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─広場・噴水傍─
[しばらく眺めていると、自衛団は一人を連れてその場を離れて行く]
[その中に見つけたのは小さな姿]
……ふん、そっちに捉えたか。
[ぽつりと呟いた]
[己が言葉のみで決定したとは思いにくいが、少なからず作用していることは明白で]
[連行される様を見て思ったのはその一言だった]
…何かの切欠が無ければそう言う行動にも出れん連中なんだろう。
ああそうだ、お前にも伝えておかなきゃな。
昨日捕まったローザとやらだが、あれもシロだそうだ。
[誰からの情報とは口にせず、知り得た事実だけを述べる]
[痛みを堪えるように、眉間に深く深く、皺を刻む。
何かを、恐らくはゲルダへの別れの挨拶を呟いて、その場を離れた。
集う人の輪を抜けていく]
連行するにしても、もう少し方法があるだろうに。
[一つ息を吐いて、行商人の苛立ちに同調するように言った。
対象が誰かは既に分かっているけれど、彼のほうからそれを明かすことはない]
ま……後でまた話でも聞きに行ってみるかね。
ローザんときは、ほとんど証拠らしい証拠も聞けなかったが、今度は少しはマシになってるといいが。
―――そろそろアタイは行くよ。
前回と同じなら、またどっかで事件が起きるかもしんねえしな。
無ければ無いで、少しは信憑性高まるのかね?
じゃ、またな。
[そう告げると、レナーテが2人の前から*立ち去っていった*]
「でもあの子ってホラ、元々は……」
「そういえばそうだったわね」
[無責任に交わされる言葉の数々][首の後ろを掻く]
[自衛団の前で意図を持って名前を出したのは隻眼の記者に同じ]
[だが何とも気分が良くなかった]
[視線が落ちていたので青年の様子にも気づかず]
そうかもしれませんが。
冤罪が続けばそれこそ更に評判が地に落ちますよ。
それにしても統率の取れなくなった集団ほど怖いものはありませんね。力を持っていれば特に。
[レナーテに答えて]
[何度目になったかの溜息を吐いた]
─広場・噴水傍─
あれ……カヤ……か。
[連行される姿を見て。零れ落ちたのは、掠れた呟き。
疑念はあった。
けれど、疑いたくはなかったのも本音で。
軽く、唇を噛んで、ふる、と首を横に振る。
気持ちの乱れを、振り落とすように]
……それにしたって、さ。
あれじゃホントに単なる『自衛』じゃん……。
[小さく呟いた後。伝えられた事実に、一つ、瞬く]
そ、か。
確かに、そんな感じ、なかったもんねぇ……。
攻撃魔法が使えたら良かったんだけれど。
せいぜいそこの椅子で壁や扉を壊したり、音を聞きつけて誰か入って来ようとした所をぶん殴って逃げ出すとかそんな程度ね。
[嘆息をつくと]
……カヤと出会った時のエピソードだけで十分危険だわ。
へえ、そう?
……それは怖いわね。夜中に花が集団で歩き出して次の犠牲者を探したり?
[口元には笑みを浮かべている。目は笑っていなかったが]
ええ、まったく。
[青年の同調するような声に頷いた]
[その真意は知りようもなく]
どうでしょうね。
たとえ間違っていなくても、単独犯ではなさそうですから。
[意見に疑問だけを差し挟んで]
[去ってゆくレナーテを見送った]
─広場・噴水傍─
要らんプライドの高い連中が多いんだろうよ。
んなもん豚の餌にでもしてやりゃ良いのに。
[青年とのやり取りで少しずついつもの軽口が戻って来る]
[それからふと、隻眸を青年へと戻して]
時にアーベル、お前は現状で信じたい奴ってのはどれくらい居る?
[唐突にそんなことを訊ねた]
[エルザの別れの呟きにも反応を返すことなくジッと地面を見ていたが]
…………脳無しの自衛団単体であそこまでの調査は考え難い
誰かが独自で調査して情報を流した、といった所か
……となると
[そう呟いて、頭に浮かべるのはそういうことに長けてそうな二人
ただ、カヤについての情報を容赦なく流す方といったら]
…………これは、ますます早めに手を打たないとね
[ポツリと周りに聞こえないようそう呟く
そうして、人が集まってきたのを見て取ると、ケースを手にその場を後にした]
[周りで交わされる無責任な会話は届いている。
眉を顰めて見せたけれど、特に何か言うことも無い]
ええ、また。
[剣士に片手を上げて見送った。
その姿が見えなくなる頃]
…じゃあ、すみません。
ぼくもこれで。
[彼もまた別れを告げて、その場を立ち去って行く]
[大通りの方面に言っては自衛団と鉢合わせそうだから、広場へ向かった。
程なく、噴水の近くに弟や他の皆の姿を認め、痛まない方の手を振った]
アーベル。ここにいたのね?
