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鍛錬が足りません。
[笑顔でそう呟く様は、やはりどこか楽しそうにも見えたかもしれない]
若焔が居れば、同じような感じで雨を蒸発させながら、
歩くことも出来たかもしれませんね。
その分、かなりの熱気になりそうですけれど。
[一度だけ、どっちがマシか尋ねるように、肩を竦めた]
―西殿・結界前―
[命竜からの問い掛けには]
先日、陽光帝の仔とユディが居なくなったときと似た感じね。
属性のバランスがさらに崩れてるのと――
……また、虚竜の王が不機嫌になってるのかもしれない。
[くしゃみをし始めた命竜を見ると、流石に少し気遣うように。
懐紙を取り出して、差し出した]
…、…えっと。
――かんたんな剣だと、こわせない?
[地竜殿の説明は幼子と云えども幾らか判り易かったかの様であった。
数寸の沈黙の後、仔の中で噛み砕かれ導き出された答えは、少々言葉の意味は湾曲したが然程離れぬ物に着地する。
短な問いには答えて良いものか微か困ったように眉を寄せしかし頷きを返す。
口に出さなければ良しとしたか、それとも幼心に黙っているに耐えられぬ事で有ったかは判らぬが。
地竜殿の言葉と共に確かに剣を持っていないと知れば薄らと落胆の色が見えようか。しかし持ち合わせて居ないので有れば仕方の無い事。
仔は判ったと小さく頷いて――
ただ最後に、一つ思い出したかの様に再び視線を地竜殿へと向けた。]
…えっと、
ノーラみたいなわっかは、ちがうの?
[おずと問うた言葉は余りにも控えめで、私にすら届いたか怪しい。
抽象的とも言えるその問いに、果たして答えは返るや*否や*]
さて……。
[そう呟いて振り向くと、すでにいつもの彼女。
エルザに心配そうに首をかしげて、]
大丈夫でしたか、エルザ様。
[ツッコミ要素満点な台詞。]
あっ。
[気付いた時には左手を取られていた。刻印に触れる指。癒され、刻印が力を取り戻してゆく気配]
…ありがとう、ございます。
[傷ではなく、その奥で疼く痛み。
表情を消したまま腕を引き、小さくクレメンスに感謝を述べた。
最前の状況があれば不審とまでは映らなかったかもしれないが]
ユーディット様。力及ばずがゆえにご負担をお掛けしまして、申し訳ありませんでした。
[時空竜へと向き直り静かに頭を下げた]
…はい、私は大丈夫です。
[顔を上げれば普段のように戻ったユーディットがこちらを見ていた。戸惑いながら、それでもコクリと頷いて]
あ、あの。
私はまだ若輩の身なれば、普通にお呼び付け下さい。
[今度こそ、ティルの気持ちを理解した、気がした]
まぁ、そう言うことじゃのぅ。
[意味としては微妙だが、強ち間違ってはいないために肯定の頷きで応じる。問いに対して頷きが返ってくるのを見止めると小さく唸り考え込んだ。今剣について知るは限られている。ましてや己が持つと気付いているだろう人物と言えば──]
[己が帯びるものを確認してやや落ち込む様子のベアトリーチェを見て、ひとまず誤魔化せたかと安堵する。その安堵も相まってか、続いた問いには直ぐには頭が回らず]
…ぬ?
ノーラ殿のような輪っか?
[問いは届いたがその物に直結せず。しばし考えた後に己が腕輪のことと理解する。これに目をつけるとは侮れん、と思ったかはさておき]
これは腕輪じゃからのぅ、剣ではないのじゃよ。
[この辺りはもはや言い包めに近かったか]
[幼子との問答も終わり、ようやく一息ついて。だいぶ冷めてしまったであろう茶を飲み切ると、食堂に居る者に対し辞す挨拶をする。部屋へ戻ろうと食堂の出入り口へと近付いた時だった]
───っ!
