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─ 黒珊瑚亭 ─
そっか、神学校行くよりやりたいことできたんだな。
まぁ、此処に集められたってとこで運が悪いのはお互い様だし。
[肩を竦めるヘルムート>>24に声を返した後。
彼のようにシスターを宥める>>30ことも、ユリアン>>18のようにカヤを子供だと思うことはできなかった。
ユリアンの呟き>>31で我に返ってから、自分が今口に出した内容を思い返す。
少なくとも、少年と少女に聞かせる話ではなかったと、口を押さえて]
…悪い。
ちっと、頭冷やしてくるわ。
おやっさん、暫くあの部屋借りるな。
[誰の顔も見ぬまま店主に声を投げると、二階へ向かう。
ゼルギウスが出ていったことにも気付く余裕は無く、上がった先でその場にしゃがみこんだ]
[アーベルが口を押さえるをみれば
状況と発した言葉が与える影響まで思考が及んだと推測できた]
――気にするなよ。
この状況なら現実を知るのも必要な事だ。
[少なくとも集められた者は容疑者であると知る。
子供であろうとそれは変わらない。
ギュンターのいう力がそう示したのだから
仕方ないと何処かで思う気持ちもあった]
[部屋をととのえながらエーリッヒと視線があったことを思い返す。
結局なにも言葉を交わさぬままで]
……せっかく、帰ってきたのになあ……
[しばらく見なかった顔をみてなつかしがっていた父を思いため息を一つ。
それから部屋の外にでて――]
っ
[びっくりして足を止めた。
しゃがみこんでいるアーベルを見やり]
アーベル……?
[そ、と声をかける]
─ 黒珊瑚亭 ─
[駄々を捏ねるカヤの言い分が分かるからこそ、説得の言葉を発するに悩んで。
言いあぐねる間にカヤに指摘されたこと>>32やヘルムートからの言葉>>30が耳に入り、はた、と我に返る]
ご、ごめんなさい……。
[カヤに視線を合わせる姿勢から立ち上がり、彼に背を向けながら右手を目元へと動かした。
子供達に泣くところは見せまいとした心理からのこと。
瞳を閉じれば滲んだ雫が珠となり睫毛を濡らして。
それを抑えるようにして指で雫を拭い取る]
……すみません、教会に、 戻ります…。
[冷静に居られる気がしなくて、一番心を落ち着けられるであろう聖堂に向かおうと出入り口の扉へと向かう。
ロミとカヤのことは頭にあったけれど、共にとは紡げず、ただ足ばかりが動いた]
― 黒珊瑚亭 ―
[どうしたらいいのか、なにをしたらいいのか。
あたしはわからなくて。]
御伽噺、のままでいいのに……。
変わらないままで…。
[いつまでも、穏やかな日々が続くと思っていた。
あたしは、こんな変化なんか望んじゃいない。
いつの間にか、あたしの視線は床に落ちていた。]
─ 黒珊瑚亭 ─
それは俺も同じ。
何をどうすればいいのかなんて、てんで浮かんでこない。
[近づいてきたカルメンに、どうした?と首を傾げて]
ああ、今は大丈夫だよ。
こんな話になるとは思わなかったから、緊張していたけどね。
[近寄ってきたカルメンの視線が握りっぱなしの左手に注がれていることに気がつくと、若干震わせながら手を開いてみせた]
結社員、か。
なら、――…力についても詳しいか。
[ぽつ、と独り言ちる。
確かめたい事は浮かぶが覚悟を聞いたばかりの団長と
向き合うにはもう少しだけ時間が必要に思えた。
アーベルの言葉が、過る]
……。
アーベルこそ、大丈夫なのかよ。
[階上に繋がる階段を見詰めて、深い息を吐いた**]
― 黒珊瑚亭 ―
うん、12年だから、ね…。
分からなかったのはお互い様、か。
連絡できなくて、すまない。
[ユリアンとは確か同い年だったか。
破顔する彼>>26に、つられるように頬を綻ばせるも、
男前と呟かれれば、え?とびっくりした様子で瞳を瞠り]
はは、ユリアンこそ、少し逞しくなったような?
