情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[跳ねた水滴を右手で拭いながら]
あなたから授かった『聖書』は…、やはり私には重すぎて――でも誰を頼ればいいか判らなくて…。結局私は無力だって――思い知らされる…。
[ぱしゃり――]
[再び水音を立てて左手を水面から差し出し、じっと見つめて――]
せめて成長が止まっていなければ…
今よりはもう少し楽に――あの『聖書』を扱えたはずなのに……
[少女は薄紅色の唇を強く噛みしめ――]
[滲み出た血液をそっと舌で掬い舐める――]
美味しくない…血なんて…。
こんなの…食事じゃないっ…
だから人狼の事なんて――解らなくていい…。
だから…答えなんて…要らない――
[交差するのは過去の記憶――
一命を取り留める代わりに与えられた問いかけに――
少女は…解き明かすことを拒絶して]
探さなきゃ…人狼を――
[弱さを流し落とすように勢いよく立ち上がり、少女は浴室を後にした――]
――浴室→*客室へ*――
――客室――
[一日振りに戻る自分宛に差し出された部屋はもう、既に少女のものでは無いような気がして。]
[さらり――]
[頬を掠める金糸を耳に掛けて――]
[少女は手際よく着替えをし、荷物から小さな何かを手に取り、『聖書』を抱えて――]
さよなら――
[離別の言葉は何に対してか――]
――客室→温室へ――
[久方振りの][夢の無い睡りから目醒めて]
[血と死の匂いで満ちた部屋で]
[ゆっくりと目を開ける。]
[茫漠とした眸は未だ夢の中に在る様で]
[暫く然うしてゆったりと]
[死した恋人達の居る寝台の上で]
[茫と視線を漂わせていたが]
[やがて、]
[其処から下り立ち。]
[引き裂いてしまった青年の服の襟を掻き合わせ]
[傷口を隠して][毛布を掛けた。]
[思い付いた様に]
[部屋に掛けられた鏡の前に立つと]
[血に染んだ口元を舐め取り][其処に在った布切れで丁寧に拭い]
[吸血の痕跡を消し去る。]
[部屋の中を捜して][見付けた青年の荷物の中から衣服を取り出すと]
[切り裂かれた服を脱ぎ捨て][其れを身に着ける。]
[然うして]
[すっかり身支度を整えると]
[ふらりと]
[部屋の外に出て行く]
――温室――
[以前訪れた時と同じように少女は花籠を携え、室内をゆっくりと歩く――]
[細く小さな指が選ぶのはフリージア。神を捨てた少女に、献花に選ばれる花など目に映らない。
やがて籠いっぱいに摘み取られた花びらに、黄スイセンが入り混じったのは、花言葉に込められた少女の願いか、今は誰も知る由も無く――]
[さらり――]
[揺れる金糸は、誘われるように舞い――]
さぁ、神父様の器にお別れをしなくてはね…
[少女は花籠の中に閉じ込めた『聖書』に一度だけ視線を落として――]
[ふわり――]
[花の匂いを漂わせて――]
――温室→屋敷内へ――
[偶然にも探し出した浴室で]
[浴槽には浸からず]
[タオルを濡らして身体を拭い][身を清める。]
[水気を拭き取り、]
[鏡に映った姿]
[鬱血の痕跡の残るだけとなった皮膚]
[塞がった傷痕の上に][もう一度包帯を巻いて行く。]
――屋敷内 廊下――
[屋敷内に足を踏み入れた花籠を携えた少女は、ふと、視界に加害の青年の後ろ姿を見つけ――]
[かさり――]
[花籠を胸に携え――]
[その後姿を追いかけて――]
こんにちは…。お兄さん。あなたは何処へ行くの?
良かったら…私もお供させてくださらないかしら?
[ふわり――]
[あどけない笑みを、青年に向けた――]
―回想―
[ 不意に青年の視線が一種幻想的な旋律を織り成す少女から現実へと続く扉へと移される。其の瞳が僅か震え何処か惑うかの如く揺らぎを持てば、碧の少女は其の様子に気付いたかモノクロームの鍵盤から顔を上げ色彩の在る世界を視界に収め、如何かしたのかと問い掛け来て、]
……ん、いや……一寸、外がな。
[下手な誤魔化しは今の彼女には拙いと感じたか、若干躊躇いつつも素直に返す。]
少し様子、見に行って来る。
[ 然う告げれば少女は演奏の手を止め自分も向かうと言い出すのに、明確に拒否する理由も浮かばずに――或いは置いていく方が危険だと判断したか――逡巡の後に頷けば途切れた音色は緩緩として夜闇に溶け込んでいく。]
[ 薄暗い室内の上に青年の位置からはピアノに隠れ見えなかったが、立ち上がったメイの纏う衣類の異なりを見留めハーヴェイは黒曜石を緩やかに瞬かせる。]
お前、其の服……?
