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[じ、とアレクセイを見やる]
――それじゃ、アナタは?
……三人で逃げて――でもきっと、ヴィクトールはアナタの傍にもどるわよ。
それに……たった一人、生き残ったアナタが
疑われなないワケないでしょう……
[むりよ、というように首を振った]
[それでも、アリョールが、ヴィクトールが。
その提案に乗るのなら――
それはそれで、試してみるのも、ありだとは、思うけれど]
アタシじゃ、無理よ、きっと……
[引きとめることもきっとできない]
[何時の間にか広間に置かれていた、一冊の本。
紙の草臥れた其れは、以前からアリョールが手にしていたもの。
赤に染まることの無かったその本には、頁の合間に僅かな隙間が有った。
その頁を開けば、一通の手紙が挟まれていることに気付けただろう。
それは"アリョール"と"マグダラ"についての、全ての記載。
"マグダラ"は、心近しい相手を喰らう事で恍惚を得て。
"アリョール"は、心近しい相手を喪う事で絶望に至る。
"アリョール"が誰かを喰わずにおこうと想うのであれば、それはたった一人にしか許されなかった]
[たった一人の大切な相手。
それを何時か来るべき日の餌と定めるのなら、時間は稼げた。
最上の甘露を得ることが出来るのなら、"マグダラ"はどこまでも長い時間待てると"アリョール"に告げた。
そう手紙に記されている]
[大切な相手など要らなかった。
先代の下で、ひっそりと生きていくことが出来たならそれで良かった。
それでも、たったひとり、いつしか大切だと想う様になってしまえば、その大切な筈の気持ちが逆に"アリョール"を苦しめた。
選択肢は、たった一つしか無かった。
そんな日が来なければ良い。
いつまでも、逃げ続けられれば良い。
真摯で切実な祈り。願い。想い]
[口数の多くない彼女の、どこに此れ程の言葉が秘められていたのかと想うほど、長い手紙。
手紙の最後は、シンプルな謝罪で締めくくられている]
君は嘘だと思うかもしれないが、
喰べずにすませられるなら喰べたくはないんだ。
[ すまないとは言わない。
だから、拳を作ると、]
フィグネリア、
君が望むなら……、
[ どくり、と目の前が紅くなるような心臓の鼓動。
破砕音。
ノブの直ぐ傍の扉板が貫かれた。
ぱらり、と落ちる木屑。
内側に入ったヴィクトールの手が、鍵を外し、
やがて扉が開いた。]
[ きぃ。
扉が軋む。
烏羽色ではなく深紅の双眸をして立つヴィクトールと、
傍らにはアリョールが見えただろうか。
ヴィクトールは、木屑を踏み、フィグネリアへと近づく。]
自傷……かい。
それとも、歓迎して?
[ 何処か陶然とした響きが含まれ、
普段の声よりも揺らいでいる。
首元から涙の様に流れる血に視線をやった。
先程扉をぶち破った左手をぺろりと舐める。]
[食べたくはないという言葉に、口元に少し笑みが浮かんだ。それから激しい音と共にドアに穴が開く。
その手が鍵を開けるのを、じっと見ていた]
食べられるまえに、死のうと思ったけど。
私を殺す人をちゃんと見ておこうと思ったの。
[切れた首筋から流れ続ける血は、もう体半分を赤く染めている。
青白い肌はさらに白く、けれどどこか赤くも見えた]
[扉の向こうには、アリョールの姿もあった。
一人なら、不意を突けば殺せたかも知れない。逃げられたかも知れない。
そうするつもりも、なかったけれど]
望んで食べられたりするはず、ないわ。
[近付いてくるヴィクトールの言葉に、逃げずに首を振った]
["彼"が室内に踏み込まなかったのは、ただヴィレムが何を為すか見たかったから。
もしも、フィグネリアを逃がすつもりなら、それは許せるはずもなかったけれど。
ヴィレムがフィグネリアを独り占めしたとしても文句をいうことはない。
"彼"にとっては、タチアナという最上の餌を喰らう為のフィグネリアの死であり、それ以上では無い。
"彼女"と心近しいわけでもないフィグネリアには関心が薄かった]
[金糸は肩より下が染まって、ぽたりと下に赤を落す。ナイフは右手に握ったままで、ヴィクトールが髪に触れると、音を立てて床へと落ち転がった]
私は、……貴方たちに殺されることを、忘れないわ。
本当は、――本当は……出来ることなら呪い殺したいくらいの気持ち、だったけど。
[血に濡れた両手でヴィクトールの肩を抱いた]
死ぬときに一人でないのなら、もう、それで良いのかも知れない。
[呪い殺したいほど、生きたかったわけでもない。
生きたかったことは確かだけれど、それほど生きることに執着を持つことも出来なかったから。
幸せなど、最期が孤独でないだけ、それで充分なのかも知れない]
……なんで気付くんだ。
[自分自身について問われると、思わずそんな言葉が漏れた。
苦笑する。
表情は、いつもよりもずっと豊かだ]
ヴィクトールは戻らない。
戻らせない。
お前は、俺らの関係がおかしいって思ったことはないか。
たかだか、近くに住むという関係なのに、と。
――俺は、あいつに、依存してる。
昔とは違って、今はそれを知っている。
[自分自身のことを言うとき、言葉は小さく掠れた]
だから俺は、離れなきゃならないんだ。
ずっとそう思っていた。
[本屋の中、奥にしまった、心理をつづった書籍。
自分の感情に違和を覚えた時から、探した答え]
これが良い機会なんだ。
俺にとっても、多分、あいつにとっても。
――だから、無理なんていわずに。
試して、みないか。
[タチアナに告げる言葉に、嘘はない。
目はまっすぐに彼女を見つめる]
あんたの気持ちは、どうなんだ。一緒に逃げたいか、それとも――
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