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あ……ナイフは、俺が抜く……
その、あとに……
ぐっと、ガーゼで……思いっきり、抑えろ。
[言って、ナイフの柄を両手で握る。僅かに抜くだけでも、悲鳴が上がりそうな痛み。
それならばと、男は一気に引き抜く。
紅が、散った。]
― 一階廊下 ―
[争う気配がその先から感じられる。
誰が何をしているのか確かめたいと思うのに
警鐘がなるのを感じて動けずにいた。
掛る声>>10に驚いて僅かに肩が揺れた。
先ほども聞いた声。
だから驚きの後に訪れるのは微かな安堵。
緩やかに振り返った娘の顔にはそれが笑みとなってカタチになる]
――…サーシャさん。
[名を呼び返す。
扉の向こうから感じていたのはきっと殺気のようなもの。
自分に向けられたものではないと思うのに
それに恐怖を感じていたから、思わず駆け寄りたくなる。
そっと案じて手を差し伸べてくれるその存在に縋りたくなる。
――駆け寄らずにいたのは、縋らずにいたのは
怪我を忘れて支えようとしてくれたサーシャの姿を覚えていたから]
[それがサーシャと言葉交わしたさいご]
[オリガが紡いでゆくはずだった物語の未来は]
[『鬼』により無残にも引き裂かれた]
[破られた頁] [散り散りになった紙片]
[はらりと舞って、それでおしまい**]
[望まぬ結末をオリガは拒絶する。
流した涙の意味も忘れてしまう。
深い深い眠りに誘われて、夢を見た。
幼い頃の夢だった。
クローゼットの中にたくさんの子供服があった。
オリガが袖を通したことのないそれは男の子用の服。
その頃には母は亡くなっていた。
けれど父に訊くのは何となく躊躇われて
幼いオリガはそれを祖母に訊ねた。
両親は男の子が欲しかったと知って
けれど同時にオリガの誕生を喜んでくれたことも知った。
どちらも伝えてくれた祖母にはとても感謝する。
そんな優しかった祖母がこの屋敷で白い靄となって
ずっと導いてくれていたのをオリガは知らず
懐かしい気配のみを感じていた]
[スカートしか履かない理由。
ふわふわ揺れるあの裾が好きなのだと
オリガは周囲に言って男物を身に着けようとはしなかった。
どうあがいても天から与えられた性別は変わらない。
変えられないからそれを受け入れて好きになろうと思った。
そうしないと不意に不安が過る。
どうして女として生まれてきたのだろうと。
両親の望んでいた存在であれるだろうか、と。
そんな不安は、決して一度も、口にはしなかった。
オリガとして生を受けたことを幸せだと信じられるように
周りにもそうみえるように在り続けていた]
― 大浴場 ―
[ゆっくりと目を開ける。
其処が何処なのかすぐにはわからなかった。
漂う朝靄のような湯気にここはお風呂なんだと思う。
顔をあげる。
オリガの姿は辛うじて少女と言えるかどうかの子供のなり。
隻眼から零れるその雫を見詰めながら
少女は不思議そうにしていたけれど
その人のかなしみが伝染したかのように胸が痛む。
子供の頃よくきていた白のワンピースの胸元をぎゅっと握りしめて
少女はへなりと眉尻を下げ泣きそうな顔をした]
― 大浴場 ―
[自分であったその亡骸を少女は認識しない。
私は此処にこうして居るから、
それを揺らがせる事象に心の目を塞いでいた]
どうしてないてるの?
[問い掛けて泣いているその人の涙拭おうと手を伸ばす]
どこかいたい?
けがしちゃったの?
ねぇ、……なかないで。
[声を掛け続ける。
けれどその人にはきこえないみたいで
私に気づいてくれる様子は全くなかった]
[こちらがかける力に応じるように、あちらも力をかけて来る。
刃が身を裂く感触。
慣れない──慣れたくない。
慣れたくないから、それを受けずに済むように、と様々なものを身に着けた。
体術、剣術、交渉術に、暗器の使い方。
幼い日々を過ごした孤児院を離れ、一人で生きると決めた青は、生きるためにと闇へ沈んだ。
その果てにたどり着いたこの場所で。
『鬼』の『役回り』を得たのは意図せずして。
けれど、『鬼』たるに相応しいと言える気質を備えていたのは、確かなこと。
生きるために他者を切り捨てる。
それを是とするに躊躇わぬもの。
必要とあれば、ヒトをも喰らう冷徹さは、確かに『鬼』とも言えるもので、けれど]
(……あー)
[コエが聞こえる。
名を呼んで、返事を求める、コエ]
(なんで、って言われても、なぁ)
[コエが問う。
なんでそんなこというの、と、問いかける]
(下手打った、としか言えねぇわ。
……ごめん)
[青を青のままに止め、『鬼』の紅に染めきらなかったものたちのコエ。
『鬼』となったが故に得たものは、同時に、ただの駒としての『鬼』となるのを阻む要素でもあった。
だから──と。
それに続く言葉は、決して、示すことはしなかった。
意識に響くコエの上でも、ヒトとして接する時にも]
─ 室内庭園 ─
[刹那、途切れた意識が再び、繋がる。
喰い込んでいた刃の冷たさも、それが齎していた熱さも、今は感じない。
確りと握りこんでいたはずの短剣の感触も、ない]
…………。
[どこかぼんやりとした瞳が周囲を見回し。
それから、一つの事象を認識した]
……仕留め損なっちまった、か。
ちぇ……あんだけ、カッコつけといてこれかよ……幾らなんでも、決まらなさすぎじゃね?
