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[ケイジには、かり、と自分の頭の後ろを掻き、すんません、と一言謝った。
それなりのスピードで飛んでいくオーフェンを、翼を平たく広げて滑空するようにして追った。
木々の隙間をぬうと、オーフェンの体は抜ける間は自分には狭く、ピシ、と枝が頬を叩いて赤い筋を引いた。]
[ロザリーの言葉に]
うん、赤い髪は、目立つ。それにロザリーの場合、陽光の翼も目立つ色だと思うんだが。
ああ、オーフェンなら、どうやら昨日の夜はこなかったみたいだね。今日の朝、施療院に来た。……少し、具合が悪いみたいだったけれど、落ち着いていたみたいだった。
ここに来る前、リディアに伝えておいたよ。安心していた。
[先生から聞いた、オーフェンは虚の気配に敏感かもしれない、それで具合を悪くしているのかもしれない、という話。それを広める事は避けながら、そう伝える]
ロザリーちゃんがそう仰るのなら、少しは考えておきましょうか。
というか、リディアちゃんなら、自分で叱ったりなんだりもしそうだし、下手すると俺の出る幕がなさそう。
[昨日、なかなか現れないオーフェンの分の夕食を狙い、もの凄い勢いで撃退された事が浮かび、苦笑い]
[背後から迫る気配に、一度振り向き。低空を舞う薄金に気づくが、速度は落とさず]
……もう、少しっ……
[体の不調も気にせず、さらに速度を上げて、広場へ]
うん。聞く〜
森にいたらね〜。笛の音がするんだよ〜
後ね。風が吹いたら木が音を鳴らすの。鳥も綺麗に鳴いてね。
川からも音がして、それで、それで
[考えるように首をかしげたが、続くカルロスの言葉に。うんと頷き]
綺麗なのも。きっと。きっと。楽しいね。あは
─聖殿─
[遅れてたどり着いた聖殿。そこで舞い散るのは、翠の羽根]
リディお嬢?
え、なんで……。
[長老とスティーヴの会話を聞きつつ、思わず呆けた声を上げる。
その間に、始められる儀式。
……それに対するものとは違う、何となく嫌な感触に、微かに身体が震えた]
………堕天尸も堕天尸でなくとも、違うと言うだろうな。
お前が無実ならクローディアの話し相手にでもなってやれ。
[大人しくならない様子に舌打ちし、抑えに手を貸す。
常なら聖殿を守るべく真っ先に動きそうなジョエルの姿はない。
目で探す間にも儀式は進み、封じの言霊は紡がれる。]
ああ、具合悪かったんだ…それで、ね。
[昨日の様子を思い起こせば、おそらくは理由はそれだけでは無いのだろうと思い至りもするが]
それじゃあしょうがない、かな。
…リディちゃんに伝えておいてくれて、ありがとね。カレンちゃん。
[周囲のざわめき、紡がれる言霊。
それらは聞こえているようで聞こえていない]
……なに……?
翼が……疼く……?
[掠れた声で呟きつつ、よろめくように後ろに下がり、その場に座り込む。
肩のラウルが心配そうにくるる、と鳴いて顔を覗き込むのに、大丈夫、と呟きつつ。
額に滲む、冷たい汗を拭った]
[広場に降り立ち、儀式のことを聞くと、一目散に聖殿へと走り込む]
リディアさん……っ!
[中に入り、周囲を見回す。抑えつけられるリディアが視界に入るか]
[ネロの言葉に、ふむと頷いて]
そうか、忘れたか。まあ、楽しいならば問題ないな。多分。
……カルロス、アヤメと知りあいだったのか。それも何だか不思議な組み合わせだ。一体どういうつながりだったんだ?
[カルロスには首をかしげて問いかけた]
[水の流れを辿れなかったのは、
慣れない場所だったからか、それとも――
ともあれ辿り着いた先は、森を抜け、村からも離れた場所。
足は、ふらり、島の端の方へと向く。
ひかりの鳥は、少女よりも先をふわりふわりと舞う。
そのさまは、何処か不安げにも映る。
やがて幾つかの知った気配に気づくと、
淡い金は気持ちばかり速度を上げ、其方へ向かった]
[速度を上げるオーフェンに追いすがろうと、速度を出すけれど狭い場所を通られると否応にも速度は落ちてしまい。
少し遅れて、広場に着くと少し荒く着地して息をつく。]
[ 目立つと言われればその羽根を動かす。]
そうですね…確かに目立つ色です。
探される時には本当に困らなさそうです。
オーフェンはカレン殿の所にいたのですか。
今朝…やはり心配ではありますが…。
ですが、リディアにも伝わっているなら安心です。
[ そう言って今頃配達でもしているだろうか彼女を思う。]
嗚呼、リディアが確かに叱ってしまいそうです。
でも貴方のことも心配していましたよ。
デザートも食べずに…って。
ちゃんと、リディアが食べていましたけど。
[ そう言ってカルロスに笑いかける。]
[ネロの音楽に対する認識に、口許を成程、と動かし]
ホント、良い感性だな。当たり前に思ってることが、お前には当たり前じゃないんだな…。
[呟いて。つい数日前に、翼を厭うような言動をしたエリカのことをなんとなく思い出す。
アヤメとのつながりをカレンに問われれば、苦い顔で、]
えーと、パス2。
[下がれ、と合図する長老の手の動きを見、一足飛びに離れる。
刹那、リディアを中心に光の陣が生また。
その輝きに少女の姿は飲み込まれ、静かに消えてゆく。
―――光の渦が治まる。
残ったのは封印樹の葉の様に鮮やかな翠色の羽根のみ。]
[昨日の様子をロザリーに言われ、曖昧に笑う]
ふうん…リディちゃんが俺の心配をねえ。
そう言うのは、目の前でしてもらえると嬉しいもんだけど。
[不意に視線を動かして、それに指を指す]
なあ、ネロ…。お前がこの間言ってた金の鳥ってのは…アレか?
