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―宿―
[椅子に座ってぼんやりとしている間に、紅茶を運んできた少年には、小さな声で礼を言う。
彼が年の近い少女の元へ行くのを、何気なく眺めやり]
あの子たち、も……
[容疑者に含まれる、ということ。
確かにこの場には若い者が多いし、年配者よりは力はあるだろうが。
普通の殺人事件ならば、何かの間違いだと思うだろう]
人狼、……。
[尤も人外の仕業だとしても、そう見えないのは変わらないけれど。
紅茶に目を落とし、沈黙する]
…これ、は。
怒られる、かな。
[腕の止血はしたのだが、前腕の内側を切った為に巻いた包帯が目立ってしまって。
服の下に隠そうと、長袖に着替えた。
銀の短剣も鞘に収めるとそれごとスカートの下に隠し、宿に向かおうと思ったが。]
…言って。
信じてもらえる、だろうか。
[信じてもらえなかったら、かえってアーベルを危険に晒すことになるんじゃないか。
信じられたとしても、彼が狼に狙われるんじゃないか。
そう、今更に怖くなった。]
― 宿 ―
うん。また後で。
[洗濯女>>13に手を振った。
仕事は休むとしても、ここに来るなら手伝ってもらえるかななんて現金なことを考えていたくらいだった]
ちゃんと空けてありますよ。
前に避難してきた時とおんなじ角部屋。
[学者>>15の呼びかけには二階の部屋を指差した。
避難してきたとはどういうことか。修道士の嫌な記憶を掘り起こしてしまったかもしれない]
─ 宿 ─
[そう考えながらも、胸中は至極複雑だった。
殺したくない者は当然いるが。
人を殺す事自体は慣れもある、割り切れもする。
ただ、人狼という存在には因縁めいた物があり。
また人狼かよ、という思いは否めない。
人狼と関わりがあったために、傭兵を辞めた。
なんてことは、恩人にも友人にも話してはいないが。]
ひとまず、アーベルに聞いてみるか。
[悩んで浮かんだのは、当人に相談するという選択肢。
アーベルが自分を疑うなどは思いもしていなかった。
万一疑われたとしても、アーベルが無事なら別に良いと思ってもいた。]
― 宿 ―
[思考に耽っていた為に、クロエが立ち去るのに気づくのは一瞬遅れて見送る事になる。が、そのおかげで現実に引き戻された視界が、>>19フォルカーの言葉を拾って、至極嫌そうな顔をした。
思い出したくない、そう顔が語っている。
自然、微妙な視線が友人に刺さるが避けられたかもしれない。]
―翌朝・自宅前―
[先日は結局棚の上の彫像の整理とか、片付けやらに追われて父親の手紙を読むのは遅れていた。
父親の手紙読むのより、イレーネに仕入れてもらった本読むほうが優先してたりしてたのはここだけの話。
目を覚ますのは早朝、皆が普通起きるのよりも早いといえる時間。
家の外に父親に幼少時から教わってきた型をなぞりゆっくりと構えをとっていく。
こんなときでも日々欠かさない鍛錬の証拠がその構えや体つきに現れているが、着やせすることと鍛錬を行うのが早朝なのもあって普段目立つことはない。
ゲルダを呼びに来た自衛団員はその前に自分のところにきて、それはちょうど鍛錬を終えるときのこと]
はーい、こんな朝っぱらからどうしたの?
[告げられた言葉に少し複雑な表情を一瞬見せてから、その様子に気付いたのか不審な目では見られた]
うん、とりあえず宿に集まればいいんだね。
身支度整えたら行くから。
[さらに素直に従う様子にはもうちょっとばかり探るような目線を受けて]
何?僕の顔に何かついてるかな?
呼ばれてるんだから従うのは当たり前でしょ?
[珍しくちょっとばかり意地の悪い言葉をかけたのは、それいじょう探られるのを避けるためのこと。
面倒事とか以前に、このシチュエーションに昔父親から散々聞いた話が脳裏をよぎっていた]
その様子だとほかの人も呼びにいかないといけないんじゃないかな?
[そう促すように言えば少し不服そうにしながらも自分の前から去ろうとして]
あ、すぐに分かることかもしれないけど他に誰呼ばれてるの?
[行くように促した矢先に呼び止められて、自衛団員のさらに不服そうな様子はましていたけれども答えはもらえてその中に幼馴染の名前もあがっていた]
ゲルダも、か。
うん、ありがとう、ごめんね呼び止めて。
[ちょっと困った様子を見せてから、それでも礼の言葉と謝罪の言葉を重ねれば幾分か向こうも落ち着いた様子でゲルダを呼びに行ったことだろう]
―→宿屋―
[水浴びと、軽くの身支度を終えてから、普段は身に着けないペンダント、それを持っているのを知っているのはゲルダくらいかもしれない。それを手にしてしばらくそれを見た後に首から提げた。
父親が家を出て行くときに自分に渡していったもの。短剣の形を模したシルバーアクセサリー。
宿屋に向かうのは幼馴染とちょうど別のタイミングとなっていたため顔を合わせるのは宿についてからのこと]
ふぅん…
[宿屋につくのは最後の方になっただろうか、少なくともゲルダはすでにそこにいて、程なくして話される言葉。
それとはなく周りの様子とか伺うようにしながら幼馴染のほうを心配するように見ていた。
なので胸元に手を当てる様子にも気付き、ショックなのだろうかとそのときは思っていた。自分も知らず胸元のペンダントを弄ってしまっていたのはつられてのことかもしれない。
そして慣例の話などは自分にとっては聞くまでもなく憶えていること。なにぶん父親がいやというほど熱く語ってくれていたこと。
ちょっとばかりげんなりした様子を見せたが、それは今の状況もあれば別段不自然ではなかったことだろう]
―→宿屋の外―
[ゲルダが詰め所に行くのについていこうと思ったが、ちょうど自分を呼びにきた自衛団員に話しかけられて結局その姿を黙って見送ることになった。
話があるとそのまま自衛団員につれられて宿の外に]
えっと?なにかな?
