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[でも今の痛みでふと思い出して。
ポケットから、尖った石を取り出す。
黄金のような、黒のような、不思議な深い色。
その石を見ると、...の表情がすこし穏やかになる。
前を向くをオトフリートが去ろうとしていて]
あ、待っ、て!オフリート・・・これ、あげるわ。
[石を両手で持って、オトフリートに近づき丁寧に差し出した]
ポケット、に入れたまま、座ると、ちょっと痛・・・ううん、おもしろい、から、やってみるといいよ。
[なぜか悪戯心を出した]
・・・よし、あたしこそ、急がなきゃ。
[ぱっと踵を返そうと]
[天に座す、月。
蒼は静かに、それを見つめる]
……俺は、一度。
『死んで』。
死ななければ。
アーベル=レオンハートとしては、どうあっても生きてはいけないと。
いつか……必ず、殺されると言われて……。
殺されたくないから、『死んだ』……。
[掠れた声で呟くのは、遠い日の出来事。
母の死後に現れた男たちに突きつけられた、唐突な現実。
まだ幼い、十歳の彼が、それに抗う術などなくて。
……その日から、『アーベル=レオンハート』という名の少年は、消滅した]
[…嗚呼、彼女は何時もこうやって、不思議な物を拾っては私に自慢げに――
首を振る。]
…あ、ありがとう…ございます…
[俯き、顔は見ずに素直に受け取りポケットへ。
感謝の言葉は尻すぼみに。]
[彼女が踵を返すのを見れば、追って良い物かと悩む。]
それから。
[連れて行かれた先──暗殺者たちの『協会』。
そこで、様々な技術と知識を叩き込まれた。
中でも卓越した際を発揮したのが、糸操り。
ワイヤーギャロット。
首に糸を絡めて、窒息させる技。
高度なその技術を容易く身に着け、実用レベルに易々と到達させた彼を、『協会』は、恐れた]
……「ヒトであってヒトでない」。
何回、言われたんだっけな、コレ。
[微かに浮かぶ笑みは、自嘲めいたもの]
[今だからこそ。
それが、受け継いだ血脈故の事と理解できているものの。
当時、その扱いに反発がなかったとは……言わない]
……挙句、つけられた名前はゲシュペンスト……『幽霊』。
ほんと、いい趣味してやがる、ヤツら。
[十四歳の時に、最初の仕事をこなし。
それから、裏通りに戻って。
オトフリートから仕事の斡旋を受けるようになってからは、ただ一度を除いて失敗もなく。
淡々と、他者の命を奪う仕事を続けてきた。
だから]
……人を殺すこと。
それを責めるなんて事は、俺はしねぇ。
それは……自分の否定だからな。
……だけど、よ。
[踵を返そうとしたとき、俯いたオトフリートの顔が見えて。
また振り返り、オトフリートの頭をぽんと撫でた]
「撫でると優しくなれるの」。
[自分で言っておきながら、そうの顔は少し困ったような。
でも少し誇らしげな声色。
それは誰かのセリフ]
・・・おかあさんか、おとうさんが、教えてくれたの。
嫌な気持ちになったとき、撫でるの。
・・・こないだね、初、めて、撫でてもらって、とても気持ちよかった。
[クレメンスの、少し熱い手を思い出す。
少し俯いて。今度こそ、走ってこの場を去ろうと踵を返した]
[月を見つめる、蒼。
そこに宿る光が、険しさを帯びる]
……ここで行なわれているのは。
遊びで生命をやり取りする……させるのは……。
……神だかなんだかしらねぇが、ふざけ過ぎだぜ。
[吐き捨てるように呟く]
……てめぇが何を望んで、俺たち死者をここに留めて置くのかは、しらねぇ。
だが、それが、泣き喚かせるためだというなら。
悔いに陥れるためだというなら。
……消えられない絶望を、楽しむものだっていうんなら。
徹底的に抗ってやるさ。
俺は。
……流されはしねぇ。
[決意を込めた呟きが、夜風にとけ。
やがて、蒼の姿もまた、夜闇の中に*とけて行くか*]
[彼女のセリフと行動に、また何か思うのだろうか。
はっとして顔を上げると彼女はもう去ろうとしており]
[…。…。]
あ。
今夜、と言うのは、一体…?
[先程は彼から去ろうとしたものの、相手が遠ざかれば離れがたく感じ。
思わず呼び止める形に]
[オトフリートに呼び止められ、振り向く]
・・・今夜、特定するという事。
[ほんとうに急いでいるのか、素早く言って、屋敷の方へ去ってしまった]
――広間――
[みんながそれぞれ、自分に与えられた部屋に戻っている頃。
夜色の空が見える。
広間の窓に、両手を付いて。
蒼い目が、すぅっと翠に変わり、そして段々と黄みをおびていく。
髪は銀色。瞳は金色。
月光に照らされ。
きらきらと、輝く様子はなんて美しい。
唇を綺麗に歪め、笑う]
――囁きを、聞かせて。
[数日間蓄えた力は大きくて。
それは窓のある部屋に起きていれば、誰でも見れる可能性があった。
知らせたかったから、それもよかった。
屋敷の全ての窓は波打ち、かたちを変えることだろう。
静かに、沈黙の中で、教えてくれることだろう。・・・『同族』を]
―...to my room―
[ベアトリーチェの怪我の治療をしたあと、...は部屋に戻る。
一度窓の外を見ようとしたが、すこし考えてやめた。]
かなしいひとたち
[神の意思を疑う2人。
bedに入り呟き。眠りにおちる]
*ここはこんなにも綺麗なのに*
―ミハエルの部屋(I)―
[持っていた果物を数個、ミハエルに勧めた。自分の部屋に帰る気になれなくて、ソファにかけてじっと朝を待つうちに*眠ってしまうだろう*]
[言葉少なに素早く去る、イレーネをあ、と口を開けたまま見送った。
今夜、特定する。
その言葉には強い力が込められていた。
彼女には何か、確信めいた物があるのだろうか。]
[それを聞こうかとも思ったが、
彼女の去り方は追って欲しくないようにも見えた。
暫くその場に立ち尽くす。]
…何もねだらない 小さな男の子
命もあげるよ
[密やかに囁く子守歌がふつりと途切れる]
…命ならば、惜しくない。
クレメンスとミハエル。どちらを信じるかと問われれば答えは目に見えている。
あたしの命とミハエルの命の重さを比べても。
…でも、でも。
せっかく取り返した歌。この声。それとミハエルを引き替えろと言われたら…あたしは?
[クレメンスに植え付けられた疑惑の種が、ゆるりと芽吹こうとしていた]
[自分を強く抱きしめて]
…わからない。
[震える]
…あたしには、わからない…。
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