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降るといいな。
[足は中心部へと向けられていく。
人の居るであろう、場所へ。
じゃらり――玉が奏でる、音色。]
ひふみよいむなやここのたり
ふるべ ゆらゆらとふるべ
[響く、凛とした声。
朗々と、遠き国の詞が唄のように紡がれる。]
――闇罔象(クラミツハ)。
[黒が、揺らめいた。]
空を覆いしは雲 雲を作りしは水
落ちる水は寒き冬には六つ花となり
大地を白く包みゆく――
[まるで誰かに対して語るようにやわらかな声。
じゃらりと奏でられる音色と共に遥かの遠くまで。
紡がれる旋律に重なるように。]
<言の葉通りに、空は翳りゆきて、>
仲間ぁ?
ボク、仲間とか居ないよっ。
ボクは、ボクの…
や。
ご主人様の望みどおり、動くだけだ、しぃ。
[白銀を抜く様子をじ、と見ながら、それでも右の手の中、短くした黒い棒は握り締め。
にっこりと笑いながらも、目をぱちぱちとして。
少しの眩暈。]
あーもうっ。
ちゃんと動けないのってほんっっとー、イライラするっ!!
[ぶん、と右手を振る。
黒い棒が一瞬鎌へと変わり、枕が避けて中の羽根が散り、部屋中にちりばめられた。]
[エーリッヒの言葉には、ぎゅぅうう!と眉を顰めて。]
感じわっるーーい!!
ボク、キミの事きらーーいっ!!
[羽根が飛び出て半分になった枕を、投げつけた。]
超、斬りたいっ!
元気になったら斬るっ!
[びし、と指を差し。]
『ん――上手く行った、かな』
[ぱさりと、折り畳み傘を広げる。
白のちらつく廃墟を見つめ、眼を細めた。
虚偽の言葉は、奏でられる音と声により、真実と成る。]
白く、白く、白く――
全てを覆い尽くすように。
[しん、しん、しん、と。]
[ふ、と、感じた違和感めいたもの。
すぐ側の窓の方に視線を向ければ、舞い散る白]
……。
[旋律を紡ぐ手を、一度止めて]
Obwohl ich sage, das ich in Winter kalt bin.
In der Tat bin ich sehr warm.
Die Warme einer wichtigen Person.
Es wird so nah empfunden….
[再び織り成し始めた旋律と共に、小さく、歌めいたものを呟く]
―???―
[余程注意していなければ判らない程――微かに響く低い駆動音。
其れが止んで、暫しの後。
白い壁に隠された鉄の扉が開かれる。
――モニタールームに誰の気配も無い事を確認して
ゆっくりと室内へ、足を踏み入れた。
モニターから洩れる音声の中に混じって、カツ、と足音が響く。]
……、…
心配する必要も無かったですね。
[むしろ五月蝿い。と、僅かに眉を寄せたままぽつりと呟く。
受け止めたままの、羽根が飛び出て半分になった白い枕を
無造作にモニタールームの端へと放り投げれば、
部屋の隅でばさりと羽根が舞い散った。]
帰る、か。
[ふと思い出すのは抜けたグループのこと。
いつかは戻ると約束した人のこと]
でも今はそれ以上に。
[負けられない理由はあった。いつかを引き寄せる為にも。
恐らくはもう消えているのだろう彼との約束の為にも。
何よりも、自分の未来を再び掴み取る為に]
―廃墟の過去―
[日碧と騒いでいたら、そこに現れたのは裸足の李雪。
一瞬あっけにとられ、それから重いため息]
…李雪。
[眉間に皺寄せ、小さく息をはくと少女の前に立ち、腰を屈めてその目をじっと覗く]
[流れてくる柔らかな旋律。
やがて空から白が降ってくる。
壊れた天井から舞い降りるその一片を手に受け止めた]
Es schneit.
Das Weiβ, um sich darauf zu wickeln, ist schon.
Es ist nachst Tur zum Tod.
[途切れた旋律が再び流れ出す。
その音を振り払うかのように、小さく紡いで]
―― Kampfformanfang.
[息を吸い、その言葉を口にする。
露草色に戻っていた瞳は緋色…昼間より鮮やかなそれに変化した]
[ふと。響いた音に、ゆるりと瞬く。
鈴の音が紡ぐ韻は、此方への伝言ではなく――]
――、…。
[と、白い羽根と共に、ふわりと舞い降りた白に気付いて。
掌に触れるように舞い降りた冷たい其れに、僅かに眉を寄せた。
本来ならば、室内に降るはずの無い、其れ。]
……、…少しぐらい考えれば良いものを。
[溜息混じりに、ゆるりと視線を上へ向ける。
恐らく、屋外に降り注ぐ程では無いにしろ――
まさかモニタールームに影響は出ないだろうな、とぼんやり考えて]
[壊れかけた建造物から出てきた影の表情はどこまでも硬い。まるで仮面のように。
舞い踊る白はしかし周囲で軌道を逸らされてゆく。
展開した磁場はそれまでの比ではなく]
いくよ。
[小さな呟きもどこか冷たい色を宿して。旋律の源へと駆け出した]
Weil es die Sache gibt, die ich in der Seite schutzen will.
Ich kann keinen Art von hotness gebaren.
Diese unersetzliche Warme.
Wenn setzt fort, es zu schutzen; in diesem Himmel.
Ich werde versprechen….
[旋律が、止まる。
それまでは静かだった蒼が、険しさを帯びた]
……さて。
[行くか、と。声に出しはしないものの、呟いて。
鍵盤の蓋を閉めると、ふらり、外へと歩き出す]
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