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これは……まるで……の、ぬいぐるみ。
[ぽつり、呟く。その呟きに、カウンターの店主はやや苦笑したろうか。
肩の相棒が菫色のそれにの横へ行って、じい、と見つめる。
白と菫のふわもこ立ち並び。妙にほのぼの]
―Kirschbaum―
邪魔するぞー……お?
[白と菫のふわもこ揃い踏みを目撃。]
……おー。
[右手がわきわき。触りたいのかもしれない。
が、理性で必死に抑えようとしている。]
こんにちは、オト。ヴィンター。それと…?
[アマンダは不思議そうに菫色のふわぽふを見る。
とてもファンシーな菫色の縫い包みは、美人と評判の奥さんの趣味なのだろうか。
ヴィンターが菫の傍に行ったのに対抗してか、千花もアマンダの肩から滑空し、反対側に着地する。
アマンダは茶・菫・白の三つ並びに笑って、いつもの席で岩清水]
っと……。
やあ、こんにちわ。
[翠の双眸に一瞬険しさを浮べていたものの、賑やかな声にその色彩は溶け。
挨拶をする時には、いつもの人のいい笑み。
白梟は、反対側に来た千花に、不思議そうに首を傾げて]
[挨拶を返すオトフリートに手を振り、ほぼ同時にやって来たハインリヒにも挨拶]
やあ、ハイン。
…可愛いね。
[右手のわきわきを見て、笑う。
甘いものが好きで、縫い包みが好き。アマンダから見れば可愛い]
……何だ、と聞かれましても。
[正体は気づいているが、言っていいものやら]
俺にはぬいぐるみに見えますが。
[円らな瞳をきょとん、とさせ、翼をちょっとちたちたさせている物のどこがぬいぐるみなのかとも言うが]
……そうか。
出来のいいぬいぐるみだな。
[ぬいぐるみだと思ったらしい。]
…………う、うるさい。
可愛いとか言うな。
マスター、ブラックコーヒー一つ。
[可愛い疑惑払拭の為、可愛くない物を注文してみる。
その後、カウンターの定位置へ。]
[アマンダは縫い包みが動いている事も気にしない]
「アンアンッ、チッ」
[千花は動く縫い包みに親近感を持ったのか、両前足で抱きつこうとする。
翼では出来ないだろうとか、思ってるのかもしれない。]
ええ、本当に。凄いぬいぐるみですねぇ。
……あれ。甘くないものなんですね、今日は。
[ブラックコーヒーを頼むハインリヒの様子に、くす、と笑みをこぼす。
白梟は、千花の行動を不思議そうに見つめ。
……抱きつかれたら、ぬいぐるみはきゅー、と鳴くかも知れないが]
[アマンダは、意外なものを注文するハインに不思議そう]
遠慮しなくて、いいのに。
[可愛いということか、注文か。
アマンダは一昨日の吹っ切れたハインリヒを見ていない。
それから、オトフリートの髪留めに気付いて目を丸くする]
わあ、きれいな子!
[金緑石を見て、嬉しそうに笑う]
……え?
[突然の嬉しげな声にきょとん、としつつアマンダを見る]
きれいな子……って、ああ。
[その視線が向かう先に気づいて、苦笑]
[オトの苦笑に気付かずに、大きく頷く]
とてもきれい。大事にされてる。
よかったね。
[金緑石に向かって微笑んで、千花を見て笑う。
そしてハインからもらえないだろうからと、ハーヴに千花の為の果物を頼む]
「チッ! チチチチチチチッ!」
[千花は、声を上げた縫い包みに円らな目を大きくして鳴く。
菫の声は誤魔化されたかもしれない。
しばらく抱きついて満足すれば、果実に釣られて*離すはず*]
はあ、そうなんですか。
[初対面時のパフェの印象が強いせいか、何となくブラックコーヒーとハインリヒが結びつかなかったりするのだが、さすがにそれは言わず]
……『生命の親』からの、唯一の贈り物ですからね。
[大事にされている、というアマンダの言葉には、苦笑したまま、呟くように]
……さて……それじゃ、俺はちょっと、散歩してきますか。
ヴィンター、行くぞ。
[ふわもこを見つめる白梟を定位置に呼ぶと、*ふらりと外へ*]
……意外そうな顔するなっての。
マスター、しばらく厄介になる。
いや、もうちょっとしたらいつもの奴も頼むって。
[事務所にいると、面倒なのがわんさかやってくる。
この店でほとぼりを冷ましていた方が*いいだろう。*]
〜回想〜
[酒場でたわいのない話を続けた後、シスターを教会に送り届け、独り泉へと。]
[腰に下げた短剣を外し、泉にそっと浸す。]
さぁて、僕はどうすっかね?
面白ければなんでもいいんだけども。
[シスターの"邪魔"という言葉を思い返し。]
それでも……急激な変化は。
望まない。
[しばらく後、短剣をいつもどおり腰に下げ、星空なんぞ眺めながら、宿へと向かった。]
−西の通り−
[いつものとおり朝のお祈りを終えて、ベアトリーチェはお散歩をしていました。足を前に出す度に、指環は服の下で俄かに揺れます。]
どうしたのかなあ。
[なにに対してかぽつと呟いたかと思いますと、いきなり道の端に駆けてゆき、そこにしゃがみ込みました。緑の眼をなにかにじいっと注ぎます。それは芽吹き始めた花でした。誰にも気附かれない程に、小さな、ちいさな。]
……お早う? まだ、お休み?