[ 問うような声に相手は何と答えただろうか、唯其れには曖昧に返事をして、恐らくは似合うとでも云ったかもしれない。其れは何時かと同じ様に、然れど若干のぎこちなさを持って。然し其れも直ぐに普段の笑みへと変わっただろう。]
[ 二人が其処――やや離れた場所ではあるが――に辿り着いた時には丁度、嘗て少年であった躯が刃を振るう男へと抛られた瞬間で。妙に緩やかに其の光景は刻は流れ、然し何が在ったか認識し切れずに、幾度かの瞬きの後には、倒れ伏した青髪の男の胸からは緋色が零れ仄甘い馨りが青年の鼻腔を擽るか。
薄い口唇が笑みを象りかけるも其れも一時で、ハッと気付いたように傍らの少女を見遣る。然れど、
「――どうか、した?」
向けられた視線にもメイは至極普通の、否、此の場においては却って異常な様相で緩慢に首を傾ける。驚いてはいるものの、其処に昨晩迄の動揺は見られない。次第に降り積もる、疑念。其れでいて、此れ以上触れては脆くも崩れ去ってしまいそうな、……或いは既に。]
[ 軈て少年の躯も死を間近にした男も睡りの地へと運ばれ、二人の少女も其の場を立ち去り、館内は何事も無かったかの如くに静寂が訪れる。異なるのは其の場に残る僅かな香りと緋色の痕か。
少女の薄紫は茫洋として其れを眺めていたろうか、声を掛ければ現実から薄布一枚隔てた世界に居るかの如き遠さを感じさせながらも、矢張り平然としてもう夜も遅いからと云って部屋へと戻っていく。死者の姿を視、声を聴いたとて、現在の彼女の様相は変わらないのかもしれない。
然うして後に残されるのは、青年一人で。]
……何、なんだよ……?
[ 妙な喪失感と苛立ちに近い、人としての感情。拳を固く握り唇を噛み締める。
然れど獣の時間は訪れれば其の黒曜石の双眸には冷艶なる月の光が宿り、*生を求めて駆けるのだろう。*]
[問い掛けられれば、にこりと微笑み――]
えぇ、ウェンディと申しますわ?
お兄さん――?
それとも――…?
[くすり――]
[零れた笑みは意味深な言葉を含みながら――]
生まれながらに獣である獣。
人として育ち、人の心もつ獣。
人を捨て、獣へと堕ちることを望む者。
人でも獣でもなく、そのいずれにも入れぬもの。
[ただ、詠うように低い声は朗々と。]
未だ名前を名乗って居なかった。
他の人からもう聞いて知って居るかも知れないが、
俺の名はギルバート。
[淡々と][唇には刷毛で掃いた様な]
[薄い笑みを浮かべ]
ギルバートさん…ね。初めて聞きましたわ、貴方のお名前。
もっとも――
[彼の手に握らされた花びらを見て、少女は薄く微笑み――]
私には貴方の名前を知る必要なんて、無いんでしょうけども――
[ころころと笑い声は木霊して――]
[不思議そうに花を見つめるギルバートには]
その花は、今の私の心そのものです。
意味は――猜疑…
[ゆっくりと花弁に視線を注ぎながら…]
猜疑――
[ゆっくりと意味を噛み締める様に呟き]
つまり君は疑っているんだな?
其の罪状は何?
ローズマリーを殺した人狼だと思っているのか?
俺は記憶を無くしていたから、この館が如何いう状況なのか、君達が何者なのか、殆ど解かっていない。
この館の主が死んで人狼審問が始まった、と言う事だけしか。
[返ってきた言葉に、少女はすっと目を細め――]
簡単に言えばそうですわね…。
誰も疑いたくないという綺麗事は言っている暇がなくなりましたので…。
でも――
あなたの事は人狼とは…何故か思えないんですよね…。
何故なら…あなたは――
人として身を隠す人狼ならあまりにも…未熟すぎたから…
[ふっと緩めた口元から――]
[淡い微笑を零して――]
一つあなたに聞きたいことがあるんです。確かめたいというか――
あなたは…人の血液で――
飢えが満たされますか?
記憶が――…?
では尚更…人狼とは思えないのは何故でしょうね…。
[苦笑を漏らして――]
私はただの旅人ですよ…。この屋敷の主に用が有って立ち寄った――
付け加えるとしたら…二年前に今と同じような惨劇を体験しているということだけでしょうか?
[ふわり――]
[少女の金糸が揺れる――]
然う言えばあの異端審問官は如何した?
今日は一緒じゃあないのか。
彼奴も俺を疑っているのなら、良くもまあ一人で出歩くのを許したものだ。
黙って来たのか?
[ギルバートの表情に、少女は動じることなく――]
食事…だからですよ…。
私達人間が、家畜の肉を食べ食物で腹を満たすように――
人狼は――人間の血液で飢えが満ちると…
以前聞いたことがあるんです…。
人狼その者の人に――
[微笑みを浮かべて――]
[「二年前に今と同じような」と言う言葉に]
[ニッと][唇を歪め]
[自嘲じみた苦笑][微かな好奇の色]
……其れは奇遇だな。
俺も一度人狼審問を経験したよ。
尤も、極最近だが。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新