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…今手にかけなきゃいけないのは、ただ一人だけだよ…!
[涼へ返したのはそんな言葉。
晴美の制止も聞かず、目的地へと向かって走り続ける。
もう誰も手にかけたくないとは言わない。
こんな悲しい連鎖は断ち切らなきゃいけない。
喩え最終的に自分の命で贖わなければならなくなったとしても]
……愚か者の考え方かも知れないけど。
終わらせなきゃいけないのよ…!
[その後の呟きは他へと届いただろうか。
やや後に先程まで亜佐美や奏と居た場所へと辿り着く。
紅で染まった床、そして奏と亜佐美。
遅かったと、落胆の表情を浮かべながら現場へと近付く]
……貴方が最後の人狼、なのね。
[向けられる笑みに強く唇を噛んだ。
ここに残っていれば防げたのかもしれないと、自分を責め立てる]
[走りながらの会話。途切れる言葉を拾いながら]
レンが、…センセー…。そうか。やっぱりセンセーは…
? 綾野さんを殺せば…総てが始まって…終わ、る?
誰か…殺せば?
[その言葉に僕は今一度ryouを見て、問う。
正しい答えが来るかどうかはわからない。
消去法で考えると、僕視点からではその人でしか、
考えられないけど]
教え…て、ryou! 狼は…センセーと…誰?
[七重の返答を聞き、先を行くのを晴美と追いかけながら]
ナタリーさんって……言って信じるの…?
[聞き返すようにして晴美に返した返答は答えに近いもので、
七重に追いついた頃には奏と対峙をしているときだったか]
―少し前のこと―
[奏に向かい、返事を返していれば、突如聞こえる笑い声。不審に思いそちらを向けば、黒い視線。
今までとは違う様子の奏の姿に、背筋が凍る。
黒い影が、あっという間に動く。懐のナイフを出そうとしたが、それすらかなわずに。
腹に走る鈍痛に、バランスを崩して。
痛い。
視界が赤に染まる。
最後に浮かんだのは、誰の姿だっただろうか。
そのまま、意識は闇の中へ―――]
[ふと気がつけば。そこはどこだか分からない世界。
周りを見渡せば、見覚えのある人たちの朧げな姿に]
死んじゃった…んだねえ…
[ぽつり]
……。
[現れた御霊。
一時期は殺そうかとも考えた相手。
呟きにかける言葉は、思いつかない。
霊能者、対の存在。
もっと早く知れれば、違った道もあっただろうか。
『もしも』の世界は好きではないから。
深く、考えないようにするが。]
…そうだった。
今回の引き金を引いたのは、俺だ。
[ゆっくりと顔を上げる]
結末を。
[混じりあった本来の意識で、見届けるために]
[あっさりとした肯定。
唇を噛んだまま、眉根が寄る]
……綾姉を殺したのも貴方?
そうじゃなくとも、やることは一つだけど……っ!?
[睨むようにしていたが、目に入ったものに驚きの色を見せた]
あ、貴方、本当に、Kana!?
[七重の背越しに見える奏の姿]
HALはどこっ!
[出たのは悲壮な声]
あなたは…
私の…仲間の…、友達の…、
HALじゃないっ!
[かけた言葉は拒絶の言葉]
[返された答え。
そこに紡がれた名を聞いて、僕は思わず噴出した。]
狼がセンセーと七重姉?
もしそれが本当だったら、僕って真っ先に食われてない?
だって僕は二人を疑えない。格好の餌食だ。
[もし僕が逆の立場なら。迷わず真っ先に狙うだろう。
でも万が一それが本当だとしても、僕は二人を信じるけれどもね。]
でもryouが言っていることが本当なら。
どうして僕に疑問系で答えるのかな?
[最後の問いには答えは求めない。
たどり着いた先には、もう何度も見た光景と、
七重姉と対峙した――]
あれは、誰?
[誰に尋ねるわけでもなく呟いた先には血にまみれた姿が、そこに。
丁度服を脱いでいるらしく、見慣れた物を不本意に見てしまい]
……生き残っているのって、僕以外女性じゃなかった?
