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[タチアナの安堵の表情を、じっと見詰める。
怪我をした利き腕を持ち上げ、唇を指でこつこつと叩く。
ニキータの事があれど、自分への対応の変わらない彼女に驚いている様だった。
大丈夫か、問われれば自分でも視線をそこに向け]
痛むが、まぁ…動く。
大丈夫だ。
[口調に揺らぎは無い]
――…この位の代償なら、安いものだ。
―広間―
[席を共にするフィグネリア>>68に、視線は未だ俯いたまま
それでもぽつり、ぽつりと答えていた。]
そうだ、ね――。
君も、辛かったはずだと、思う。
[言葉を詰まらせる様にまた小さく目を伏せて。
カップの紅茶を一口含んでから、再び口を開く。]
あぁ。
彼を――…彼とアナスタシアを殺した、
人狼を、殺さないと、いけない。
[といっても、誰が殺した、に繋がる手掛かりは
未だ頭の中に浮かんでは来ない。
厳密に言えば、わかる、と告げてきたタチアナも、
そして今、目の前に居る彼女に関しても、
人狼でないという確証を持っている訳では無かった。]
そう、ならよかったわ……
[ゆるりと瞳を伏せる。
代償ときけばニキータを思って唇を噛んだ。
アリョールを責めることはできない。
狼ではないときちんと皆に知らせていたわけでもないのだから。
証拠もなにもないのに信じろと言うのも無理だろう]
……人狼がみつからなかったら、みんなしんじゃうのかしらね。
[ため息をついて、小さく首を振る]
――アリョールは、……今日は、大人しくしておいたほうがいいわ。
その手じゃ……
[誰かを殺すのかどうか、まだ考えないまま。
タチアナのナイフは、部屋に置かれたままだった]
[ゆらり、立ち上がる]
アナスタシアと、ニキータ。
二人も、俺と同じように、居るのかな。
――…未練残して漂ってるのは、俺だけ、なのかな。
[かり、と短い後ろ毛を掻く。
また吐き出される息。
どちらを望んでいるのだろう。
囚われる事なく自由に先をゆくことか。
それとも、同じようにあり、再び会えることか。
どちらも望みながらどちらかを選ぶ事は出来ぬまま
困ったような笑みを漏らし、首を振った]
[守りたい者を、守る。
アリョールの裡には、その想いが根付いている。
そこにタチアナが含まれている事を、本人に言い出すことは無いけれど]
そうだな。
見つからなければ、きっと、タチアナも――…喰われる。
[何処か限定的な物言いは、無自覚に近い]
大人しく出来るのならしておくが。
まあ、他の人間次第だな。
[すっと、階段の方へ足を向けた。
広間へと向かおうとする足取り]
……人狼に食べられる前に疑われてしまうことも、ありえるわよ。
[断定するような言葉にわずかに苦笑を零し。
階下へと足を向けるアリョールの隣にならぶ]
――そう、ね……
……
[口数が少なくなるのは、この中の誰が人狼でも、手にかけるのはむずかしそうだと思うから。
肩にはおったショールを握り締めて、アリョールとともに広間へと向かう]
[アレクセイが動けばふっと目を細めて
フィグネリアとベルナルトが去るを見送る。
躯は血に塗れ襤褸のような態となっていたが
其処から抜けだした魂は生前と変わらぬ姿]
人狼に、喰われた、って。
覚えてないから実感もわかない。
知っても、知らせる事は出来ないだろうし
知らないままで、良いのかもしれない。
[独り言ちて、溜息を吐く。
己の生は終わった。
死は誰にも訪れるもの。
早いか遅いかの違いだけ。
そんな風に思っていたから受け入れるのも早く――]
[立ちあがる前、ベルナルトの言葉を聞きながら、小さく頷く]
私は、私が人狼じゃないことをわかってる。
だから、言えるけれど、どうして今になって旅人を襲ったのかしらね。
……それとも、今までは見つからなかったとか?
この部屋に焚かれた香みたいなものを嗅いでしまったとか……?