[そのときには、口調は至って普段通りだった]
…そっか、抜け出す方法ね、私も考える!
攻撃魔法は私も使えないわ…。ごめんね。
それやるなら殴るぐらいなら出来る、ポーションの瓶が武器になるわ!
…って。だめら…これは大事にしたいな…。
[赤いリボンをなでなで。カヤとのエピソードについて言われれば、ちょっと恥ずかしそうにそっぽを向く。]
…あ、えと、違うの、お花がじゃなくて、お花屋さんが…
……ううん、なんでもない、結局生きてるし気にしないで!
[視線になにか怖いものを感じて、なかったことにしようとしている。これから順番に溶かされたらどうしよう…だなんて思っていたのも吹き飛ばした。]
─広場・噴水傍─
あは……餌にされた方が、迷惑しそうだね、それ。
[軽口に、冗談めかした口調で返す。
それでも、声は微か陰りめいたものを帯びていたが]
……え。信じたい……ヤツ?
[向けられた唐突な問い。蒼は不思議そうに、瞬いて]
ん……あんまり多くない、かも。
信じる、って決めたのは、二人。
信じたいけど、なんとも決め手ないのが一人……かな。
[信じる、と決めたのは、姉と、今言葉を交わす男。
信じたいのは、幼い頃から、兄のように思っていた人]
[呼びかけてくる、聞き慣れた声。
はっとしたよに、そちらを振り返る。
肩の上、隼もばさ、と翼を広げて]
姉さんっ!
……なんとも、ないっ!?
[とっさ、口をついたのはこんな問いかけ]
……物と自分とどっちが大事なのよ。
ここ出られたら、また仕入れてあげるから。
[という声は微妙に震えていた]
[見張り役だろうか。部屋の奥にいるカヤの養父を一瞥して]
ま、実力行使に出るのは最後の手段ね。
今は大人しくしておくのが得策かしら。もしかしたら、この先仲間が増えるかもしれないし。
……お花屋さん〜?
[何かまた変な想像をしていそうだな、と思ったとか思わなかった*とか*]
ああ、ライヒアルト君も。
[去ってゆく姿に軽く手を上げる]
[見送った後に深呼吸]
[動きだそうとしたところに人がやってきた]
このタイミングで。
何か情報が増えたんですか。
「今の子供も犯人ではありえません」
はい?
「気にしていたから先に調べるようにと言われました。
ですがそれこそ不自然なほど何も出てきませんでした」
それはつまり。
「あやふやな証言以外は何一つ出てこないのです。
詮議でもそういうことになるかと」
[上げられた手の主を見やり、会釈を返す。
弟の反応には、きょとりとして]
……平気よ?
[軽く首を傾げて、笑った]
そっちのほうこそ、無茶してない?
[平気、という言葉と、笑み。
思わずじ、と見つめつつ]
……自衛団の連中と、やり合った、って聞いた。
あいつら今、気ぃたってるし……何か、されてたりしないよね?
[確かめるように、問う。
口ぶりから、現場に居合わせたなら騒動拡大させていたと予測するのは容易いか]
俺は……無茶は、してないよ。
[今の所は、ではあるが]
「結果が出たらまたお伝えしにきます」
[それだけを伝えるとお仕着姿は去っていった]
[下を向き乱暴に頭を掻く]
不自然なほどにって、何だよ。
それとも本当に無実だったのか?
だとしたら。
[頭痛がした][危惧しているもう一つ]
[議会やその周辺に黒幕がいるというのならば]
[連行された者達もどうなっているのか]
……まだいるかな。
[噴水の方を振り返った]
─広場・噴水傍─
[青年の返答に、ふむ、と一つ唸り]
[己の周囲に残る人物を確認してから]
……俺の場合、今事件の犯人ではないと思っているのは4人居る。
自分で調べた奴と、事件に対する姿勢から判じた奴らだ。
その他に、信じたいと思っていた奴が一人居る。
[言葉の中に微妙なニュアンスが交る]
お前は、もし信じたい奴が事件の犯人だったとしても。
情に流されずに居られるか?
