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─ 空部屋 ─
[その後、ソフィーのことを聞けば様子を見に空部屋へと向かう。
熱があることを知れば薬を用意し、薬を飲むためにちょっとした食べ物も用意する。
渋るようなら食べなければ良くもならないと諭して]
後程、様子を見に来ます。
今はゆっくりとお休みくださいませ。
[主のこと、ネリーのこと。
衝撃的なことの連続で心身共に疲労が濃いだろうと。
今は休むことを優先させた。
ソフィーは人間であるとはっきりしている今、少なくとも人の手で死なせるわけには行かない。
その時は人に伝えるようなことはしなかったが、そう心に誓った]
─ 夕方過ぎ/空部屋 ─
ソフィー様……!
[退室してから夕方にかけては恐らく寝ているだろうと考え、様子を見に行ったのは陽が地平線へと身を隠し切る頃。
そこに在ったのは既に事切れ、虚ろな瞳を瞼から覗かせるソフィーの姿だった]
…誰が……誰が、このようなことを…!
[近付きベッドの傍で膝を付く。
毛布に手をかけるといつも以上に重く、見ればソフィーからの出血らしき跡がべったりと付いていた。
傷は首筋にある切り傷のみ。
人狼の痕では無いことが見て取れる]
あ、ぁ……申し訳、ありません、ソフィー様。
貴方は人狼では無いと、先に皆に伝えてさえ居れば。
きっと、このようなことには───。
[膝を床についたまま、俯いて両手で顔を覆った。
殺された理由が疑い以外にあるなんてことは頭には無く。
何もかもが後手に回っているように思え。
人狼がはっきりしてからと考えていたが、そんな余裕は無いのだと感じた]
…申し訳ありません、ソフィー様。
埋葬は、しばらくお待ちくださいませ。
[ソフィーに語りかけながら、手で開かれていた瞼を閉じさせる。
もはや埋葬に時間をかけている場合ではないのかも知れない]
[シーツを取りに行く姿は誰かに見られたかどうか。
問われたならソフィーの死を伝えることになる。
人の手で殺されたのだと、そう付け加えて]
[ソフィーをシーツで包む作業が終われば、伝え切れていない人にソフィーの死を伝える。
先の時もそうだが、伝達の際、相手の反応を注意深く観察した。
彼の死は誰によって齎されたものなのかを探る*ために*]
[喋れるのかともし問われれば、緩く頭を振る。
赤い声に応えた事はなかった。
だから、出来るかどうかは知らない。
もし応えれば、自分がどうなるかなど、知りはしなかった。
男もまた無知だった。己に関して。]
─ 空き部屋 ─
[それでも、ウェンディが水を運んできてくれた時には起き上がり、冷たいそれが一時熱を冷ましてくれるのにほっと一つ息を吐く]
ん、へーき、大分楽になったから。
……なんだか、情けないとこ見せちゃってるなぁ……しっかりしないといけないのに。
[体調を案じられたなら、こう言って笑う。
親しい者を立て続けに亡くした衝撃は大きいけれど、自分よりも幼い少女の前で取り乱すわけには、と抑える程度の自制心は残っていた]
……ん。ああ、ハーヴにいさん。
話……って、ああ、さっきの。
[ハーヴェイの再度の来訪>>12の時には、薬が効いていたのか大分落ち着いていて。
前置きの後、告げられた内容に、え、と短く声が上がる]
……メイちゃん、が?
