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あー…ちくしょ、てめ、いいところで起こしやがって。
[ふわ、と大きな欠伸もうひとつ]
[青少年のことも考えず、黒猫せびるは今日の朝ごはん]
…ったく、しょーがねぇなぁ。
ちょーっと待ってろ、適当に用意してやらぁ。
[こちらもだと、ぐぅ、と鳴る自分の胃を肌の上から撫でつつ立ち上がる]
[鎧戸の隙間から漏れてくる明かりが、青少年の筋肉がついているのに薄っぺらい上半身を少しだけ照らした]
[青少年が厨房へ向かえば、黒猫もまるで親鳥の後行く雛のようについて回る]
[覗かれる冷蔵庫]
[振るわれる中華鍋、揮われる中華包丁]
[しばらくすればいいにおい]
いただきまーす。
[しばらくすれば厨房の隅。
あまりものの帆立の紐と海老にありつく猫の傍ら。
青少年、朝から海老と帆立の塩あんかけ丼を食卓に腰掛け掻っ込んで]
[むぐむぐ。
そんなかんじで両の頬にかっ込まれたご飯は咀嚼される。
黒い仔猫はご機嫌で貝紐にありつく。
尻尾がぱったぱったと左右に揺れていた]
[喧騒に混じって聞こえる音]
…?
[ちんちろ鳴っている携帯端末。
不機嫌そうな顔して、青少年は箸を止め、それを手元に引き寄せた]
…喂?
[もしもし。にゃぁ。と猫が鳴く]
[しばらくの会話。
にゃあにゃあ、猫は時々鳴いて]
[暫くして]
[フラットには片付けられた食器]
[どこかへ消えていく、肩に黒い仔猫乗せた*青年の姿*]
6人目、少女 ベアトリーチェ がやってきました。
[少女は目を瞑っている。
少女は白い質素な手術着を着ている。
少女は寝台に寝かされている。
──…………ここは有る研究所の一室…………──]
[飾りのない壁に設置された無機質な棚。
そこに置かれた機械の類から延びるコードは
少女へと収束されて。
部屋には白衣を着た数人の男女。事務的な声で話しをしている。
彼らはいくつかの数値を読み上げ、いくつかの操作が機械に加えられる。]
[誰かがそう声をかける。
声をかけられたのは寝台に横たわる少女。]
……………………
[少女は目を覚ます。
ゆっくりとあたりを見渡す。]
『なにか異調や、不具合は感じないかい?』
[白衣の人物にそう話しかけられ、少女はゆるりと首を振る。]
『──……そうか。では君が”何者なのか”自己紹介してもらおう。』
[ぼんやりと、白衣の人物を眺めていた少女に次の問いかけ。
少女はその問いに小さくうなづいた。]
[少女の答えに白衣の人物は「そのとおりだ」と満足そうに頷く。
──……4体目にして、対話が可能な状態まで安定させることが出来たのだ。]
『──……どんな能力を乗せていくかな……──』
『──……この前まとめられた実験のあれは……──』
『──……その前に、”敵”と”味方”を憶えさせなければ……──』
[色々と話し込む白衣の人物達。
少女はそれをぼんやりと、感情の映らない瞳で見上げていた。
これが、少女の一番最初の*記憶だった。*]
−中央部建物・広間−
[ひょこり。
そんな擬音が似合いそうな態で、開かれた扉から顔を覗かせた。]
……ふぁ。
[欠伸なのか感嘆なのか、どちらとも取れそうな、曖昧な声。
黒のスニーカーが、白い床を踏む。後ろへと回した両の手で、鞄を手にしていた。緊張感のない制服姿の少女は、いかにも場違いだ。
ここまでブリジットを連行して来たらしい人物が、上半身だけを室内に突っ込んでいる体勢の彼女の背に、声を投げた。]
もう。わかってますよ。
[顔だけを後ろへと向ける。]
せっかちな。
■名前:ブリジット=エメス(Brigitte=Emeth)
■年齢:17歳
■通り名:(データ未登録)
■武装:小刀
■スタイル:中〜遠距離を主とする。接近戦は不得手。
■特殊能力:言霊
■その他情報:
東洋の血が混じっているようだが、外見上の特徴としては殆ど見られない。
両親はおらず、養父の援助を受け、学校に通っている。独り暮らし。
(詳細不明、と記載されている。裏社会における情報は少ないようだ)
濃紺に白のライン、赤いリボンのセーラー服に、黒いタイツとスニーカー。セーターに隠れ気味だが、腰の辺りには二本のベルト。小刀が留められている。ただし、それが振るわれた記録はない。
彼女の武器は、言葉。
紡がれる言葉は、即ち、真実と成るという。
─中央部建物・広間─
[連れてこられてからどれだけたったか、途中から計るのは止めていた。
個室は用意されている、と言われたが、状況が把握できるまでは動き回るのも危険か、とその場に留まっていたのだが]
……ん。
[ふと感じた、人の気配に、そちらを見やり]
…………。
[一体、何の集まりなんだよ、と。
ごく小さな声で、ぽつ、と呟いて]
[トン、と軽く靴のつま先で床を叩いて、中へと入った。
置かれたファイルをしげしげと眺めていたが、先客に気づくと顔を上げ、]
こんにちは?
