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悲しいことは、ずっと続くのです。
[少女の問いかけに、
牧師は穏やかな声で告げます]
人は生きている限り
悲しみから、逃れることはできないのです。
だから、みんなで神様にお祈りをするのですよ。
そうして、いつか。
遠い空の向こうの楽園へと、辿り着けるように。
[しゃがみこんだ少女に
牧師は一歩、また一歩と近づきます]
それに。
人も、獣も、人狼も。
一つとして、同じものがないのでしたら。
悲しみの色も、またそれぞれに。
[牧師の眸には、目の前の少女の背中が映ります。
続く質問に、牧師は不思議そう]
私が、どうして牧師になったのか。
きっと……この職業は
の匂いが、近いから。
の匂いが、近いから。
[牧師はアナの背中に手を伸ばします。
そうして、牧師は見るのです]
〔ふたりと一匹で帰り、亡くなった人のことを報せたあと。
身を清めるように言われたアナは、宿のお風呂へと入ることになる。
水に流されて、あかい色は見えなくなっていく。
洗われたフリーも、白い毛並みを取り戻す。
けれど、消えないもあるって、アナは気づいていたに違いない。
ぽた、ぽた、ぽた。
たくさん、しずくが落ちていく。
* 黒い炎はいつの間にか消え、鐘が長ぁく、鳴り響く。*〕
月の光は、黒い森には届きません。
黒い花は、手向けの花には向きません。
銀の刃は、悪しき物を打ち祓います。
赤い羊は、主人の仇にめぇめぇめぇと。
そうしていつしか、森は静けさを取り戻します。
牧師の形をしていたものは、もう何も語りません。
獣の時間にも、人の時間にも
何も語ることは*ありませんでした*
[弔いの鐘が鳴り響く。
牧師さんもまた、弔いの箱のなか。
だからみんなが見よう見まねで、祈りを捧げるよりありません]
[おじいさんも、祈りました。旅人と牧師のために。
羊飼いにも、祈りました。心の中で、ごちそうさま]
[ドロテアの籠の黒い花。
メルセデスの色を映した黒い花。
そういえば、メルセデスも言っていました。
どこか様子がおかしかったと。何か感づいたのかもしれないと。
おじいさんにだけ聞こえるように、言っていたのです]
[弔いの儀式が終わったあと、おじいさんはもう一度、教会へと戻りました。
そこにはドロテアが、ひとり取り残されたようでした。
彼女が不思議そうに首を傾げると、おじいさんは言ったのです]
ああ、ちょっと忘れ物をしたんじゃよ。
今夜のおかずを忘れてたんじゃ。
[おじいさんが帽子を取ると、そこには毛の生えた三角耳が。
おじいさんが口を開けると、鋭く尖った獣の牙が。
そしておじいさんのふりをした狼は、ドロテアの体をもぐもぐ、ごっくん]
うむ、なかなか美味じゃった。
[狼は、長い舌でぺろんと口を舐めました。
赤いしずくがぽたりと落ちます]
ドロテアは、不思議な力を持っていたようじゃの。
これは心の色を見る力か。
[狼は、満足そうに頷くと、お腹をさすりさすり自分の家へと帰りました。
月明かりに照らされて、しっぽが機嫌良く揺れました**]
[一度に色々な起きた一日でした。
起きすぎたような気がしました。
それでも、お弔いの間は、気丈な様子で通していたのです。
まだ、終わっていないのがわかっていましたから。
それでも、一人きりになると気持ちはふわふわと揺れて。
蛍も心配そうにふわふわとして。
御隠居様が戻ってらしたのは、そんな時でした。]
……忘れ物……?
何か、ありましたかしら。
[お弔いの後のお掃除では、それらしいものなんてなかったから、御隠居様の言葉はとても不思議でした。]
ええと、何をお忘れになりましたの?
[首を少し傾げて尋ねます。]
『今夜のおかずを忘れてたんじゃ。』
[返ってきたのは、こんな言葉。
目に入ったのは、三角の耳と、大きなお口に並んだ牙。]
[あかい、あかぁい、いろがみえました。
それから、世界は真っ暗になります。
いつも側に居た蛍も見えません。
このまま、まっくらになるのかしら。
このまま、なにもみえなくなるのかしら。
おばあさまもこんなふうだったのかしら?
たべられてしまったおばあさまも。]
[それから、時間は過ぎたのでしょうか。
それとも、全然過ぎていないのでしょうか。
それは、よくわかりませんけれど。]
……ここ、どこ?
