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[アマンダに目を向けるよりも先に手を伸ばしていたせいで返答も出来ずに]
[彼女にはしっかりと光景が浮かんだに違いないと思った]
[何のって]
[階段から落ちた時の状況がきっとしっかりと]
[リディとイレーネが肩を押えているのを注視した。とはいっても理由などわからぬから単なる疑問としてであったが、そこで、エーリッヒの呟く意味深な歌を耳にした
そうはいっても見当もつかない。こちらの伝承といった類にはとんと詳しくないからだが]
相変わらずそういうのに詳しいようだが、なんの唄だ?
・・・・・なにこれ。
こんなの、知らないよ?
[明らかな困惑。思わず襟元をくい、と引っ張る。
角度が合えば、見えたかも知れない。
蒼色。]
いや、ごめん。
…うん、ほんとマジでごめん。
[そそっかしい人のその姿に、すっかりといろいろ頭から飛んだらしく、
呆然と眺める。]
リディちゃん…
[服の中を覗き込む姿に、不安を感じる。
自分も再び右肩に手をやったところで、鈍い音がした]
…大丈夫、ですか?
[クレメンスが潰れている。
無意識のまま半ば無理矢理そちらに意識を向けて、問いかける]
…いえ。
[取りこぼしたボタンに妙に執念を燃やしてしまったが、上から(そりゃこけたのだから誰のもそうなる)の声にエーリッヒを見上げた]
大丈夫です。
[しかし背後の音はしっかり聞こえたらしい。]
・・・・・・
なにしてんの、おじさん。
[それまでの経緯を見ていない少女は別の意味でも困惑した。]
……っていうか……。
一応、聞くけど、無事?
[リディとイレーネの様子は気にかかるものの。
ずべっと行ったクレメンスもやっぱり気にはなるので。
一応、そーっと声をかけてみた]
えっと、皆さん色々と…大丈夫でしょうか?
[あちこちで色々起きるのをそれぞれ見遣って]
怪我、じゃないと良いのですけど。
[イレーネの声を聞いて、しっかりと頷いた]
大丈夫です。ええ。
慣れてますから
[しかし、あまりに呆れたというか妙な声音のリディの声に]
…いえね。
ちょっと、ボタンが俺の手から逃げてしまったわけなんですよ。
鬼ごっこは俺の負けでして。
[後から入ってきたマテウスにはぺこり、お辞儀と挨拶を。]
[アベルの声にほっとした表情を向けて。]
よかった。
うん、そうしてもらえると嬉しい。アベルの料理、好きだから。
[微笑んで近づけば。][傍に居たザフィーアに指を近づけ撫でた。]
[そうして色んな所を擽ってじゃれていると、足に付けられた輪に目が行く。]
そういえば随分昔から付けていたけれど、これアベルがつけたんだっけ?
綺麗だよね。ザフィーア、お洒落。
[そういいながら、足にかかる環にそっと触れてみたり。]
アーベル君にもまた心配かけましたねえ。
すみません。
[ちゃんと身を起こす]
[ついた手はさっきよりも痛く]
まあ捻ったくらいですしねえ。
[しかし今度はちゃんと金の行方は追っていた]
[目をそちらに向けた]
[リューディアより、背は高い。
はっきりとは見えなかったものの、やはり、僅かに覗いたその色彩だけは、まるで焼きやくように視界に残った。
鮮やかな蒼。
――あかと、あおと。
誰が言っていたのだっけ。……ああ、お婆だ。
そんなの、僕らには、関係ないと思っていたのに]
[思考は奇妙な音に遮られる]
……何してんですか。
[呆れの感情すら篭っていない呟きが、リューディアと被った]
[片やボタンが無くなっていたり。][片や気分が悪かったり。]
[二人の少女に浮かぶ不思議な文様。][イレーネの朱のそれは確か昨日見たことのあるもので。]
[エーリッヒの伝承歌には、不思議そうに耳に入れる。]
[勿論、その意味など知るよしもないが。]
あーあ……大丈夫?
[あきれたようにクレメンスをを眺めるけれど、
彼が無事立ち上がるのを確認すると、リディのほうへ]
どうかした?
なんだか今日は、小さな事件がたくさんね。
ん、これ?
みっつ向こうの村で聞いた手遊び歌。
[もう一度、振り付けを交えて歌う。
「あかいはな」と「あおいはな」の部分で、片方の肩をさする仕草。
「さかそう」と「ちらそう」で両手をひらひら振る。]
さて。
今度こそちゃんと逃がさずにおきましょうねえ
[少し足を進め、エーリッヒが落として転がったボタンのそばでしゃがむ]
[手を伸ばした]
ん、そーかあ?
