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― 回想 ―
うん、そうみたい。
わかんない、けど……
[アーベル>>146に頷き。
頭をなでられて、くしゃくしゃになった髪にもー、と苦笑を返す。
笑わせてもらったことは分かっているけれど]
気をつけて、いってらっしゃい。
[出て行くアーベル>>151を見送り。
それに団長が用事があると声をかけるのをみやり、同じようにとどめられて首をかしげ]
えと、それは、いいけど……
[そして、皆が来るまで仕事をして――]
― 黒珊瑚亭 ―
[みんなが集まって、団長の話が進むにつれ表情が強張る。
嘘かほんとか分からないけれど、団長の話を父親が遮らないからきっとほんとなんだろうと思った]
え……
一人……は、てこと……?
[え、と頭が追いつかずに首をかしげ。
しかも明日直にという話に、蒼冷めた顔を周囲に向けた。
父親とも視線が合うが、助けはなく。
見えないところで黒珊瑚亭亭主と父親としての葛藤をしていることにすら気づかぬままに、周囲をきょろきょろと見た]
― 自宅 ―
[老人を家まで送り届けた後、真っ直ぐに自宅まで引き返す。
其処此処に転がる残骸は軽く蹴り飛ばし、
大きな物は拾い上げ一時除けて簡易の道を作り出す]
[扉を潜れば籠を置き髪を解く。
海風に軋む髪を梳き、もう一度束ね直した後、
籠を開いて空になった水の筒を取り出した。
奥に置いた瓶から木蓋を退け、杓子で汲み上げ注ぎ始めた、時]
――……何か?
[戸を叩く音に応じ開いた先に立つのは自衛団員。
自衛団長からの呼び出しと知れば、訝しげに紅玉が眇められた]
黒珊瑚亭か。……わかった。
少し済ませたい事がある故、終わらせたらすぐに。
[少しの間を置き、首肯を置いて]
― → 黒珊瑚亭 ―
[右腕に薬籠を携えて現れたのは、其れから暫くの後。
筒の全てに水を詰め直し軟膏を補充し。
浜に一度寄り、回収した雨除けの布を肩に負って]
……物々しいな。
[自身は11人の内の何番目であったろうか。
漂う空気の重さにひとつ呟き、籠は空いた席に置いて
自身はすぐ横の椅子に腰を下ろす]
[全員揃ってから語られる内容に
紅玉は見開かれ、幾度と瞬きを繰り返した]
……噂と、思って居たのに。
[零れた呟きは拾われたか拾われぬか。
酷く乾いて、床に落ちた]
― 広場近く ―
[浜から自宅への道を戻る途中、
広場みえるその通りで呼び止められる。
振り返れば其処には早朝に会ったばかりの女が居た]
そんなに慌てて如何したの?
[息切らす彼女に驚き隠せぬ様子で問いかける。
すると、家に戻ってはいけない、と繰り返し訴えてくる]
何があったのか話してくれるかい。
[上下する肩を軽く撫でて彼女が落ち着くのを待つ。
自衛団員である父から聞いた話だという前置きの後、
浜で遺体となって見つかった旅人が居た事、
その容疑者が宿に集められるらしい事を語りだす]
――…戻るのを止めるってことは
キミの父親が俺を待ち構えてるって事かな。
[ため息混じりの呟きが漏れた。
女は泣き出しそうな顔で頷く。
昨夜は一緒に居た事も父親に伝えたとも言っていたが
それは証言として扱われぬ代物のようだった]
庇ってくれてありがとう。
けれど、もう言わなくていい。
年頃の女性が男と夜を明かしたなんて……
キミの父上も悲しまれるだろうし、ね。
[宥める声は密やかに紡がれる]
知らせてくれてありがとう。
大丈夫だからもう戻って。
こんなところ自衛団に見られたらまずいだろ。
[仮にも自衛団員の娘だから。
案じる言葉を向ければ不安げに見つめる彼女が暫くして頷く]
気をつけて帰るんだよ。
[彼女が筋を曲がり姿見えなくなるまで見送った後
男は漸く再び家へと歩き出した]
― 自宅 ―
[応接室には先ほど別れた女の父親が居た。
テーブルを囲み、母親の振る舞った茶を飲んでいる。
何の用で来たかは伝えられてはいないのだろう。
和やかに談笑していた風の二人にを交互に見遣る]
ただいま。
自衛団の方、でしたね。
どういったご用件でしょう。
話しなら工房の方でお聞きします。
[場所を移そうとするが母親が引き止める。