でも、え? なんで、にいさん、それがわかるのさ。
[戸惑いながらの問いに返される答え。
死を持って判ずる、という言葉は、すんなりと理解に落ちた。
何故かと言えば、亡き母にもそんな力が備わっていたのだと。
そんな話を、一度だけ聞かされた事があったから]
でも、そっか……メイちゃん、が。
[親しく接していた相手だけに、碧の翳りは深い。
彼女が養い親を、という事も、彼女が既に死した事も。
どちらも、やはり衝撃を感じるもので。
そちらに捉われていた意識は、ハーヴェイの手の刃>>13には気づけず]
[それから、どれほど時間がたったのかは自分でもわからない。
ただ、途切れた色々は、不意に繋がって。
繋がった色々は、嘆く声>>26 >>27を捉えて]
……ヒュー、さん。
[向けられる謝罪、その内容に僅かに首を傾ぐ、ものの。
ずっと世話をかけてきた彼に、より大きな負担をかけてしまったのだと。
それが──酷く、苦しかった]
謝んないでよ……ヒューさん、悪くないよ。
ぼくが……ぼくが、迂闊だったんだよ。
[紡ぐのは、届かない謝罪。
養い親が死んで、メイを手にかけて、ネリーが死んで。
更に、自分まで、こんな事になって。
辛い思いをさせているのが、言いようもなく、辛くて。
そんな思いに捉われていたから。
同じように彷徨うものがいる、という事に気づくまでは、しばし、時を要しそうだった。**]
― 昨晩 ―
[幾つか言葉を交わした後、男は尋ねた。]
最後に一つ訊いておきたい。
……ローレンス家の娘(こ)は、人狼か?
[喩え黙った侭の狼としても、
人狼同士なら誰が狼なのか分かるだろうか。
答えを聞けば、男は自室へ帰った。]
― ネリーの遺骸発見日 ―
[ケネスの言葉に、分かっていたとしても息を呑み、
唇を強く結び、視線を僅か下にし、黙って頷いた。
向かう途中にヒューバートと遭えば、
既に自室に運び込まれているのを知る。]
ネリーが、ここに居ると。
[ネリーの部屋は既に人が多かった為、
扉辺りでヒューバートから更に詳しくネリーの様子を聞く事となる。
ヒューバートから見て男の様子は如何捉えられたか。
感情の表出は乏しく、親しい者が感情の起伏を捉えられる程度だ。
この時もまた、男は真顔の侭、視線を一点に留めて頷き、
横たわるネリーへと伏せがちの黒曜石の眸を向け、
凝っと見るだけだった。]
[男はネリーの部屋の外で佇み、
化粧が終わるのを待つ事にする。]
何故、ネリーを襲ったんだ。
[ややあって、ぽつりと問いかけるように呟いた。
この惨劇に対してへの呟きと、聞こえた事だろうか。]
― 一階・階段傍 ―
[他の人に伝えるために歩いていれば、階段傍にかたまっているのが見える。
ソフィー>>3:105がちょうどこちらを見て問いかけてきた。
ウェンディがいるのをみて、どうしたもんかと一度迷うものの、口を開き]
……あァ、メイドの嬢ちゃんが襲われた。
人狼にやられたみたいだなァ。
[淡々とつげればソフィーが崩れ落ちた。
ハーヴェイ>>3:109のどこか白々しくも見える驚き方にはわずかに瞳を細めた。
ヒューバートを手伝いにいくというオードリーを見送り。
水をとりにいくウェンディ>>3:128を見送った]
……他の奴らにも伝えてくらァ……
[ソフィーを助けようとするハーヴェイ>>8に一度視線を向けて。
グレンやもう一人の少女にネリーのことを伝えにいった]
[グレンやニーナと会えたのがいつのことかはっきりとは覚えていないが。
二人にもネリーのことを伝えて。
グレンにはほかに手伝うことがあるかどうかの確認ぐらいはしておいた。
そしてなにもやることがなければ、また自室に戻り。
夕方。
執事>>28がソフィーの死を伝えにきたときには意外な人の死に驚き]
ソフィーが?