[料理が好き、と言われれば、やはり悪い気はせず、自然、口元は綻んで。
撫でられたカラスは、嬉しげな様子でされるがままに]
ん、ああ、これか?
母さんのくれたお守りなんだけどな。
相棒の印、って事で、ザフィーアに持たせてるんだ。
[そうでもしておかないと、野生のカラスと一緒に追われたりするから、というのもあるのだけれど。
お洒落、と言われたカラスは嬉しげに一つ羽ばたく]
手遊び歌、ですか?
[肩をさする様子は、今の二人に似ていて。
そして聞いていた昔話にも、あかとあおの花の]
偶然って、不思議ですわね。
[勤めて明るく。
なぜならその先はあまりいい話ではなかったから]
・・・・そっか。
[クレメンスへの声には最早哀れみすら篭っていたかも知れない。]
これ、薬で治るのかな。
・・・・苦いのは嫌だけど。
[アマンダには服をずらし、肩を示して見せる。蒼い花が開いているようにも見えるか。
眉を寄せるのは、勿論先程ちらりと聞こえたブリジットの言葉を気にしてのことではない。筈。]
手遊び唄…か。
急に唄いだしたから何か意味があるのかと思ったのだが、それだけか
[エーリッヒの説明に、イレーネやリディの肩を見ていない...は内容については深く関心を抱かなかったがなぜ急に?というのを抱き、意外そうに呟く]
ブリジット君。
大丈夫ですよ、ええ。
ボタン一つ無くたって死にはしませんから。
[くるり]
[力なく彼女を振り仰いだ]
でもそうですね。
ええ。
一応、湿布いただいてもいいですか。
[まだ床にに膝をついている]
[恨めしそうに鼠が通れる小さな穴を見た]
[朱い花。緋の花弁。
白い肌に咲いていた花]
…私じゃない。
[彼方の記憶と同じ位置。
押さえた手の下で朱の花は咲き誇る]
…あーあ。
[頭痛から逃げようと、意識は小さな金色へ。
灰色が咥えて壁の方へと走ってゆく]
……いや、心配というか何と言うか……。
[言いかけた言葉は。
灰色の影の疾走に、途切れた]
……ありゃまあ……。
[思わず上げた声に続くよに、カラスがばさりと羽ばたく。
……もしかしたら、光物を逃した、とか考えているのかもしれない]
[金色が視界を過ぎった気がして、視線をずらせば灰色が黒い穴の中に消えていくところだった。
そういえばさっき、クレメンスが釦と追いかけっこだの何だの言っていた。]
完敗?
[クレメンスを見た。]
[黙って見送ったのは、危うく声があがりかけたからなのだけれど。
手が伸びるはずもなかった。
……幼い頃ならともかく、向こうに越してから、鼠なんて無縁だったから。
足下を過ぎる小さなもの、には、いいイメージがないし]
あーあ……。
[鼠と神父服の男との寸劇を眺めつつ、リディの傍へ]
……これって。
[彼女の示す肩に、視線が吸い込まれる。
それは、どこかでみた刻印。そうだ、彼女の鞄の中の手帖]
……リディ、これはね、お守りみたいなもんだわ。
病気じゃないの。だから大丈夫よ。
[ぽん、と隠すように彼女の服を戻して肩をたたいた]
…クレメンスさん…気を落とさないでくださいね?
[これくらいで慰めになるかどうか判らないくらい、彼にはいろいろあったのだろうけれど]
あはは
[乾いた笑いだった]
[なんだか痛みも飛んでしまったようだった]
[いつまでも膝をついているわけにもいかず、立ち上がり手で払う]
ええ。
しっかり完敗ですね。
[烏の鳴き声には裏があるような気もしたが、考えたってわかるわけはないのでため息に変えた]
…ありがとうございます、シスター。
あなたのような敬虔なシスターが一緒に願って下さったら、神も願いを叶えてくれるかもしれません。
俺のドジをどうにかして下さいと。
勝ち負けの問題じゃない気がするけど……。
クレメンスさん、さっきから数えて、何箇所傷めてんの、身体……。
[ふと気になったのはそちらなので、聞いてみた。
カラスの裏の心情は多分気づいていたけど、解説する気は一切ない]
ザフィーア、人のものは盗ったら駄目だよ?
[なんとなく不満げに見える鴉に声をかけ、イレーネとリューディアをちらりと見た。
奥底で、燻るような不安。得体の知れないものへの恐怖めいた感情]
……で、食事してない人、いるんでしたっけー?
パンとスープだけじゃ、今の時間には、足りないかな。
[振り払って、大きめの声で、尋ねた]
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