[青年が信じたいと思う人物の詳細は知らない]
[だから、そうなった時のために解決したいという意思を保って居られるのかと]
[その確認を取っておこうと疑問を投げかける]
[ヴィリーとアーベルを見比べて、少し不思議そうにする]
……いつの間にか仲良くなったのかしら。
[そんなことを言ってから、弟の視線を受け止め]
やり合った、って。
……乱暴なことは、してないわ?
[してない。されていない、とは言っていない。
予測は立ったし、否定の先も感じ取れた。
だから、逆もまた、悟られるのだろうけど]
カヤちゃん、連れてかれちゃった。
結局、何にも出来ないのね。
[極めて、軽い口調で。肩を竦めた]
[目的の人物の周囲には人影が増えていた]
[蒼髪の姉弟][エルザは信用していいと言われたが]
[今これを伝えたらまた騒ぎになるような気がした]
[伝えるのにどんな顔をすればよいかもわからない]
後で、だな。
……荷を片付けてくるか。
[どうにも店を開いている余裕は持てそうに無く]
[ならば幾つかは今のうちに処分した方が良いものもある]
[噴水脇で交わされている会話の内容も知らず]
[エルザの手の程度も知らないまま]
[宿の方へと*戻っていった*]
……信じたい、と、思っていた……?
[投げられた問いかけもさる事ながら。
微妙な言い回しには、疑問が僅か、生じるものの、今はそれは置いておいて]
ん……その時になってみないと、わかんないかも、知れない。
けど……。
[ここで一度、言葉を切り]
信じたいって思える相手が、こんな騒動引き起こしてるんだとしたら。
俺は……ぶん殴ってでも、止める。
[迷う事無く、言い切った]
…2択って難しいわよね!
[そう言いながらも、実際に死ぬか割るかになったら割ってしまうのかもしれないと思い、瓶を持って大きくため息を吐く。が、続く言葉には即座に明るさを取り戻した。]
ほんと!?絶対なんだからー!
…あ、でもこのリボンは大事大事だから…
[そういうと、瓶の首からリボンをほどき、自分の髪留めの上から結ぶ。リボン結びに!]
鏡見てないけど、きっとかわゆいの!これなら安心♪
[声の微妙な変化の意味には気付かない。…のか、気付いても言及しないだけか。ただちょっとやっぱり様子をみるようにして]
[その後の、今は大人しくするのだという作戦に、素直に頷いた。]
はぁーい。
そうだわ、私たちでおしまいだったら、
いつまでもここに居るのもよくわかんないし!
…あ、あははぁ…。
[ジョウロに人が、とか。言ったらまた変な子になりそうな気がして、水盤をたぐりよせる事で誤魔化した。騒がしい街の様子を少しドキドキしながら見る事に。]
[相手の疑問には敢えて答えず]
[僅かに時間をかけて、それでも言い切る返答に口端を持ち上げた]
良い答えだ。
それを聞いて安心した。
[そう言葉を繋げ、徐に立ち上がる]
続きはまた今度だ。
俺は宿に戻る。
何かあれば来い。
[そう告げてゆるりとした足取りで歩き始めた]
[問いの内容と、微妙にズレた姉の返答に、は、と息を吐く]
……怪我とかしてるなら、ちゃんと、手当てしてよね。
[言ったのは、それだけ。
カヤの事には、何も言えずに。
立ち上がったヴィリーの言葉の真意は未だ掴めず、やや戸惑うものの]
ん。わかった。
[何かあれば、という言葉には、素直に頷いた]
[二人の間に交わされる会話を、黙して聞いていた。
弟の出した答え。
まだ、じんとした痛みの残る腕に敢えて爪を立てる]
……知らないうちに、大人になるものよねえ。
[立ち去るヴィリーの背を見送りつつ、
本人を目の前にして、しみじみと呟いた]
――信じていたのよ。
[過去形で話すことに、また、違う痛みを覚えた]
何かあるのなら、話してくれるんじゃないか、って。
でも――勝手な思い込みだったのかしらね。
[少女のことを話しているようで、
別の事を話しているようでもあった]
いっつも、そうなんだわ?
