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[名前……]
…………。
[少女は黒い人の上着を小さく引っ張って
ゆーでぃっとにしたように、腕についている
プレートを指し示して]
…………
[こちらを見下ろす黒い影は、逆光のせいでそのシルエットのみしか見ることができない。
そのシルエットも朧気で、ヒトであることはわかったが男なのか女なのか判断はつかなかった。
その影が、尋ねてくる。お前がナターリエ・ヘルゼーエンか、と。
問いにコクリと頷く。不思議と恐怖感はあまりない。
見えているからだ。この影が私を殺す未来がないことが。]
……はあ?
[ユリアンから投げかけられた問いに、思わず上がるのは惚けた声]
いや、お前、発音とか微妙に違うから。
[そこは突っ込んでおいて]
リーチェ……ベアトリーチェ、が、ほんとにその子の名前かは、わからんけど。
あんまりにも似てるから、つい、そう呼んじまうんだよ。
[似ているのが誰か、までは言わないものの。
早口にそう、言い放つ]
あはは、望んで起こせるものでもないだろうしね。
僕も運の良い方では無いな。
[奥へと進めば広間からユーディットが出てきたところで]
おやすみ、ユーディット。
[階段を駆け上がってゆく彼女を見送りながら足を止めた]
[落し物に気を取られて、外から入ってきた2人には気付かず。
両手で15cmくらいの長さを示し]
ちっちゃなね、このくらいのナイフ。
先生がくれた、大事なの――。
[一番最初に入った研究所で、最も懐いていた相手。
危なっかしいから護身用くらい持ちなさいと言われて
渡された、深い藍色の鞘の短刀]
[欠伸をひとつ。]
……また、誰か来たんですか?
[少女の名のつもりとは認識しておらず、ぼんやりと尋ねた。
誰にともないそれが、拾われるかはわからなかったが。]
…………。
[青い人は確かに”ベアトリーチェ”とも言った。
……その呼び方で少女を呼ぶ人もいて。
二つの呼び名を知っている青い人。
けれど、少女は相手のことをなにもわからないのだけれど。]
…………?
[片手をほほに当てて、小さく首をかしげ]
[元気良く広間を出て行くユーディットには例によって右手をひらり、と振って]
ナイフ?
[イレーネの説明を受けて見回すものの、広間内にそれらしい物は見当たらないか]
って、待て。
ここ以外で落とした、としたら……。
[それ、どこになるんだよ、と。
さすがに、眉が寄った]
うっさいなー、しょうがないだろ標準語ちょっと難しいんだよ!
[返ってきた返事にベー、って舌を出したけれどその後の説明、少し瞬きをしてからふぅん、と相槌ひとつだけ]
…んん?
[引かれて示されたプレート、少女をお友達ごと抱えたままソファに腰を下ろして覗き込む。
それからやや沈黙、少しだけ気配は不機嫌。
一拍、二拍、沈黙。そして開口]
よし、李雪な。きまりー。
[うん、と勝手に納得するとくしゃくしゃと少女の頭を撫でてかき混ぜて、笑った]
おや、お休みなさいませユーディット様。
[すれ違い様に二階へと向かうユーディットにそう声をかけて]
望んで出せるのでしたら、それは奇跡とは申しません。
自分には与り知らぬ力が働くのが、おそらく奇跡なのでしょうから。
[小さく笑いつつ足は広間へと向かう]
ティル様はこの後如何なさいますか?
おそらく皆様広間にいらっしゃると思いますが。
『リーチェ』?
