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[そうして散策によって、
予想通りここが封印されている西殿の中であること。
議場へは更なる結界が内外から施され、入ることが出来ないこと。
中庭の噴水がどういう経緯か、外を映す投影機になっていること。
彼女には必要ないが、衣食住は一通り揃っていること。
などなど、状況を把握。]
…例えば、ですよ。
この中の誰かを疑おうと思えば誰でも疑えてしまう。
そして私には誰が犯人なのかが判らない。
白か黒か…――判らない。
[少しだけ間をあけて、呟く声は、低い。]
でも…
[お茶を口にしてから、目を伏せる]
『誰も疑わないわけにもいかない。それは判ってる…』
[だからこそ、自分は力のことを誰にも知らせてはいけないと思うのだから…]
[ 幼児がそう呼ぶ対象は誰であろうか。
そんな思考が巡る間もなく、ベアトリーチェは嬉しげに言葉を紡ぐ。]
そう、
[ 次いで零れた名に対しての驚きは表には表れず、ただ、思案な間が下りた。]
ほかには、なにか、聞いた?
[ 訊ねつつも視線が移ろう先は、言うまでもない。]
[思い出す言葉があった。
言葉といっても、名を聞いただけだったが。]
[何ゆえ、ティルとダーヴィッドだったのだろう。]
[考えるように、目を伏せた。
雨が体に、わずか、あたる。]
[無いなら良いと言うティルの言葉には一つ頷くに留め。続く説明を聞きながら]
一つ聞くが、彼らが結界内へと取り込まれた時に何か感じたりはしたか?
もし感じて居ったのであれば、それぞれが取り込まれた際に何か違いがあったりはせんかったかね。
[ティルに疑問を投げかけてからミリィの言葉を聞くと]
ふむ……その「例」に関しては無いとは断言は出来ん。
じゃがばれる前に、と閉じ込めても、閉じ込める際か後に分かることではないかね。
[「例」の部分に力を込める。それはエルザを信じているためと取れるか、はたまた違うと知る故と捉えられるか]
―食堂―
…ティル殿が。
[記録から零れていたのか、大地の竜の声に小さく呟きを返す。
そして眼鏡越しの紺碧は疾風竜へと視線を向けた。視線は合わさず、小猿も避けて反対の肩口辺りへと]
他には何か手掛かりになりそうな事はないのでしょうか?
[……そして、]
…………此方にも湧いて来ますか、このクソムシが。
[眼前に現れたのは、巨大なナナホシテントウ。]
ん、なんていうか。
空間が、揺れるみたいな感覚はあったけど。
……陽光のちまっこの時と、ギュンターの爺様の時は、少し違った……かな。
[ふと、手を止めて。
何か思うように遠くを見て]
どっちにしろ、気持ちわるいから、ちゃんと覚えてないんだよねぇ。
[気持ち悪い、と。
その部分は、きっちり本気]
うん、そう。
オトは、おうさまをはやく出してあげたいって、いってたし。
ととさまも、いっしょにだしてあげようって。
ほか?
[影の問いに、一度幼子は目を瞬く。
先程聞いた話を順に反芻しているのか――暫くの沈黙の後。
僅かに首を傾いで、はたと思い当たったか影竜へと再び視線を向けた。]
えっとね。
おじちゃんが、オトは信用できるよっていってたって。
ブリジットもきいてたって、ナギが。
[でも全部内緒ね、と。幼子が影へと告げたのは信頼しているに他ならないからだろう。無邪気にそう耳元で囁き。]
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