態々移動しなくても此処で話せば良い、と]
――…。
[仕方なくその場にとどまれば
自衛団員が、話は宿で、と促す言葉を告げる]
そう。楽しみにしてる。
それじゃ、また後で。
[女性らしくなっても、そういうところはまだまだなのかと笑いながら。カルメンとも別れて、昔馴染みの顔を頼りに応急処置用の板を調達して教会に向かった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
たしかあの辺…あ、あった…。
[浜から黒珊瑚亭に戻る道すがら、
高台に並ぶ幾つもの別荘>>0:2が目に入り。
瞳を凝らせば、昔住んでいた1軒が見つけられた]
懐かしいな。今は…どうなっているんだろう。
[その別荘―というより別邸は、病弱だった5つ年上の姉、
ユーリエの身体には、海風と太陽がよいと聞いた両親が、
彼女の為に建てたもの。自分もその家で生まれた]
[両親や歳の離れた兄は、やれ社交シーズンだ、狩猟シーズンだ、
領地の見回りや、狩仲間に呼ばれた等と、不在がちだったから。
姉と自分は、使用人に育てられたようなもの。
気位の高かった母は、別荘族以外とは交流を持たなかったけれど、
おおらかな気質だった父や兄、姉は、島の人とも付き合いがあり、
時折、黒珊瑚亭に食事にも連れて行ってもらった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
“さあ、教会のお手伝いに行きましょう。
ほら、お帽子をちゃんと被って……手は離さないのよ?“
[懐かしい家を眺めていると、幼い頃の姉の声が耳に蘇る。
蒲柳の質だったけれど、体調がよい時には、知人に会ったり、
手を繋いで一緒に教会の手伝いに出かけたりした]
あれは…傍から見れば、僕が子守りされているようにしか
見えなかっただろうな…。
[今となっては、気恥ずかしいような気もするが、
すぐに萎れそうになる花のような姉が、体調が悪くならないか、
倒れやしないかと、いつも心配で。
幼いながら、姉を守っているつもりだったのだ。
母は、馬車を使いなさいと、口うるさく言っていたけれど、
姉は、草花を摘んだり、海風に吹かれたりできる散歩を楽しみにしていたから。
風になびく金色の髪を片手で押さえ、僅かに瞳を細めるようにして海を眺めていた時の、ふわりと柔らかな微笑みが今でも目に浮かぶ]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
“大丈夫、一生懸命お祈りして、心からお仕えすれば、
神様はちゃんとお聞き届けくださるわ”
[家族の中で唯一、心からの信仰の持ち主だった姉。
彼女に連れられて教会に通ううち、
孤児院にいたヘルムートとも知り合ったのだったか。
再会を果たしたのは、わりと最近のこと。
ヘルムート・ルーデンという、懐かしい名を持つ音楽家の
噂を耳にして、もしや彼ではと、聴きに出かけた。
12年前に、島民との接触を禁じた両親>>172は
既に亡くなっていたけれど。
それでも会わない方がいいと、よく分かりつつも、
懐かしくて、声を掛けずにいられなかった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
よかった、蓋は開いてないか。
[慌てて指輪を拾い、容器状になっている蓋部分にあたる
紅珊瑚と留め金が無事なのを確認すると、
流石に用心してポケットに仕舞った]
何か…紐でもつけておいた方がいいかな。
ゲルダに、使わなくなった刺繍糸でも譲ってもらえないか、
聞いてみるか…。
─ →教会 ─
流石に戻っていると思うのですけれど…。
[ロミ>>156の疑問に返しつつ、不安は拭えない。
納屋に閉じ込められていたとは知らないため、昨日のうちに戻ってこなかったとしか認識出来ず。
今朝も神父と安否についてを話していたのだ。
程なくして教会が見えてきて、神父を探し訪ね行く]
あぁ、神父様。
カヤ君は戻っていますか?
[神父を見つけ先ず訊ねるのはカヤについて。
問うとナターリエ達が出かけた後に納屋に居るのを見つけたと言われ、ナターリエはようやく安堵の色を見せた]
そうでしたか…。
怪我などはありませんでしたか?