……あ、と。
こんばんは、かな。
[微かに笑みを滲ませて、挨拶。]
ああ……こんばんは、だろ。
[多分、と付け加えつつこう返す。
一見して、自分とは住む領域に差がある、とわかる少女が何故こんな所にいるのか、と。
そんな考えがあるからか、そちらに向ける視線には多少、探るようなものも込められて]
[肩に鞄をかけ直しながら、取り出した携帯端末を開く。]
ああ、本当だ。
学校出たときには、日が暮れるところだったから……
それでも、こんばんは、か。
[独りごちて、先端を口許に当てる。
動かす度に、明らかに「携帯」するのに邪魔になっているとしか思えない、ストラップの山がじゃらりと揺れ動いた。小さなマスコットに、カラフルな玉に、様々だ。]
……何か、付いてます?
[窺う視線に対して、返す声に怪訝な色を含ませた。]
……いや、別に?
[怪訝な響きを帯びた声に軽く返しつつ、両手を頭の後ろに持って行って組み、それに寄りかかるような姿勢を取る]
……しっかし、なんつーか……。
[場違いっつーかなんつーか、と。
呟きつつ、視線を無機質な天井へと向けるが、警戒自体は解くことはなく]
別に、って感じじゃないんですけれども。
[眉根を寄せる。納得などいくはずもなく。
呟きは届かなかったか、問いを重ねようとして、はた、と瞬いた。]
あ。
わたし、ここで、何をすれば――
[問いかけようと背後を振り返り、]
って、いない。
[眉間の皺が深まった。
顔を戻すと、その勢いのよさに纏まっていた髪がばらりと散る。]
ご存知ですか?
[少女が納得していようといまいと、委細構わず。
背後を振り返り、それから、再びこちらを見やっての問いには右手を頭から離してひらひら、と振って見せる。
室内を照らす光を受けて、手首に巻きつけた糸が微かに煌めいた]
……そりゃ、俺が聞きたい事。
ま、ロクな用事じゃねーのは、確かだろうけどな。
[軽く答えつつ、やれやれ、と大げさなため息を一つ、ついて]
ま、後でご説明いただけるらしーけど、ね。
[今度の瞬きは、緩やかに。
落ち着かない眼差しが一箇所に定まったのは、ほんの一時。]
そうですか……。
後でって言われても、いつでしょうね。
[嘆息。
端末を両手で持ち、画面を睨んだ。カチカチと音を立ててボタンを押して、呼び出したのはカレンダー。]
ここから学校まで近くはないみたいだし、
無断欠席になるのは困るんだけれどな。
7人目、ランプ屋 イレーネ がやってきました。
―中央部建物入り口―
[扉が開き、数名の男達の手によって大きな物体が運び込まれる。
大の大人でも両手で抱えなければならないほどの大きさのそれは
卵のような形状をしており――色は白。
触れればほんの僅かな弾力と、何処か蝋にも似た滑らかさを
感じられる事だろう]
『――何処に置いときゃ良いんだ、これ?』
『知らん、適当に放り出しときゃじきに起きるだろ』
[がさつに硬質な床に降ろされたそれは緩やかに、
ほんの少しだけ転がり近くにあった壁の傍らへと落ち着いた]
ま、一朝一夕で帰す気はないだろ。
わざわざ、泊まるとこまでご用意くださってるようだし?
[先の男の言葉を思い出しながら言って。
自己紹介、との言葉には、蒼の瞳をきょとり、とさせる]
……別に、俺は気にしないけど。
[人に名を名乗ること、それ自体が稀な環境に身を置いているせいか、その辺りは無頓着らしい]
……。
[目を伏せて、端末を畳む。]
着替え、あるのかな。
[即時の帰宅は諦めたらしい、呟き。
しかし、きょとりとした相手の様子に、ブリジットも僅か目を見開いて、似た反応を返す。数歩寄って、まじまじと見つめた。緑の瞳に青が映り込む。]
それは、気にしましょう。
話すにも、呼ぶにも、不便でしょうに。
[同意を求めるように、僅かに首を傾げる。]
わたしは、ブリジット=エメスと申します。
どうぞ、よろしく。
[着替え、という呟きに、女は面倒だな、と思いはすれど、口にはしない。
こちらは元より着たきり雀、最初から気にはしていないのだが。
そんな事を考えていたら、近寄って見つめられ]
……そんなもん、かね?
[名前など、一緒に生活している子供たち以外には呼ばれない……というか呼ばせないためか、やはりピン、とこないのだが]
……アーベル。
アーベル=シュトゥルムヴィント。
[答えない理由も今の所はなく。短く名を告げる]
そんなもんです。
[口調を真似、鷹揚に頷いた。
回答に満足したようで、下がって距離を空ける。薄く、作られる笑み。
ブリジットの生活では、それは、当たり前の事のようで。]
アーベル=シュトゥルムヴィント。
……ふぅん?
