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おそらく転送されただけですから、命に別状は無いでしょう
[ただ、転送された場所が安全である保障はないことは言うことが出来なかった]
気配は……。完全に感知の範囲外に突如消えてしまっているので難しいね
やっぱり一番確実なのは、鍵の書を見つけ出すことでしょうね
ありがと。
えっとね、内緒だよ?
[歩調を緩めてもらえたので横に並び、前置きしながら耳打ちする]
私はね、精霊なの。
こんな風に暮らすのは初めてだけどね。
[それからきょとんとして]
つんでれ、って何?
かぎのしょ。
[既にもう、なんべんか聞いたその言葉。世界が壊れる、と聞いても実感が湧かなかったのですが、ようやくベアトリーチェにも事の重大さがわかってきたようでした。ハインリヒも居なくなっているのを知ったのなら、それはますます強まるでしょうか。]
うん。
……わかった、探そう。
[いつになく真面目なかおで、ベアトリーチェは*云ったのでした。*]
そっか、精霊か……。
しかし、人間そっくりだな。もっと妖精みたいの想像してた。
[「これくらいのちんまいの」と両手の間隔で示し]
「ツンデレ」はな……ミハエルさんみたいな人のことを指すんだよ。詳しくは本人に聞いてみな。
[にやりと悪戯っ子の笑みを浮かべた]
そんなに小さくないよ。
それに生活するには人間の姿してないと変でしょう?
[この姿がそのまま本性ではないのだけれど]
ふーん?
わかった、後で聞いてみるね。
[にやりとした笑みには首を傾げつつも、素直にそう答えて。
やがてKirschbaumに二人で入っていく*だろう*]
[...はブリジットと二人Kirschbaumに戻ったら、
巨大チョコパフェを頼むでしょう。
それを時間をかけて突っつきながら、
マスターや集まった面々の話を*いろいろ聞くことになるでしょう*]
そうだね。早く鍵の書を見つけ出して、ギュンターさんと楽士さんを見つけ出そう
[そう言うとベアの頭を*ぽんぽんなでなで*]
―昨夜/→Kirschbaum―
[Kirschbaumに戻ると、右腕のないことにすぐに気付かれたろうか。
苗床はそれを気にすることなく、影の王にたべるものを願う。
その腕について問われたならば、
「気にしなくて良いよ」
とほほえむだろうか。
ただ、竜の二人の口をとめることはないだろう。
左手だけの食事を終えたなら、その日は部屋に戻ろうか。]
[部屋に戻る前に、聞き忘れた、と時の竜に近付いて]
誰が、かの女に力を与えたかわかる?
[答えを聞けたなら、感謝の言の葉を、
聞けなかったなら、特別気にすることもなく、
苗床はあてられた部屋に戻るだろう]
―昨夜/Kirschbaum/2F 東―
[着替えるためにか、それとも他か。
部屋に入った苗床は無器用に、左の手でボタンを外す。
長い袖にかくされていた右腕のつけねは、生々しさなどなにもなかった。
ぱきりと折られた何かの断面。
傷口というにはほど遠いそれを、少し考え苗床は放置した。
そのまま*眠りの世界へ*]
─Kirschbaum/夜─
[店に戻れば、どこか浮かぬ様子の影輝王。
彼から、エーリヒが消えたと教えられれば、その微かな消沈の理由も窺い知れる。
彼が彼として生れ落ちる最も大きな契機、精霊王の継承。
それにまつわる騒動の際の出来事を、思い出したのだろう、と。
微笑むばかりのティルに何があったか、と問われれば、ただ]
対の消失に対応するため……だそうだ。
[短くこう返すのみで、後は何も語らずに]
「誰が、かの女に力を与えたかわかる?」
[静かに投げられた、問いに。
今は、翠の双眸はやや険しさを帯びて]
……状況からの推測による部分は大きいが。
俺が、鍵の書を追って放った追跡の輪は、時空に対し得る唯一の力……天聖の力に焼かれた。
だが、それは純粋な天聖の気ではなく……魔の力を帯びていた。
……天聖に在らざる身にて、その力をまとう、魔。
こう言えば。君も俺と同じ結論に達する事ができるんじゃないか?