[問うと怪我はないが、朝昼食抜きの罰を与えたと返って来て、思わず苦笑する]
まぁ……。
とにかく何事も無くて安心しましたわ。
そうですわ、壁の修理についてなのですが───
[カヤのことが一段落してから、教会の壁の修理についての話へと移り。
本格的な修理は浜の事情からだいぶ後になること、応急処置は必要だろうこと、ヘルムートと言う人が手伝ってくれるかもしれないことを伝えた。
ヘルムートの名を出した時は、神父は懐かしげに瞳を細め、会うのが楽しみだとも言った]
応急処置用の板はヘルムートさんが調達してきてくれるそうですので、道具の用意を致しましょう。
[神父にそう言って準備をし始めた矢先、教会に来訪者を示す声が響く。
神父と共に応対に出ると、自衛団員が数名訪れていた]
何かご用でしょうか…?
[どこか厳しい表情の自衛団員に恐る恐る問いかけると、ナターリエ、ロミ、カヤの3人に呼び出しがかかっていると言う。
その言葉に神父と顔を見合わせて、視線は再び自衛団員へと]
呼び出しとは……一体?
[問うても詳細は黒珊瑚亭で話すと言われ、宿へ向かうよう急かされた]
ええと…私達は構いませんが、カヤ君は今居なくて。
探してからでも良いですか?
[紡いだ願いに対しては、それならこちらで探すと返され、ナターリエは一足先に黒珊瑚亭へと向かうことになる。
ロミも共に向かうことになろうか。
教会を離れ行く者達を、神父は心配げに見詰めていた]
─ 教会への途中→黒珊瑚亭 ─
黒珊瑚亭に集まるように?
宿を取ってるのだから後では戻りますが。
[板を教会に運ぶ途中だと言ったら、それは運んでおくと奪われた]
おい、強引すぎるぞ。
ったく…ちゃんと運んで下さいね。
神父様達には後で行きますからとも伝えてください。
[あまりに強硬な態度に諦めて黒珊瑚亭に戻る。
まさか、シスター達も呼ばれているとは思わなかったが。
それ以上に、自衛団長の話が衝撃的で言葉を失った]
人狼を滅ぼす結社の――…。
銀というと、人狼の弱点、だっけか。
[伝承にもある其れを思い出すようにぽつと呟き]
……少し変わった力?
[ギュンターの言うその力がどう繋がるかはすぐにはわからなかった。
力の影を辿るということが何を意味するのか。
話が進むにつれてようやく団長の言わんとする事を理解する]
伝承の中にもそんな話があったっけ。
[小さく零される息。
容疑者を絞ったのが彼の力とするならば
御伽話にあるような先が団長の口から告げられる]
─ →黒珊瑚亭 ─
[呼び出された全ての者が集まったのが確認された後、自衛団長が現れ口を開く。
集まった者の中にカヤの姿が見えると安堵の色を浮かべたが、それも自衛団長の話を耳にするとすぐさま消えてしまった]
……浜に、遺体、が?
[先程浜についてを聞いた時には聞けなかった話に、ナターリエは瞳を円くする。
死者が出たなら教会にも連絡が入るはずだが、神父から話が無かったことから、彼も聞いてはいないのだろう。
今まで隠匿されていたことに疑問を禁じえなかった。
その驚きが冷めやらぬ内に、更に衝撃的な言葉を耳にする]
人狼だなんて、そんな…!
[御伽噺の存在が実在すると言われ息を飲んだ。
戸惑いの感情が顔に表れる中、自衛団長の両手に刻まれた物を見せられ、痛ましさに円くしていた瞳を細め、眉を寄せる。
結社のことも知りようが無かったけれど、自衛団長が本気で言っていると言うのは見て取れた]
[その後、自衛団長の話に口を挟まず聞いていたが、人狼と力ある者と区別出来ぬままに集めていると聞き、ナターリエは僅かにびくりと身を竦めた。
膝の上で重ねていた両手が、きゅと硬く握り締められる]
……日に、一度……。
[決定事項だと断言するような宣言を耳にし、その部分だけを辛うじて繰り返して。
考えたくないと言うように頭を振り、握り締めていた手を解いて右手で顔の右側を覆った]
あぁそんな……主よ……。
[小さく小さく、声が零れ落ちる]
[語られる人狼の恐ろしさ。
村を守るを使命とする団長の言葉にまた息を零す]
…………。
[生まれ育った場所であり
今でも大事な家族のいる村。
それを守ると言われれば途惑いも口に出すを憚られたが
さすがに、日に一度、と続いた言葉には]
な、……!?