[人目を避けるということは何か内緒の話、それは自分を連れて行ったのを知る皆にも伝わったことだろう。
聞かれたのは人狼のこと知ってたのかということ]
耳にたこができるほど父さんから聞かされた内容だからね。
[暗に色々知ってますということだけは伝えながら]
大丈夫だよ、僕が知ってるのは悪い意味じゃない。
それ以上は言わなくても理解してくれるよね?
[相手がどこまで知っているのかは知らないが、大人しくはその場は引き下がってもらえることになった]
─ 自宅→ ─
[幼馴染と話そうと思いはしたものの、今彼がどこにいるかはわかるわけもなく。
心当たりを回って、それでも見つからなかったら宿に向かおうと思いながら家を出た。]
― 宿・食堂→厨房 ―
ここで食事する人も増えるかな。
[薬師>>7の提案を思い出して、紅茶を飲み終わると空いた分のカップを下げながら厨房に入った]
父さん?
[こちらを振り返った父親は厳しい顔で食事を作っていた。
その合間に、一切の手出し口出しをしないと約束させられたことを教えてくれた]
……うん。分かった。
[父親も既に人狼がいることを前提で動いているのを知って俯いた。
俯いたまま支度を手伝って、要望があれば食事を出せるように準備した]
―宿屋の外→―
[宿に戻るよりはゲルダを探しに行こうかと思いそのまま宿を後にした]
まだ詰め所いるかな?
[とりあえずそっちのほうか自宅に向かってみるかと、村の中を歩き出せば詰め所に着く前にゲルダにあうことはできただろうか?]
─ 村の通り ─
[まずはと、幼馴染の家に向かい戸を叩いたけれど返事はなく。
次に向かったのは、詰め所の方向。
出ていったまま宿に戻らない自分を心配して向かっているのではないか、と思い歩いていって。
アーベルの姿を見つけたのは、詰め所にほど近くのところだったろう。
幼馴染の顔をみれば、安堵して表情が和らいで。]
アーベル。
[名を呼び、半ば駆け寄るように早足になった。]
―村の中―
[いくらも歩かないうちに探している姿を見つけて、内心で少し安堵のため息を吐きながら]
ゲルダ、大丈夫だった?
[その表情の変化に一度目を引かれたが、それよりももっと目を引くものが駆け寄る姿に見えた]
あれ?着替えた?
[宿を出て行くときと違い長袖になっているに気付くと何かあったのだろうと思った]
― 宿 ―
[イレーネとは少し会話した後に別れ。
さてどうするかと思っていたら、厨房から良い匂いが届いた。
そういえば昨日から殆どものを食べていない。
自炊が主だが空腹に負け、厨房近辺を動いていたフォルカーに近付くと、食事を頼んだ。]
― 宿 ―
はい。今持ってくるよ。
[今日のメニューは鶏肉の甘酢煮込み。
加工師のアドバイスが生かされたかスタンダードな味に纏められたのに、焼きたてのライ麦パンを添えて修道士>>33に出した。
他にも希望があれば同じものを出すだろう。好き嫌いがあるなら、ちょっと覚悟してもらって父親の即席の何かを運んでくる]
みんな、普通に食事してるよね。
さっきもクッキー食べたりしてたし。
[人を食らうというのも実感がない。
それが分かるようになるのは、もう少しだけ先のことだった]
ふぅん…
[落ち着きない様子は感じていたが隠そうとすることをわざわざ掘り下げるのも悪いとも思いそれ以上追求はしなかった]
いいけど、今日はずいぶんと呼ばれる日かな。
[ぽつりと呟きながら人気の無いほうへと連れられていった。
変に意識とかをすることがないのはある種慣れのようなものもあったからのこと]
[追求されなかったから、動揺は気付かれなかったと安堵して。
腕を引っ張って連れてきた先、誰もいないのを確認してから幼馴染に向き直り。]
アーベル。
アーベルは人だと、皆に言って良いだろうか。
[幼馴染を見上げ、問う言葉は端的だった。
片手は幼馴染の腕をつかんだまま、もう一方は服の下に隠した鏡を握りしめて。
もしかしたら、母は幼馴染にその鏡のことは伝えていたかもしれないがそれは女の知らぬことだった。]
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