[天では千切れた白い雲がくるくる踊って、地では木から離れた薄紅の花びらがふわふわ舞っています。けれども、この花はまだ起きてもいないように思えました。
頭を斜めにすると、金いろの髪が微かに*きらめきました。*]
[汗がびっしょりと体中を覆い、気持ち悪さに目を覚ました。
夢を、見ていたと思う。
また、母の夢だろうか?覚えてはいない。]
…気持ちわるい。
[ずぶぬれになったシーツと枕カバーをはがして丸めて持ち、サイドテーブルのお皿ももって階下へと降りていった。]
―宿の一室―
[昨日と同じように、鐘の音を聞きながら目を覚まし、シャワーを浴び。]
[身支度を整えた後、なんとはなしに見そびれた桜へと向かった。]
―→西通り―
[店の主人に、皿とシーツを渡すと驚かれた。(勿論だが)
そして熱いシャワーでさっぱりして再び降りると、厨房の良いにおいにおなかがぐーっとなった。]
…何か。
[言うと同時くらいに、美味しそうなホットサンドが出てきた。
小さく礼を言って、無心に食べ始める。]
[白梟が行ってしまったからか、満足するだけ抱いたのか。
千花は菫から離れ、アマンダの傍で果実を食べる]
やあ、イレーネ。おはよう?
[降りてきたイレーネに手を振って、岩清水を口に運ぶ。
冷たい水はアマンダを冷ましてくれた]
[果実を食べ終え、小さく鳴いた千花を撫でる]
うん、もうお昼。
そうだ、代金を渡さないと。
[イレーネに大きく頷いて、銀貨を取り出す。
配達してもらった分の代金を渡して、微笑む]
また、頼むね。
煤の出にくい油は、貴重だから。
[千花は口の周りを小さな舌で舐め終え、毛繕い中]
[アマンダから銀貨を受け取り、こくりと頷く。
油を褒められると、悪い気はしないらしい、少し、ほんの少しだけ唇に微笑みを称えて俯いた。]
―ユリアンの自室―
[...はベッドの上で呆然としている]
今何時だろう…。どう考えても午前中とは思えない。
いくらなんでも寝すぎだよ、僕。
[昨日物凄く疲れて目覚ましをかける前にばたんきゅ〜したのは辛うじて記憶にあるのだが。
今日は休みで本当によかった]
[アマンダはイレーネが微かに笑ったのを見て目を細める。
賑やかなのも好きだが、物静かな時間も好きだ。
今はアルバイト青年が居ない為、特に機嫌がいいのかもしれない]
煤が出ると、硝子が曇ってしまうから。
ほんとに、助かってる。
最後の透明な子は、光を決める大切な――
いけない、忘れてた。
[透明な水晶を埋めこんだ玉を、ようやく思い出したらしい]
[ベッドから立ち上がると、ひとつ伸びをして]
んーでも寝たらすっきりした。
さて、無駄にした午前中を取り返すために、
一気に片付けますか。
はいはい元帥。餌ね。わかってるから先に下降りてろ。
[彼の上に乗って起こしてくれた、というよりは催促しにきたという感じの大きな老猫に...は苦笑をもらす]
、
……うん、わかっているよ。
自然のめぐみに手を加えてはいけないのだね。
[立ち上がって、ぱんぱんとスカートを払います。道に戻ると、「Kirschbaum」への扉に手をかけました。カランカランとベルが鳴ります。]
[立ち上がり、カウンターに代金を置く。
千花に手を伸ばして、定位置へと導こうとして、目を丸くしたイレーネに気付く]
あ、驚かせた。ゴメン。
ちょっとね、忘れ物。取ってこなくちゃ。
イレーネも、食後の散歩代わりに、来る?
[アマンダが首を傾げれば、千花も首を傾げる]
[ま昼の陽差しが柔かに降りかかります。中に居る人たちに、ベアトリーチェはぺこりと頭を下げました。]
こんにちわ。
[微笑って、お代を払うアマンダを見上げます。]
アマンダと千花はもう、帰るところ?
[ドアベルの音に振り向いて、手を振る]
こんにちは、ベア。
帰るというか、ちょっとね。忘れ物。
でも今度は、戻ってくるのを、忘れるかも。
だから、先にね?
[ハーヴにとっては、ツケにしても困らない金額だろうけれど]
[頷いて立ち上がったイレーネに声を掛ける。
それから、ベアトリーチェにも笑いかける。]
さ、行こうか。
ベアも、来る? 新しい子、出来たんだ。
営業妨害かな?
[振り向いての言葉はハーヴへと。店主は微苦笑を浮かべたろうか]
[扉を抜ける際、中に入っていった金髪の少女が少し気になるかのように一度だけ振り向き。
無言のまま、アマンダの後に続いた。]
そっか。
イレーネも、いっしょなんだ?
[訊ねながら、こどものせいには少し高い椅子をよじ登ろうかとしましたが、アマンダの言葉に動きを止めました。]
どうしようかな。
[急かされるままに猫に餌を与え、彼は家中の掃除と洗濯をする。彼が家事をしないとこの家はたちどころに人の生活空間ではなくなる。彼の法律上の保護者は「できることなら呼吸のしたくない」と思うほど面倒臭がりやだから]
しかし、今ここに提督がいたら悔しがるだろうね。
「鍵の書」とかそういうの好きそうだし。
[歴史研究家志望なのに運命の悪戯で間違って軍人になってしまい、今も国境近くまで戦うために出かけている保護者の姿を想像してくすりと笑う]
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