[静かな言葉に、それを聞いた者がどんな反応を示すかを気にかける事無く─いや、実際には、そこまで気を回す余裕が彼にないだけなのだが─、食事を済ませ]
……俺も、先に休ませてもらうよ。
[短く言って、3階の部屋へ。
記憶の探査のもたらした疲れが身体に重く、部屋に戻るなりベッドに倒れこむ]
……強大な力を持つが故に。
我ら竜は、最もそれを恐れ、敬わなくてはならない……。
[小さな呟きの後、*その意識は眠りの内へ*]
−昨夜/北の遺跡−
[アマンダは昏々と眠る。
自らを守る為にか意識を失った天聖の少女と違い、限界を超えての眠りは深かった。
千花はその背の上で、小さく丸く蹲る。
いつまでも戻ってこなければ、自衛団の見回りに発見されるだろう。
けれどアマンダを動かす力も、事情のわかる者に助けを呼びにいく力も無く。せいぜい発見された時に「人ではない」とばれないよう、意識を保つくらいしか出来なかった]
「チ…チィ」
[千花は小さく小さく鳴いた。
既に町中に鳴り響いた鐘の音の余韻は消えていたけれど、その哀しげな声を聞く事が出来たのは*闇と月と星だけだろう*]
[ふらり、と路地から広場に出てきた。
東の空は、見事な薄紫色に染まり、太陽がその姿を現している。
その光が、いつもより弱弱しく感じるのは気のせいだろうか。]
[牛乳配達の少年が、大きな荷物を背負って広場を横切るのが見えた。
カタカタと、瓶のぶつかる音が聞こえた。
ふい、と見ると、時計台の根元に黒猫がたたずんでいた。
そっと近寄っても微動だにしなかったので、そっと胸元に抱え上げた。
その毛並みはつややかで、とてもさわり心地が良かった。]
-桜の木の下-
[少し前まではそれほど思わなかったが、この場所は生命の属性が強く働いていて気持ちが良い。]
…貴方の、せい?
[言って、そっと桜の太い幹に手を触れる。
とても力強い、生命の気が感じられた。
暖かいそれを感じ取り…彼女は、クスリと笑う。]
―現在/Kirschbaum2F 東の部屋―
[片手で動くのには慣れている……というわけではなかったが。
ゆるり、身を起こし、左の手をみやる。
右腕にあった茎は左腕に。
命たる果はその掌に。
次に壊れる場所はどこであろうか。
冷静に考えながら窓のそとをみやる。
思い出す言の葉。]
[かの女の気配を感じれど、そちらに進もうとは、苗床は今は思わなかった。]
…………時間がないんだ。
“ ”
君はまだ…その籠の中にいるの?
君はまだ……でようと想ってくれない程に。
[*目を閉じて。
階段をおりてゆく*]
―Kirschbaum・3階/現在―
[まどろみから目覚め。
嘆息。
それから、ゆっくりと起き上がる。
窓を開け、庭を見やれば、桜の木の下に強い生命の気配]
……。
[しばしの思案の後、直接庭へ。
ばさり。
響く、羽ばたきの音]
[庭に降りても声を掛けるでなく、しばし見つめ]
……やはり、か。
[その気を辿り、一つの確信を]
まったく……面倒な。
[小さく呟けばそのまま店内へ。
影輝の王の渋い顔に苦笑した後、外へ]
―西の桜―
[店を出て向かった先は、桜の大樹。
その幹にもたれかかり、目を閉じる]
……養母殿……いや、命竜王。
さすがに、この状況では。
あなたの愛し子としては、動けん。
[小さな呟きは、*桜花の乱舞に飲み込まれ*]
−朝/ベアトリーチェの部屋−
[柔かなベッドの端に腰かけて、ベアトリーチェは素のままの足を揺らしました。膝の傷はまだ治っておらず、そこには瘡蓋が出来ていたのでした。緑の眼は、どこか珍しいものを見るように眺めています。]
ラ?
