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[ やがて諸王は西殿へと赴くも、会議の場に立ち入ることは許されぬ。
待つ間には自由が与えられるも、それには竜都の内のみという条件が付け加えられた。当然のことではあろうが。
父親と離れ心細いのであろうか、離れぬ翠樹の仔竜は連れて歩くこととなる。硬い床には影の足音はなく、子の足音は小さきものだ。尤も、他の者も居たのだから、例え音がしたとて掻き消されてしまったろうが。
特別行く宛てもなかったが、影は広間に辿り着いた。ソファの傍まで導き、幼児を其処に座らせると、隣に腰を下ろす。
ノーラの手はベアトリーチェの近くへと伸び、仔が求めるならば触れられる距離へと置かれた。仔が他に興味を移すまで――或いは眠りにつくまで、そうしていた。]
[ そして現在、仔竜の姿は傍にはなく。
ノーラは随行者名簿と記された紙束を繰っていた。指が滑りぱらりと音が鳴る。一頁を読み終える度に、黒の瞳は目蓋の内を隠し、再び現した。きっかり十六回、それを繰り返して名簿は閉じられた。同様に眼も閉じ、一時の闇に浸った後、ゆっくりと開いた。常と変わらず、伏しがちに。
宛てはなかれど、緩やかに回廊へと歩みだした。]
[黄蛇の名を問い答えが帰るまでの間、視界の端に黄蛇の舌が閃いた。レンズ越しの紺碧はそれを確かめる為に動く事なくくねる胴体を見つめる]
ナギ殿、此方こそよろしく願います。
[ベアトリーチェの衣服の影へと消える黄のうねりを会釈しながら見送る。
そうして西殿へ王を送る者達と別れ入り口へと足を向け、また新たな一団へと短く自己紹介を交わしたのだった]
―竜都の端―
[青年が向かったのは機鋼のグライダーの無残な姿が晒された地。無闇に触れるものが居ないよう紐の張られた内側に視線を向け、垣間見える機鋼の技術力の一端を刻み込んでいく。
墜落した以上、製作者は機鋼の王達ではないだろうと思考しながら若焔の言葉を思い起こす]
機鋼エーリッヒ殿の作なのかな。
[問題はグライダーではなく操縦の腕前の方かもしれないが心無い残骸からは読み取る事は出来ない。ただ機鋼の随行者の力の一部である可能性を記憶して踵を返した]
― 竜皇殿・テラス ―
[ 竜の長たる者の居城。
この場所からは、竜都がよく見渡せる。賑わいは遠かれど、平和な情景は目に浮かぶようだ。
幼児は此処より飛び立ちもするのではあるまいか。
ノーラの手が手刷りに伸び、滑らかな表面を撫ぜた。]
[まっすぐ目指した行きと異なり、帰りは現在の竜都の状況を確かめつつ歩く。青年の口元に常に浮かぶ笑みは、商売上手な店主達と客との遣り取りにも修理中の酒場の扉にも変わる事がない。
笑みが表情として張り付いているのではなく、喜怒哀楽その他全ての感情が引き起こす心の動きを穏やかに受け取っているだけなのだが、より多く感情の過ぎる眼差しを合わせる事はないから掴み難いだろう]
……賑やかは嫌いではないけれど、少し疲れるな。
[静謐な【心の間】から久方ぶりに出た見に雑多な感情の坩堝である竜都は少々刺激が強く、見事な枝振りの木の幹にもたれ目を閉じる。そこが影輝と疾風の出会いの場であった事は勿論知る事なく]
[ 風に靡くのは淡い闇を薄めた茶の髪ばかりだ。
黒も紫紺も揺らぎはせぬ。
樹上から降り立ったのと同様に、ノーラはテラスより飛び立つ。その背に、薄い靄が一対の翼が如く掠めたのを見たものは居るまい。]