[参加者を思い起こしては男の数を改めて数えなおした。]
綾野はレン……Wenの仕業だよ。それについてはお門違いだぜ。
っておいおい、物騒だねぇ。
[ケタケタと哂っていたが、視線に気付きニマリと哂い]
Kanaだよ。少なくとも、この身体はな。
そもそも、奏だって一言だって言ってないだろ?
『ボクは女の子です』なんてこと。
本来のHAL?
…ああ、そういうことか。
[見えたナニカに衝撃を受けなかったといえば嘘になる。
その事実は教えられていなかったがために。
けれど幾つかの違和感や、記憶が、そんな納得の言葉も出させた]
仕掛けはよく分からないが。
[一方で、思考を呟くのは癖である以上に冷静でないからかもしれなかった。
続く悲痛なコエに、声に、唇を引き結ぶ]
[七重姉とryouから飛び出す異なる名前。
kana、それが彼女の名前だったらしい。
でも今はどう見ても彼女と呼べない姿だけれども。]
一体何が…起こってるの?
[ryouの否定する言葉が悲痛に木魂する。
僕は少し混乱する頭を整理しようと、
三人の会話に*耳を傾けた*]
…確かに言われてはないけど。
いつもの格好でてっきりそう思ってたわ。
[見ても赤面はしないけれど、呆気にはとられた。
けれどすぐに気を取り直して]
……そんなこと話に来たんじゃないわ。
アタシは終わらせに来たの。
貴方が最後の人狼なら……解ってるわよね?
[嗤う奏を見据え、言い放つ]
[涼の声にゆっくりと顔を向ける。そして、悲しそうな顔を浮かべると]
……そ、そんな。赤猫さん、ボクたち、友達だよ、ね。
…………ぷふ、ぷくくくく……
[だが、その言葉も直後の嘲り哂いで台無し。
いや、むしろそれを愉しんでいるというのが正解か。]
『HALは俺だ』って言ってるだろ?
ちなみに、お前の言う『HAL』だったら……
[そう言うと胸をトントンと親指で突付き、]
ここでおねんねしてるぜぇ。
[悲しそうな顔に一瞬どきりとし]
HAL…私…、
[すぐにもらした嘲り笑いにそれはすべての感情が怒りに]
私と仲間のHALは…違う……
貴方がHALをかえさないなら……。
[搾り出す声は感情を抑えるように、
けれどもお嬢様の仮面はかぶらない自分の言葉で。
銀製のナイフを握る手に*力がこもる*]
だろぉ? そっちが勝手に勘違いしてんだからなぁ。
[楽しそうにそう返していたが、気を取り直した言葉にニヤリと笑うと、]
ああ、そうだなぁ。
俺があんたかそこの金髪殺せば俺たちの勝利で終了だよなぁ!?
[不敵な面構えでそう言うと、バッと手を広げる。]
…。
[腕の中で現を見続ける瑠衣に視線を向けた。
七重の名前を呼び、押し黙る瑠衣が、何を考えているのか手に取るように分かる。
七重の為に、生者の為に。
祈りを捧げているんだろうなと。
それはとても、綺麗なもののように思えた。
視線が再び現へと戻る。
狂気の色が、薄暗いその場所にとても美しく映えていた。]
[涼の反応を愉しげに見ていたが、抜かれるナイフにハッと鼻で哂い、]
かえす? かえす、ねぇ。
……これの持ち主は本来俺で、奏はその隠れ蓑なんだがなぁ。
だから、まあ……
……てめぇに指図される覚えはねぇわな。
[その目はスッと細められ、漆黒よりも冥い瞳が涼を見据える。]
そんなこと、させると思ってるの?
京は殺させない、アタシも死ぬ気はない。
ここで自ら命を差し出しても、アタシがしたことは赦されはしないだろうし。
全員が生き延びる術があれば良かったけど……そうもいかないみたいだから。
だから、アタシが取る手段はただ一つ。
……貴方を、殺す。
[目端を鋭くして奏を見据えた。
どれだけ立ち回れるかは判らなかったけれど。
これ以上の悲劇を生み出さないためにも、後には*引けない*]
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