[名前が云々と言う会話には少しばかり首を傾げて]
名前は――通じ合えたら何でも良い、と思うの。
最初に付いた名前が全てじゃ、ない。
[彼女の名前は研究所で付いた名前だったものだから。
生まれる前に父は既に亡くなっていた。
母も、彼女を産んで一月経たずに亡くなった。
二人とも、同じ病で。
だから、両親に付けられた名前で呼ばれた記憶はない]
呼ばれる事実があれば、それが名前。
そういう問題か。
っていうか、そこで拗ねるな、いじけるな。
[可愛くないから、とユリアンに突っ込みを入れて。
少女が首を傾げる様子は、視界の隅に捉えていたけれど。
微か、笑みを向けるだけで何かいう事はなく]
[私の答えに満足いったのか、その影は私の顎に指を掛け、私の瞳を覗き込む。
何か囁かれたが、私にはそれがどういうことか理解することが出来なかった。
その時、木々の隙間から差し込んだ月の光が影を照らし、その姿を照らし出す。
月の光に照らし出されたその姿は……]
そういうことだね。
[広間に向かうオトフリートを見て一瞬考え]
顔は出しておいた方がいいかな。
何か新しいことが知らされていれば聞いておきたいし。
[頷いて自分も広間へと足を向けた]
……。
[前後の状況はわからなかったが、
イレーネの声だけは妙にはっきりと聞こえた。]
名前には。
言葉には、想いと、力が、あるんだよ。
[彼女の言い分を否定するとも肯定するとも取れない、台詞。
眠りから覚めたばかりだからか、ぼうっとした表情で。]
落とすような事をしたのは、
烏賊と出合った所か水浴びした湖だと思う――の。
探しに行かなくちゃ。
[もう夜、服はまだ乾いていない。
でも、あれは人に貰った唯一の贈り物で。
もどかしさに、唸る]
新しいこと…。
ここに居なかった間に起きた出来事などでしょうか。
[何かありますかね、と呟きつつ。
広間の扉を開ける。
開けるも自分は先に進まず、ティルを促すように、開いた扉の脇へと立った]
[ブリジットの声に、ふと振り向く。
寝起きといった感じだが、言葉には強い響きがあり]
言葉は、強い。
世界の色を変える言葉が、沢山ある。
[それはブリジットの言う意味と同じなのかは定かではないが]
人を生かしも殺しもできる音は、言葉だけ。
[お友達と一緒に、黒い人に抱えられてソファーの上
プレートを見る相手をぼんやり見上げるも
…しばらくの沈黙と気配に小さく瞬き。]
…??…………!!
[突如、威勢のいい声とともに、
少女の頭をわしゃわしゃとかき乱すように撫でる。
突然のことに目を白黒させながらも……りーしぇ…が
どうやら自分の呼び名に加わったよう?]
…そりゃ、そうだけど。
[蓮嬢の言葉に、青少年は少しだけ沈黙する。
それは確かに事実であり、自分も親にユリアンとつけられたからユリアンなわけだが]
…うっさい、別に可愛さなんか狙ってねえっての。
[すっかりむくれた表情でもうひとつ舌を出す。
その頃の藍苺はというとようやく自力での脱出に成功し、くってりしながら飼い主の足元で抗議の爪とぎかりかり中]
[そこからの記憶はひどく曖昧だ。気がつくと私は大樹の洞の中へ寝かされていた。
すでに私を襲った影の姿はない。どこへ行ってしまったのだろう。
しかし、月の光が差し込んだときに『見え』た先見の結果。
あれは……]
[ぶりじっとと鳥さん人さんのやりとりは少女には難しく。
ただ、どうも、少女が思うより”なまえ”は色々有るようで。]
…………。
[呼び方が色々増えてっていいのか、ふと思案してしまうのだけれど
でも、増えて困ることなさそうなので、
どちらの意見にも小さく首をかしげたまま見やる]
[期待もしないと聞けば、同意するように頷いて。
ティルが中に入るとようやくオトフリートも広間へと入り]
皆様こんばんは。
[入ると同時に中に居る者達に対しお辞儀をする]
[先日と同じように部屋の隅に佇み、部屋全体を見渡すようにしながら皆の会話を耳に入れる。
余計なことをせず、ただ立っているだけならば、それなりに執事らしく*見えていた*]
[目を白黒させている少女に悪びれる様子もなくへらっと笑うと、足元でかりかり爪を研ぐ猫の首をひょいとつかめば猫なのにまるでウサギのように首の皮がびろんと伸びて]
こいつ、藍苺な。で、俺はユリアン。OK?
[膝の上に乗せたままの少女に、指でサインを作りながら首をかしげる。
喋りたくないなら、指なりジェスチャーで教えてくれればいい、とそんな風に説明するように。
ちょうど、和装の少女の質問が聞こえて、李雪を指差し]
この子この子。李雪。
[交わされる名前に関する言葉に、一つ、息を吐いて。
手は無意識に、胸元のロザリオを掴む。
彼の名は、そこに刻まれていた言葉から、育ての兄がつけたもの。
それ故に、それは捨てられないもの、なのだが]
…………。
[ふる、と首を振り、感傷を振り落とす。
それから、ロザリオから手を離し]
……とはいえ、今から探しに行っても、見つけるの大変だろ?