[記憶の中の子どもの彼と目の前を比べて、
何処となく羨むような声で小首を傾げ]
ありがとう…。
ただいまって、笑顔で言えたら、どんなによかったか。
[おかえりに言葉に小さく微笑んでから。難儀だという呟きに、
…そうだね、と重い口調で頷いて、再び瞳を翳らせた]
― 黒珊瑚亭/二階廊下 ―
――大丈夫? 気分でもわるくなった?
[名前を呼んでも顔をあげないアーベル>>40にあわてて近づく。
顔を覗き込むように傍らに膝をついた。
二階へと上がってしまっていたから、カヤへ向けたアーベルの言葉は知らぬまま、知っていたとしても態度は変わらぬだろうけれど]
…おれ、外いってくる。
[とりあえずここには居たくない気持ちが膨らんで。
そう言うと宿屋を出て行った。
空腹がすっかりどこかに飛んでって。
足は教会ではなく、違うところに向かっていたが。]
─ 黒珊瑚亭・二階廊下 ─
[ユリアンに言葉を返せなかったと同じく。
自分の言葉に対してのカヤの返事>>45にも、声を返す事は出来なかった。
自分自身も集められた中に人狼がいるなんて信じたくないのに、口を開けばまた少年を追い詰める言葉が出てしまいそうだったから。
階下から友に案じられている>>43事も大体予想は出来ていたけれど、今はただ自分の感情を抑えるだけで精一杯で]
…悪ぃ、ちょっと。
自己嫌悪とか、苛つきとかで、身動きとれねー、だけ。
[早まり、すぐ傍で止まった足音>>47にユーディットが近付いてきた事を知るも、顔は上げられなくて。
ただいつもよりも力無く、素直に答えを返した]
― 黒珊瑚亭 ―
エリお兄、か…。
まだ、そう呼んでくれるんだね。
えーと、カルは綺麗になってて、びっくりしたよ。
[カルメンの呼びかけに、小さく頷いて。
記憶の中では少年っぽかったような気のする彼女が、
すっかり女性らしくなっていることに、
老人>1:62に確認してもらっていた とはいえ、
改めて、微かに戸惑ったような表情を浮かべる]
……知らない人ならいい、というものでもないとは思うけれど、
知ってる人ばかりは、つらいね…。
[カルメンの言葉に滲む感情は察せられて。
同じく、嘆息しそうになるのを堪える]
─ →教会・聖堂 ─
[目元の雫を指先で押さえ拭いながら、教会へと辿り着き聖堂の中へと入る。
そこに神父は居らず、静かな空間にあるのはナターリエの姿のみ。
祭壇の前まで歩み寄ると、跪き両手を組んで祈りの形を作った]
主よ……。
皆必死に生きておりますのに、如何して斯様に過酷な試練をお与えになるのですか…。
まだ幼き子も居ます…。
あぁ、主よ。
我らに寛大なる慈悲を────
[祭壇の前で捧げる祈り。
誰も居ない空間で紡がれる声は、痛ましさを載せ反響していた**]
― 黒珊瑚亭/二階廊下 ―
そ、か……
あんな、話もあったし、みんな、混乱してる、し。
[ナニがあったかはしらないけれど、素直な答え>>51に緩く瞬き。
苛つく気持ちもわからなくはない。
何故と怯える思いは転じれば苛つきと同じになるだろうから]
部屋もどるなら、肩かそうか?
[無理に顔を覗き込もうとはしないまま、といかける]
─ 黒珊瑚亭・食堂 ─
俺も少し外の空気を吸ってこよう。
カルは家に戻る?