なんでまた……
[あれだけ弱っていた様子を見れば、人を襲った人狼であるとは思えなかったから男はソフィーを疑うことはせず。
だからこそ、その結果に驚きを隠せない。
執事が他のものに伝えにいくというのを見送る前に、なにか手伝えることがあるのかは、きいておいた**]
人狼の声は、どんな声も赤い色なんだ。
何故だか、音や人の声を聞くと、
色を感じて……。
[ニーナの肉声は、
空の色と藍色の境だと伝えただろうか。]
……こんな話はいいな。
[ふと、語っていた自分に気付き、
ニーナの寝台の端から腰を上げた。*]
[ぼんやりと漂っていたのは、どれほどの時か。
気づけばヒューバートの姿はなく。
しばしの思案の後、ゆらり、とその場を離れた]
……死んだら、どうなるのか、って。
母さんが死んだ時に、色んな本、読んだ、けど。
[大半が作り話のそれらからは、得られるものなどなくて、結局投げ出したのを覚えている]
……死んだ後も、こうやって、漂ってるなら。
[もしかしたら、と。
ようやく、思い至るのは、そこ]
みんな……いる、の?
[ふわり、ゆらり。
不安定に漂いながら、そう、と。
どこへともなく、問いを投げた]
―ネリ―発見日、朝―
[何時ものようにやや遅く目覚め、
ベッドから落ちかけて何とか残り、服を着ようとしてくすりと笑う。]
…だいぶ良い趣味してるじゃん、お兄さん。
[自分の来ていた服に似た、黒い長袖のワンピース。
流石にズボンは無いけれど、そこまで求める贅沢はしない。
服を着替えて部屋を出ようとしたなら、やや遠くで話す声>>3d%3A65が聞こえた。]
…どうすればいいんだろうね。こういう時。
どんな顔すればいいんだろ…
[涙を流すほど親しくなったわけでは無いが、何も感じないほど疎遠だったわけでも無くて。
結局部屋から出てきたのは、昼をしばらく過ぎてからだった。]
[ソフィーの事を誰かから聞けば、
一度自室へ戻り、階段端の部屋の方向へ向かう。
その途中、ニーナと擦れ違えば、]
如何人間なら動くか考えろ。
顔があまり深刻そうじゃない。
[本人に無茶な事を言った。]
[ふらふらと、向かうあても無いままにその場から離れてしまったから。
自分の骸を前にした執事や、オードリーがどんな顔をしていたのかも知らない。
誰が自分の元に訪れ、離れていったかも。
それを気にすることすら、思い出せないように、ただ彷徨い歩いて。
気が付けば、自分の部屋の片隅に座り込んでいた。]
[かちゃり。]
[扉の開く音に、身体を竦ませる。
自分が命を落とした時に聴いたのと、同じそれに恐怖を抱く。
けれど、入ってきたのは。]
ヒューバート、様。
[シーツに包まれたナニカを抱えた執事の姿を見て、名を呼ぶ。
声は、届かない。
自分が使っていた寝台に置かれた、白いはずのシーツに微かに滲む赤。
それを見て、その中に包まれているものが何か──誰なのかに気付き、目を伏せる。]
ごめん、なさい。
[後悔を浮かべる顔に、やはり悲しませてしまったことを知る。
自分が心安らかであるようにと、ここまで運んでくれたのだろうと思う。
そうでなくとも、手を煩わせてしまったことは、事実で。]
ヒュー、おじちゃん。
[彼が屋敷に来た時、まだ母は健在だった。
幼い自分は、母や自分の立場とかも解らなくて。
おじちゃん、と呼んだら、お兄さんよ、と母から注意されたのを覚えている。
あの時、この人は苦笑していただろうか、困っていただろうか。
どちらにしても、声を荒らげる所は、見たことがなかったように、思う。
いつも落ち着いて、注意を受ける時も柔らかで。
使用人として扱われるようになって、それがどうしても慣れなくてぎこちなくなってしまったけれど、尊敬も信頼もしていた、人。]
ごめん、なさい。
[この人にも、沢山お世話になったのに、もう、返せない。
それが、苦しくて、悲しくて、辛かった。]
……動、く?
