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別に、世界を滅ぼすだとか、そんなことは考えちゃないよ?
出来るとも思えないし、自殺願望ないしさ。
だから。
虹の天使を渡してくれたら、さっさと消えるんだけど――な。
[駄目かな、と首を傾げる。
一人を捕えたばかりでは妖精の王も力を揮えないか、現れる気配はなかった]
く、悔しい……。
[けれど言い返せないのは、それなりに思い当たることがあるからで。
言葉の代わりに猫の尻尾を引っ張って気を晴らすことにしてみた。]
でも、でも、あたしとウェーバーさんがぶつからないように助けてくれたし、気絶したアンタを運んだのはエーリヒさんなんだから!
芋虫達にも注意、してたし……。
[宝を探す、彼の本当の目的は何なのだろう。
首を傾げエーリッヒを見た。]
在るべきものは、在るべき場所……に?
[言葉を小さく繰り返し。
霧が離れたなら、ほっとしたよに息を吐いて、立ち上がる。
アーベルの言葉には、気にしないで、と笑って見せた]
……それが、嫌い。
[もう一度だけ呟く。
それ以上の声は返らない。
白い霧が濃さを増す。
人の姿をした彼はその向こうに、溶け込むようにして*失せた*]
[青年から半眼で睨まれる猫妖精からのジト目を受けて、うっと再び言葉に詰まる。
とりあえず、職人見習いの青年をジト目で見てみた。なんとなく。]
みゅ?
おいらは、猫妖精の国に虹の天使を持って帰るつもりだったにゃ。
綺麗な宝物を持って帰ったら、猫妖精王に大人にしてもらえるにゃ。
[理由があるのかという問いには、悪びれもせず]
極悪人と一緒に探して、願いを叶えてやってから、くすねようと思ってたのににゃあ。
あいつが気短かだからいけないにゃ。
……そんな事、冗談でも願うなんていわれたら。
ボク、全封印叩き破ってでも、成敗しますよ?
[半眼になって、物騒な言葉をぽつり]
渡してくれれば消える、って言われても。
それで、はいそうですか、って頷くのは、できないですよ?
[そも、どこにあるかわかってない者の方が多いのだから]
[ミリィが笑ってくれたので、にこりと笑い返して。]
んん、ヨハナおばあちゃんも大丈夫だね。よかった。
エーリ君が何で嫌ってるのか、わかんないな。
ちゃんと理由も教えてくれれば良いのにね。
[いなくなってしまった向こう側を見て、ぼんやり呟いた。]
ふみゃっ!
[少女に尻尾を引っ張られて、思わず飛び上がる]
お前も、乱暴もの、にゃ〜〜〜〜
[そのまま、ふにゃりと、その場に崩れてしまう。どうやら弱点だったらしい**]
て、あららぁ……。
[霧に消えていく姿に、ため息一つ]
ほんとに、もう……。
困ったひとですねぇ……。
[呟きの後、出たのは小さなくしゃみ。
どうやら、冷気に当てられたらしい]
うう……ちょっと、あったまって行った方が、良さそうです。
[湿った紅の髪を軽く摘んで、ため息一つ]
[そんなことを呟けば、霧に紛れる金髪の青年に心配そうに視線を向けた。
その姿が見えなくなると、何かに耳をすますように*沈黙する*。]
……そうですねぇ。
ちゃんと、理由も言ってくれればいいのに。
[アーベルの言葉に、こくん、と頷く。
白の鳥も同意らしく、くるる、と*短く鳴いた*]
うん、あったまったほうがいいね。
ここ、温泉だし。
ヨハナおばあちゃんも、もう一度入ったら良いと思うよ。
おれは、ピアス取りにいこう。
一個だとこころもとないからね。
あと、シチュー作るから。
ええと、材料ヨハナおばあちゃんから貰ってもいい?
[リクエストだったよね、と笑った]
あれだよ、エーリ君はシャイだから、言えなかったにちがいないよ。
[にこりと笑って]
でも聞きたいけどね。
ねえ鳥さん、やっぱり鳥さんも……ん、なんでもない。
いってくるね。
あとで、来ると良いよ。
小屋でちゃんと、あったかいもの作ってるから**
[しかしこのじと目のループは何だろう。
なんて考えつつ、動けずにいたりしたが。
猫妖精の叫びに均衡が崩れて、漸く息を吐く]
…碌な奴がいない。
[猫妖精の返答も含めての感想か、霧の中に消える姿に不機嫌そうに呟いた後。
小瓶を取り出し、蓋を開けた。
妖精さんがやや警戒しながら出て来るのを見届けてから、瓶をしまう。
瓶ごと捨てなかったのはやっぱり最後の良心かも知れない。
後はもう知らないとばかりに*背を向けた*]
[像を見つけたら消えるなどと言うエーリッヒに物申したい事は山ほど合ったが、腰の痛みに声も出ない。睨むように唸っているばかり。
やがて指の鳴る高い音と共にようやく重みが遠のいて、婆は大きく息を吐いた。荒くなった呼吸を繰り返し、白い霧に紛れ消えて行く姿を皺に囲まれた目で睨む]
……ったく、あの馬鹿坊がァ。
守護妖精さんが村にくれたもんを勝手に持ってく何ざ、泥棒以外の何者でも無いさね。林檎の森番さんが耳にしてたら何と言うかねェ…いででで。
[既に居ない青年へ文句を言いながら上体を起こし、痛みに腰を抑えて蹲る。ミリィとアーベルとの間で交わされる言葉に否やはなく、ミリィの手を借りながら湯治再び*]