[いつの間にか、そこには子どもが一人。
側には小さな螢火がひとつ、きらきら、ふわふわ。]
[子どもはぐるりと周りを見回します。
かあかあ、かあかあ。
どこからか、からすの声が聞こえました。]
……からす、きらい。
[ちいさなこえで呟くと、子どもはそこから離れます。
小さな螢火が、慌てたようにその後をおいかけました。**]
[アナとベリエスから、メルセデスの死の知らせが届きます。
木こりは声にならない口を大きく開け、がこんと閉じて奥歯を噛みしめました。]
牧師さんが人狼?
そんなはずねえ。そんな……
[唸るような呟きは、皆の祈りの声に紛れて消えまっした。
大男は教会から白布を持ち出し、のっしのっしと歩きます。]
[ベリエスが冥福を祈り、アナが宿で血を洗い流す頃。
木こりは川辺でむっすりと顔を顰めました。
二つになった旅人と、赤くなった黒い牧師。
木こりが渋面も露に口を引き結んでも、何か言うものは誰もいません。話せません。
いえ、アナならもしかしたら何か聞こえたのでしょうか。]
………。
[大男は厳つい背を屈め、赤い黒の牧師を白で包みます。
そして弔い途中の旅人を睨むと、土の下へと埋めました。
もう起きだしてくるなと言うように何度も土を掛けました。]
[牧師が教会の棺へ収まり、見よう見まねで皆が祈ります。
木こりは祈る役ではないから、代わりに鐘を鳴らしました。]
牧師さんが人狼なら、ドロテアさんが無事なわけねえ。
だったらまだ人狼はいる。
オイラはそれを探して、斧で……。
[去った後の教会で何が起こるかなんて知りません。
老女のくれた知識を元に木こりは夜の村を睨むのです。**]
[ドミニクの姿に、旅人は何を思ったでしょう。]
やれ、やれ。
[ただ何度も土をかけられるからだを見て、小さく肩をすくめるだけです。]
[旅人は右手をくるりと回します。
そこにさっきよりも一回りくらいちっちゃな小鳥が生まれました。
旅人が手をはなしますと、小鳥はぱたぱたと飛んでいきます。
子どもと蛍がいるほうへ、小鳥は*飛んでいきました。*]
……?
[駆けていた子どもが、足を止めました。
追いついた螢火がくるりと回ります。]
だあれ?
[首を傾げて尋ねます。
おおきな瞳が見つめているのは、どこからか飛んできたちっちゃな小鳥。**]
[小鳥はちぃちぃ、ぴぃぴぃと鳴いて、子どもの周りをくるりと一回り。
そうして背中を向けて、またぱたぱたと飛んでいきます。]
[きょとり、とおおきな瞳が瞬きました。
子どもは螢火を見て、それから、小鳥の飛んで行った方を見ます。]
……あっち?
[ちいさな呟き。
そして、子どもはぱたぱたと、小鳥の後を追いかけます。]
[時々くるりと振り返り、追いつかれたらまた進み。
それを何度か繰り返すうちに、小鳥はあの小川のそばまで来ていました。
ちぃ、と一声鳴いて、小鳥はそばの木の上まで飛んでいきます。
そこにはさっきまでとおなじように、旅人が座っていました。]
[ぱたぱたぱたぱた。
足音は、本当はしていないのですけれど。
そんな感じで、子どもは駆けて行きました。]
……?
[たどり着いたのは、小川。
小鳥が飛んでいった先には、座る旅人。]
……だあれ?
