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< それから、しばらくして、扉のほうから音がしました。
近づいたら、また、ギュンターがいました。
どうやら案内してくれるということ。
猫は、それに従いました。ちゃんとドアはしめて、食料もわかりやすく、おいておきましたよ。
ギュンターは強いので、さくさくと進めました。 >
―→メンテナンスエリア―
< 猫はしかし、そこに入りたくないといったため、機鋼竜の体と対面はしませんでした。
それは、本当は、しるしが反対したからなんですけれど。
そして、猫は、そこに案内されるままに入ります。
――その視界に、アーベルの姿。 >
……は???
[思わず女は間抜けな声を上げる。自分が突如転送された経験はあっても、誰かが目の前で転送する様を見るのは初めてで。]
[ユーディットの実験中の言葉に首を傾げつも。]
ん、とりあえず安全な場所なら何処でも……。
[ショールをはらりと肩に纏い。壁に手を付きながら歩いていく。]
[足が、*重い*。]
[交わされる声は届く事なく。
眠りは深く深く深く。
揺れて、揺られて――――木綿の香りに包まれる]
― →二階個室―
[生きているかを確かめるように、小さな前足が触れて、離れる。
側にある愛し仔の匂いに、表情は僅か穏やかになりて]
……
[呼吸が深く静かに変わり、昏々と*深き夢の中へ*]
……。
[音がした気がしたが、それはもう聞こえず。
手のひらの傷をペロペロと舐めながら、熊は丸くなって*眠りだした。*]
[少年から紡がれた、きっぱりとした否定の意思。ブリジット同様、少年を下がらせるつもりであったが、その声はそれを良しとしないもので]
[瞬間、目の前で少年の変貌が起こる。その姿や声は青年と言っても過言ではなく。彼が何を思い、そのように変じたかまでは分からず。ただ、その奥で銃を構える少女に意識を集中する]
< マテウスが寝てしまってから、そこにギュンターの姿がありました。
ギュンターはそこに彼がいることを知ると、あとで、猫にも伝えるのでしょう。
猫は、きっと大喜びで向かうのですけれど、それはもうちょっと、あとのお話。 >
うん。
……だいじょうぶ?
< 心配そうに、猫は、彼と目をあわせます。まっさおな、海の、水の、色をした目で、じっと。 >
[伝わる気配と、白梟から見える様子と。
それに、はあ、と一つ息を吐き]
……っとに、どいつもこいつも。
[続く言葉は、飲み込みつつ、右手を一度、振る。
漆黒の光鎖をそこに巻きつけ、扉を開けて、中へ]
─…→広間内─
……?
< 猫はよくわからずに、それでも。
大丈夫なようには見えませんでした。
そっとしゃがんで、手を伸ばします。 >
無理、してない?
< その頭に、手をのばします。 >
[血の匂い。]
[確かに感じる同族の力。]
[安堵からか、一気に力が抜ける。]
[そして、丸くなったマテウスに寄りかかり、己を闇に沈み込せた。]
[ギュンターが来た事にも*気付かない程に*。]
[突然大きくなったイレーネをパチクリと見ていたが]
……わ。びっくり。
[でも、無表情。果たして本当にびっくりしてるんだろうか。
そして、退かないと言い張るイレーネに一瞬目を瞑るが]
そう。じゃあ、仕方ない。先に……
[そう言って、引鉄を引こうとし]
[引き金へと手を掛ける少女を、笑みを浮べたまま見据え――
ふと、広間へと入って来た人物へ視線を向けて。
一度僅かに目を見開くも、直ぐさま、すぅと蒼を細める。]
…此れでも、まだやる気かな。翠樹の娘。
私は兎も角――、時空の竜相手に、退いた方が無難だと思うが。
[小さく、何処か愉快気に喉の奥を鳴らし]
[動いた。右手の中の鎖を一気に外そうとして]
っ。
[増えた気配にすんでのところで止めた。
この場は任せた方がいい。イレーネの言葉を聞きながらじっとミリィを見る]
[広間に踏み込み、後ろ手に扉を閉めて。
イレーネの声が聞こえれば、くすり、笑みが掠めるだろうか]
あんまり、買い被らないでいただきたく?