そんな事本気で……っ、
[団長の真意を確かめんと発した声。
けれど目を伏せ語る団長は冗談を言っているようには見えない。
本気なのだと知れる彼の決意を感じ、
その時は詰所に戻るをただ見送ることしか出来なかった]
―→教会―
うん、たぶんカヤ君のことだから、本当に危ないことわかってるだろうし大丈夫だと思うけど……
[ともにナターリエお姉ちゃんと戻りながら、返された言葉に再度返すのはどこか妙な信頼のような言葉>>201。
教会につくとナターリエお姉ちゃんに神父様がカヤが納屋にいたことを教えてくれて、一緒になって安心した様子で]
よかった……
[罰については若干いい気味だと思ったけど、レディだから表面にださないでおいた。
応急処置用にと話す様子はいい子に黙って聞いていて、来訪者にと向かう二人を見送りながら]
私はお部屋に戻るね。
[そう二人に告げて、部屋へと一度戻ることにした。
すぐに神父様に呼ばれて、先にいったナターリエお姉ちゃんの後を追うように宿へと向かうことになったけれども]
―黒珊瑚亭―
[集められ場所で聞かされたギュンターの話、
浜辺に打ち上げられた遺体のこと>>1:159、
御伽噺ではなく実際に人狼が存在するということ>>1:160、
ギュンターおじちゃんがその人狼を倒すための組織の一員だってこと、
その人狼の疑いがあるから自分たちが集められたということ>>1:162、
そして…、誰かに一日一人…、死んでもらうということ…>>1:163]
そんなのって……
[いろいろと聞かさた話に立ち尽くして震えてしまう。
嵐は過ぎ去って皆無事に、そう思っていたけどもちっともそんなことはない…、
いままさに大荒れに吹き荒れようとしている。それは嵐なんかよりももっと形の見えないおそろしいもの。
不安げにナターリエの服の裾を摘んで、その手は震えていた]
─ 黒珊瑚亭 ─
[視界にかかった霞が晴れた所で顔を上げ、改めてそこにいる者を見回す]
……日に一度、一人。
[小さく呟いた後、眉を寄せる]
探す基準もないのに。
どうやって、そんなの、決めろって。
[そうでなくても、見知った者が多すぎて。
突然の話を受け入れられていない事ともあわせて、戸惑いだけが渦を巻いていた]
― 黒珊瑚亭 ―
[震える手を握り締めて、集められた人たちをみる。
人狼など信じたこともなかったからこそ、余計に戸惑い]
……
え、と……
[何か言おうとして、けれど何もいえぬまま。
ため息を一つ零し、気づけばいつの間にか、お茶が配られていたのは何も言わぬままの父親の為業だろう]
─ 黒珊瑚亭 ─
[服の裾を引く感覚>>211。
それに気付いてロミに手を伸ばし、抱き締めてその背を撫でる]
大丈夫、大丈夫ですわ…。
[根拠無く紡がれる言葉。
手を震わせるロミを落ち着けようとしたものだったが、どこまで効果があっただろう。
ナターリエ自身落ち着くためにも、しばらくはロミに触れて居たかった]
― 黒珊瑚亭→詰所 ―
ああ、決めたことだ。
[アーベル>>171に頷き、ユリアン>>209に鋭い視線を向けた。否定しないことが肯定に繋がる]
他に確実な方法がないからの。
全てを滅ぼすよりは、マシだと思うことにしておる。
[エーリッヒ>>214の苦悩には白い眉を僅かに下げて。
具体的な質問がなければそのまま出て行った*]
―浜辺―
うぇ?
……いいけどさ。
あ、仕事道具とか持って行っていいよね。
[自衛団員に呼ばれたことに、あたしはびっくりしたけど、そこを聞くのだけは忘れなかった。]
─ 黒珊瑚亭 ─
[戻った頃には何人集まっていたか。
殆どが良く知った顔なのは当然だが、呼び出された理由が解らず軽く眉を寄せた。
その中、島の住人ではないはずの二人の男性には何故か見覚えがあるような気がして首を傾げるも、全員が集まったのを確認した自衛団長から切り出された話に全て持っていかれて]
…島丸ごと疑い合うのも防ぐ為、だろ。
[確実な方法がない>>217というそれに返す声は、感情を抑えようとしたせいで低くなる。
要は可能性があるものを片っ端から集めて、その命と引き換えに他の住人を守ると言われたと同じだ、と。
ユリアンの視線>>220に返す表情は、どうにも収まりのつかない感情を堪えるような苦いもの]
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