[それなら途中まで一緒できるかと、誘うように聞いた**]
― 黒珊瑚亭/二階廊下 ―
カヤかあ……あの子思った事そのまま言っちゃうし。
しかたない、よ……あとで、謝ればいいって。
[あのいたずらっ子に、ときけば緩く瞬き。
思ったことをそのまま言う少年を思えばなにかきっかけがあったのだろうとは思う。
それを悔やんでいる様子に深くは追求しないまま。
珍しく頼られて小さく笑った]
ん、いーよ。
無理して倒れられたら、いやだし。
[顔をあげたアーベル>>56に、出来る限り何時もどおりに頷いて。
はい、と手を差し伸べた]
─ 黒珊瑚亭・食堂 ─
[受け入れられるはずがない。>>57
確かにその通りだから、そだね、と頷いた。
大丈夫だから、と言葉を重ねられれば、それ以上はこちらも言えず、わかった、と返して]
……知らないところで、っていうのも、辛いけど。
どっちもどっち、かなぁ。
[引き合いに出したのが、知らぬ間に起きた父の事故死であるのは伝わるか。
困ったように眉を寄せたのは束の間。
誘うような問い>>58に、ひとつ瞬いて]
……うん。一度戻って、母さんに話、しないと。
[どう説明すればいいかは定まらないものの、何も伝えないわけにもいかないだろうから、頷いて]
クラニア、行くよぉ。
[いつものように白猫を呼び、ヘルムートと共に外に出た]
─ 黒珊瑚亭・二階廊下 ─
…聞いてくれりゃーいーけどな。
[謝ればいい>>59と言われて、弱く苦笑する。
自衛団長の姿に亡き祖父が重なって、だからこそ推測される思考に腹を立て結果少年に当たったなんて、情けないにも程があって。
けれど、それ以上弱音は流石に吐くことは堪え]
…ばーか。
そこまでガキじゃねーよ。
[いつもの調子を少し取り戻しながらも、差し伸べられた手は素直に取る。
少女の手を借り立ち上がると、部屋へと向かい歩き始めて。
ふと、話があるなら詰所に来いと言っていた自衛団長の言葉を思い出し]
爺様も、死んで責任を取りたいとか思ってたりしたら。
一発、殴ってやる。
[そう、口の中で零した呟きはユーディットの耳にまで届くか届かないか位の小さなもの**]
― 黒珊瑚亭/二階 ―
あー……まあそこは誠心誠意、がんばれ?
[弱音に苦笑を返し。
いつもどおりな様子にほっと息をつく。
立ち上がる際に繋いだ手は離れる事がないのならそのまま、アーベルに用意した部屋へと向かい]
――……団長はほら、つよいし。
[多分大丈夫じゃないかなあとか、聞こえた言葉に軽く答え。
アーベルの部屋に前で別れる]
なんか欲しいものとかあったらすぐ呼んでね。
[そう声をかけて階段を下りて往き]
― 黒珊瑚亭 ―
[食堂でまっていたユリアンの傍へと向かう]
ユリアン、おまたせ。
部屋は5号室だよ。
[階上を気にしていた様子にゆるりと瞬き]
アーベルならすこし休むみたい。
[そんなことを告げて。
そしてユーディットはその日は結局外に出ないままだった**]
[外に出て、一つ、深呼吸をする。
村の者には既に話が伝わっているのか、歩く途中に向けられる視線には様々な色が伺えた]
……そういえばねぇ、覚えてる?