[何かが纏わりつく感覚に囚われ、その動きが止まる。しかしそれは直ぐにパチンと弾かれるように霧散した。同時に己から湧き出るように高まる、影輝と精神の気配]
[来たか、と言う思いと、拙い、と言う思いが交錯する。止まる動きを訝しんだ者は居ただろうか。高まる気配に不思議に思った者は居ただろうか。何かを言われる前に、足早に食堂を出る。向かうは宛がわれた個室。移動する間、右手は左手首を強く*握りしめていた*]
―東殿→西殿・結界前―
こいつぁ厳しいね!
[それでも楽しそうな氷竜には、仕方ないというかぶぅぶぅというか、そんな軽い感じでついていきながら。]
…蒸れない分こっちだな。
[何か内側からじっとり湿っていきそうな気がする。
その様を想像したあと、真顔で答えた。]
―西殿・結界前―
不機嫌か…もう発動したからこうなった、ってことでいいんだよな、一体誰へっくしょい!
[ずびーと垂れそうになった所でタイミングよく紙を貰えば、鼻声でサンキュと言いながおもいっきりかんだ。
近くにゴミ箱とか当然ないので、予備のハンカチでゴミ箱がわりに包んでしまう。]
ええと、ティルは居たんだよな?
んじゃそれ以外の誰かか…って。
そういやティル何処だ?
[すでに結界前からは離れたのか。近くに姿は見当たらない。]
[エルザの言葉ににっこりと笑うと、]
いえいえ。私が主様に命じられている行動の優先順位で、竜命救助は第二位となっていますので。
[ちなみに第一位は知識の蒐集。いいのかその順番で。
そして、エルザの普通に呼んでほしいという言葉に頷くと、]
了解しました。なにはともあれ大事に至らずよかったでs……
[笑顔のまま、ぴたりと動きと言葉が止まる。
そして笑顔のままゆっくり横に傾いていったかと思うと、ばたーんとそのまま倒れる。
どうやら電池が切れたようだ。(実は強ち間違っていない表現
だからといって笑顔のまま倒れられているのは、*怖すぎです*。]
/*
てことで暴れるだけ暴れて寝ることにします。お付き合い感謝。
あと、私のお遊びに巻き込んでしまって申し訳ありませんでした。
ではまた明日。
―西殿・結界前―
私も、暑いのだけはちょっと。
文字通り溶けてしまいそうで怖いから。
[微かに苦笑した後に、首を振るって呟いた。
その後の、もう発動したから――という問い掛けには]
おそらく、その通りでしょうね……。
ティル、は。さっき、雨の中真っ直ぐに西殿へ向かっていったはずだけれど……。
もしかしたら、どこかで雨宿りしてるのか、それともすれ違いで戻ったか。
[辺りを見回すが、それらしい気配は無い]
辺りを少し探してみましょうか。
[そう命竜へと告げた跡、若干の間を置いて。
先程気になった事について、改めて尋ねる]
――さっき、部屋を出たあたりで、大分疲れていたように見えたけれど。
また、誰かを探査したの?
……何か、分かったことはあった?
―西殿・結界前―
まぁ炎は天敵…ちうとあれだが。そっちの対属性だからな。
[腕を擦りながら、でも今はちょっと火があった方がいいなとは少しだけ思うのは仕方ない事で。
問いかけには肯定。
知っているわけだが、神妙に頷き返す。]
行き違いか。だな、ちょっと探してみるか。
[同じように辺りを見るが、寒いので気配探知はだいぶ鈍っている模様。けふん。]
[色々突っ込まなければいけない気もした。だがその前にクレメンスから聞こえた言葉が突き刺さって間を逃した。
自分がやっているのが違反行為であるのは、痛みがなくても自覚していた。根幹を支えるための胸の刻印ほどではないが、こうも傷つけて良いものではないのだから]
ユーディット様!