[自らの顎に指先を滑らせて、耳に当てる。端末を手にしたままに。何か思考しているような、仕草。]
アーベルさん、ですね。
憶えました。
……ああ、そ。
[良くわからん、と、口の中で呟きつつ。
思案するような様子に緩く瞬くものの、特に追求する事はなく]
ま、覚えて得になるとは、思えんけどね。
[冗談めいた口調で言いつつ、軽く、肩を竦めてみせ]
[そんなもんかねぇ、と呆れたように呟きつつ。
神様のお話という言葉に、ほんの少しだけ、蒼の瞳は険しさを帯びて]
……あんま、嬉しくない『何処かで』です事で。
[蒼の髪を掻きつつ、ぽつりと言う。
口調は、吐き捨てるような響きを帯びて。
その物言いと、胸元に微かに覗くクロームシルバーのロザリオとは、かなりアンバランスに思えるかも知れない]
[表情は変わらない。
銀よりも鈍い輝きを認め、眼を細める。]
おきらいですか?
あまり良いお話では、ないのは確かですね。
[若干ずれた、というよりはずらしたような返答。
耳元の指を動かして、細く編んだ自らの髪を絡める。視線をゆるりと動かした。笑みが薄れる。]
話がどうの、っていうより、カミサマ自体が嫌いなんだがね。
ま、そんな事は、どーでもいいけど。
[そんな物に縋っていても生きられない環境に長くいたせいか、他に理由があるのか。
その辺りを伺わせる事はないものの、さらりと言って]
……さて、と。
ここでぼーっとしてても仕方なさそうだし……。
少し、こん中歩き回ってみるか……。
[これから何があるにしろ、内部構造を把握しておくのは選択肢としては多分、悪くないから。
そんな事を考えつつ、*音もなく立ち上がり*]
[その台詞への返答はせず、席を立つアーベルを見やる。]
んん。
今すぐには、聞けなさそうですしね。
[ついで、男が去って行った方向へと視線を向けた。
癖なのか、髪を弄るのを止めた手で、端末を閉じたり開いたり、繰り返す。パタリ、パタリと、立つ音は、やや煩い。]
とりあえず、その部屋とやらを見ようかな。
アーベルさん、場所、わかります?
[階上にあることを確認して、広間を後にする。
その動作は「日常的」で、やはり、*警戒のいろは窺えない。*]
─中央部建物・広間─
[招待の電話をくれた割に、青少年に対する招待側の態度は割合乱雑だった。
とりあえず放り込む男たちにむかついて、べー、って舌を出したらものすごい勢いで扉が閉められて、その音でびっくりしたように肩の猫が、にゃっ、て鳴いた]
…あー、こわ。
大人なんだからもう少しくらい大人になれってんだよ。
なぁ、藍苺?
[にゃー]
[小さな相棒は肩の上で細く*鳴いた*]
■名前:ユリアン・フェイ(Julian.Fei)
■年齢:18歳
■通り名:黒猫(ヘイマオ)
■武装:二丁拳銃+白打(体術)
■スタイル:基本近距離専門、状況により中距離〜遠距離
■特殊能力:循環錬金術
■その他情報:
旧中華系の仙術師の血族。根城を華街に持つ。
見るからに東西の入り混じった外見。
いつもつれて歩く黒猫・藍苺(ランメイ)から通り名がついた。
白銀に紋織のバンダナに自分ではさみを入れる不揃いな髪。
編み上げブーツに裾を入れ込んだ細身のカーゴパンツの上、ヒップバックのポケットに改造を加えたホルスターに左右各一丁。
袖のない少し丈長の民族服の裾やサイドスリットから見える見えない、そんな程度の位置に装備しているが、基本拳で勝負なので滅多に引き抜かれることはない。
それゆえ拳を守る特注のライダーグローブにもいくつか傷が残っている。
無機物に効果を与える独自の仙術を確認。
しかし、どのような能力かは不明。
ただ、循環錬金術と称されることのみ確認。
■名前:検体004(Experiment body 004)
■年齢:外見上は10ぐらい。
■通り名:番号で呼ぶことを嫌う者からはベアトリーチェと呼ばれている。
■武装:一見は大きな熊のぬいぐるみを抱えているだけに見える。
■スタイル:遠距離 近距離はまったく対処出来ない模様。
■特殊能力:プログラム詠唱:電子機械操作能力保有。
■その他情報:
と、ある研究機関が創り出した生態兵器…の実験体。
少女を兵器に改造したものか、身体から人工のものかは不明。
どちらにしても、名が示す通り実験体故
兵器としても、生命体としても不安定。
[顔写真とともに『Schwarzes・Meteor』に以上の個人データが記載される頃
"と、ある研究機関"とSchwarzes・Meteorとの間で取引が行われた。
"と、ある研究機関"としては、
虎の子でもあるが再生産可能な検体の為に
危険な橋は渡る気はないらしく
Schwarzes・Meteor側の要求を飲んだようだ。
Schwarzes・Meteorの要求は少女の『遊戯』への参加。]
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