あァ、窓の鍵は開けてあるから材料は勝手に持ってお行き。
ツィムトが何か言うかもしれないが、これを渡しゃ大人しくなるさね。
―― 村の丘 ――
[風がそよぐ。
小高いその場所からは、村の光景がよく見えた。
事件に関わりのない人々に取っては、崖崩れによる不安と被害はあれど、いつもとそう変わりのない日々を送っているようだった。
視線を水平に戻す。
静かに佇む、冷たい石の並んだ墓地がある。
地域によっては妖精は死者の魂の成れの果てであるともいうが、生憎とここにはいないらしい]
[悪戯ものたちからの報告は、芳しくない。
元々、然程期待していたわけではなかったが。
気の短いかれらはそろそろ捜すのに厭きて、森に留まらず、騒ぎたがる頃。親の脅しが真実と、子供たちは知るのだろう。あるいは、親自身も]
お伽噺は作り物語だから夢があるんだけど、ねえ。
[楽しいことと、少女に嘯いたときの様子はそこにはない。
ぱらつく金の髪を掻きあげる]
―自宅―
[夕食は森番小屋で取り、残りのシチューは駄賃に置いて来た。
まだ痛む腰を宥めながら菓子を作っていく]
まったく肝心な時に姿見せないんだからねェ、妖精王は。
匂いに釣られて出てくりゃいいんじゃが。
[揚げたパンに詰めていくのはリディに貰った卵で作ったカスタード、栗の渋皮煮を砕いて入れたマロンクリーム、そして林檎の残りで作った今年初めての蜂蜜入りの林檎ジャム]
…ついでに辛子入りも一個作っとくかねェ。
[ふと思い立って悪戯としての定番も一個作り、二つの籠と一つの紙袋に入れて家を出る。薄茶猫も婆のいつもより遅い歩みをのったりと追っていく]
[束の間落とした視線は、墓石に刻まれた文字をなぞる。
今よりは昔、村の歴史に比べればそう遠くない過去。彼方の地から賜ったという樹に肖った姓、祖父とは異なる名。
手を開き砕けた緑を散らすと、色のない石に輝きが残った**]
―丘―
[先立った昔馴染み達の墓を横目に見ながら、林檎の森番と呼ぶエーリッヒの祖父の墓の前まで歩く。いつもより前屈みで歩いていた為に気付かなかったが、墓前には先客があった。
足を止めた婆の籠から、風が甘い香りを攫っていく]
…墓参りかい、坊。
[皺だらけの顔に苦い笑みを浮かべて、墓石に刻まれた名に皺だらけの顔の中で唯一昔と変わらない青い目を向けた。
ゆっくりと歩み寄り、散らされた輝きの上に紙袋に詰めた4種類のベルリーナーを墓前に供える。紙袋の表面には『一番手前は辛子』と薄く走り書きされた人間の文字]
残されたもんも寂しいが、残してったもんも心配じゃよなァ。
どうせまた食べとらんじゃろし、お前さんからやるといいさね。
悪戯もん避けのもついでに食べさせてしまえばいいさァ。
―小屋―
[昨夜はちゃんとシチューを食べた。]
[今朝も残りを食べて、それでもまだ残ったものには、メモに書いてはりつけた。]
エーリ君は食べることっと。
よし、これで問題ない。
だいたい食事も食べないでいるとか、いくら妖精でも駄目だよね。うん、駄目。
それにしても――なんでエーリ君は嫌がるんだろう。
[メモとペンを見て、不思議そうな顔。]
使い方も、使うときも、間違えていないんだけどな。
……ピアスなくても、おれのものなら、あげるものはあるし。
……そんなとこ。
[距離は置くも、逃げはしない。
ヨハナの眼差しの向く先を追って、目を細めた。次第に深まる秋の風は冷たいけれど、鼻腔を擽る甘い香りは何処か懐かしくてあたたかい。
愚痴は聞いているのかいないのか、細く息を吐いた]
人は儚いよね。
妖精とは違う。わかっちゃいたけど。
ヨハナだって少し前はこんなに小さかったと思ったのに。
[手のひらを腰の辺りでひらひらとさせる。
青年はが老婆に対してやるには、そぐわない仕草だった]
連れて来た癖に、先にいっちゃうしさ。
[昔と変わらない、彼女の青い瞳が映すのは、 Anneliese ―― 祖父の先代、林檎の樹を伝えたひとの名]
……じっちゃも、さ。
せっかく代わりになったのにね。
したくてしたんじゃないだろうなんて、わかってる。
[独りごちるように言う]
仕方ないよね。
[さて、彼女はなんと言ったろう。
供えられた紙袋を見る。手が少し動いたが、伸ばすことはなかった。
緑を青と交えることも、ない]
そんなこと言ったって、もう出来ないじゃんか。
[わらった。笑みと見えたかは知らないけれど。
じゃあ、と短い別れの挨拶を告げ、丘を駆けて下りる*]
んん、夕食はどうしよう。困ったな。
あんまりでる気がしないし……
あるやつ使っちゃっていいのかな、いいか。エーリ君おばかだし。
[なんてつぶやいて物をあさる]
[急なことだったから手持ちの石はなく、採取場所は崖崩れの所為で使えず。
取りに戻ったところで内には人の気配]
……家主いないのに使うか。
[許可を出したのは自分だが]
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