[終わりは弟を見て、笑いながらの台詞。
細めた眼は、現在ではなくて昔を見ている]
[水盤を見ながら、うつら、うつら。]
…だーめ!…ベッティ、寝るまで、寝ないもの…
[とか、もにょもにょ言っているのも寝言のような体だ。彼女なりの努力も虚しく、五分ともたずに*眠りに落ちるだろう*。]
無理してでも、聞いておけばよかったかな。
逃げていたら、駄目なのよね。
[手当てとの指摘には、はいはい、と笑って。
くるりと踵を返すと、自宅に向かって歩みだした]
[それからすることは、普段と、何も変わらない。
怪我の所為か、他の理由か。
少しばかり覚束ない部分が、ありはした*けれど*]
[姉弟に対し後ろ手に手を振り]
[広場を去り宿屋へと向かう]
[信じたかった者]
[潔白を証明するための調査は逆の結果を引き起こした]
[けれど誰が犯人と結果が出ても]
[為すべきことは変わらない]
[それが己に課せられた制約故に]
─ →宿屋─
[借りた部屋へと戻ると]
[置いてあった荷物から術符を取り出す]
[残っているのは6枚]
[今連絡に使えば、残るのは5枚]
………。
[その残りの5枚を、ジーンズのポケットへと捻じ込んだ]
……それってどういう……。
[しみじみとした呟きに、ぽつ、と突っ込みを一ついれ。
続いた言葉に、口を噤む。
話していない事。
数え上げたら、キリがないのは、自覚していて。
けれど。
どう話していいのか、わからないままで、ずっといて。
だから]
俺には……わかんない、よ。
[唐突と言えば唐突な言葉を小さくもらして、蒼を伏せ。
それから、自分も家へ向けて歩き出す]
…………。
[途中、立ち止まって空を見上げる。風が妙に、落ち着かないような*気がした*]
……アロー、レダクティア。
調査の結果クロを発見。
直接取材を試みる。
…文句言うなよ。
直接話さなきゃならねぇ相手なんだ。
[連絡した声はいつもより真剣味を帯びたもの]
[相手には止めても無駄と言うのが伝わったことだろう]
[声を刻み、術符を燃やす]
[同僚から返って来たのは了承の言葉一つだった]
……ライヒ。
おめぇの信じるものは、一体何なんだ…?
何で、俺を呼んだんだ──。
[信じたかった相手に対し疑問は尽きない]
[浮かぶ疑問は全て直接会って聞こうと]
[そう考えながらしばしの時間を*過ごす*]
―宿舎―
[神父に挨拶を済ませ、部屋に戻る。
念の為にカーテンを閉めてから、『端末』の向こうの同業者に向けて囁く]
――決行は--時。
先に言った通り、手助けは必要ない。
[相手には明瞭に届く筈の声にも、それを発する表情にも、感情は*浮かばなかった*]
―自警団詰所/牢―
ってぇなっ!!
もっと丁寧に扱えよっ!!
[乱暴に石畳の上に突き飛ばされ、ころころと転がった。
ゴン、と壁に頭をぶつけ、さっと立ち上がって入り口を睨むも、手に嵌められた魔法の手錠が鬱陶しくていまいち上手く立ちあがれなかった。]
[張れた頬と、目の周りには青痣。
ゲルダを止めたものの、どうやら少女は暴れたようで。
ぷっ!と、頬を膨らませて唾を吐くと、コンと白いものが飛んで床に跳ねた。]
っつか、一緒にしろって言ったのに、まだ伝わってねぇのかな。
[どうやら少女の審議だの何だのが奥でなされているようで。
肩を竦めてそちらを見た。]
[牢の向こう、少女が噛み付いた男が立つ。
少女をじっと見下ろして口を開いた。]
「お前がやったのか?」
知らねぇ。
「お前が浚ったんだろう?」
知らねぇ。
「団長は何処だ?
知らねぇ。
「お前がやったんだろう!」
知らねぇ。
[少女は頑なに口を閉ざす。
根負けした男が詰所へと戻った後、大分だってから。別の男が牢へと近づき低い声を出した。]
「おい、移動するぞ」
[そして少女が次に放り込まれたのは、
ベティやローザ、自警団長の居る部屋だった。
目隠しをされ手錠を引っ張られて状態で、
何処をどう歩いたかが判らない。
自警団を装って来た男が、本当に自警団かどうかも判らない。
だが、彼女は収容所へと自分が行く事になるだろうことは「知っていた」から、抵抗もしなかった。]
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