[ 都の喧騒を通り過ぎ、辿り着くのは賑わいから離れ、緑のさやめきが耳に届く場所。光を浴びる木の葉のつくる陰から生まれるように、ノーラは其処に――樹上に現れた。
よもや眼下に先客が居るとは思わなかったが。
存在の有り様の変化に、木々が葉擦れの音を奏でた。]
影輝殿。
[白い素足と紫紺の布を視界に収め、それ以上視線を上げる事なく声をかける。気配雑多な竜都にあっても、影竜王の影の持つ気配は一種独特に捉えていた。その心の動きが掴み難いという点において。
降ってきたエレオノーレの声は微かながらも青年の耳に確かに届く]
はい。
エレオノーレ殿。
[ 二度の異なる呼びかけに、首は傾げられはせず、頷きが返った。微風に揺れる葉と間違う程、微かに。
疾風の随行者に出会った時と同じく、影は地に降りる。纏う布は先の首肯よりも僅かな動きしか見せぬ。]
散策でもなされていましたか。
[ 黒の瞳がレンズ越しの紺碧を映す。ノーラの視界に入る石と鎖は、木陰と木漏れ日の間で色を移ろわせて見えた。]
[布地から覗く素足のみの理由ではないが視線を上げない青年は、それでも頷きを感じ取った様子で口元の笑みを深めた。
地に降りる影に木に背を預けた持たれた姿は失礼と背筋を伸ばし、レンズ越しの視線を顎の辺りにとどめ相対する]
はい、そのようなものです。
エレオノーラ殿もご休憩でしょうか。
場を邪魔したのであれば申し訳ありません。
[広口の紺に近い黒の袖を持ち上げ、指先だけ覗く手を幹に触れる。こちらに黒の瞳が向けられている事は感じていたが目を合わせぬようその色を確かめる事はなかった]
いえ。
私は影を求め渡っていたのみですから。
先にいらしたのは、貴方の方でしょう。
此方こそ、一時を破ってしまったのではないかと。
[ ノーラは瞳に似た色のショールの下から覗く手を口元に当て、顔を斜めに傾けた。此方に向かぬ眼差し。その紺碧に映る色を、掬うように。]
数多の存在の在る地は、
精神の属にとっては毒とも薬ともなりましょう。
[ 調子は真似るようであり、科白は老獪さを潜ませ、仕草は幼児にも通ず部分があった。]
影を。
[その言葉だけで急に現れた気配の理由が肯定され青年は頷いた。
此処が影輝竜の気に入りの場であれば申し訳なく思いながらも、一時との声を否定し緩く首を振った。斜めに傾けられた手の影の顎の線と掬うような視線の気配から逃れ、しゃらり瀟洒な音が鳴る]
いえ、白昼夢など目を閉じればいつなりと。
それに場を均すあなたの気は毒も薬も和らげましょう。
[顎の線を隠した仕草と裏腹な老獪な台詞に興味を引かれ、逸らした視線を結われた髪の付け根に移す]
[ 音に誘われ眼差しは逸れ、精神の竜が触れた幹に向いた。一、二歩と樹に歩み寄り、幾年もの間大気に晒されて来た木の皮に手を這わす。
傍らに佇むアーベルの僅か覗く指先に視線は留まる。]
何処にも影は在り影の全てに私は在る。
しかし数多の影より一つの影を選ぶ所以があるとすれば、己の欠片が在りし故に。
それ以前に惹かれしは喧騒と静寂の合間が故が、力の存在か。
[ まるで詩を吟ずる者の如き独唱は、真実を語るにも虚実を語るにも聞える。
次いだ言葉は平易であったが。]
……一度、訪れた場所は辿り易い。
そういったことです。
[髪のくびれに留めた視線は前に出る影輝竜の動きにつれて幹を視界に収める。逸れた気配に眼差しを上げると彫像のように整った横顔と幹を這う手が見えた。
吟ずる如き独唱に耳を傾け記憶に刻みつつ、その視線の先と心の動きの気配を辿る。同じ言葉でも言う者の心により意味を違える事を青年は良く知っていた]
では、気に入りの場を邪魔したのは私の方ですね。