[眩しい、と言われて、無意識に髪を触ると、少し照れたように俯いて又顔を上げた]
逃げてここまで来たから。ここでは逃げたくないの。
だから本当は、強くなんてないのよ。
じゃあ、その内来るでしょうから他の方の分も一緒にいれておきますね。
[ヴィクトールの微笑みにそう言うと、竈の方へ向かう。
お湯は火の近くに置いていたから冷めてはおらず、ポットに新しい茶葉を入れてお湯を注いだ。
アリョールとタチアナが来る頃には、人数分のカップを用意して蒸らしたお茶をそれぞれへと差し出し]
――…。
[一瞬の逡巡]
タチアナよりは、先に私の方が疑われそうだ。
[ぽつ、と呟く。
殺されたというイヴァンの部屋を覗こうとすることも無く、階下へ降り広間へと入った。
広間の面々を顔を見詰めはしても、積極的に口を開くことは無い。
ただ、なるべくタチアナの傍に付いているようには動いた。
彼女に危害の加わる何かがあれば、守ろうとするように]
[頬撫でるタチアナの手の優しい動きに男の双眸が柔く細まる。
幾度か共にした夜も、彼女はこうしてくれたか。
彼女の手のぬくもりに安らぎを覚え夢に魘される事もなかった。
悪夢から遠ざけてくれた存在に感謝していたから]
謝る事はない。
[ニキータに声を掛け庇おうとした彼女。
その言葉がどういう理由で発せられたのかは知らないが
それでも、それを嬉しくおもっていたのに
結局、感謝のひとつも伝えられぬままになっていた]
タチアナ。
[ありがとう、と、生きて欲しい、と。
願いは儚い響きのまま紡がれる]
[アリョールの言葉にきょとりと瞬く]
――アリョールを疑うぐらいなら私じゃないかしら。
[首をかしげて呟く。
生真面目な墓守のほうがまだ信用できるだろうと思う。
広間へと降りた時にはもう他の人たちは居て。
アリョールの傍にいながら、ベルナルトへと一度視線を向けた。
それから他の人たちをみやり……
小さく吐息を零す]
私は、要らない。
[フィグネリアから、差し出される紅茶。
数日前には喜んでいた嗜好品だと言うのに、それを拒んだ。
飲んでも、渇きが潤う事がないのは分かっていたし。
それに何より僅かに漂う血の薫りと紅茶の匂いが混じるのを嫌悪した。
どこか冷たく硬質な表情を浮かべる]
―2Fイヴァンの部屋→地下―
[広間に行こう、と思っていたが、一度台所に寄った。
その後、2階へと戻る。
階段でアリョールとタチアナとすれ違ったりしたかもしれない。
イヴァンの部屋は、タチアナが入ったときより変わりはない。
欠けた食われた体を、血に濡れるのも気にせず、一枚のシーツでくるんで、持ち上げた]
なぁ、イヴァン。
恨むんなら、人狼じゃなくて、俺にしとけよ。
[聞いている人など誰も居ないから、そんな風に呟いて、地下へとその体を置きに行く。
丁寧にその体を横たえると、一度水周りで手を流してから、広間へと戻る]
[フィグネリアから紅茶を受け取りながら、それを拒否するアリョールに首をかしげる。
どうしたのかしら、とじっと視線を向けて。
友人の硬い態度が普段と違う気がして、幾度か瞬きをした]
……アリョール?
[静かに問いかける。
――それでもまだ、誰かを明確に疑えないのは。
知ってしまえば疑うもなにもなくなるからだと、無意識で思っているから]
そう、ですか。でも、何か口には、いれてくださいね?
[いらないというアリョールへそう言うと、カップを片付ける。
アリョールの表情は昨日よりもさらに硬いように見えた。
昨日のことが尾を引いているのかと、思う。
アレクセイも広間に降りてくれば、同じように紅茶を出した]
―→広間―
[フィグネリアが紅茶を出してくれる。
口元が緩く笑んだ]
ありがとう。
――タチアナ、アリョールの手当てを任せる。
[彼女らの様子を見ながら、そこに救急箱があると棚を示して言った]
どうした?
[タチアナに向ける眼差しですら、以前の様に柔らかいものとはならない。
どこか張り詰めた様な、貼り付けた様な、強張ったもの。
フィグネリアには、視線ですらもう向けず]
ああ、後で。
――…生きていたら、口にさせてもらうさ。
[淡白に答えを返した]
眠っていたなら、抵抗は出来ないと思う、けれど――。
[ひとりごとにも聞こえるフィグネリア>>82の言葉に
その時はそれ以上は何も語らず、
ただ己の膝の上を見下ろしていた。
それからヴィクトールに応対した彼女が、
此方に向けてきた頷き>>86を見ながら、また暫し考えた。]
―――…。
人狼の自覚が無かった者を、目覚めさせる香――。
なんて話は、ヴィクトールさんもしていたけれども。
[この場の者たちの顔を思い描きながら、言葉を続ける。]
平穏に生きる為に――。
何とかして、見つからないように――とはするものだと思う。
もし僕が人狼になってしまったら、そうすると思う。
お茶をいれるくらいしか、出来ないし。
アレクセイさんも、余り無理しないでくださいね。
[アレクセイへ口元だけで笑むと、椅子に腰を下ろす。
と]
アリョールさん……?
[自分が彼女によく思われないのはわかる。
けれども、タチアナに対してもああだっただろうかと、首を傾げた]
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