……どうしたのだろう。
[誰かの名前を呼んで、顔をゆっくりと動かします。窓から差し込むお日さまの光は、いつもと違う気がしました。宝石のきらめきはなくて、なんとなく遠いのでした。
ベッドから降りて立ち上がり、着替えを済ませます。こどものからだは人より細くて、足りないようでした。桜の花びらに肖たいろの服を着ると、そばの机に置いていた無限の輪を通した首飾りをかけました。少し苦労して、後ろで留めます。]
[そっと居間への扉を開くと、お父さんとお母さんが何ごとかを談し合っているようでした。からだを滑りこませてお早うの挨拶といっしょにお辞儀をしますと、その会話は止んでしまったので、なんだったのかはわかりません。
ベアトリーチェはよいしょと椅子に座り、手を合わせて朝ごはんを戴きます。]
ねえ、お父さん、お母さん。
なぜ、ベアトリーチェは、町の外に出てはいけないのだっけ。
[ふっと昨晩のことを思い出して、ベアトリーチェは訊ねました。
お父さんとお母さんは俄かに顔を見合わせると、ほんの少しの間を置いてから、「こどもには、危ないからだよ。」と云ったのでした。]
それでは、大きくなったら行けるのだね。
[楽しみだと笑うこどもを見る親のかおを、ベアトリーチェは見ませんでした。]
―Kirschbaum・昨夜―
[Kirschbaumに入ると、浮かない顔の影輝王に迎えられた。
理由など考えるまでも無いだろう。離れた場所にいた彼女にもあれだけの衝撃があったのだ。
親しみの深い属性の消失。
陽光の気配を纏う楽師が泊まっていたのは彼女の隣の部屋で]
「巨大チョコレートパフェ一つ」
[隣でユリアンが首を傾げつつもそう注文する。
苦笑しながら「そっちはどうする?」と聞かれれば]
あー、小さいの一つ?
[まるでおじさまみたいね、という言葉は表には出ず。
ゆっくりと運ばれてきたそれを食べ始めた]
[やがてティルが戻ってきた。
どこか違和感を感じてきょとんと見れば、その右袖は揺れていて]
ティル、それ……
「気にしなくて良いよ」
[けれどいつものように微笑んで返されてしまった]
[そのまま彼を見つめていて思い出した。
ああ、先程目の前で消えてしまった人は彼の対であったと。
そしてそれは後から入ってきたオトフリートに肯定される]
う、ん。
[彼女にはそう返すことしか出来ない。
その気配は何だか不安定で、あまり触れてはいけないもののように思えたから]
無理は、しないで?
[それだけ言った]
[パフェをあらかた食べ終わろうかというところで。
食事を終えたティルがオトフリートに近寄っていった]
「誰が、かの女に力を与えたかわかる?」
[「かの女」という言葉に首を傾げたが、続くオトフリートの台詞にそれも吹き飛んだ]
「……天聖に在らざる身にて、その力をまとう、魔」
それって。
[息を呑んだ。先程まで対峙していた人物が容易に浮かぶ。
元々強い力を持っていた人物。
その人が書を手にしたのだというならば、今どれだけの力を彼は持っているのだろうか]
[パフェの残りをどうにか口に運んでゆく。
他に何も問いかけることも出来ないうちに、オトフリートもまた部屋に戻ってしまった]
ええと、私も戻るね?
おやすみなさい。
[会話を続ける気力もなくなってしまって。
まだパフェを攻略中のユリアンにそう声を掛けると、彼女も二階へと上がった]
−朝/中央部・教会−
[いつもはたいてい朝のミサとずれたときに行くのですが、今日ばかりはちょうどその時間に着くようにしました。道の途中、どこかに『鍵の書』がないかとあたりを見回すのですが、もちろんのこと、落ちていたりする筈もないのでした。
教会に着くと、休みの日ではないものですから、居る人たちはまばらでした。その中には、いつものとおりの神父と、ねむそうなシスターもあったでしょうか。厳かな雰囲気の中、とりどりのいろを宿すステンドグラスを見つめ、パイプオルガンの音いろを聞きながら、ベアトリーチェはお祈りを捧げるのでした。]
……主の御心のままに。
[神さまはこのことを知っていて、それでも、なんにもして下さらないのだろうか。もしかすると、そんなことを思ったかもしれません。]
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