目的なく此処に来たのですから。
[最終的に簡潔に述べられた理由に笑みを深めて、見つめられる指先をエレオノーレへと差し出した。半ば以上袖の中に隠し心持ち斜めに上を向けた手は、淑女の手を取るようにも紳士に握手を求めるようでもある]
楽しい時間をありがとうございました。
また会議後の親睦会にでもゆっくりとお話を窺えたら光栄です。
[ ノーラの心、その水面に起こる微かな波紋は、自身を解せぬ疑問を示していた。夜の海に似た水面の奥底は容易には窺えぬ。]
いえ。快いものでした。
[ 流れた視線は深まる笑みを捉え、幹より離れた手はアーベルの差し出した指先に触れた。しかし僅か、指の腹で撫ぜるのみのそれは、壊れぬか確かめるようであった。]
此方こそ。その時を、楽しみにしております。
[ 影の、黒曜石に似た瞳が一時、硬度を放棄して細められた。柔く弧を描く唇も、穏やかな感情を示す。]
[均す事を得意とする影輝の竜から感じる微かな波紋は青年の砂地に波の形を浅く残した。心の揺れる動きを好む精神の竜は奥底を覗き込む無作法はせず、穏やかな笑みと眼差しを差し出された手に向ける。
触れた指先に伝わるのは紙に触れ固くなった手指の感触、微かに耳に届くのは青年の力を押さえる為の装身具である腕輪と指輪を繋ぐ鎖の微かな音だろう]
それならばよいのですが。
ええ、またいずれ。無事に勤め終えるよう祈っております。
[上げた視線はやはり黒曜石に似た瞳に向ける事はなかったが、顎を捕える視線は柔く弧を描く唇と穏やかな感情を受け取った。
青年が此処にいる事実が随行者としての無事を祈る定例句に僅か反語めいたが、言葉自身は偽りなく*告げられた*]
[共に着いてゆきはすれど、途中で別れ、竜皇殿から離れる。
建物を出て、向かう先は本を取り扱う店。]
[賑やかな竜都は、少し浮き足立っているようにもみえる。
先にも通った東西の道を、店舗を探して歩いた。]
……あぁ、ここですね。
[漸く見つけたその店に足を踏み入れる。
先刻までの様子とは違い、いつものような穏やかな表情であった。]
[ 去りゆく青年の姿を瞳に映す。それが消える頃、ノーラは目蓋を下ろした。
述べられた定例の句。十五竜王が一堂に会す場が平穏無事に終わるとは思えねど、今は一時、樹の幹に凭れて憩いの時を過ごす。
木と光の生む陰と一体になった存在は、枝を彩る木の葉の如く、*静かに揺れる*]
[やがて一冊の本を取り、それを購入すると、オトは再び竜皇殿に戻る。
天を見上げると、空はあおく、翠の目は硝子ごしその色を映す。]
[手に持った書物は、古くからの記録の書。
名簿に書かれていた精神の竜の方が、さまざまな事を知っているけれども、そう簡単に向かうわけにもいかない。
さすがに重いその本を持ちながら、立ち止まるはほんの一時。]
[一度、暗闇に隠れた翠の目は、天を見はしない。
手元の本に落ち、それから周りを眺めた。
さまざまな属性の竜が居るこの地の喧騒は、不快ではない。]
――……
[しらず詰めていた息を吐いて、向かう先――戻る場所は*竜皇殿*]
[にこやかに、翠樹の王とその仔と話すエルザ、その後からきたクレメンスを眺める王と、その脇の赤い髪の随行者は深く頭を下げてお辞儀をした。
そしてザムエルの姿が見えれば少しばかり口元を緩め、だがぴしと伸ばした背筋は崩さない。
暫し自己紹介と雑談等しただろうか、それから王はのたりふらりと西殿を進みはじめ]
王、エミーリェはこの度参られた竜達の名簿を見てまいります。
きちんとぴしっとしていてくださいね?
