みゅうぅ。
[なんだか涙目になりながらも、あっちこっちと迷いながら、適当に歩き回り、一体ライヒアルトの家から教会までどれくらいの障害があればこのような時間になるのだろう、という時間をかけてやっとリディは、教会の前を通りかかった]
───教会前───
教会……教会……。
[が、教会というものをよく分かってないので、そのまま通り過ぎようとしていた。
今更ながらに、ライヒアルトに教会ってなんなのかと聞いておくべきだったと後悔中]
―砂浜―
[砂浜でみつけた話し相手は海女。
やはりというべきか、「ひろいもの」のはなしはここでもされる。
その途中聞こえた声に振り返り、]
あらん?アルせんぱぁい。
ごきげんうるわしゅう。
[海によく似た色彩のドレスのすそをつまみ、一礼して。
はた、と気付くのは]
リィちゃんは居ないのかしら…?
[ふかく詮索はしなかったゆえに、リディの状況はしらず]
─港・船の上─
[聞き慣れた声が耳に届くと鼻歌は一度止まり、掃除の手が止まる]
おぅ、ライヒアルトおはようさん。
今日も精が出るな。
[港に来たのもいつものフィールドワークなのだろうと当たりを付けそう言葉を投げかける。挨拶のうちと考えているために返事は期待しておらず、声を投げかけた後は再びズレた鼻歌を鳴らしながら掃除を続ける。ヴェルトもまた、ライヒアルトの姿を見止めると、挨拶するかのように、がー、と鳴いたのだった]
[笑顔になる前のクロエの少し曇った顔が気にはなったが、尚更いつもの調子で返す]
うんうん!いつもの!あれじゃないと、なーんか違うのよね。前に親父…の使ったけどやっぱ駄目ね。
[それを告げるとしゃがみこんで猫を撫で回す]
うにうにうにー。あんたも元気にしてたー?
私はこのとおり元気よー?
[それから他愛もない話を二、三聞いた後、彼女らと別れる]
続けてたぁ、妙な偶然もあるモンだな……
お?
[思い起こす矢先、目の前を通り過ぎていく少女。
呟く声も聞こえた]
……教会ならここに建ってんじゃねぇか。
[通り過ぎた背中に声を掛けた]
― ゲルダの家へ向かう途中 ―
[後輩の挨拶の声や、フーゴーとその愛鳥の声を背に、
砂浜を抜け、道に辿りついて暫く後。
同じ方向へ向かう良く知った後ろ姿が視界に入る。]
ヴィリーさん、おはようございます。
(貴方もゲルドさんのところに行かれるのですね。)
[幼馴染とゲルドが実の兄妹のようであることは承知。
故に、彼がこの道の先に向かう場所といえば、
そこしかないと思い、
挨拶の声音に断定系の想いを乗せて、声をかけた。]
う?
[背中からかけられる声に、少女が振り返った。
当然のように話したことの無い人物なので、多少の人見知りはあったが、一度見かけたことがあること。それから、やっと目当ての場所についたという安堵から、今は人見知りはあまり発揮しなかった]
教会?
[こてんと首を傾げて、ウェンデルの後ろにある教会を見つめた]
これが、教会?本がいっぱい置いてある場所?
[リディには留守番でもまかせているのだろうか、と一人合点。
海女との会話を切り、またさくさくと砂のうえをあゆみ。
港へとたどりついたならば、きこえる唄は、その声は昨晩に聞いたおぼえのあるもので]
おはようございまぁす、素敵なおじさま。
[陸から、ひらひらと手をふって。
掃除のようすをものめずらしそうにみつめたり]
─ゲルダの家に向かう途中─
[多少足早に歩いているところを、後ろから聞き慣れた声が投げられ。
足を止めて振り返るとやはり幼馴染の姿があった。]
ライ、か。あぁ…お前も、か?
[この幼馴染にゲルダの家に向かう用があっただろうか、と不思議に思い、端的に問いかけた。
彼は、彼女と目の前にいる幼馴染がそれぞれ人を拾ったことをまだ知らない。]
─雑貨屋・前─
そうなん?
それだけ、手に馴染んでる、って事なんかなぁ。
職人さんは、馴染んだ道具じゃないとやり難い、ってよく言うモンね。
んじゃ、ちょっと待っててな。
[なんか違う、というカヤの言葉に軽く首を傾げながら言って、店の中へと。
撫で回されたぶち猫は目を細めてごろごろと喉を鳴らす。
それは、元気に、という問いへの肯定にも聞こえるか。
撫でられるのにあわせ、また、鈴が音を立てる]
−ゲルダの家−
[何日も海を漂って海水が染み込んだ服を脱ぎ、首から提げた皮袋を外す。
皮袋の中には、金貨が十数枚。
それをみて、今更ながらの疑問が過ぎった。]
………そういえば、ここは何処なのだろう。
[この金貨はここでも使えるのだろうか、と首を傾げながら。
とりあえず湯を浴びて、海の潮を流し落とす事にした。]
測量士 アーベルが村を出て行きました。
13人目、測量士 アーベル がやってきました。
―港―
[広場を抜ける時に雑貨屋の方を見る。
既にお客もいるようで、そちらは寄らずに目的地へ。
帆船の上にいる人を見つけて手を振った]
おはよう、親父さん。
相変わらず立派だね。
ルーミィさんもおはようございます。
[ヘルムートへの挨拶は丁寧かつ笑顔つきだったり]
─港・船の上─
ん〜ふんふふ〜ん♪
ふふん〜ふ………お?
[耳に届く声に鼻歌が止まる。甲板から陸を見下ろし、その姿を見つけると軽く右手を上げた]
おぅ、おはようさん。
えーと、確か……ルーミィ、だったか?