[さっきと同じ言葉を、子どもは投げかけます。
側の螢火は、何か言いたそうにきらきら、ふわふわしていました。]
――翌朝・自宅――
[朝になると、狼の耳としっぽは引っ込んで、牙も元通りの歯になりました。
くんくん、おじいさんはごちそうの匂いが残っていないか、丁寧に確かめます。
狼の鼻ではかすかにわかるけれど、人間にはきっとわからないでしょう]
[小鳥を手に止まらせて、旅人は子どもをじっと見ています。]
ルイだ。
[名前をたずねられて、旅人は答えます。
それから、そのそばにふわふわと浮かぶ光を見て、ひとつまばたきをしました。]
さて、今日の獲物はどうしようかのう。
力の強いドミニクか。
ランタンを持った嬢ちゃんか。
頭の回るばあさんか。
[おじいさんのふりをした狼は、散歩の支度を始めました。
今晩の獲物を見定めるように。
そして、誰かが教会から知らせを持ってくるのを、のんびりと待ち続けるのでした]
[じっと見つめてくる旅人の様子に、子どもはこてん、と首を傾げました。
螢火はくるくるくるくる、落ち着きなく子どもの周りを飛んでいます。]
るい。
[教えてもらった名前をちいさく繰り返します。
なんだか知っているような気がして、子どもはきゅ、と眉を寄せました。]
[旅人は木の上からすとんと飛び降りました。
もちろん音はしませんし、足の裏が痛くなったりもしません。
小鳥がとんがりぼうしの上で、ぴぃと鳴きました。]
光。
[旅人は子どもに近付いて、飛び回る蛍を見ました。]
あの花の中にいたものか。
[蛍と子ども、どっちになのかははっきりしませんが、とにかく旅人はたずねました。]
[近づいてくる旅人を、子どもはじいっと見つめます。
知っているような、知らないような。
けれど、哀しかったこととそれに繋がることを自分から切り離している子どもには、はっきりとした事はわかりません。]
お花?
ほたるは、ほたるぶくろにいるんだよ。
[尋ねられた事の意味はわかりませんけれど、子どもは自分の知っていることを答えます。
螢火はきらきらふわふわ。
早くまたたくことで、頷いているみたいです。]
[満腹オオカミ、月夜の下を、尻尾ふりふり歩いていきます。
村を見下ろす丘の上で、木こりはじっと見てました。
岩のように動かずに、尻尾の影を見てました。
大男ののろまな足では、追いかけっこしても敵いません。
どこへ行くのか帰るのか、黙ってじっと見てました。]
[旅人は子どもの答えを聞きました。
うなずくようにまたたく蛍の光を見ました。]
そうか。
[それから、ぼうしを引き下げます。
ぼうしが急に動いたので、小鳥がころりと転げました。]
ならば。
やはり、ドロテア殿か。
[どうして子どもの姿をしているのか、旅人には分かりませんけれど、なんだかため息をつくみたいに、旅人は言いました。]
[夜が明けても尻尾の主は、御隠居の家から出てきません。
朝日に目を細めつつ、木こりはのそりと動きます。
固まった体が、ごきりぼきりと鳴りました。]
……爺さんか。
やっぱ、他所者はいらねえ。
[不寝番した木こりは言って、森外れの小屋に帰ります。
老婆が言うには日中は、狼は人に化けてるのです。
太陽の出てる内に寝て、それから動くつもりでした。]
あ。
[ころりと転げた小鳥に、子どもはびっくりしたような声を上げました。]
……どうして、知ってるの?
[それから、名前を呼ばれてきょとん、とします。
螢火はまた、頷くみたいにきらきらきら。]
[小鳥は地面で羽づくろいをした後、今度は旅人の肩に止まりました。]
覚えていないのか。
[旅人は屈み込んで、子どもとおなじ目線になります。]
生きてる時に、教えてもらったんだ。
[小鳥が旅人の肩に止まる様子に、子どもはほっとしました。
けれど、忘れた事、それそのものを忘れている子どもは、旅人の言葉に不思議そうに瞬きます。]
いきてる時?
いまは、いきていないの?
おばあさまとおんなじなの?
そう。
おんなじだ。
[旅人はひとつうなずきます。
黒い目で、子どもの顔を見つめています。]
多分、ドロテア殿も。
[それから続いたのは、さっきよりもいくらか小さい声でした。]
おんなじ。
じゃあ、どうして……。
[どうして、お話しできるの、と。
問いかけようとした言葉は、途切れました。]
……わたし、も?
[ちいさな声で言われた言葉。
おおきな瞳がきょとり、と瞬きます。
ふるふる。
それから、子どもは首を左右に振りました。
痛いことなんてないはずなのに、頭が痛くなったみたいでした。
螢火はふわふわ、ふわふわ。
心配そうに飛び回ります。]
[ふんわりふわふわ、羊雲。羊飼いは空の上。いろんなことをふわふわと漂いながら見ていました]
ああ、たいへんだ。ベリエスさんも人狼だ!
[ごっくんとドロテアが飲み込まれた時には、それも思い出したのですが、やはり誰にも聞こえぬ声は、なんだかうつろに響きました]
そうだ。
アルベリヒ殿も。
[旅人はひとつうなずいて、羊雲のような羊飼いが浮かぶのを見上げました。]
それからきっと、牧師殿もな。
[今は辺りを見回しても、メルセデスの姿は見つけられませんでしたけれど。]
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