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─図書館─
[入るなり、予約カウンターへ行く。]
すまんが、ちょっと特殊な予約を頼まれてくれ。
学者っぽい兄ちゃんか髪の長い旅人のお嬢ちゃん、でなきゃ赤毛の兄ちゃんがここに来る。
そいつに、俺の予約した本を手渡して欲しい。
他の奴には渡すなよ。頼むから。
[このうち何人かは、敵ではないと思う。
それならば、『伝言』も無駄にならないはず。]
予約用の帳面貸してくれ。
自分で書き込む。
[司書から帳面を借り、予約を書き込む。
本のタイトルは『アクロイド殺し』]
さて、と。
事務所に戻りますか。
んじゃ、よろしく頼むな。
[ふらりと図書館を出て、事務所に*戻る。*]
─図書館→自宅兼事務所─
[イレーネが出て来たのに、ますますうれしそうにします。]
花は綺麗だね。
ただ咲いて、ただ散ってゆくから、
尚更に綺麗なのだと思うよ。
[言われて、頭上を仰ぎ見る。
少しの風にも、はらはらと花びらが散るのが見えた。
ベアトリーチェの髪についた、花びらを取ってやる。]
…うん、綺麗。
尚更に綺麗だけれど…少し、悲しい。
散りたくはないだろうに。
うん、そうだね。
[お日さまを映した金いろの髪も風に揺れて、触れる手に緑の眼を柔かく細めました。]
でも、咲いて、散ることに存在する意味があるのだと思う。
もし、散らないのなら、咲く以外の意味があるのかもしれないね。
[ベアトリーチェみたいに。そう紡ぐ言葉は、まるで謎かけでした。]
―昨夜、遺跡から戻って・Kirschbaum―
[夜の遺跡で。ブリジットが大丈夫と言うと直ぐに結界を解き、辺りで夜通しの捜索を続けていた(のちにKirschbaumで、彼らが何を捜していたのかを知ることになる)自警団員に見咎められることなく街へ戻った。そのまま何故かやはり、ここ数日の通りにKirschbaumへ向かい、アイスティーを頼む。
店内には既に何人かの姿があり、興味深い事を話す者も居た。]
共犯、か。面白い事を考えるのだな。
[人間は――と続けようとして、止めた。]
ブリジット、解ったのか分からないのか…。
[それ以上何か言うのも、止めた。]
[船をこぐダーヴィッドを一瞥し]
[代金を払って、宿へ戻る。]
[広くはない宿の一室で、夜が明けるのを待つ。
冷やされた空気が、床の辺りで静かに伏せていた。]
[少しの間を置いて、ベアトリーチェは自分の小さなてのひらに眼を落します。花びらが一枚、そこに乗りました。]
ベアトリーチェは、もっと小さい頃に、
死んでしまうはずだったんだそうだ。
けれども今、天のめぐみのおかげで、
ベアトリーチェはこうして生きている。
[はらり、欠片は地面へと落ちてゆきます。]
それにはきっと、なにか意味があると思うんだ。
ベアトリーチェは、生きる意味を捜しているんだ。
…意味を考えたことはない。
でも、貴方の生命の白い炎はとても綺麗。
[か細いけれど、と言い足してふわりと身を翻し、そのまま外へと*出て行った*]
[ぱちぱち、きょとり。イレーネは不思議な言葉を残して去ってゆきます。
はらはら、ひらり。ベアトリーチェは舞う花びらを*眺めておりました。*]
−現在・工房−
[あれから、ほとんど言葉を交わすことなく工房へと帰った。
お腹の上に文字通り満腹の千花を乗せ、ぼんやりと考える。
この町に来た時の事。
短くも穏やかだった3年という時間。
そして――無邪気に「一生遊んで暮らせるお宝」だと口にしていたらしい、疾風の彼。
【自由】を司り、変化を恐れない、人の青年――]
うん、確かめないと、ね。
違ってたら…いい、な…
「チ…」
[苦手であっても、嫌いなわけではない。
なんだかんだいって、千花におまけしてくれたりしていたからだけではない、とアマンダは思う。
そんなこんなで、夜は明けた]
―Kirschbaum・夜―
[途中から黙り込んで、周囲の話に耳を傾ける。
挙げられた名は全て、人。人の身故に、書を求める可能性は捨てきれない……が]
……考えれば考えるだけ、泥沼だな。
[呟いて、ふと周囲を見回せば、転寝をする若竜が目に入り]
……だから、君は無防備に過ぎると……。
[ため息をついていると、小さく名を呟く声が聞こえた。
それと、やや険しい視線。
それがどこから向けられているかに気付いて戸惑うも、今はそれを追及する気にはなれず。
場にいる面々に挨拶をして、3階の部屋へと戻った]
[部屋に戻っても、すぐには休まず。
窓を開け、空を見上げる]
書のもたらす、終焉。
俺は……いくつ、視たんだっけかな……。
[かすれた呟き。
不安げに視線を向ける相棒に、心配するな、と笑いかけてから、窓を閉め。
*やがて訪れる眠りの淵に、沈み込む*]
−→北東の森−
[アマンダは目覚めた千花を左肩に乗せ、食料を手に朝焼けの森を目指す。隠匿の為の食料を土に還すことは簡単だけど、せっかくの恵みは森へと還したいから。
ついでに千花に運動させようと言う目的も、無きにあらず]
…ん、緑の匂いが…濃いね。
ティルが…居てた?