[冗談めかした言葉とは裏腹に、異眸は厳しく。
いつでも、陣を展開できるようにと、身構えて]
< 顔を埋めてしまったアーベルの姿。
猫は少し、なやんで。
もう一度、手をのばしました。
撫でるのが嫌なら、と。
縮こまった体を、なだめるように、そっと、抱きしめます。 >
[尚もイレーネに照準を合わせるミリィを見て、腰にあるモノに手をかける]
[しかし、広間に増えた時空の気配。それに続くイレーネの言葉を聞き、それを抜き放つのは止める]
[もしもの時はすぐに繰れるように、手はかけたまま]
おや。――相応の評価だよ、オトフリート。
[くつくつと笑みを零して。
ゆるりと、銀の腕輪が填められた右腕を、少女へ向けるように前へ差し出す。
これ以上動く気ならば、此方からも厭わないと宣言する様に]
だいじょうぶ
< 彼が自分をここにやったのだと、なんとなく、気付いてはいても。
猫はそれに対して、何も言いませんでした。
ただ、おびえたその様子に―― >
何も、こわく、ないよ
< 放っておくことは、できなくて。 >
そんなに、こわがらないで。
< ただ、優しく、言って。
アーベルがおちつくまで、そうやって、しばらくの間、そこに*いるのでしょう* >
[……そこに飛び込んでくるオトフリート。ちらりとそちらを見やる。対面のイレーネの言葉にスッと目を細めると]
まあね。対多は得意だけど、流石に相手が相手だし、ね。
[イレーネの愉快気な言葉にも表情は一切動かず。おもむろに動いた右手が腰の魔銃に触れると]
……桟ノ首(さんのくび)「木花開耶姫(コノハナサクヤビメ)」
[瞬間、周りの空間にかなりの数の草のカッターが現出する。]
では、またのちほど。ハヴ・ア・ナイス・ナイトメア。
[そう言った瞬間、カッターが全方位に発射。怯んだ隙に通信機を起動して、下界に*消えるか。*]
いえいえ、過分なお言葉で……っと!
[不意に現れた、草の刃に舌打ち一つ]
……エターナル・ロンド! 護法陣!
[とっさに解き放つのは、護りの陣。
一片たりとも、草の刃を通すまい、と光鎖が舞う]
[少女が言葉を紡いだ直後。周囲に草のカッターが出現。もちろん己達の方へも刃は向けられて]
--Die Mauer des Windes--!
[咄嗟に呪を紡いだ。開け放してあった窓から風が流れ込み、壁を形成。周囲に風精が多かったせいか、それはいつもより大きいものに]
[オトフリートが展開した護りの陣もあって、二重の壁が出来上がるか]
[一本だけ鎖を完全に外す。
紡がれる力が妨げられることの無いように沿わせて。
向かってきた刃は広げられた壁によって防がれていた]
[光鎖と風と、護りの力は、草の刃を押し止め、鎮めるに至るか。
いずれにせよ、その乱舞が鎮まった時には、それを解き放った者の姿はなく]
……ひとまず、引いた……か。
[ぽつり、呟いて。
ひとまず危機が去った、と確かめたなら鎖を収め。
広間の面々に一連の出来事を聞き、こちらも知る限りを伝えたなら、白梟を連れて二階へ。
ユリアンの傷の治療の後、ナターリエに寄り添うように眠る従魔の姿を確かめたなら、自身は相方と共に、*自室へと*]
――…、
[翠の刃に、笑みを浮かべた侭蒼を僅かに細め。腕の輪をシャラリと鳴らす。
も、即座に展開される護りの陣と風の壁に目を見開けば、
笑みを深めて、するりとその腕を下ろす。]
…流石だな。
此処まで頑丈な壁で有れば、私が出る幕などあるまいよ。
[小さく笑みを零しながら、密かに込めていた力を静かに霧散させて。]
[息を吐いて左手の鎖を元へと戻し。ずっと安定していた風の力に、余計なことだったなとちょっと苦笑い]
…行っちゃった。
[呟いた言葉の色は安堵に近かったか]
[動きを止めた草。鋭さを消したそれは集まった風精によって外へと運ばれるか]
…どうすりゃ止められるんかね。
[さっきまで少女が居た場所を眺めながらぽつりと漏らす。彼女を揺らすために投げかけた疑問も、彼女にとってはさした問題でも無かったらしく。治療され、傷跡も無くなった左の肩に、右手をあてた]
[オトフリートと情報交換をし、その姿を見送った後にイレーネへと視線をやる]
それにしても…お前まで変身するとはな。
アルだけじゃ無かったのか。
[あの緊張感の後のなんとも間抜けな感想]
ん…。
[寝返りをうとうと、身じろぎをしようと、ゆる、と目をあけた。
黒いウェーブが見え、ピク、と耳を立てて動きを止める。
エルザがもたれているのが見えたので、動かずにそのまま再びゆっくりと*瞼を閉じた*]
[忽然と姿を消した少女の場所へと視線を向けて、一つ吐息を零す。]
――退いて貰えただけ、マシと言うべきか。
全く、時空の竜殿に感謝だな。
[小さく苦笑にも似た笑みを零して。
疾風の言葉に僅かに蒼を見開くと、嗚呼、と小さく声を上げた。]
『魂』が異なる故、変身――とは厳密には違うがな。
ノイが、迷惑を掛けた。
ノイの言ってた、“イレーネ”の一人ね?
助けてくれてありがとう。
[小さくペコリと頭を下げた。
何だかノイよりずっと大人っぽい、とか思ったら彼は拗ねるかな]
[引いてもらえた、の言葉には「全くだ」と苦笑を漏らして。平然としていたが、撃たれた時の体力の消耗はすぐには戻らず。騙し騙し立っていたのは事実である。緊張が解ければ、疲労の色も見えてくるか]
魂が異なる?
ノイっつーのは、あのちまっこい方のことか。
まぁ、迷惑とは思っとらん。
むしろ助かったと言うべきか。
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