むかーし、森で見つけた、ちっちゃな木苺の木。
今じゃ、すごい茂みになってるんだよ。
[その視線から感じる非日常を振り切るように口にするのは、昨日話そうと思っていた10年前とのささやかな違いの話]
昔の遊び場、結構残ってるんだよね。
ぼくも、4年前に帰ってきて、びっくりしたなぁ。
[そんな、他愛ないといえば他愛ない事を話しつつ。
けれど、島を離れていた間の事は口にはしない。
話せる事がないわけではない、けれど。
話したくない事の方が多いのも事実だから]
─ →自宅 ─
[二人と一匹、並んで歩いた距離はどれほどか。
話題が途切れる頃、またね、と笑って道を違える。
浮かべた笑みは、もしかしたらぎこちないものだったかも知れないが、自分では確かめる事もできず。
足早に家に戻れば、出迎えるのは不安げな母の顔。
人狼の容疑がかけられている、という話は、既に伝えられていたらしい]
うん……なんでか、そういう事になっちゃってるみたい。
これから、どうなるか、わかんないけど……ぼく、明日から、向こうに泊まりこむね。
[大丈夫なの、と。
向けられる問いに浮かべるのは、困ったような笑み]
わかんないけど……毎日歩いて通うの、ちょっと、辛いし。
[帰り道に向けられていた視線は、どこか痛く思えていたから。
毎日、あれに晒されるのは、さすがに辛い]
……ん、大丈夫。大丈夫だよ、母さん。
[ちゃんと帰ってくるから、とは、さすがに言い切れなかったけれど。
それでも、笑みを浮かべて、そう言いきる事はできた]
あ、ナターリエお姉ちゃん……。
うん、気をつけて、ね?
[何を気をつければいいのか自分でもよくわからない、
漠然とした不安みたいななにかを感じるままに口にした言葉だった。
ナターリエの姿を見送った]
― 外 ―
[宿屋を出てからも、ささくれだった心は収まらない。
そこらにある石を蹴っとばして道の向こうに追いやったら、
道行く人に嫌な顔をされて、さらに腹が立った。]
…ちっくしょーじじーめ。
詰め所の前に穴あけてやる。
[と言うが早いが、教会に戻ると
スコップもって、詰め所の裏口に穴を開け始めた。
途中で気づいて大目玉を喰らい、結果穴は完成しなかったのだが**]
私はどうしよう……
[他のそれぞれの思う場所に向かう人も見送ったりしながら、
カヤ君を追いかける気分にも、ナターリエお姉ちゃんが帰った教会にも、すぐにという気分ではなく。
いろいろと迷った様子でしばらくは黒珊瑚亭に*残っていた*]
─ 翌朝 ─
[その日は一日、母の傍について過ごし。
数日分の着替えとスケッチブックに画材を持って家を出たのは翌朝の事。
余り早くに押しかけても迷惑か、とは思ったのだが、人通りが増えてから移動するのは何となく嫌で、早目の時間を選んでいた]
……はぁ。滅入るわぁ。
こんな時間に歩くとか、もう二度とないと思ってたのにぃ。
[そんな愚痴めいた呟きを漏らしつつ、通りを抜けて。
広場に差し掛かった時──不意に、視界が霞んだ]
……っ!? やだ、こんな時に……!
[いつになく強い霞は眩暈も伴い、しばし、近くの建物に寄りかかって鎮まるのを待つ。
只ならぬ様子に、白猫が案ずるように鳴いた]
ん……へーき、クラニア……。
[それに短く返して顔を上げて。そこで、視界の異変に気づいた]
……なに、これ。
[色が、ない。
見るもの全てが、灰色に染まっている。
突然の事に何度か目を擦るが、状況は変わらない。
呆然としていると、目の前に白い炎のようなものが閃いた。
それは目の前で数度揺らめいた後、誘うようにふわり、と飛んでいく]
……呼んでる……の?
[根拠はないが、そんな気がして。
導かれるように、その後を追って行き──]
─ 翌朝/自衛団詰所裏路地 ─
……え?
[踏み込んだ裏路地は、やはり、灰色に見えた。
けれど、そこに座り込む人の姿は、いつもと変わらないように見えた]
……ギュンターのお爺ちゃん?
[呼びかけるけれど、返事はない。
灰色の視界の中、唯一色鮮やかにあるその姿はぴくりとも動かない]
お爺ちゃん、どしたの? こんなとこに座ってたら……。
[風邪引くよ、と。呼びかけながら近づく足元で、何か、跳ねた気がした]
……?
[瞬き一つ。下を見る。目に入ったのは──あかい何か。
灰色の視界の中で、それは妙に冴え冴えとして見えた]
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