[昨夜周りで為されていた会話を思い出しながら、相手の名を紡ぐ。昨夜のうちにリッキーから性別に関して突っ込みが入っていたが、特に気にしていないらしく、にかっと笑みを向けた]
そちらさんは散歩かい?
何か面白いもんでもあったかね。
……まぁ、確かに本はあるが。
教会知らねぇのか、オマエ。
[記憶喪失だとは知らないから、少女の顔を訝しげに見る]
つか、今日は学者先生は一緒じゃねぇのか。
─港・船の上─
っと、アーベルも来たのか、おはようさん。
どうだ、立派なもんだろう。
俺の自慢の船だ。
[聞こえた声と見えた姿にヘルムートにしたのと同じように挨拶を向け。甲板の上で両手を腰にあて自慢げに胸を張った。それに呼応するようにヴェルトが、がー、と鳴く]
─ゲルダの家に向かう途中─
ええ、ゲルダさんと同じく人間を拾った身として、
お話できたらなぁと。
[他人よりも意志の疎通は容易い幼馴染ではあるけれど、
基本的に説明を省くきらいのある学者は、一つ頷いて見せる。]
私が拾った子が、どうやら記憶喪失のようなので、
ゲルダさんの拾われた方はどうなのだろうかとも思いまして。
[しかしながら、他人との違いは、
「人間の拾いものって、この島では珍しいでしょう?」
と言いたげな視線を、おそらく幼馴染が拾えること――だろう。]
─雑貨屋・前─
[猫を撫で回すのにも飽きたのか、頭をポフポフと撫でて立ち上がる]
あー、今日はまだそんなに忙しくないから急がなくていいよー。
ま、つってもどーせ午後からは忙しくなるんだろうけどね。親父の奴、絶対狙って出かけたとしか思えないわ。なんなのかしらね?最近の天気。
[盛大にため息を一つ]
そっか。これが教会なんだ。
[ウェンデルの返答に少女は、教会を見上げた。
三角屋根のその頂上に十字架が立っているのが特徴的だと思った]
うん。覚えやすい。
今度からは大丈夫。迷わない。
[何処をどう辿って辿り着いたのやら、という気もするが、本人が大丈夫だと言っているから、大丈夫なのだろう。
そして、後半の言葉を聞くと、やはり首を傾げた]
学者先生?
何、それ?
[ライヒアルトの身分は、少女にとってはさっぱり分からなかった]
[そういえば濡れた男をそのまま寝かせた布団の始末をしていなかったことを思い出した。
とりあえず新しい布団を用意しておいて、濡れた布団は後で干させようと考えた。
もちろん拾ってきた男に。]
意識も取り戻したことだし、金があるかどうか確認して、あるようなら宿を案内すればいっか。
[見知らぬ青年が極悪人の可能性を全く考えていない女はのんびりと呟いた。]
―港―
ベルちゃんもきたのねぇ。
ごきげんうるわしゅう。
[笑顔つきのあいさつに気をよくして、こちらも満面の笑み。
フーゴーには、金の髪をゆらしつつうなずいて]
えぇ、そう呼んでくれるとうれしいわぁん。
そうよぉ、おさんぽ。
ここにいるうちに、できるだけ種をあつめたくて。
[いつかものがたりを、咲かせるための、種]
おもしろいものはまだだけれど…。
この島がいいところっていうのは、よくわかったわぁ?
―港・船近く―
ああ、自慢したくなるのは分かるよ。
とっても美人だ。
俺のスループだって、小さくても負けないけどね?
[素直に認めながらも付け足すのは忘れない。
大きな声で鳴くヴェルトにも親指を立てて見せた]
刺繍工 ゲルダが村を出て行きました。
─ゲルダの家に向かう途中─
人…?
…あの、髪の短い、子か?
ゲルダも、なのか。なら、もう起きてはいるな。
確かに、珍しい。
[幼馴染の投げる言葉と視線に、淡々とこたえ。
ともすれば、ゲルダが起きている事が珍しいように聞えるような返答をしている内にゲルダの家の前に着いた]
ゲルダ、俺だ。ライも一緒なんだが、居るか?
[この男にしては大きな声で中に呼びかけ、玄関のドアを2,3度ノックした]
─雑貨屋・前─
[急がなくていい、と言う声に、中へ向かう足を止めて振り返る。
ぶち猫は撫でられまくってご満悦、という様子]
あれ、そう?
じゃあ、今はのんびりなんね。
そっか、おじさん、出かけてるんだっけねぇ。
んじゃあ、カヤも忙しないねぇ。
[昨夜の宿屋で見た、疲れたような姿を思い出して苦笑する]
んー……天気。
やっぱり、荒れそう……だよ、ねぇ。
[話題が天気に及べば、黒の瞳はやや、不安げに空へと向かう。
嵐に伴うあるものが苦手なのは、幼馴染には周知の事]
13人目、刺繍工 ゲルダ がやってきました。
―自宅―
[濡れた布団を客間の端に寄せた女は労働したと言わんばかりにため息をつき。
あとはリビングに戻ってのんびりと珈琲を飲む。
ふと浮かんだ図案を紙に書き留めたりなどしながら、名前しか知らない男が風呂から上がってくるのを待っていた。
店舗が併設されている自宅は、けれど、店舗の入り口の横に玄関があるからわかりにくいと言うことはないのだった。]
[聞こえた兄の声にきょとんと瞬き、玄関へと向かう。]
あれ、ヴィリー兄?
おはよー、どうしたの、二人そろって。
[玄関を開けて兄と慕う男とその幼馴染を見つければ、不思議そうな視線を向けた。
まあ、はいって、と部屋の中へと案内する。]
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