どうしてもってんなら、俺が行って見て来るから、場所、教えろ。
[俺なら、夜目も効くから、と。
諭すように、イレーネに言って]
[一人称の主観で語る言葉は周囲にどう映ったのだろうか。
もっとも、彼女は自分の言葉の影響力など
他愛もないものだと思っているものだから]
――それより、も。
[さっきの言葉の意味を知らせてくれた人の大事な短刀。
陽が昇るまでは諦めなければと頭では分かっていても、
いや、分かっているからこそじれじれと。
心ここにあらずという風にそわそわ]
[データベースに記された彼女のデータ]
名前:ナターリエ=ヘルゼーエン(Natalie=Hellsehen)
年齢:20歳
通り名:先読みの神子
武装:護身用の拳銃とナイフ
スタイル:後方支援
特殊能力:数瞬先の未来視
とある組織の預言者。
半ば幽閉状態で過ごして来たが、幼少からそれが当たり前であったためになんら不思議は感じてこなかった。
彼女の顔を知るものは当該組織内にもおらず、通り名は広く知られているものの、その存在は秘密のヴェールに覆われていた。
なんでも、未来が予知できると言うことだが。
なお、存在がトップシークレットであるため、容姿については一切不明である。
ふぅん?
[指し示されたのは、見知らぬ顔ではなく、昨晩の子供で。
紡がれた名を舌の上で転がす。
リーチェと、リーシュェ。
なるほど、と呟いた。]
うん、いいと思う。
わたしは、好きだな。
[立ち上がり、緩やかな足取りで、びっくり眼の子供の方に歩み寄る。]
あなたは、李雪って名前、いや?
初め、まして――。
[初めて見る男性――オトフリートに気もそぞろに挨拶。
アーベルの申し出には色々と困惑した様子で]
東の大きな湖の南東――苔とか草が一杯生えてる岩場。
でも、でも――暗いし、また烏賊が出るかもしれないし。
朝まで我慢、できる――よ。
我慢、するよ――。
[最後の方は消え入るような声で、俯く]
[増えた人に気づくことも出来ず、少女は黒い人のほうを見れば
相手は猫を示して”らんめい”相手自身を示して”ゆりあん”
そして、少女自身を示して”りーしぇ”と
手を色々動かしながら示す…最後に人差し指と親指で輪を作って
「OK?」とゆりあんが言うのを見れば
少女自身もおずおずと、親指と人差し指で輪をぎこちなくつくれば]
[こくり]
[片手におともだちを抱えて……少女はゆりあんにも
おともだちの腕につけた厚紙を示す]
[指でぎこちなく輪を作っていれば、
ぶりじっとが歩み寄って……]
[いや?]
…………。
[ふるふると、金糸を揺らして首を横に振る]
[広間に入ってきた二人には、よ、と軽く挨拶をして]
男がんなもん狙ってたら、さすがに引くぞ。
[むくれたユリアンには、さくっと軽い追い討ち一つ]
……ん……大丈夫か?
無理、しなくていいんだぜ?
[にこり、と笑いつつ、ぽふ、と頭を撫でる。
口調と態度に温度差があるのは、当人、全く気にしていない]
[リーチェ──李雪の手がサインをつくり、小さく頷くのを見れば青少年は満足して、嬉しそうに笑う。
それから少女の抱えるお友達の名前を見て]
…がすとん?ガストン!
[ぽんぽん、とお友達の頭を撫でて合ってる?と首をかしげて少女に尋ねた。
和装の少女の、いいと思う、という一言にもやっぱり嬉しそうに青少年は笑って*自慢げにピース*]
─遊戯場・外縁─
[そこへいくと、蛇の言っていた通り、彼の仲間らしき黒服の男たちがいた。
彼らは、男はどうしたかと聞いてきたが、わたしはただ首を横に振るのみ。
彼らとしても、蛇はそれほど重要な存在ではなかったのか、それっきりそのことを聞いてくることはなかった。]
あ。
今日は、お部屋で寝ようね?
室内の空調はきちんとしているみたいだけれど。
[先程の様子からして、今日も、広間で寝ていたのだろうと察して。]
イレーネも。
[そう声をかけようとしたが、アーベルとのやりとりに、瞬き。
その前後の事には、気づいていなかったから。]
[ゆりあんがおともだちの名前を連呼し首を傾げるのをみれば
こくこくと頷き。……そういえばゆりあんはよく笑う。
指を二本立てて笑うゆりあんに、
少女はそのしぐさがなにを意味するかも判らず真似をして、首を傾げる。]
…………。
[そうしていれば、いつの間にか広間にいた小さい人に
新たな呼び名…”りーしぇ”と呼ばれ、そちらを見る]
[周囲の様子から、どうやらリーチェで落ち着いたらしく。
覚えておこうと頭の片隅に留め置く。
むしろ彼女は004という名の方を知らなかったりするもので]
一晩くらい、平気――。
お守りのために危ない事したりさせたりは、違う――から。
[そう呟けば、頑張って笑って見せた]
[お部屋で寝ようね、と言われればばつが悪そうに頷く]
お部屋――って、好きにしても良いの?
置いてあるご飯とか、色々。
[既に浴衣発掘で荒れまくっているのに今更だが。
一応、誰かに許可がいるなら伝えなければと思って]
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