[それでも倒れてゆくのを見れば慌てて駆け寄り支えた。
スタスタと去ってゆくクレメンスはとても複雑な表情で見送り、とにかく半ば引きずるようにしながら建物の中、個室の一つへと運んだ]
…大丈夫ね。
[混沌のカケラの気配がとりあえず無いことを確認すると外へ。
向かった先は再び中庭。噴水のある場所]
―西殿・結界前―
[さむさむ言いながら背を向けたところで、かけられる声に振り返る。
実際に疲れた原因は別な所にある。
…主に某時空竜のせいなのだが。
が、そんな事実は微塵も出さずに。
まぁなと大嘘つきながら、さくりと足音を立てて近づいて、見上げてくる目を見下ろしながら―奥深い場所に針のように刺さる痛みはおそらくささやかに残った良心が咎めるからだろう―いつものように耳元に口を近づけかけて。]
ナターリエはしろっくしゅ!!
[ごちん。
耳元でやらかした為、勢いで頭に鼻から下が当たった。]
あー…悪い。
[さすがにさっきかんだばかりなので、あれやらそれやらがべっとりという事事体は免れたが。
ハンカチで一応打ったあたりを撫でてふく。]
―噴水傍―
[その仕組みを利用して外の様子を見ようとした時のことだった]
!?
[思わず胸元に手を当てた。共振も殆ど途絶えた今、それでも小さくない何かが伝わってきた]
御師様…?
[不安が過ぎる。
手を翳せば左手首、変じた腕輪を握り締めて歩く姿。
細い繋がりを拾い上げたか、不明瞭だが届く声]
間が悪すぎる。
しかも遠隔で…。
[師の上に何が起きたのかは理解出来た。
今は沈黙したままの剣の別姿に手を添えて、暫し考え込む]
―西殿・結界前―
[最近恒例になってきた、耳元での会話。
素直に耳を貸すと――
ごちん。
鈍い痛みがブリジットを襲った。
あれやそれやらが付いていないのは幸いだったかもしれないが、
くしゃみはもろ被りなわけで]
―西殿・結界前―
ちょ、さむっ!!
ごめんなさいごめんなさい俺が悪かったですすいませんすいません。
[ぶつけられた冷気にぐるぐる回り逃げまわる。
機嫌なおしてーとか情けない悲鳴はあげているだろう。]
[やがて手が再び動く。
映し出されるのは、布団の山の下で昏々と眠るらしき恩人。
結局心労を増やしただけなのかもしれないと、少し悲しくなった。
それに、怪しいと思う人は別にも居たのに]
…言えなかった。
[溜息と共に画像の浮かぶ水面を揺らし、画像を消した。
それから自分も部屋の一つを借りてソファに沈み込む。疲労は前より少ない。無茶に慣れたと言えば怒られもしそうだが。
身心共に鈍い痛みを抱えながら。
浅い眠りの中へ*堕ちてゆく*]
―西殿・個室―
―西殿・結界前―
[深い息を零して、一先ず凍気をぶつけるのを止めて]
――とも、かく。
[当たったところをさすりながら、睨みつけるようにして]
……ティルを探して、何があったか聞きましょう。
それに、他の所で、別の方向での進展があるかもしれないし。
[そう、呟いた。ややあって、その足は庭園の方に向けられるだろうか。
疾風竜を見つけることが出来れば、「引き込み」などについて、*話を尋ねる事だろう*]
―西殿・結界前―
悪かった悪かった、おいちゃんが悪かった。
[氷竜が自分で擦ってるさっきぶつけた後あたりをこちらも手を出し撫でた。
睨むような視線にはとりあえず何でもするんで機嫌直してください、そんな事をうっかり言えば少しはおさまるだろうか。
お怒りが若干とければ、ふーと額の汗を拭い。
ティルを探すのは同意する。
風竜の力を確認しておきたかったのもあったために。
そうしてもう知っている知識と、新たに入れる知識とのすり合わせを*密かに始める。*]
――…覚悟の上。
たとえどのようになろうとも、私は力を欲します。
誰もそれを望まなくとも。
[古き影の言葉の余韻は、雨音に消える。
闇の言葉は、雨に落ちる。]
[決して答えぬ先の問いに気付き、先行く影に笑った。]
[背負った闇はひどく重く、進む足はわずか地に沈んだ**]
─竜皇殿・庭園─
[ピアは濡れないようにと懐に入れて、じ、と空を睨む。
天の竜を欠いたが故か。
天聖の領域を濡らす雨は嘆き雨のよにも見え。
懐に収められたピアは、丸い目でじい、と見上げていたが、ふと、短く鳴いて身を震わせた。
原因? そら勿論寒さです]
え?