[生きるために堕とすと決めた男は生き。
そして、自分が死んだという事実。
目の前で交わされる、青年と男のやり取りをぼうと眺めつつ、青はため息混じりに吐き捨てた。**]
[ゆらりと、影は揺れる。惑うように]
…「あの子」は、生まれた時に名前を貰えなかった…
だから、僕にも…
[ゆらゆらと揺れながら、影は姿を薄れさせる。一瞬だけ、やせっぽちで、薄汚れた、傷だらけの小さな子供の姿が浮かんで]
名前は……無い………
[闇に溶けるように、その姿は消えた**]
─ 地下一階・武器庫 ─
[地下一階まで降りたのは、事が起きたのが室内庭園とは知らなかったからと。
己の身守る為、『ゲーム』に勝つ為の牙を早く強固にしたかったから。
武器庫の中に入ると暫し物色に時間を費やし、選んだのは]
使いやすそうなのは、これかな。
[腰に括りつけているナイフを3倍程大きくしたような小剣を手に、独りごちる。
そのまま幾度か振って、その重さと間合いを身に覚えさせてから腰に取り付けた鞘に収め。
もうこの場に用は無いと、踵を返した]
─ →一階・室内庭園 ─
─ 一階・室内庭園 ─
[武器庫から出て向かったのは、室内庭園。
青年が横たわるその場所に、ジラント達の姿は既に無く。
キリルやメーフィエがその場に居たならば、会釈位はしたが声はかけなかった。
誰がいてもいなくても、構わず青年の元へと近付いて]
ベルナルトさん。
[名を呼び、傍らに膝をつく。
その顔を見て、緩く細めた目を、伏せて]
借りにしておくと言っておいて。
…踏み倒していくのは、どうかと思いますよ。
[さらりと、金の髪を掬いあげて。
青年にしか見えないように顔を俯かせ、言葉を紡いだ後。
ふらりとした足取りで、この場を離れた]
[それから、どこへ行き何をしたか。
少なくとも、生きている誰かの部屋を訪ねることはせず。
食事を取りに行くことも、しなかった。
この屋敷に着いたばかりの時は確かに空腹を覚えていたのに。
今は、まったく食欲が湧かなくて。
リディヤの部屋、女主人の書斎と辿り、彼女達の亡骸に触れ。
最終的に足を止めるは、三階の展望室**]
─ 数時間前:一階/室内庭園 ─
[ジラント>>26から返る声は是を含み。
僕は彼がとびきりの獲物を仕留めたのだと改めて知る。
彼の指示通りに止血を手伝い、上がる絶叫>>28に思わず耳を塞ぎたくなった。
けれど目の前で弾け飛ぶ紅が目に入り、反射的に言われた通りにガーゼで傷口を強く押さえる。
問うた声に返されるままに押さえつけ、処置が終わった後に僕は深く長い息を吐いた]
終わり……ですよね。
うん。
[問いに返る声>>29に頷き返して、僕はジラントを支えて大広間へと連れて行った。
食事はついでに一緒に済ませる。
その後、彼が自室に戻る際にも手が必要なら、支えることもするだろう*]
― 自室 ―
ん……。
[男は深い眠りから目を覚ます。
いつもの様に身体を起こそうとして、ずきり、胸に走る痛み。]
―――っ!!
[再び伏せ、痛む箇所に視線を向ける。]
あー、ちくしょ。
こりゃ暫くは大人しくしとかねぇと、か……。
[血は止まっている様だが、激しい動きには耐えられないだろう。
顰めっ面をしつつ、今度はゆっくりと身体を起こして、煙草に手を伸ばす。]
[紫煙、深く吸い込み、吐き出した。
思い返すのはベルナルトとの戦い。
人を喰らうバケモノなのに、戦いぶりは人のそれと変わらなかった。]
なんなんだろな……鬼って……。
[ぽつり、零して。
嗤う。
小難しいことを考えたってどうにもならないとわかってるのに、と。]
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