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…ちょ。酷くないですか、オジサマ。
[は、と息を深くこぼすその表情は苦笑]
楽の音で不快になったことなんて、初めてなので。
…どうしていいか、わかんなくて。
[情けないでしょ、と小さく肩を竦めてはっきりと苦笑した]
─同時刻 Kirschbaum・庭─
[店内でベアトリーチェの異変に気を取られていたユリアンたちは、彼の移動に気づいてはいなかったらしく。
いつの間にか、その姿は庭に佇んでいた]
「……まったく」
[ぼやくような、ため息まじりの呟き。
かけていた眼鏡が外され、碧に隠されていた貴紫の瞳が表れる。
すい、とかざした左手、そこに握られるのは精霊鋼の刃]
「さすがに、あれを外部に持ち出されちゃ、かなわんからな……最低限の干渉は、させてもらうとするか」
[低い呟きと共に、刃が抜き放たれ、空を斬る。その傍らには、眷属たる精霊ヴィオレット]
[水と氷が連れ立ってやってきたのを見て、
ちらりと火を見る。]
誰が、やったのだろうね。
本当に。
……早く、封じてしまおう。
早く見つけて、封じてしまおう。
「……均衡を司り影輝の精霊、その王の名において命ずる。
影輝の力、この眠りの地を、しばし、界より閉ざせ。
……力の在り方、それの定まりしその時まで……」
[凛とした言葉、それと共に、刃の上に貴紫の光が生まれる。
影輝の王がそれを振るえば光は夜空へと舞い上がり。
上空で弾けしそれは、さながら、繭の如く鍵の町を包み込む]
「……俺の干渉は、ここまでだ。
これから先、どうなるかは……お前たち自身が決めるべき事」
[呟きは、誰に向けられたものかは定かではなく。
それから、やや大げさなため息をついた影輝の王は刀を光と変え、再び貴紫を碧で覆い。
……いつの間にか、何気ない様子で*店内へと戻っているだろう*]
いや、時計台の鐘が原因じゃねえだろ、多分。
……ただし、俺もそれ以上の事はわからん。
探知系の呪文が使えたなら、何かわかったかもしれないが。
[天を仰ぎ、苦笑い。]
……これは。
[昨日動転してしまった時にも一瞬感じた力。
今度は拡散してゆくことなく、町全体を繭のように包み込んだ]
王……。
[その力に合わせるように、宥める力を変えてゆく。
揺れる力を均すだけではなく、限定された空間でバランスを取り直すように]
大丈夫、逃げられたりはしなくなったよ。
でも急いだ方がいいのは確かだと思う。
[皆の方を振り返ってそう告げた]
─Kirschbaum─
[路地裏を去った彼女が向かったのは、影輝王のいる店
彼がこの事態にどう動くか興味が湧いたから]
こんばんわ。どうやら大変な事態が起きてしまっているようですね
――とは、言っても。
[アマンダは困ったように首を傾げる]
誰が、持ち出したのか。わからない、けれど。
[ティルの質問の後半部分に、それだけしか言えず。溜息をつく]
あれだけの、力ある存在(モノ)。
只人に、隠せるわけがないのだ…けれど……?
[言葉は半ばから力を失くし、不安げに口元を押さえる]
……これは……。
[夜空に閃いた貴紫の光。
それが何を意味するのかは、容易に察する事ができた]
……最低限の干渉……という所ですか。
やれやれ……苦労性のお方だ。
[ため息と共に、小さな呟きが零れ落ち]
こんな時間に時計台の鐘が鳴り響くのはおかしいよ。
故障したのかな?いつもより不気味な音色。
[...の不安に合わせるように、エーリッヒの手元のジャスミンティーのグラスが触れてないのにガタガタ揺れた]
おう、シスターさんじゃねえか。
何が何やらさっぱりだ。
ベアトリーチェは倒れるわ時計台の鐘は鳴りっぱなしだわ。
ワケがわからねえよ、まったく。
[不快感を抑えながら、出来るだけ冷静に事情を説明する。]
[ダーヴィッドの声につられ空を見上げれば。広がりゆく貴紫の光。]
あぁこれは……。
[心の中で呟く。
"ご配慮感謝します、影輝王よ"、と。]
[影輝の力に気を取られている間に、集まってきた面々を見回す。
右手に握った無限鎖が周囲を揺らめく様は、多少、異様に見えるだろうか]
……さて。
どうやら、ここにお集まりの諸氏は、事態を把握しておられるようで……?