[葉と土の間の大地を踏みつつ、ゆっくりと歩く。
千花は重たげながらも、短い距離を滑空しながら、先を行く]
―朝/Kirschbaum―
[...はソファーの上で目を覚ます。
うつらうつら作戦会議の話し合いを聞いていた記憶があるが、いつソファーに移動したかまでは覚えておらず]
あれ……は、な?
[寝ぼけた声でぼんやり呟く]
[開いた窓からひらひらと舞い込む桜の花びらたち]
―再び北通り―
[遺跡へと続く北通りは、今日も冒険者で賑わっている。
昨夜、ブリジットと遺跡へ行ったおりに感じたものは、未だ不安定に揺らぎ続ける場と、揺れだけでなく、引き寄せられる感覚。引き込もうとする力。
――何処へ向かって?]
[書を失ったことに関わりがあるのか、結界が破られたことによる反動か。]
[奪われたものを取り戻そうとしているのか。]
それとも―――
[略奪者の、意図か。]
[なんであれ、あの遺跡にはまだ何かが存在している事は間違いないだろう。]
[ベアトリーチェと別れ、そのままふらりと散歩に出た。
あぁ、西の通りでお年寄りの焔が今にも消えそう。
その少し南の方には、新しい生命が誕生する。
神経を研ぎ澄まし、町中の生命を感じながら、ゆったりと散歩をする。
自然と足は、北東の森と墓場の方へと向かっていた。]
→北東の森・墓場へ
[アマンダは所々で立ち止まり、幾つかの果物を残していく。
前と同じ場所には置かない。餌付けしているわけではないから。
森の入り口に戻る頃には荷も無くなり、千花のお腹もそれなりに?]
さて、図書館に、行こ…あ。…忘れてた。
[アマンダはやってくる人影に瞬いて、代金未払いを思い出す]
[ユリアンの手のひらの薄紅の欠けらが再び風に舞い、ふんわりと窓から飛び出していった]
[しばらくぼうっとしていたが、ハインリヒの伝言を聞いて、事務所に向かう]
[ただなんとなくその前に、桜がとても見たくなって、西の外れまで行き、桜の木の上に登って*ぼんやり*]
[静かな風に髪を撫でさせていると、森の入り口あたりに見覚えのある一人と一匹の影が見えた。]
こんにちは。
[相変わらずの無表情で挨拶をする。
アマンダはちょっと前に見た時よりも、幾分か元気そうに見えた。]
―北通り―
広場で。変な感じ。
………それだけで分かるのは犯人くらいしか居るまい。
[冒険者向けの酒場、通りに面したテラス席で、往来を眺めながら思索に耽る。
夜ともなれば屈強な酔漢と野卑な笑い声、冒険談が溢れる酒場だが、昼は精々が喫茶店の趣だ。]
[アイスティーのグラスの中、ストローで押して四つ切りのレモンを沈めた。氷が押し上げられた。]
…同じような気配が遺跡の何処かに。
手掛かりになるようで、全くならん。
全く…。
「チッ」
[千花はイレーネの姿を見て、定位置を離れ飛んで行く。
アマンダは照れくさそうな気まずそうな曖昧さで手を上げて挨拶]
や、どうも。
ごめんね、代金。忘れてた。
[懐の財布から、銀貨を幾つか取り出して、渡そうとする]
[銀貨を見て、首を振った。]
コレは、爺が纏めて集金に行くから。大丈夫。
[千花にそっと手を伸ばそうとする、が。]
…?焔が。
[首を軽く捻って伸ばしかけた手を一瞬止める。
が、再び手を伸ばしてみる。]
[千花は上手に着地して、伸ばされる手を円らな目で見る。
逃げようとはしない。けれど、生物としての命の焔は無い。
あるのは精霊としての純粋な力。
それは、首輪の透明なとんぼ玉に封じられた小さな欠片達と、腹部の袋の中の一際大きな何か。
それはアマンダの首飾りの玉の中の欠片と、同じ存在(モノ)]
ううん、持ってて?
渡せるか…わからない、から。
焔?
[アマンダは曖昧な笑顔で、銀貨を渡そうとする。
その手の先、千花を見て、イレーネを見て…ただ瞬くのみ]
[詰め所が近いこともあってか、自警団員が何度も目の前を通り過ぎていった。自警団の長は未だ行方が知れないらしい。]
放蕩者では無いようだから、巻き込まれた可能性があるのか。
その人間も。
[書が奪われるより前、イレーネと遺跡で会ったときにはそこに大勢の自警団員が居た。その中へ、件の団長も居たのだろうか。]
[氷が崩れ、グラスに当たる。]
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