[言葉に、蛇は尾をふらりと揺らして返事をする。
その後姿を見届けると、従者は陽光の仔竜とも別れて別の場所へと向った。
随行者名簿を見せてもらい、ペラリ、捲くると頭の中に入れる。]
流水、疾風…殿が、まだ出会って居ない方。
影輝殿は翠樹の仔と一緒におられた方でしょうか。
[ひとりごち、きゅ、と人差し指で眼鏡の中央を押し上げる。]
―― 竜皇殿 ――
[次々と顔を揃えた初対面の随行者達に簡単な自己紹介をして、後は主に生命竜と月闇竜のどつき漫才?を楽しそうに眺めたりしていた所へ、目にも鮮やかな炎の色が近付いてきて、わしゃわしゃと頭を掻き混ぜられた]
わわっ!ちょ、ダーヴ!!掻き混ぜるの禁止ーっ!髪が減る髪がっ!
てゆーか、やらかしたって何さ?!ダーヴじゃないんだからっ!
……え?墜落?いや、あれはほらっ失敗は成功の母だしっ!
[じたばたしながら、顔は楽しげな笑顔のまま馴染みの顔とじゃれあっていたのが数刻前、大地竜に促されてその場が解散の雰囲気となると]
ちょっと探検してきまーす!
[元気に宣言して駆け出した。西殿の中の出入りを許されている部屋は勿論、普段入る機会の無い庭園を覗いてみたり、本殿の近くに寄っていって眺め回してみたり(挙げ句に警備兵にやんわり追い払われたり)と忙しい]
[カツリ、廊下に踵の硬質な音が響く。
足が進むのと同時、カチャリカチャリと鎖が音を立てる。
暫く歩くと、立派な中庭へと出た。
空を仰ぎ、目を細める。]
あぁ、良い天気ですね。
[独り言は、空へと消える。
上に広い空間が開けている事自体に、安心感を感じる。]
─竜皇殿─
[背が伸びた、と認めてもらえて嬉しかったのか、浮かんだ笑みは常より幼いもの。
竜としては既に、青年と呼べる年頃ではあるのだが、その様子には違和はなく]
ま、きっと兄貴が折れるけどねぇ。
昔っから、そうだったし。
[兄夫婦の仲を案ずるザムエルに軽く返して。
場にいた竜王たちにも、形式に則った礼をした後は]
ん、しばらく自由時間なんだよね。
ちょっと、羽伸ばしてくるぜいっ!
[言うが早いか、駆けていく速度は文字通りの風の如く]
─竜皇殿・中庭─
[中庭に誰かいるかとか、そう言った事は一切気にした様子もなく。
そこに植えられた木の一本へと駆け寄る]
ん、ちょっと低いけど、これでいっか。
[小さく呟き、軽く、身体を屈めて地を蹴る。
常磐緑のマフラーが風をはらんで流れ、直後、その姿は一番高い枝の上へ。
その場に立って見回せばそれなりに広い視界と、吹き抜ける風との接触が確保でき、青の瞳は満足げに細められた]
しっかし、会議の間ヒマだよなあ。
なぁにやって、時間つぶそ?
[枝に腰掛け、独りごちる。
ピアは肩の上で物珍しげに周囲をきょときょとと]
[ 竜の時間の流れは曖昧だ。
揺蕩う影となれば、尚更に。
見えぬはずの巡りゆく風の流れを、開いた眼差しが追う。
布ははためかず、顔を覆う髪は、それを露にする程には靡かぬ。それも影の一つであるが故に。
流れに乗り、ゆっくりと、ノーラの歩は進められた。]
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