……これから、どうしたもんだろうかね。
[問いかける声は飄々と。しかし、紫と翠の異眸は真剣そのもの]
[微かに揺れるジャスミンティーのグラスに眉根を寄せながら]
…俺は、あまり咒文とか、そういったものに…縁がないので、わからないんです、けど。
……探査って何、美味しい?みたいな。
[は、と小さく息をこぼすもシスターの入店に感じるのは重なる不快感。
自分でもわけのわからないまま、微かに襟元を抑えて極僅かに呻いた]
だってこれ以上は。
町の人たちも困っちゃう?
[王が動くというのはそういうことのはず。
きっと彼も知っていて言っているのだろうけれど]
ミハエルさん、アーベルさん。
[変化と封印、対なす精霊がやってきたのに気が付いてそちらに頭を下げた]
……あー。
別に探知呪文は美味しくない。
ただ、俺みたいな職種の人間が扱えたら便利な呪文だな、と。
[ため息を一つ。]
ま、俺は魔術師の中でも落ち零れだからな。
呪文一個しか使えねえし。
[氷破と流水、二人の精霊になにか掛けようとした声は、突然の力の奔流にかき消される。
けれどそれは、均衡の為の力。繭の如く包み込むそれに、アマンダはいつの間にか詰めていた息を吐いた]
ブリジ…?
うん、急ぐのは、わかるけど。王?
[零れるブリジットの呟きに、瞬く。
3年この地に居て、全然気付いていなかったらしい]
<<若…どうやら、合流出来なくなりました。>>
[従者たる灰の竜馬から、対の刻印を通しての声。
いつもより遠く、雑音混じり。]
<<街に結界らしきものが。
どうやら、ちからあるものは通れないようで。>>
>>…まぢで?<<
<<…ええ、まぢで。>>
あー、確かに「探偵さん」が探査の呪文使えたら楽だよね。でもオジサマ呪文一つでも使えるんだ。
使えない人間からしてみたら羨ましいよ。
すごいな。魔術師だなんて。
ただの甘党のオジサマじゃなかったんだね。
[結構失礼]
鐘の音? ああ、これもあれの影響か
[と一人納得。彼らから説明を求められると、僅かに思案したが]
説明の前にひとつこちらからお聞きしますが
貴方たちは「鍵の書」についてはどの程度ご存知で?
誰が、あれを奪ったのか。
それが重要だね
あれの力は強いから、
きっと見つけられるだろうけれど。
巧妙に隠されては気づけまい。
[時の竜の言の葉に、悩むように。]
[夜空に放った力の欠片の行方を追いつつ、事のついでに張り巡らされた結界の状態を確かめる]
……なるほど。
特に力在るものの通過を阻む、封印結界。
……いつぞや、界の狭間を覆ったものと、同種のもの、か。
―遺跡―
[今のは何だ。いやいやどういう事だ。]
[少しの間、呆気にに取られていた。アマンダと、アーベルへ頭を寄せて囁く。全く気付いて居なかったらしい。]
何故、いま、ここで
影輝王が………?
[ナターリエの問いに...は即答]
「鍵の書」って。「すべての英知が手に入る」とか言われてる凄いお宝でしょ?見つけたら一生遊んで暮らせるだけのお金になるってきいたよ。
あ……うん。
[思わず呟いてしまったので、どうしたものかともじもじ]
あんなに強い力、他の人じゃ無理だもの。
[とりあえず当たり障りの少なさそうな部分だけ]
力ある存在は、外からこの町に干渉することはできないよ。
同じくここから出ることも出来なくなっているはず。
だから、書を持っている存在もこの町の中にいるの。
でも、ずっとこのままというわけにもいかないから……。
[いそがなくちゃ、と続けた]
まあ、他の連中が扱う呪文と違って小技程度のモンだけどな。
[右手をポケットに突っ込む。じゃりじゃりと、小銭が音を立てる。]
……失礼な奴だな、まったく。
[続いた言葉には思わず苦笑い。]
[ティルの言葉に、一つ、頷いて]
……揺らぎを感じた時点で、力の追跡は試みたが。
どこまで追いきれるかは、正直わからん。
『……相手によっては。虚の干渉すら、退けかねんからな……』
[オトフリートの言葉に、軽く肩を竦め。]
…そりゃね。
あんだけデカい変化を起こされちゃぁ…嫌でもわかっちまうさ。
ま、取り返すしかないんじゃない?
そう簡単な事じゃなかろうけども。
あんまり知らん。
なんかヤバいものって事しか聞いてねえな。
[ユリアンの答えには顔を顰め。]
あのな。
いい加減金の話から離れろって。
−Kirschbaum・一階−
[しばらくの間を置いて、ベアトリーチェはからだを起しました。]
……お早う、 ?
[こしこしと、半分閉じかけの眼を擦ります。顔から落ちてしまったので、鼻の頭が少し赤くなっていました。金いろの髪も、くしゃくしゃです。]
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