[時ならぬ冷えと、自分を呼ぶ声に何事か、とそちらを見やり]
あ、氷破の……それに、おっちゃん。
[クレメンスに向けた目が険しかった事、それに長きを生きる竜たちは気づくやも知れず。
ともあれ、投げられた問いに、軽く、肩を竦めた]
結界、見てきたん?
うん、まあ……また、虚竜王らしいよ。
天竜の姉さん、引っ張り込まれたらしいね……中に、気配、感じるから。
[はあ、とため息一つ零し。
何故、それが覚れるのか、と問われたなら。
最初に見せるのは、しばしの逡巡。
『一応』命の恩人である命竜だが。
不可解さを感じているのもまた、事実だけに]
んー……なんでか、はオレも知らない。
母さん譲りの力って事しか、わかんねぇしさ。
[嘘は言ってない]
ただ、虚竜王が気ぃ悪くする時は、物凄く気持ち悪い揺れみたいなのが感じられんの。
あと……それと違う方法で、誰かか、結界に押し込められる時も。
[具体的に何がどう違うのか、と問われても、説明はできないのだが。
強いて言うなら前者は自然、後者は不自然、と言ったところか。
虚竜王の不機嫌を自然というのはなんかアレなので、その説明はしなかったが]
[大雑把な説明で二人が納得するかどうかはさておいて。
弾みをつけて座る枝から飛び降りる。
水気を吸った常磐緑はいつものよには翻らなかった]
オレ、ちょっと、身体動かしてくる。
濡れてるったってこのくらい、大したこと、ねーよ。
疾風の竜が風邪なんかひくかい。
[背負っていた銀のロッドを手に、突っ込みどころ満載の一言を残して場を離れる。
最後に命竜に向けた瞳は珍しく、険しいものを*帯びていた*]
[アーベルの言葉には、小さく頷いて]
本当に。
判れば話が早いのに。
[呟き、窓から飛び出すティルの背を目で追った。
その小さな背が消える頃、食堂へと戻って来るダーヴィットへと視線を移す。
言われた言葉には、眼鏡の奥で目を瞬いて]
…貴方と一緒に居たのではないのですか?
何故止める事が――
[言いかけた言葉は、アーベルの質問とダーヴィットの返答によって途中で消えた。
虚竜王の、不機嫌。]
ユーディット殿でも手に負えませんか。
[ふぅ、と、深い溜息をつき、窓から空を見た。
視界の外で、焔竜と機竜がどたばたしている音や翠樹と老竜がなにやら話している音がしていたけれど、意識は向かなかった。]
―東殿/食堂―
[飴振る翠樹の仔竜へ指を振り返して間もなく、驚いたような声が青年にも聞こえた。合わせぬように下げていた視界に黄蛇が入り、それに伴いレンズ越しの紺碧が老竜に流れる。
しかし若焔達の方向から上がった潮の香りが過ぎり、視線は青の焔と流水の竜へと移ろった]
………あぁ、これが若焔の。
[踊るような青は流水の気に飲まれたか若焔の気が足りなかったか、二周終える事なく燃え尽きる。そのくすぶる煙が消え行くのを見つめながら、結果を呟く声を記憶に刻んでいた]
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