……っ!リディ……っ!
[取り押さえられたリディアが、光の陣に包まれ、消えていく。その光景を呆然と眺め。後に残された翠色の羽根を、瞬きもせず見つめている]
[オーフェンの姿を見つければ後ろから駆け寄って肩に手をかけ、リディアに駆け寄るのではないかと心配してそっと抑える。]
…リディア。
[言葉は、それ以上出なかった。]
うん。楽しいよ。だから問題ないんだよ〜多分。あはは
[と、カレンの口上を真似して答えつつ
カルロスの言葉に]
あは。だって、だって。全部全部じゃないと
あ
[答えている最中に視線は現れた金の鳥に注がれて]
あは、これだよ〜。これ〜。
本当に暖かくないのかな〜
[と鳥に向けて、そっと手を伸ばし]
……無事に封じたか。これで終わればいいが。
[乱れた紫紺の翼を一度羽ばたき、背に沿わせ畳む。
翠の羽根が空を舞う向こうに、オーフェンの姿が見えた。]
…………リディアはもういない。
今は結界樹の中だ。
[低い声は淡々と事実だけを告げる]
[ カルロスの言葉に苦笑いをする。]
それは本人に言ってやって下さい。
リディアこそ、ツンデレという奴なのですから。
[ 彼女に言われて、調べた言葉を使ってみた。]
――――…?
[ 不意に飛び込んできた金色の鳥。
くるくると回る様子を右目で追う。]
[肩に置かれたラスの手に、抑えきれなくなった涙が零れ落ちる]
……っ……リ……ディ
[立ち尽くしたまま、小さく嗚咽を漏らす。事実を告げる低い声は耳には届くが、頭までは届かず]
うん。そうだよ。これが言ってた金の鳥だよ〜
[とカルロスに答え、手を伸ばすも金の鳥はすり抜けていって。
その行き着く先へと視線を向けて]
あ、エリカだ〜。やっほ〜やっほ〜
エリカ。エリカ。それってなんて名前なの?
[ぶんぶんと手を振りながら楽しげに聞く]
そうか。いえない仲なのか。
[カルロスのパスとの言葉に、特に含むところもなく、そう返した。ネロの森の音楽の話をなるほど、と頷きながら聞いていると、カルロスが何かを見つけ、指差した。目に入ったのは、金色]
……あ。
[くるくると回る光の鳥を、身体ごと回って追いかけながら、目を丸くしている]
リディちゃんはツンデレというか…デレツンのよーな。
[ロザリーにはその様に言葉を返して。相変わらず捉え難いネロの言葉に苦笑を零しつつ、金の鳥の行方を見遣る]
…エリカちゃん?……大丈夫?
[その顔を確認すれば、歩み寄り]
[続いて少年の肩に手を掛けるラスに視線を移し、小さく頷く。
もしオーフェンがリディアに駆け寄れば、巻き込まれていた可能性があった。]
……長老、儀式はこれで終りですか。
……………わかりました。
[儀式を終え、疲れた表情で出て行く長老に目礼し見送る。
涙を零すオーフェンに何も言わず、視線をアヤメへと移した。
天を仰ぐ姿に歩み寄る。]
………どうした。何か気にかかる事でもあったか。
………あ、これが昨日言っていた、とりなのか。
[ネロとカルロスの会話を聞いて、納得していると、鳥がすいと人の輪を離れ。ふわりと舞う。その先に見覚えのある、少女の姿を見て]
……あ。エリカ。えーと、体調はもう、回復したのか?それと、この鳥は……知りあい?
[何を聞くべきか迷いながら、そう聞いてみた]
[スティーヴの言葉には、重々しく頷いた。
オーフェンの肩が震えてその頬を涙が伝っている事に気がつけば、肩に置いた手を頭にずらしてそっと撫でた。]
結界樹。
リディアが、虚に捕らわれていたんですか?
[スティーヴに、問う。]
……っ、
[鳥の名を問う声に答える代わり、
短く息を吸って、吐く。
それだけでも、体力を浪費する気がした。
軽く握った拳を、胸元に添える]
私は、大丈夫、だけれど、
……私じゃなくて、他が――消えた。
[眉がきつく、寄せられた]
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