[自分の骸があるだけの部屋で、小さく呟いた執事の言葉に首を傾げる。
同じ結果、というのも何を指してか解らず、不思議そうに繰り返したけれど当然返る言葉はなかった。
そうしているうち、部屋に誰かがやってくれば執事の独白はそこで途切れそれ以上の言葉はここで聞くことはできなかっただろう。
ウェンディや他にも誰か一緒に来ていたかもしれないが、オードリーが自分のそばにやってきたのを見れば悲痛に表情が歪む。
あの時>>19、と。
悔やむ声には、そう、ですね。と小さく頷いた。]
[毎年必ず屋敷に来る、綺麗なお姉さん。
それが、幼い頃の自分の中での、オードリーに対する認識だった。
年を重ねるごとに、いつかあなたも大人になってお洒落をするようになったら一緒に出来るといいわね、と。
そう楽しげに話しかけてくれるのが嬉しかった。
けれど10年前、オードリーの夫君が亡くなった年。
彼女が訪れなくて、寂しい思いをした、翌年。
屋敷に訪れた彼女の前にいた自分は、もうただの子供として甘えられる立場ではなかった。
あの時、自分もまだ色濃い悲しみの中にいただろう彼女が、引き取りたいと申し出てくれたことは、本当はすごく、嬉しかった。
ただ、此処を離れてしまったら。
母を忘れてしまいそうな自分が怖かったから、どうしても、うんと言えなかっただけで。]
…ごめん、なさい。
[冷たくなった自分の顔を、まるで寝ているみたいな顔にしてくれているオードリーに、謝る。
謝っても意味はない、ただの自己満足。
それでも、謝らずにはいられなかったから、ただ、謝罪の言葉を繰り返した。]
[一通りのことが終われば、部屋には誰も残らない。
自分の骸と二人っきり、片隅に蹲ったまま。
動くことすら忘れたように、そう、していた。
自分と同じように、誰かが命を落としたことなど、知りもしないで。]
[ヒューバートとグレンの手で、メイが。
ハーヴェイの手で、ソフィーが。
ウェンディがニーナの爪と牙にかかったのは、まだ少し後か。
それとももう終わったことか。
時間感覚すらも曖昧なまま、そのいずれをも知らないで。
どうしたらいいのかも解らないまま、ただ一人、動けずにいた。]
[ゆら、ゆら、と彷徨い歩く。
その途中、誰かの姿が見れたとしても、向こうはこちらに気づかない。
ああ、そういうものなんだ、と。
それに対して寂しいような、諦めたような、そんな思いが、ふと、過ぎって消えて]
……ぼくだけ、なのかなぁ、ここにいるの。
[彷徨う間、自分より先に命を落とした者と会う事はなく。
そうだとしたらどうしよう、と思いながら。
ものは試し、と向かった先に見えたのは──]
…おにい、ちゃん。
[聴こえた声>>+19に、顔を上げる。
ソフィーも殺されたとは知らなかったから、自分の声が届くとは思っていない。
きっと、執事や誰かに聞いて最期の別れにきてくれたのだろう、と。
泣きそうな、申し訳なさそうな顔で、その人を見つめた。]
[信じたくなかった、と言う声に目を伏せる。
蹲って、抱えた足に顔ごと伏せる。
なんでこんなことに、というその人の声だけを聞いていたから、その人が近付いているのがどちらに対してかも気がつかず。
伸ばされた手が、頭の上に乗せられたのに気付くと。
驚いて、顔をあげた。]
おにい、ちゃん…どう、して?
[何で触れるの?と、見開いた目で、見上げた。]
ん、どうして、って言われても……。
[見開いた目で見上げられ、困ったように、笑う]
……ぼくも、ネリーと同じになった……って言えば、わかる、かな。
[直接的な言い回しは避けて、それだけを告げた。
理由までは言わない──言えない。
何故、という思いが未だに強く根ざしているから、まとまりがついていなかった]
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